クローズアップ現代

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No.39422017年2月28日(火)放送
さらば 遺産“争族”トラブル ~家族で解決!最新対策~

さらば 遺産“争族”トラブル ~家族で解決!最新対策~

長男優先はもう古い? 姉VS.弟で相続バトル

「あなたに渡すものなんか、一円もないですからね!」

ひと事ではない、遺産相続のトラブル。
以前より小さい金額で、もめるケースが増えています。

実家から離れて東京で暮らす2人兄弟の長男、Aさん。
およそ500万円の遺産を巡って、予想外のトラブルを経験しました。
4年前、父親が亡くなった直後に、実の姉に相続の放棄を迫られたというのです。

『争族』トラブルを体験 Aさん
「私が長男なので、父が『あなたがもちなさい(相続しなさい)』と。
それはそうだろうなと思っていた。
そんな目に遭うとは思ってもみなかった。」

父親は晩年、認知症のため、実家近くの施設に入所。
近所に住む姉が、たびたび見舞いに訪れていました。

仕事の忙しいAさんが、父親を見舞える機会は限られていました。
それでも父親は、長男のAさんに家を守ってほしい、遺産はすべて渡すと伝えていました。
ところが、父が亡くなった日、通夜の席で、姉から一方的に告げられました。

「遺産はあなたに一円も渡さない」。
関係は悪化し、結局、Aさんは相続を放棄したそうです。

『争族』トラブルを体験 Aさん
「『最後の世話をしたのは私です』『大変だったんです』と。
『あなたはそれ(遺産)を受け取る権利はありません』といきなり言われて、亡くなって4年たつけど、(姉から)いまだに連絡もない。
また仲良くなれたらいいのにと思う。」

家庭裁判所に持ち込まれる、こうした相続トラブルは、ここ10年ほどで倍増。
年17万件を超えます。

しかも争いの3割は、資産1,000万円以下。
相続税を支払う必要がないような額でも、トラブルが多発しているのです。
番組に寄せられた、2,000件以上の体験談からは、かつてとは様変わりした現代の家族の実態が生々しく伝わってきます。
子ども全員が親元を長らく離れていた結果、コミュニケーションが断絶してしまった家族。
雇用の非正規化やリストラなどによって、兄弟の経済格差が大きく広がった家族。
苦しい家計の足しにしたいと、直接は関係ないはずの配偶者が相続に口を出すケースも増え、事態を複雑にしています。

家督は長男が中心という、昔ながらの家族システムは崩れ、今や、兄弟は平等。
真っ向から権利を主張し、衝突するケースが増えているのです。

義理の親を介護したのに なぜ!?相続はゼロ

一方、高齢化が進む中で目立って増えているのが、夫を亡くし、義理の親の介護を引き受けた配偶者が、それに見合った相続を受けられないという悩みです。

義母を介護した60代女性
「夫が先に亡くなりまして、私は長男の嫁として、お世話はしたんですけれど。」

60代のこの女性は、夫に先立たれた後、2年にわたって80代の義理の母親を介護してきました。
しかし、義母が死後に残した700万円の遺産を、一切受け取れなかったといいます。
そればかりか、自分に介護を任せていた夫の兄弟に、遺産はもっと残っていたはずだと疑われたというのです。

義母を介護した60代女性
「いい長男の嫁であろうと、それなりにしたつもりが、すごく嫌な思い、つらい思いをした。
お世話をしている嫁に対しても、配慮のある相続の仕組みがあってもいい。」

うちには相続トラブルなんて、という油断は大敵。
一体、どうすれば?

もうガマンできない! 増える“争族”トラブル

ゲスト 東貴博さん(タレント)
ゲスト 吉田修平さん(弁護士・相続学会副会長)

ある日突然、降りかかってくる相続トラブル 東さんの身近でもある?

東さん:僕の知り合いでも、お父さんが亡くなってしまって、その財産を長男が、みんなの分をとりあえず、じゃあ預かっておくみたいな感じだったんでしょうね、気付いた時には、その長男がいろいろ使い込んでいたりとか、投資とかで失敗して、みんなで分ける分がなくなってしまっていたとか、そういうのとかがありますね。

NHKネットクラブのアンケートでは、この深刻な相続トラブルについて、2,000人以上の声が寄せられました。
その一部をご紹介させていただきます。
「父親が再婚した相手に有利な遺言を書いているらしい。正妻の子である私はとても不安です」とか「父の死後、50万円を巡り、兄弟4人が争いました。その時のわだかまりが10年以上たつ今も消えていません」などなど。
吉田さん、昔とどんなところが変わってきている?

