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No.39492017年3月13日(月)放送
追跡“森友学園問題”

追跡“森友学園問題”

追跡 森友学園問題

先週末、籠池泰典理事長が、開校目前だった小学校の認可申請を取り下げました。
国や大阪府は、混乱が広がらないようにしたいとしていますが、多くの疑問がまだ解き明かにされていません。

こちらは今日(13日)出た、NHKの世論調査です。
国有地が鑑定価格よりも低く売却されたことについて、国の説明に8割の人が納得できないとしています。
数々の疑問。

ご覧のように、籠池氏を巡る、さまざまな疑惑も報道されていますが、見過ごしてはならないのは、国や大阪府が関わった、小学校開校に向けた不可解なプロセスです。
そもそも、なぜ多くの問題を抱えながら、小学校が一時は認可適当とされたのか。
そして、多くの人が疑問に感じています。
国有地が、8億円も、なぜ値引きされて取り引きされたのか。
そして、一連の経緯に政治家の関与はあったのか、なかったのか。
今回、私たちは、問題に関わった関係者20人以上に取材。
新たな証言を得ました。

追跡 森友学園問題 なぜ一度は“認可”の方向へ

私立学校の認可を議論する、大阪府の私学審議会の会長、梶田叡一さんです。
森友学園が小学校の認可を申請した3年前から、審議会のトップとして審査にかかわってきました。

大阪府私学審議会 会長 梶田叡一さん
「私学審議会の委員としてはいろいろと、他にやりようがあったんじゃないかと。
これだけのことがいわば、覆い隠されていたわけですよ。
最初の段階では準備をされないままで、(申請資料を)出していたことが見抜けなかった、気づかなかった。」

大阪府の、当時の私立学校の認可の仕組みです。
学校法人から申請があると、教育の専門家などで作る私学審議会が、その妥当性を議論し、答申。
最終的に、大阪府が判断します。
平成26年12月に始まった私学審議会の議論。
その推移を取材すると、異例ずくめだったことが分かってきました。
委員の1人は、当初から財務基盤が弱いことを懸念する声が上がっていたといいます。

私学審議委員
「一番最初にひっかかったのが、財政的な裏づけというかね。
こういう学校というのはパッとできて(経営的に)ダメだったといって閉鎖するという代物ではなくて、(学校の)永続性を担保するためには運営計画がしっかりできてなきゃいけないのに、(裏づけは)あるのって話で。」

会議の議事録です。
積立金が少ないなど、学校設立を目指す法人としての異様さが際立っていました。

私学審議委員(議事録より)
“借入金はどうなっています?”

*私学審議委員(議事録より)
“借入れがね、つまり今持っているもの(積立金)よりもオーバーしているわけですね。”

私学審議委員(議事録より)
“本当にこれで永続性が担保できるのかどうかという判断をされたかどうかを(大阪府に)聞きたいですね。”

委員たちの懸念に対し、大阪府の担当者は次のように答えていました。

事務局(議事録より)
“大阪府の職員、私学、大学課の行政の職員が、(学園の収支計画を)チェックをしたうえで、適切であるという判断をさせていただいております。”

委員たちは、その説明を信用するしかなかったといいます。
もう1つの懸念は、森友学園が土地を確保していなかったことでした。
原則、小学校の認可には、学校を建設する土地を持っていることが必要だったからです。
ところが、今回入手した審議会で配付された資料では、「国が森友学園と借地契約を締結予定」と書かれています。
しかも、まだ決まっていない学校の認可が前提となっていたのです。

「認可」と「土地の取得」それぞれが、小学校の開校に向かって進められていたのです。

大阪府私学審議会 会長 梶田叡一さん
「事務方同士の話し合いで私学審議会で結論(認可を)出して、それを踏まえて向こう(国)が、賃貸契約を承認するという確約だった。
これはくり返しますけど、例のないような話だと思いますね。」

この異例の対応について、大阪府は「認可に向けた手続きを進めなければ土地の取り引きも進まず、形式的に門前払いになってしまう状況だったため」としています。
認可の答申は、いったん保留になったものの、翌月開かれた臨時の審議会で、財務状況を安定させるという条件付きで、「認可適当」とされました。
長年、審議会の会長を務めてきた梶田さんは、一連の経緯に、これまでにない不可解さを感じたと証言します。

