クローズアップ現代

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2017年11月1日(水)
心と体に驚異の変化!? 50代からのヒップホップダンス

心と体に驚異の変化!? 50代からのヒップホップダンス

この夏、発表された研究論文が老年医学の常識を覆そうとしている。加齢による衰えが避けられないとされてきた「敏しょう性」が、強いビートに合わせたヒップホップダンスを楽しむだけで、20代レベルに回復するというデータが発表されたのだ。転倒予防や安全運転などにつながると期待されている。さらにヒップホップは、生き方をも変えようとしている。若者と踊る動画が世界で評価され、人に認められる喜びを知った専業主婦や、ブレイクダンスに引退後の生き甲斐を見つけた元教師。番組ではそうしたキレキレシニアのダンス動画をSNSで募集。視聴者とEXILE ÜSAさんたち審査員が投票で選んだ3組を招き、生ダンスを披露してもらう。人生100年時代、「新たな生きがいを見つけたい」という40、50代の「オトナ世代」たちに送るエール。

出演者

  • EXILE ÜSAさん
  • 菅原育子さん (東京大学特任講師)
  • 武田真一・田中泉 (キャスター)

50代からのヒップホップ 心と体に脅威の変化!?

田中:クローズアップ現代+。今日(1日)は、50代からのヒップホップダンスです。先日、50歳になったばかりの武田キャスター。人生初のヒップホップダンスストリートダンスに挑戦です!大学時代にディスコで踊って以来のダンス。この日のために練習を積んできました。

そして、20代から60代のダンサーの皆さん。特に注目は50代、60代の方。ご覧のとおりキレッキレのダンスです。実は、いつまでも若々しいこのオトナ世代の間でヒップホップダンス人気が高まっているんです。
科学的にも注目されています。ヒップホップを踊る人たちの身体能力は驚異的に高まることが判明。体だけではなく、生き方にも変化が。人生100年時代。長ーく延びた後半戦で新たな世界に挑む人々。番組では、そんなオトナ世代のダンス映像をネットで募集。新たな生き方のモデルを探ることにしました。
題して、「オトナダンス選手権」。ネットで寄せられた、15組のオトナダンサーたちの映像。その中で誰がベストか、事前に視聴者投票を実施しました。その結果、上位3組に選ばれた皆さんに今日はお越しいただいています。

番組後半では、本日のゲスト審査員によって、ベスト1に選ばれたチームが、生ダンスを披露していただきます。私も今年(2017年)で50歳。これからの人生をどう生きていけばいいのか、考えます。

50代からのヒップホップ 心と体に脅威の変化!?

「OK、バトルスタート!」

先月(10月)半ば、大阪で開かれたダンスバトル。その中で、20代、30代のダンサーたちに引けを取らない女性が。62歳のTORIさんです。

TORIさんがヒップホップダンスを始めたのは50歳。今では若者たちとチームを組み、世界的なヒップホップのスーパースター、ブルーノ・マーズから絶賛されるほどに。

「君たちのダンスを見て、僕は今日幸せだ。ありがとう、レディーたち!!」

日中はダンスにかかる費用を稼ぐためにパート勤め。ダンスの練習は夜。若者たちと朝方まで踊ることも。

TORIさん
「子どもが小さいときは専業主婦でした。ダンスに出会ったときに、やっぱ最初は恥ずかしかったし、年齢のこともあるし、『なんだこの人』みたいに見られるんじゃないかっていう気にはなりましたけど。徐々に世間体を気にしなくなったっていったほうがいいのかな。お母さんは『こうあるべき』とか、主婦は『こうあるべき』とか。」

30代 ダンス仲間
「かっこいいです。いろいろ諦めたりする年齢なのに、もうTORIさん見るたびに踊りがよくなってたり。いやー負けられないですよね、だから。」

40代 ダンス仲間
「嫉妬の対象ですね。彼女がいちばんかっこいい。」

実は今年、オトナ世代のヒップホップに関して老年医学の常識を覆す驚きの研究結果が明らかに。敏しょう性、俗に反射神経ともいわれる機能は、もともと身体能力の中でも加齢による衰えが大きいとされてきました。しかし、あるシニアたちは、その敏しょう性がなんと20代レベルにまで劇的に改善したというんです。

それは、岐阜県多治見市でヒップホップダンスを踊るチーム「TGK48」のメンバーたち。平均年齢69歳。ノリノリですね~!

論文を発表したのは、スポーツ科学の研究者岐阜大学の春日晃章教授。敏しょう性が高いと転倒しにくく、また、自動車などの運転もとっさのことに機敏に反応できるとされます。

「転ばなくなった。なんにもなくてもつまずくじゃん、そういうのが一切ない。」

春日教授が敏しょう性を計測した方法はこちら。明かりが点灯したら、ジャンプ。少しでも両足をマットから離す。その間の時間、いわゆる「全身反応時間」を計ります。

ちなみに60代の平均値は0.5秒以上。しかし、TGKのこの女性は0.3秒台。さらに…。

「0.256秒。アスリートより速い。」

この人たち、若いころからヒップホップをやっていたわけじゃないんです。始めたのは3年前。それで20代レベルの敏しょう性。驚異の変化の秘密は?

