クローズアップ現代

毎週月曜から木曜 総合 午後10:00

Menu
2017年11月30日(木)
ロボット大国・日本の逆襲 ~起死回生をかけた闘い~

ロボット大国・日本の逆襲 ~起死回生をかけた闘い~

ITでアメリカ企業に圧倒され、モノ作りでもアジアの製造業に主役の座を奪われた日本。しかし今、人工知能の劇的な進化で熱を帯びるロボットが、日本産業活性化の切り札になるのではと期待されている。今月、ソニーとソフトバンクという日本を代表する大手企業2社が新たなロボットを発表。取材班はその開発の舞台裏に密着。ロボットは日本産業の起死回生につながるか、私たちの暮らしはどう変わるか、その可能性を探る。

出演者

  • 松尾豊さん (東京大学大学院特任准教授)
  • 片岡利文 (NHKディレクター)
  • 武田真一・田中泉 (キャスター)

密着!新ロボット開発 日本企業に勝機あり!?

よーしよしよし、いい子だね。カメラに写った、この私の顔。実は、この最新のペットロボットが撮影してくれたものなんです。

昨日(28日)東京で開幕した、国際ロボット展。

日本はロボット大国。産業用ロボットでは、世界シェア半分以上を占めています。ITでは、アメリカ企業に圧倒され、ものづくりでもアジアの製造業に主役の座を奪われてきた日本。しかし、人工知能が進化し、ロボットが工場だけでなく、家庭や職場にまで広がろうとする今、日本の逆襲が始まっています。
今月(11月)日本を代表する企業ソニーとソフトバンクが、新たなロボットを発表。全く異なる戦略で、市場の獲得に乗り出しました。

ソフトバンク ロボティクス 吉田健一本部長
「圧倒的なナンバー1になりたい。」

ソニー 平井一夫社長
「イノベーションが復活してきている。」

ロボットは、日本の産業復活の切り札となるのか。私たちの暮らしをどう変えるのか。可能性を探ります。

“ロボット犬”開発の舞台裏 日本企業の逆襲

今月1日、ソニーが犬型ロボット「aibo(アイボ)」を発表。12年ぶりとなるロボット製品に熱い視線が注がれました。

このロボットの開発の舞台裏に、取材班は半年前から密着してきました。今回のaiboには、最新の人工知能が搭載され、大きく進化しています。鼻先のカメラと耳元のマイクで画像や音声を捉え、一人ひとりを判別し、学習していきます。

「これはどういうものなんですか、枠は?」

「緑は人の枠、青は顔の枠。」

「表情とかもわかる?」

「笑っているとか。」

以前のaiboとは異なり、飼い主を認識して、特別な感情を抱くよう成長していきます。

「感情だったら、これはどんな状態なんですか?」

「(テレビ)カメラが入ったので、それを認識して驚いている。恐怖心が芽生えている。」

「いい子だね、よしよし。」

飼い主の技術者が声をかけると…。

「黄色がジョイなので、すごく喜んでいます。」

「黄色が一気に大きくなった。」

本物の犬のように人に寄り添い、癒やしを与えられるとしています。
社長の平井一夫さん。去年(2016年)夏、経営が上向いたのを機に、新型aiboの開発を指示しました。この十数年、業績不振に苦しみ、リストラを重ねてきたソニー。携帯音楽プレーヤーでは、アメリカのアップルに主役の座を奪われ、有望だったロボット事業からも撤退。作るものを失った国内の工場は、相次いで縮小・閉鎖されました。今回の製品を機に、ロボット事業を本格化させ、起死回生を図ろうと、社員の士気は高まっていました。

ソニー 平井一夫社長
「見てわかると思うんですけれども、社員がすごく元気に、いろいろなクリエイティビティを発揮しながら、モチベーション高く作れる商品という意味でも大事ですし、すごく象徴的な商品なので、ここでもう1回、ソニーの新たな方向性、そしてチャレンジ精神を、もう1回アイボを通して表現しようかなと。」