大阪府私学審議会 会長 梶田叡一さん
「大阪府の事務方の中でも、大きな教訓だろうと思っています。
国の行政でも、都道府県の行政でも、市町村の行政でも、大きな力がどこかから働いてですね、ある意味では住民全体の公平公正な幸せのためにやらないといけない行政が、ちょっとおかしいよなってことがないわけではない。
大阪府の中でも振り返り、あるいは反省がそうならないために行われているだろうし、われわれ(審議会)はもっと考えないといけない。」

追跡 森友学園問題 “不可解”な土地取引はなぜ

学校法人の土地取り引きに関しても不可解な点が数多くありました。

財務省 佐川宣寿理財局長
「28年6月の売買契約の締結を持ちまして、事案は終了しているとこでございますので、詳細な面会の記録等については、残っていないということであります。」

国が廃棄したという交渉の記録。

森友学園に国有地を売却した近畿財務局に、数年前まで在籍したOBが取材に応じました。
40年近い勤務経験の大半を、国有地の鑑定や売却に当たっていたという男性は、土地売買に関する交渉の記録を、すぐに廃棄することはなかったと証言しています。

元 近畿財務局職員
「日時、場所ですね、もちろん相手方ですね。
相手方の要望、こちらの対応ですね。
資料があれば資料をつけてですね。
じいちゃん、ばあちゃんからの要望でも、きちっと書いて上司に決裁をして供覧をして、紙で、あるいは記録できちっと残すのが文化なんですね。」

国が値引きの根拠とした、地下のごみ。
その調査についても、疑問の声が上がっています。
学校法人は、敷地の地下から想定外の木材や生活ごみが見つかったと主張。

それに対し、国は広範囲の土をすべて入れ替えて、およそ2万トンのごみを処分する費用などとして、8億2,000万円の値引き額を算出したとしています。
通常の土地取り引きでは、どのような調査が必要なのか。
地下埋設物の撤去を行っている埼玉県の業者を取材しました。

解体・撤去業者 社長
「端と真ん中とか掘っていって、何も埋まっていないかを調査していきます。
ここを掘ってスケールをあてて写真を撮って、ちゃんとこの下から出てると写真をとることが大事。」

国が国会に提出した写真です。
写真を見る限り、ごみの状況を詳しく確認したとは判断できず、民間では取り引きが成立しないと、業者は指摘します。

解体・撤去業者 社長
「堀った写真ではない。
この資料だとなんの信用性もない。
掘ったんだよというのがすごく大事。
だから根拠を残してないのもおかしな話。
じゃあもらえないですよ、お金。」

森友学園問題 なぜいったん認可適当?

VTRを見ると、森友学園側の望む形に、ことが進んでいったように見えるが、なぜ、これほどまでの異例に異例を重ねるような事態が通ってきた?

西村記者:背景には、国と大阪府が小学校の開校ありきとも思えるような形で手続きを進めてきた実態があります。

こちら、一連の時系列です。
森友学園が小学校の設立を申請できたのは、そもそも大阪府が学園からの要望を受けて、参入の基準を緩和し、幼稚園しか経営したことのない学校法人でも、借金をして小学校を設立できるようにしたことがきっかけでした。
(規制緩和自体、森友学園側の要請をきっかけに行われた?)
そうですね。
その後、学校の開設に向けて、大阪府側は国から土地を取得できることを前提に、条件付きで、「認可適当」と了承しました。
一方、国側は、大阪府から学校の認可適当の答申が出されることを前提に、土地の取得を了承しました。
国と大阪府が、互いに森友学園の信用を保証し合うような構図ができ、相手に合わせて手続きを急ぐことで、チェックの機能が十分に働かなかったのではないかと見られます。

それから、国有地の売却の問題について、今回の取材で土地契約に当たっての交渉記録が残っているはずだとか、今回のごみ処理費用の算出方法は民間ではありえないという指摘がありました。
これは、国の主張と食い違いがあるが?