岐阜大学 春日晃章教授
「アップテンポな音楽を使うことによって、非日常的な速さというものを体験すると。そして音楽に合わせなきゃいけない。みんながそれに合わせていくとなると、その合わせようと努力することがすべてトレーニングの効果になっていて、ここにやはりヒップホップダンスの秘めたる何かがあるんだなと感じています。」

でも…速いテンポのダンスなら、社交ダンスのラテンやタンゴもかなり速いですよね。東京大学でダンスを通して人のリズム感を研究している三浦哲都さん。彼自身もダンサーです。ほかのダンスとは違う特徴とは?

東京大学 三浦哲都助教
「ヒップホップダンスの特徴は、強い(低音の)『ドンドンドン』というビート。こういった音を聴くと、人間は意図せずとも体が動いてしまったり、リズムに乗ってしまったりする性質があるんです。基本の動作が上下に動く運動なんですが、ひざを曲げると誰でも音楽に乗ることができる。非常に親しみやすい、誰でもできるダンスではないかと考えています。」

幸GEEさん
「今どんどん自分の体が変わっていくのが実感としてあって、それがすごく面白いです。」

オトナの体に脅威の変化!?

ゲストEXILE ÜSAさん
ゲスト菅原育子さん (東京大学 特任講師)

今日のゲスト審査員、EXILE ・ÜSAさんです。僕の冒頭のダンス、どうでした?

ÜSAさん:すばらしかったです。

ありがとうございます。あれ、結構練習したんですよ。本当に経験もリズム感も自信がないという方でも、踊れるようになるものですか?

ÜSAさん:ヒップホップって、ステップや振り付けはあるんですけれども、こうじゃなきゃいけないっていう決まりが少ないので、わりと自由度の高いダンスだと思うので、入りやすいと思います。

例えば、座っててもできる?

ÜSAさん:座っててもリズムに頭を振って、リズムを刻んだりとか。クラップ、手をたたいたり、例えば手を上にやって、上下して。これでももう、ダンスになっているので。

なるほど。ÜSAさんがやると、かっこいいですよね。今日は特別にステップも教えていただけるということなんですが。

ÜSAさん:例えば「ランニングマン」っていうステップがあるんですけれども、これ結構、意外と、やると難しいんですが、皆さんが子どものころにやってたケンパを使うと、簡単に誰でもできるようになります。例えばケンパって、横に開いてますよね。ケンパ、ケンパ。このケンパを縦にやります。ケンパ、ケンパ、ケンパ。これを徐々に速くしていきます。

なるほど。これならできそうな気がします。本当に奥が深いんでしょうけど、敷居は低いということですね。

田中:さて、今日スタジオにお越しいただいた皆さんは、どういうきっかけでダンスを始めたんでしょうか。まずこちら、おそろいのTシャツを着てらっしゃるのは「かっちゃむず」の皆さんです。チーム名になっているかっちゃんさん、62歳ということですが、どういうきっかけでダンスを始められたんですか?

かっちゃむず・かっちゃん:いろんな理由あるんですけども、子どものとき小児まひをして、足があれなんで、ちょっと無理かなと思って、ちゅうちょしてたんですね。そのうちに仕事に追いまくられてて、忘れてたとき、あるジムで若い人たちが踊ってたんだね。それに溶け込みたいなと思って、飛び込んでみたんです。そしたら、この若いメンバーが溶け込ましてくれたんで、入り込めました。

田中:不安はなかったですか?

かっちゃん:最初、不安だったんですけど、若い人たちが年をいってるっていうより、同じ仲間に入れてくれたのがすごくうれしくて、やれました。

新たな「オトナ世代」とは

シニアのセカンドライフを研究しているゲスト審査員の菅原さん、こうしてみると、シニアのイメージがずいぶん変わってきているように思うんですけれども、最近は「オトナ世代」と言うらしいですね。

菅原さん:人生100年の時代になっているといわれてる中で、いちばん伸びているのは、元気で健康で、まだまだいろんなことができる、そういうオトナの時代がどんどん延びているといわれていますね。それに対して、私たちの常識だとか社会の制度のほうが、まだ追いついていないというのが、今の状況じゃないかなと思います。

仕事や子育てが終わって、本当に体が動かなくなるまでの間、どうやって楽しむかということが、課題になっているということなんですね。さあ、ヒップホップダンスをきっかけに、生き方も変わった。そんな人たちが今回、オトナダンス選手権にエントリーした皆さんの中にもたくさんいらっしゃいます。

例えば、こちらの男性。福井県の方なんですが。ブレイクダンサー・B-BOYAMANOです。

農家 天野義廣さん(B-BOYAMANO)
「きっかけは…小さいときからアクロバティックな動きとか、ジャッキー・チェンの映画とかプロレスとか、憧れを持ってたんですね。でも自分は運動音痴だったから、うまくいかないというか、どうしたらいいんかなと思って。それから、ずっと教員生活してたせいもあって、自分はきちんとしなければという思いが強かったもんで。でも60で定年ですから。そんなときに抑圧というのかセーブしてたというのか、それが封印が解けたというか。好きなことをおもしろくやるっていう生き方をやってみようという。