吉田さん:まず、一番言えることは、高齢化社会になりまして、その結果、皆さん長生きされるわけです。
それは、とてもいいことなんですが、反面、介護の時間、労力、費用、この負担が大きくのしかかってくる。
他方、そのためにお金を使ってしまいますと、預金が減ってくるということが、まず1つ挙げられると思います。
続きまして、家族構成が非常に多様化したり、今までになかったようなことが起きてきています。
例えば、先ほどのVTRにもありましたけれども、高齢になってから再婚されたり、あるいは離婚をしたり、それから独身でお嫁に行かない方がずっと親と同居していたり、あるいは、ご長男の夫婦が同居していたんだけれどもほかの方たちは、それぞれ家を持っている。
そうすると見方が真逆になってくるんですね。

東さん:確かに多様化することによって、法律とかでは、もう解決できないようなというか。

吉田さん:昔、作った法律ですので。

こうした最近の相続トラブルに対応すべく、国も36年ぶりに民法を改正しようと取り組んでいるんです。

吉田さん:まず、今お話が出ましたが、ご長男のお嫁さんが同居して、一生懸命お父さんの面倒を見た、介護した、ところが長男の嫁は相続人ではありませんので、相続の時に遺産をもらえないんです。
そうすると、面倒を見た人が損してしまうというような、変なことになってしまいますので、相続人以外の介護をした方が、つまり長男のお嫁さんが、後で相続人の方にお金を要求できる、金銭請求できる、これが1つ。
もう1つは、財産がどんどんなくなっていってしまって、最後は自宅しか残らなかった。
そこは、お父さんが亡くなった後、お母さんが住んでいられる。
でも、子どもさんたちは、ほかにマンションを買っている。
でも、財産を分けてほしい。
そうすると、おうちを売るしかなくなってしまうんですね。
お母さんの住む所がなくなってしまいますので、それはちょっと困るだろうと。

東さん:すぐにお金に換えないといけなくなって、分けないといけないとか、そういうふうになっちゃうと、住む所がなくなっちゃうということですよね。

吉田さん:おっしゃる通りです。
そこで、お母さんを例えば、遺産分割が終わるまでの間は住むことができるというような権利を、相続法の改正で認めようという流れになっています。

東さん:でも、介護をした人とかは、このあたりのことは法律で守られているものなのかなとも思っていたんですけど、まだそういうふうにはなっていなかったんですね。

吉田さん:これから、そういう意味で平等から公平へというような、実質的な意味の公平を狙うようなものに改正しつつあるということだと思います。

東さん:実際問題、そうなってきていますものね。
うちの母親は、ちゃんと遺言書みたいなものを書いているんですよね。
そういうのを残してくれていると、そういったトラブルはあんまりないんじゃないかなとは思うんですけど。

吉田さん:もちろん、お父さんとかお母さんがお書きになっていただいてますので、残された人にとっては、大変な大きな指針です。
ですから、ないより、あった方が絶対いいと思います。
ただ、高齢化社会ですので、お書きになった後、10年も20年もたってしまうこともあります。
そうすると、その間に財産を使ってしまって、実は書いてある中身と実際、残っているものとが違ってくることがあります。

東さん:確かに、うちのお母さんも、もう十何年前から書いていますから。
そのたび、ちょっと書き直しているとは思うんですけど、その時の財産の状況と今の状況、たぶん違いますよね。

吉田さん:だから、すごく長く生きていただくのは大変いいことなんですが、そういう意味で、遺言書が劣化するというんでしょうか、時間がたつことによって、ちょっと変わってきてしまう。

亡くなられた後に見た子どもたちはびっくりですよね。

東さん:聞いていた話と違うっていうのとね。

吉田さん:お父さんが生きておられれば、なんで、おやじこんなこと書いたの?って聞けるんですけれども、もう亡くなってしまっておられるので。

東さん:それだって、今書いているの見せて?とか、ちょっと言いにくいですよね、親子とはいえ。

でも、ご安心ください。
実は今、親が元気なうちから始められる、新たな相続対策があるんです。

さらば“争族”トラブル 家族で解決!最新対策

東京に住む、Bさん。
新しい相続対策のおかげで、親や兄弟との関係が大きく変わったといいます。

Bさん(50代)
「家族の心の距離感が非常に近くなったと思います。
財産を誰がどうしようかとか。
母がまだ元気なときに、お互いに話し合える。
これはいいと思う。」

そもそもの始まりは、去年(2016年)12月に起こった事件でした。
父が亡くなった後、田舎で独り暮らしをする母親が不動産業者の勧めで、家の売却に関する書類にサインしてしまったのです。