さらに、ロボットを使って新たなビジネスにも乗り出そうとしています。データビジネスです。世界では今、生活空間から音声や画像などの、いわゆるリアルデータを獲得する競争が始まっています。アメリカの巨大IT企業が力を入れるのは、音声で操作するAIスピーカー。音声のやり取りを通じて、リアルデータを収集できます。

「お手して。」

それに対し、動くAIともいえるロボット。全身に組み込まれたセンサーを駆使し、家の中を移動しながらリアルデータを収集することが可能となります。近い将来、お年寄りの見守りや子どものケアなど、新たなサービスを生み出すことを視野に入れています。

リポート:江﨑大輔(経済部)

動く人工知能ロボット犬の開発。長年、国内工場で培ってきた、ものづくりの力が再び発揮されました。超小型レンズ、高感度マイクタッチセンサーなど、AV機器やスマートフォンの技術です。そしてこちら、「アクチュエーター」と呼ばれる関節部の部品。

かつて世界を沸かせた、ウォークマンやカセットビデオカメラのメカの技術が再び生かされました。
熟練の組み立て技術もものをいいます。部品の数は4,000点以上。それを小さな犬の形をしたボディーに隙間なく押し込み、組み立てなければなりません。

「ここに穴があります。この穴に、ちょっと突起が出ているところを差し込みます。」

この困難な作業も、チームのメンバーが高度に連携する、すり合わせでクリアしていきました。生産技術者は、不具合が出そうな複雑な工程を見つけると、すぐそばに控えた開発技術者たちのもとに駆けつけます。その場で素早く設計変更を行うなど、海外生産では難しい、ひざ詰めの改善が重ねられました。

「これで引き続きデータの方を取得していきます。確認はこれで。」

9月下旬。量産に向け改良を加えたモデルの1号機が完成しました。

「ワン!」

ソニー 川西泉執行役員
「良かったね、鳴いて。鳴かなかったらどうしようかと。」

この十数年、国内工場の縮小・閉鎖で多くの仲間が去っていきました。将来への不安を抱いてきた従業員たちにとって、ロボット事業の本格化は、国内の雇用を守る闘いでもあります。

ソニー 川西泉執行役員
「これだけのものを、決められた時間の中で作り上げるというのは、それだけの一体感もないとできないし、この日本の中で作る強みだと思うので、大事にしていきたい。」

ロボット大国・日本の逆襲 産業復活の切り札に?

ゲスト 松尾豊さん(東京大学大学院特任准教授)

片岡利文(NHKディレクター)

人工知能の専門家の松尾さん。
このロボットは、日本産業復活の切り札になり得る?

松尾さん:なると思います。いくつか理由はあるんですけれども、1つは、今、人工知能の技術、特にディープラーニングといわれる技術が急速に発展しています。ディープラーニングの技術は、画像を解析して、その中に何が映っているかというのを理解することができる、こういう技術なんですね。つまり目の技術なわけです。この目の技術と、ロボットの体、これを組み合わせることによって、急速にできることが増えていくということです。2つ目に、このロボットに必要なハードウエアを作る技術、センサーから、素材から、モーターから、こういった技術、日本企業強いです。これをうまく活用することができるということです。

3つ目が、リアルデータで巻き返しとあるが、リアルデータとは?

松尾さん:これは、今、インターネット上のデータは、例えば検索のデータであれば、グーグル、それから購買データであれば、アマゾン、こういうところが強いわけですね。ところが、彼らもリーチできていないデータがあります。これは家の中のデータ、実世界でのデータです。ここに対して、例えばペットロボットで、ここにアプローチしていくことができるわけですね。

例えば、どういう活用の方法が考えられる?