西村記者:まず、交渉記録についてなんですが、国は、保存期間は1年未満となっていて、契約終了とともに処分したとしています。
しかし、今回取材した複数の近畿財務局のOBからは、パソコンなどに記録が残っている可能性もあり、もっと徹底した調査ができるのではないかという声も聞かれました。
次に、地中深くから見つかった、ごみについてですが、国は、現場での工事関係者からヒアリングや写真などで確認しているとし、算出方法についても適切だったとしています。
ただ、こうした手続きには多くの疑問の声も上がっていて、自主的に調査をして、さらなる説明をすることが求められます。

そもそも、今回の一連の経緯に政治の関与があったのか、なかったのか。
現段階では分かっていません。
しかし取材を通じて、籠池理事長が自分の教育方針に賛同する人脈を使って、小学校の建設を推し進めようとしていたことが明らかになってきました。

追跡 森友学園問題 籠池氏とその人脈

籠池泰典理事長
「がんばっていこう。」


14年前、NHKが取材していた籠池泰典理事長です。
ラグビーを通じて、子どもたちに規律を教えるなど、このころ、しつけに熱心な幼稚園の経営者として知られていました。

籠池泰典理事長
「ONE FOR ALL,ALL FOR ONE.」

「教育勅語。」

一方、先週、ネット上にアップされた、幼稚園内とされる動画です。
子どもたちに、戦前の教育勅語を暗唱させています。
籠池氏は、こうした教育を行うための、新たな小学校の設立を目指したのです。

籠池氏と面識があり、関西に幅広い保守系人脈があるという男性です。
籠池氏の教育方針に引かれ、複数回、幼稚園を視察したといいます。

保守系政治関係者
「国を大切にすること、公を大切にすることが、逆を言うと余りにもなさ過ぎたので、戦後の教育に関して言うと。
それに対する反発というかですね。
一部の方々からは大絶賛されてましたので。」

新設予定だった小学校の学校案内です。
籠池氏は、名誉校長に就任した安倍総理大臣夫人の昭恵氏をはじめ、保守系の識者や議員を、運営する幼稚園に招き講演を行ってもらっていました。
政治家とのつながりを強めた籠池氏。
5年前、その人脈を使って、行政を動かそうとしたことがありました。
平成24年、幼稚園に隣接する大阪市の公園を巡り、地域住民と園との間でトラブルが発生しました。

広場の真ん中に花壇を作りたいという住民の要望を受け、市が緑化の工事を決定。
一方、籠池氏は園児のラグビーの練習に、この広場を利用していたため、計画に異を唱えました。
しかし当初、聞き入れられませんでした。

その後、籠池氏が市の担当者と面談した際の記録です。
市が保管していました。
この時、籠池氏は改めて工事の中止を要望。
そこに市議会議員2人が加わり、籠池氏の主張に沿うよう求めました。
この2日後、決まっていたはずの花壇の設置は、一転中止になりました。
面談に加わった議員は取材に対し、市民の一部に反対があると申し入れただけだと述べています。

保守系政治関係者
「(籠池)理事長が、築いてこられた特に右の方々、保守系の方々を中心とするネットワーク、人脈ですね。
彼の陳情には後ろにたくさんの人がついているんだと。」

籠池氏の教育理念に共鳴し、小学校の設立に協力しようとする政治家も現れます。

全国教育再生首長会議の議長、山口県防府市の松浦市長です。
籠池氏の力になりたいと、自ら動きました。

声:山口県防府市 松浦正人市長
「(籠池さんは)小学校を豊中に作りたいという熱い思いを持っておられる素晴らしい教育者だから、豊中ご在住の中川さんに『応援してやってもらいたい』ということで、私が電話をしてご紹介したわけです。」

籠池氏に紹介したのが、市長のゴルフ仲間、中川隆弘氏。
豊中市選出の大阪府議会議員です。
3年前の12月。
突如、籠池氏が焦った様子で電話をしてきたといいます。

大阪府議会 中川隆弘議員
「今日明日中に時間を空けてくれないかという初めの接点の持ち方で、市長から紹介を受けてるんで、何とかこの時間を空けましょうと。」

ちょうど、小学校設置の認可に関する答申が保留となった直後のことでした。

大阪府議会 中川隆弘議員
「認可がまだ大阪府から出てないので、この間の審議会では延期になってしまったと。
何とかうまくいく方法はないかという類の言葉だった。
やっぱり政治家を使って、動かそうというつもりがあるのかなと。
長年議員をやっていると、その辺は感じましたので、(認可のことは)分かりませんと、付け加えて言いました。」