Bさん(50代)
「こことここが直筆のサインです。
これは母の字です。」

Bさんは慌てて契約を取り消しました。

Bさん(50代)
「(母親は)別に売ったつもりもないと。
しつこく電話がかかってきたので、書いた記憶はあるが何を書いたか忘れたと。
困っている人が結構いらっしゃると思う、この問題は。」

親の財産を把握しておかないと、予期せぬ財産トラブルが繰り返される。
危機感を持ったBさん。
相続対策として紹介されていた、「家族信託」に注目しました。

家族信託コーディネーター 横手彰太さん
「家族信託、相続対策のイノベーション。」

家族信託では、まず、司法書士や不動産管理の専門家などに依頼して、家族から聞き取りを行い、財産状況を綿密に調査します。

その後、家族が集まって、財産運用から相続に至るまで、実情に合わせた契約書を作ります。

家族信託の一例です。
親は、自分の財産を子どもに委託し、子どもが無報酬で管理。
親の介護費や生活費をそこから支払うこともできます。
そして、親が亡くなると、財産は契約どおりに相続されるのです。

遺言が、亡くなった後にしか効力を発揮しない一方で、家族信託は、親が生きている時から相続の時まで、続けて機能するのが大きな特徴です。

家族信託コーディネーター 横手彰太さん
「これまでの相続対策はご両親の死後に、財産をどう分けるかという話が中心。
両親にとっては、愉快な話ではなかったと思う。
家族信託は家族の生活のサポートが主体。
相続は、その後に来る。
はるかに家族の間で話がしやすくなる。」

Bさんは、母親に家族信託を検討してもらおうと、不動産の専門家を連れて、実家を訪れました。
早速、考えてきたプランを母親に説明します。
Bさんの案は、母親が再び間違って家を売らないよう、不動産を兄と一緒に管理したいというものでした。

Bさん(50代)
「家族信託っていうのは財産を私とか兄貴が全部もらうというのじゃないんだよ。」

Bさんの母親
「家族信託?」

Bさん(50代)
「お母さんと同居しているんだったら、何も心配ないのよ、こんなの。
離れてるんだよ、だから、心配なんでね。」

Bさんの母親
「今のところはね、別に心配はないと思う。」

いぶかしがる母親にBさんは、あくまで財産管理の手伝いで、今の生活を助けたいのだと、繰り返し説明しました。

Bさん(50代)
「私と兄貴は、お母さんの代わりに管理してるだけの話。
この間みたいに、だまされない、それが良いわけ。」

家族信託コーディネーター 横手彰太さん
「財産管理もできるし、法律の裏づけのもと、お母さんをサポートできるのが、息子さんが望んでいること。」

Bさんの母親
「今は元気だけど、先のことはわからんな。
考えないかんな。」

話し合いの結果、母親は理解を示してくれました。

Bさん(50代)
「長生きしてもらいたい。」

Bさんの母親
「長生きせなあかんね。」

家族信託では、関係者全員が話す場を作るのがルール。
Bさんは、離れて暮らす兄と、これまで避けてきた財産の運用や相続についても話し始めました。

Bさん(50代)
「母の財産がどれだけあって、どれだけ使えるか、はっきり分かる。
将来への余計な心配や気遣いが、兄弟間でもなくなってんじゃないか。
母の血を分けた兄弟が、兄弟として責任をしっかりみないといけないなという気持ちです。」

さらば“争族”トラブル 家族で解決!最新対策

このように家族信託は、財産の管理運用だけでなく、相続についても家族で決めるので、相続もスムーズにいくというわけなんです。

吉田さん:今まさに、おっしゃった通りで、亡くなった後のことだけを決めるのではなくて、生きている間の管理を、お母さんの幸せをどうしたらいいんだろうということを、お兄さんと弟さんが一緒に話し合うことができるんですね。
そして、いろんなシステムを決めて、考え方を決めていくということになりますので、みんなで話し合って納得もできますし、いろんな意味で、お母さんにとっても、私が生きている間のことを決めてくれるんだなって、私が楽になるんだなっていう意味では、とても話もしやすいと思います。

東さん:息子に預けるとか、そういう感じだと、ある種、信頼もしっかりありますしね。

ただし、心配なのが、もしも子どもに悪意があった場合、親がだまされてしまうという危険性はないのか?

吉田さん:そのために信託監督人という制度がありまして、例えば弁護士ですとか司法書士、税理士というような資格者の方を監督人につけて、その方が一定の報告を受けるというシステムを作ることもできるわけです。
そこで、例えば変な話、お子さんが懐に入れてしまっているというようなことが分かれば、これは横領罪というようなことになっていきますので、犯罪ですよね。
ですから、そういう意味でのチェックも、きちんとできるようなシステムが用意されております。

東さん:確かに、このシステムはもめにくいというか、亡くなってからだと、お前にいくら、おれにいくらとかって分配でも、もめますけど、当事者がいるわけですものね。
だからお前にはこれをあげるよとか、いや、それ俺にちょうだいよとか、いろんな話できますよね。

これは、費用はどうなっている?