松尾さん:一番チャンスがあると思っているのは、実は調理なんです。食。調理ロボットっていうのは、僕はいずれできると思います。これができたときに、非常に大きな変化が起こります。調理が自動化すると、いろんなおいしい料理を作るというのが機械化され、これが世界中に輸出されるわけですね。その次に何が起きるかっていうと、調理ロボット上でのレシピ配信っていう、新しいビジネスが起こるわけです。さらに、このどういう人が、何を食べて、おいしそうな顔をしたのかっていう顧客のデータも取ることができるわけです。
(これがまさにリアルデータ?)
そうです。そうすると、人に合わせて一番おいしい食を提供するという、全く新しいプラットフォームビジネスが、食の世界でできるということなんです。
(ロボットがその端末になる?)
そのとおりです。

田中:巨大なロボット関連市場に勝機を見い出したいとする日本の事情というのが、こちらです。

これは、今から28年前、1989年の世界の企業の時価総額ランキング、いわば投資家からの期待の表れを示すものなんですが、バブル絶頂期ということもあり、なんとベスト20のうち、13社を日本企業が占めていました。トヨタや松下電器など、メーカーは4社ランクインしていたんですね。ところが今、2017年になりますと、上位はアップルやグーグルなど、ITビジネスで成功したアメリカ、そして中国の企業ばかり。日本の企業は1社もありません。ロボットで成功すれば、もう一度日本企業がこのランキングに返り咲くことになるんでしょうか、松尾さん。

松尾さん:なると思います。ただし、状況はそんなに簡単じゃないです。これは、野球で言うと、今7回の裏で、10対0で負けていると。もうこのぐらい負けているんです。ただし、それでも今、ノーアウト満塁なんですね。ここでなんとか4点、5点取れば、もしかして8回、9回、逆転できるかもしれない、こういう状況だと思います。

家庭や職場、社会のあらゆる場面で、このロボットというものがあふれてくれば、日本にもチャンスがあるということだが、ものづくりや企業戦略を長年取材している片岡ディレクターは、ロボットにかける日本企業の状況をどう感じる?

片岡ディレクター:日本の電機メーカーにとって、少なくとも今回取材したソニーにとって、ロボットの開発というのは、ずっと抱え込んできた心の傷、企業としての、いわゆるトラウマですね。それを克服して、新たな第一歩を踏み出すための戦い、そういう意味でもラストチャンスだったという印象を受けるんですね。例えばソニーの場合、3つのトラウマを抱えてきたと思うんですね。1つ目は、家庭用のロボットで世界をリードしていたにもかかわらず、途中でやめてしまったこと。2つ目のトラウマが、インターネットの可能性をいち早く捉えていたにもかかわらず、アメリカのIT企業に、ITビジネスで圧倒されてしまったこと。3つ目が、国内で作るにふさわしい商品をなかなか生み出すことができず、結果として、国内工場を縮小・閉鎖し、雇用を大幅に整理しなければならなくなった。この3つのトラウマが、一気にソニーにとって克服できる舞台というのが、ロボット事業の再開ということで、だからこそ、このaiboから始めなければならなかったということだと思うんですね。

ただ、こうしたロボットが広く普及していくには、道のりは遠いようにも思えるが、課題は?

片岡ディレクター:やっぱりロボットの価格でしょうね。このaibo1体、サービス込みで30万円ぐらいするんですけれども、手が込んでいますので、コストもかかるわけです。だけど、これからリアルデータの獲得競争に本当に乗り出そうと思うならば、このロボットという端末をどれだけ広げることができるかっていうのが勝負になるんですね。AIスピーカーは、すでにグーグル、アマゾンが、もう1,000万台単位で海外で広げていますので、それにどう対抗していくか。やっぱり家庭に普及させていくためには、手ごろな価格に、どうやってやっていけるかという、ここが勝負だと思いますね。

田中:一方、ソニーとは異なるやり方でロボット市場を切り開こうとしているのが、ソフトバンクです。自らはものを作らないサービス企業が、ロボットで私たちの暮らしをどう変えるんでしょうか。

ロボット大国・日本の逆襲 “元締めビジネス”で?