籠池氏は、直接面識のなかった政治家にも頼ろうとしていたのです。
小学校認可のために、財務基盤の改善を求められていた籠池氏。

先月(2月)、府に提出された小学校の収支計画によれば、集まった寄付は4億円に迫っていました。
多くの個人や団体が後押ししたのです。

保守系政治関係者
「いわゆる一般の寄付と言うよりも、政治献金のような意識で寄付をされてらっしゃる。
実際、私の知り合いの方で、寄付をされている方も存じてるんですけど、『左翼偏向教育を叩き潰すんだ』と。
そういった活動の一環として、今回の小学校設立に協力したいんだと。」

籠池氏は一連の経緯について、やましいことは一切していないとしています。

籠池泰典理事長
「議員の方に対してもですね、便宜を図って頂くようなこと、口利きと言うんですかね、そういうことはお願いしたことは全くありませんので。
日本人として真っ先に、正直で、そして、なおき心でないといけないということから考えていきましたら、そういう学校を作ろうとしているわけですから、一切そういうことはないです。」

森友学園問題 政治の関わりは

籠池氏と、その人脈との関係が見えてきた この問題、ほかにも国会議員の名前が取り沙汰されているが?

西村記者:籠池氏は安倍総理大臣の名前を使って、寄付金を募っていました。
これについて安倍総理大臣は、「何度も断ったが、勝手に名前を使われて抗議した。昭恵夫人の名誉校長就任も断ったが、その後、講演の場で引き受けてもらわないと困りますと言われ、最終的に受けた」と答弁しています。
籠池氏はまた、鴻池元防災担当大臣のもとにも、何度も陳情を行ったことが分かっています。
鴻池氏側は、要望に沿った働きかけはしていないとしています。
今回の取材では、一連の問題に政治が関与したかどうかは分かりませんでした。

この一連の経緯を識者はどう見ているのか聞きました。

追跡 森友学園問題 識者は

元文部省の官僚、寺脇研さんです。
問題のある学校の参入を許した規制緩和のあり方に目を向けるべきだと語ります。

京都造形芸術大学 教授 元文部省 寺脇研さん
「大阪府の私学の認可基準だって、従来に比べれば緩やかにした。
新規参入を入れていって、いろいろな形を作っていこうという意味では悪いことではない。
(規制緩和によって)今回みたいに、そこにつけ込む人が出てくるなら、もう一度、安易な規制緩和にならないようにしていくことを考えないといけない。」

森友学園について、いち早く取材してきた、ノンフィクション作家の菅野完さんは、今回の問題の背景を次のように話しています。

ノンフィクション作家 菅野完さん
「(籠池氏に)安倍昭恵さんとの付き合いを全面に打ち出せば交渉は有利に進むと。
籠池夫妻に、そういうことをする方が自分たちの立場は有利になるんだって判断を下すに至らしめた時代の空気みたいなものの方が、ぼくは恐ろしい。」

森友学園問題 疑惑の解明は?

視聴者の方より:「いいかげんな形で幕引きさせないよう、徹底追及してほしい」「籠池氏の疑惑を国会で真相究明してほしい。」
さまざまな疑惑の解明は、今後どのように進められていくのか?

西村記者:なぜ、これほど多くの問題や、不可解な点を抱えた学校法人が小学校の開校目前にまでこぎ着けることができたのか、その交渉過程における、国や大阪府の対応については、われわれの取材でもまだ分かっていないことが非常に多いんです。
こうした中、地元の豊中市の市議会議員や市民らが、国有地を安く売却し、国に損害を与えた背任の疑いで刑事告発することにしており、疑惑の解明に向けた動きもあります。
また、参議院の予算委員会は、16日に現地視察を行う予定です。
国民の共有財産でもある国有地で、子どもたちが通う小学校の建設を巡って、これほどの事態を招いた責任を、国や大阪府は重く受け止める必要があります。
NHKの世論調査でも、土地の売却についての国の説明に8割の人が納得できないとしていて、引き続き、疑惑の徹底した解明が求められます。

今回のグラレコ

番組の内容を、「スケッチ・ノーティング」という会議などの内容をリアルタイムで可視化する手法を活かしてグラフィックにしたものです。

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