吉田さん:それぞれの家族の構成目的、いろいろなことによって、オーダーメードで作らなければいけませんので、財産の価値によって違うんですが、最低でも数十万はかかるというようにお考えいただいた方がいいと思います。

実は近年、相続にまつわるトラブルの多くが、親が認知症のケースなんです。
家族信託は、近年急増する、こうしたトラブルにも効力を発揮すると期待されています。

親が認知症の不安 相続対策はどうする

今、家族信託は、認知症を巡る相続トラブルとの関係で注目され始めています。

髙橋千賀子さん
「ママさん、お久しぶり。」

川崎市の髙橋千賀子さんは去年、両親が相次いで介護施設に入所しました。
髙橋さんは一人っ子。
親2人の老後が自分にかかっています。
介護費用をどう捻出するかが、目下の悩みの種です。

両親が住んでいたマンションは、親2人の共同名義です。

髙橋千賀子さん
「ずっと、ほったらかしてる状態なんですね。」

ところが、父親に認知症の兆候が出始めているため、このまま症状が進めば、売買ができなくなる恐れがあります。
実は、認知症が進んで判断能力がなくなると、本人の資産は事実上凍結され、預貯金の引き出しや不動産の売却ができなくなってしまうのです。

髙橋千賀子さん
「(認知症が)重症になってしまうと、本人の意思確認ができなくなってしまって、(資産が)いっさい凍結したら、そういうもの(マンション)を売ったりとか、お金を使ったりできなくなってしまう。
長生きしてもらいたいけど、資金はどうしようと。」

そこで髙橋さん一家は、家族信託の契約を交わし、両親のマンションの管理や運用を、娘の名義で行えるようにしました。
結果、より収益性の高い物件への買い替えや売却が可能となり、両親の介護費用を無事捻出できるメドが立ちました。

髙橋千賀子さん
「家を売ったりとか、例えば、父と母が両方とも施設に入っていますから、その資金を私が下ろしにいったりとか、特に制約もなく任せてくれる。
やらせてもらえることが何よりも(家族信託の)メリット。」

さらば“争族”トラブル 家族で解決!最新対策

東さん:なるほどですよね。
確かに、判断能力がなくなったら凍結されちゃうというのも、お金の下ろすのとか、そういう、動かすこともできないということ、そう言われれば知らなかったですね。

今、高齢者の4人に1人が認知症というふうに言われていますけれども、相続の面で、どういう影響があるのか、吉田さんに主なものを挙げていただきました。

吉田さん:認知症になっても、軽症であればともかく、重症になりますと、判断能力がなくなりますので、判断能力のない方の行った契約ですとか、法律行為は無効になってしまいます。
そうしますと、不動産を売ったりもできないし、預貯金を下ろすという解約行為も、後で無効になる恐れがありますから、事実上、できなくなってしまう。
あるいは、ぼけてしまって、どこに預金があったのか分からなくなってしまうということになりますと、いわゆる相続税、あるいは相続対策ができなくなっていく。
先ほどのVTRにあったような、今、この不動産を売って、お金に換えておいた方がいいのになあ、ただ空き家に置いといてももったいないというような時でも、それが機動力を持ってすることができなくなってしまいます。

家族信託は、親が元気なうちに、相続のことまで話し合う、いいきっかけになるが、そもそも相続の話を親に切り出すというのは、なかなか難しいことだと思うが?

吉田さん:今後の相続のことを考える時に、人生の最後を船の航海に例えますと、最後の航海をしていくわけですが、その時に、自分の最後の航海をどれだけ幸せにできるんだろうということを考えていただいて、そのためには家族信託をすることによって、自分の財産の管理を任せる。
さらに、自分の航海が幸せに終わった後も、家族は、残された人は、まだ航海が続くわけです。
そのことまでも、家族信託では、実はカバーすることもできるわけです。
それを親が元気なうちに、自分の目の黒いうちに子どもたちをリードして話し合いをして、みんなで納得をして、そういうものができれば、私は大変結構なことだと思います。

東さん:この家族信託のメリット・デメリットを伺いましたけれども、やっぱり相続できるものがあるというのは幸せなことだと思うんですよね。
また、家族もいる、いないとできない話ですし。
そういう意味では、ポジティブに、みんなのお父さんが残してくれた財産が、どれだけすごかったのかとか、えっ?とか、いろんな話もできますし、そういう意味では、楽しくもめると言ったら変ですけど、ポジティブに話ができるのが、このシステムのメリットだと思いますね。

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