田中:東京・汐留で開かれていますソフトバンク主催のロボットの展示会です。こちらのペッパーはおなじみですけれども、ほかにも、あまり見たことのないロボットも展示されているんですね。

実はこれらのロボット、ソフトバンクグループが投資・買収した企業のロボットたちなんです。抜群の運動能力を持つこのロボット、アメリカのベンチャー企業のものです。荷物の運搬や仕分けなど、幅広く作業をこなします。

そしてこちらは、また別のベンチャー企業のロボットです。レバーを動かすと、遠隔操作で重機を操縦してくれます。建設現場など、危険な場所で活躍します。

そもそも、あのペッパーも、買収したフランスのロボットベンチャーが開発したものなんですよ。

ソフトバンク ロボティクス 吉田健一本部長
「世界中の良い技術をもってきて、それをお客様に提供するところが得意な会社。例えばスマートフォンでいくと、iPhoneを日本に持ってきて紹介したり、技術自体、商品自体は世界中から集めて持って来るということをやってきた。」

田中:“元締め”みたいな感じですよね。

ソフトバンク ロボティクス 吉田健一本部長
「ロボットの世界では、圧倒的なナンバー1になりたい。」

元締めとして技術を買い集め、ロボットを必要とする現場に投入する、こうしたロボット派遣業に乗り出そうとするソフトバンク。会場には、人手不足に悩むさまざまな業界の関係者が駆けつけていました。

田中:人が今やっていることをロボットにやってもらう可能性も?

建設業
「もうやらないとダメでしょ。マストですね。」

清掃業
「一番の問題は人手不足ですね。やり手がいない。もっと華やかな仕事ばかりで、掃除は縁の下の力持ちみたいな形なので。」

先週、深夜の上野駅でロボットの実証実験が行われました。人に代わって掃除をする自動走行ロボットです。

搭載された人工知能が、最適な走行ルートを学習。陳列棚や障害物をよけるのはもちろん 、突然、人が飛び出してもぶつかりません。なかなか担い手がいない深夜の駅の掃除。
それをロボットに任せたいと、鉄道会社は検討していました。

JR東日本 清掃会社 清水文夫上野事業所長
「ロボットだったら、スタートを押せば、あとは放っておいても。」

ソフトバンク ロボティクス 吉田健一本部長
「その間に(人は)別のことをする。」

この日に向け、ソフトバンクの事業責任者は、投資先のアメリカ企業と準備を重ねてきました。

リポート:野上大輔(経済部)

向かったのは、アメリカ西海岸の町、サンディエゴ。掃除ロボットの人工知能を開発したベンチャー企業です。

今年(2017年)7月、ソフトバンクは社員50人のこの会社に130億円を投資しました。業務用掃除機本体は中国メーカーが作った既製品。そこに、この会社が開発した人工知能ユニットを取り付けると、自律的に動くロボットとなります。

「これでロボットになった。あとはカバーをつけるだけ。」

ソフトバンクは、このベンチャー企業の人工知能ユニットを使い、さまざまな機械をロボット化しようとしています。宅配やルームサービスなど、複数のプロジェクトがすでに動いています。

ブレイン社 ユージン・イジケビッチ社長
「ソフトバンクは日本企業とは思えません。まるでシリコンバレーのベンチャー企業のスピード感です。スピードがなければ、(AIの世界で)瞬く間に、グーグル、フェイスブック、マイクロソフトに圧倒されてしまいます。」

そして、データビジネスの準備も進めています。

ソフトバンク ロボティクス 吉田健一本部長
「今ロボットが障害物を検知して、よけているんだね。」

稼働中のロボットからデータを収集。それを分析し、現場に合わせて掃除を効率化。さらに、防犯や見回りなど、さまざまなサービスも検討しています。

ソフトバンク ロボティクス 吉田健一本部長
「AIもロボットも、技術はけっこうできあがっている。ただ、それをどう何に使うと使えるものになるのか、つながっていない。まさに両側を見て、お客様もたくさんいますし、技術もいろんな会社を見ているので、そこをつなげるところに、実は一番の価値があって、ニーズもある。」