生活が変わりました。家ではいつもズックを履いてます。踊りながらトイレに行ったり。それからスマホですね、あれをもう肌身離さず。いろんな人の動画を見てこんな技をやってみようとか。」

妻 恭子さん
「熱中しすぎやね。まあ研究熱心といえばね、聞こえはいいですけども。体が動くようになったぶん、口も動くようになった。」

農家 天野義廣さん
「なに!?」

農家 天野義廣さん
「目指しているのは未知の扉を開けるというか、新しい世界を知る。自分の殻を破りたい。人がカッコイイのを見ても自分は何も変わらない。自分が格好よくなければ意味がない。」

殻を破る「オトナ世代」

いくつになっても自分を変えることができるという、このヒップホップの力、どういうものなんでしょう?

ÜSAさん:ヒップホップの成り立ち自体も、ソウルとかファンクの曲の歌がない部分、ブレイクの部分を、レコードを2枚使ってつなげさせた、そこでビートが誕生したんですけれども、やっぱり何かを壊して新しいものを作るという精神が、今おっしゃってた「自分の殻を壊す」という精神につながってるなと思いましたね。

僕も今、ちょうど50代になったばかりで、そろそろセカンドライフの在り方を考えなければいけないなと思ってるんですが、生き方を変えていくために、今この時期、どういうふうに過ごせばいいんでしょう?

菅原さん:「それに答えがない」というのが、私が今言える答えなんですけど、今まで頑張ってきた仕事の役割だとか、お母さん、お父さんとしての役割といったものが一段落したときに、もう一度、目標を作り直す。そのときに何をしたらいいだろうって迷う方がたくさんいらっしゃるというのが、今なんだと思うんですね。そこで皆さんみたいに、ヒップホップダンスなりを入り口にして、新しいことにどんどん取り組んでいくというのは、1つの生き方のロールモデルというのにはなるんじゃないかなと、お手本になるんじゃないかなと思います。

田中:では、そんなオトナ世代の皆さんにも聞いてみたいと思います。こちらは平均年齢が55歳の「AYG55 for men」の皆さんです。ダンスを始めてから、生き方って、どう変わりました?

AYG55 for men:そもそも自分も、友達に誘われて始めたんですけど、あまりに楽しくて、勢い余ってインストラクターの資格まで取っちゃったんです。それでなんか、ハッピーリタイヤのあと、なんかやりたいなと思ってたんですけれども、こいつら「無理だ」って言うんで、彼らと一緒に、一生踊っていこうかなと思います。

田中:次の目標も見つかったということなんですね、すごいですね。そして、こちらは子育てが一段落してからダンスを始められたというお2人、「MO63プラスONE」のお2人です。なんと世界大会にも出たそうですが、どんな刺激を受けましたか?

MO63プラスONE:幸運にもそういったチャンスをいただいたんですけれども、世界の方がすごい盛り上げてくださって、主婦であることを忘れました。すごいハッピーでした。ありがとうございます。

さあ、では、いよいよここからは人生100年時代新たな生き方のモデルを選ぶ、オトナダンス選手権の開催です。



ありがとうございました!

田中:それではこちらから、ゲスト審査員のお2人に「ダンスのキレ」、そして「生き方のモデル」という2つの観点から、ベスト1を選んでいただきます。

さあ、新たな生き方のモデルに選ばれたチームは?お願いします。

ÜSAさん:「かっちゃむず」の皆さんです!

かっちゃむずが選ばれた理由は何なんですか?

ÜSAさん:センターのかっちゃんさんが周りの若い方にも負けずに、キレもよかったし、すごく楽しそうだったので決めました。

菅原さん:新しいことに挑戦して、どんどん楽しんでいるということで選ばせていただきました。

おめでとうございます、すばらしいですね。実は、かっちゃんにいろんな方からメッセージが来てます。60代男性の方、「小学校の同級生です。この年になっても、ヒップホップを踊る姿に脱帽です」。もう一方、40代女性、かつての職場の部下の方から。「まさか昔の上司がエントリーされていたなんて。会社では見られなかったボスをぜひ見たいです。応援しています」ということです。
それからもう一方、60代の女性の方。「妻です。最初はびっくりあぜんでしたが、ダンスから帰宅すると笑顔でしゃべりまくるのでほっとするようになりました。還暦過ぎて、新たなやりがいを見つけたのでしょうね」。ということで、今後の抱負をひと言お願いします。

かっちゃん:このメンバーで、オリンピックに出たいです!

ぜひ頑張ってください!本当に今日はいい刺激を受けました。私も50歳、これから長い人生、どう生きるか、気になるようになってきました。今日は皆さんの姿を見て、そのヒントは意外とシンプルなんだなと気が付きました。それは好きなことをやること、そして自分の殻を破ること。じゃあ皆さん、最後に一緒に殻を破りましょう!イエーイ!

■応募いただいたダンスの動画はこちら(投票はすでに締め切っています)