上野駅での実証実験。その開始直前、ベンチャー企業の社長の目があるものに留まりました。視覚障害者のための黄色い点字ブロックです。

ブレイン社 ユージン・イジケビッチ社長
「これは日本特有のものですね。(私の知る限り)アメリカには、こうしたものはありません。」

JR東日本 清掃会社 清水文夫上野事業所長
「日本にしかない。」

JR東日本 清掃会社 清水文夫上野事業所長
「では、スタートします。」

点字ブロックの凹凸の隙間をうまく掃除できるのか。実験が始まりました。快調に動き出したロボット。しかし…。

JR東日本 清掃会社 清水文夫上野事業所長
「ゴミをおいていっちゃう。」

大きなゴミが残ってしまいました。

ブレイン社 ユージン・イジケビッチ社長
「ブロックをそって走らせれば。」

ソフトバンク ロボティクス 吉田健一本部長
「ルートを変えて、自動走行させてみよう。」

人工知能に、点字ブロックに合うコース取りを学習させると…。

ソフトバンク ロボティクス 吉田健一本部長
「ゴミの残りは、だいぶないですね。」

さらに、予想よりも短時間で多くのゴミを取れることが分かりました。

JR東日本 清掃会社 清水文夫上野事業所長
「すごいですね。」

実証実験のデータを基に、日本市場への導入を進め、さらに世界の市場を狙います。

ロボット大国・日本の逆襲 “元締めビジネス”で?

田中:そしてほかにも、多くの業種で人工知能搭載のロボットが、すでに使われています。その実例がこちらです。

例えばカフェ、私も体験したんですけれども、注文を取るだけではなく、なじみ客に合わせた飲み物を提供したり、ほかにも病院では、医師の診察の前に体調について質問をしたり、そして金融機関の窓口や観光ガイドなど、実にさまざまなんですね。

ロボットは何の役に立つかを考えて、それを技術と結び付けるのが、元締めビジネス?

片岡ディレクター:例えば一例として、アメリカのアップルのスマートフォン「iPhone」。あのビジネスモデルを掲げたことによって、それに魅力を感じたソフト開発企業が、続々とそれに巻き込まれる形で多様なアプリケーションソフトを作っていきました。そのスマートフォンの世界で、アップルが元締めビジネスをやったように、まさにそのサービスロボットの世界で、ソフトバンクが元締めビジネスをやろうとしているんです。実はこの元締めビジネス、日本のメーカーが長年自前主義に浸ってきたことによって、なかなかできなかったモデルなんですよ。それをこのサービス業のソフトバンクができているのは、やっぱりサービス業としての市場に対する目利きの力となると思うんですよ。例えば今、日本では働き方改革とか、いろいろありますね、人手不足とか。そういう問題を捉えて、その問題を解決するためには、どういう技術を集めてくればいいのかなという順番で、そのビジネスを立ち上げていっている。まず市場を見つける力というのがあることが、この元締めビジネスを今、ソフトバンクに目指させている1つのポイントになると思うんですね。実際に今、正直、ロボット事業は赤字なんです。だけど、実際に元締めビジネスをソフトバンクがうまくやっていけるのかどうか、これからもちょっと注目していきたいなと思います。

日本企業がこのラストチャンスを生かせるかどうか、そしてロボットが普及するかどうか、何が鍵になる?

松尾さん:大企業がきちんと動けるかどうか、これにかかっていると。このロボットの技術、ものづくりの蓄積が必要ですから、大企業が動くしかないんですね。逆に言うと、大企業がきちんとニーズを見定めて動きさえすれば、ベンチャー企業、絶対に逆転できないです。そのぐらい圧倒的に、今までの日本のものづくりの蓄積っていうのが生きてくる、こういう領域だと思います。当然、AI、ディープラーニングにおいては、若い力が必要ですから、そういった若い力もうまく使っていくということも、同時に必要になってくるとは思います。

今、アジアでは、どんどんAIの技術やものづくりの技術が上がっているが?

松尾さん:僕が一番危機感を抱いている点というのは、やっぱり中国。中国のAI、すごい勢いで進んでいます。今、もはや中国は、AI先進国です。しかも、深センでハードウエアがすごく伸びていますから、このままだとやられる、危機感を持って取り組まないといけないというふうに思います。

本当にロボットと一緒に暮らすという、そんな世界が意外とすぐそこまで来ているんだなという実感がある一方で、ラストチャンスという言葉もありましたけれども、日本企業が世界に先駆けて、そういった世界を実現できるかどうか。その分かれ目は、まさに今なんだと言えそうです。