
潜入!中国人 “爆ツアー”の無法現場
潜入!中国人“爆ツアー” 現場でトラブル続出!!

大勢の中国人が押し寄せる爆ツアー、その現場を追いました。
空港のフロアを埋め尽くす中国からの観光客です。
あちこちで荷物を広げてお土産の整理。
すごい熱気ですね。

ここ、実は沖縄の那覇空港。
この3年で中国からの観光客がおよそ6倍。
年間35万人に急増していて、まだまだ増えそうな勢いなんですって。
そんな中で、最近、到着ロビーで目立ち始めたのが、手書きの名札を持ったラフな服装の若い中国人。
ロビーに出てきた観光客をつかまえると、空港の外へと連れ出しました。
そして、車に客を乗せどこかへ走り去っていきました。

この若者たち、実は必要な資格を取得せずに観光客を案内して稼ぎを得る違法ガイドなんです。
今、急増している違法ガイド。

取り締まりは進んでおらず、インターネットで簡単に雇うことができます。
一体、何が起こっているのか。
その実態を探るため、番組の中国人スタッフが観光客を装い、違法ガイドに接触を試みました。

取材班
「これっぽいな。」
現れたのは、20代と見られる中国人の若者。
みずから運転する車でガイドを行うと言います。

助手席から撮影した映像。
日本の交通ルールが分かっていないのか、進入禁止の道へ入っていこうとします。
この調子では、客に質の高いガイドを提供するのは難しそうです。

番組スタッフ
「迷子になっちゃったね。」

番組スタッフ
「こういうガイドの仕事をずっと前からしていた?」
ガイド
「大学4年生の就職活動中から。」
若者は日本で経営学を学ぶために沖縄にやって来た留学生でした。
番組スタッフ
「ガイドは本来、資格が必要だよね?」
ガイド
「車で案内するだけなら大丈夫だよ。
違法じゃないよ。」

どうやら違法性の認識は全くないようですが、有償で外国語を使ってガイドを行うには通訳案内士の資格を取る必要があります。

しかも、運転する車は営業許可を得た緑ナンバーではなく一般の白ナンバー。
これも“白タク”と呼ばれる違法行為。
こうした違法白タクガイドは、低価格を武器に正規の旅行業者やタクシー会社などから仕事を奪い深刻な打撃を与えているのです。

番組スタッフ
「毎週、仕事をしているの?」
ガイド
「“会社”に行って、仕事の依頼があれば。」
番組スタッフ
「どうやってその会社を知ったの?」
ガイド
「彼らが学校に来て募集をしていた。」
番組スタッフ
「その会社の名前は?」
ガイド
「『○○商事』。」

留学生を使った違法白タクガイドを組織する会社の存在が浮かんできました。
番組ディレクターが電話取材を試みました。

番組ディレクター
「NHKですが、○○商事さんでよろしかったでしょうか?」
「違います。」
番組ディレクター
「そうでしたか。
こちらの番号がホームページに書いてあったんですけども?」
「違います。」
番組ディレクター
「そうですか。
こちらの番号は…もしもし…切れちゃいました。」

取材を進めると、この会社は中国の旅行代理店から依頼を受け、無資格ガイドや格安ホテルなどを手配するランドオペレーターであることが分かりました。
こうしたサービスの質を無視した旅行代行業者が格安ツアーを取りしきっており、さまざまなトラブルを引き起こす元凶となっていると見られています。

影響は全国各地に広がっています。
深刻なのがホテルやバス、レストランなどの予約キャンセルです。
被害を受けているという山梨のバス会社です。
取り出したのは、バスの運行表。

バス会社 経営者
「これがキャンセル。
これもキャンセル。
前日にキャンセルとか、普通にありました。
じゃあ、明日の仕事どうするんだよって。」

悪質ランドオペレーターは、少しでも安く手配するため複数のバス会社に依頼をかけます。
しかも、出発日ぎりぎりまで価格交渉を行うため、前日になって突然キャンセルすることが珍しくないのです。

バス会社 経営者
「(前日キャンセルは)多いときで5、6本くらいは。
もっとあるかな、7、8本くらいのときもあった。
『(法定の)最低料金これくらいだよ』とは、一応、電話で話はするんですが、『じゃあ、あと一日5,000円まけてくれないか』と。
ふざけるなよって感じですけどね。」

ランドオペレーターは今、全国で800以上にまで増えてきたと言われています。
しかし、旅行業者として登録する義務はないため、その規模や正確な実態はつかみきれていないのが現状です。
都内に事務所を構えるランドオペレーターの1人に話を聞くことができました。

ランドオペレーター
「しっかり監督をする組織が、部分がないですから、それが原因で白タクとか不法の民泊に、いま氾濫されている。
一番大きいのは税金関係。
税金みんな払ってない。
資本金も何も必要なく、やり放題。
これはおいしい、いっぱいおいしい利益をとるだけ。」
中国人“爆ツアー”急拡大 現場でトラブル続出!!
人気の中国人観光客“爆ツアー”の陰にはランドオペレーターの存在があり、白タク行為やドタキャンを繰り返す悪質な業者もいるわけだが、取締りはできないのか?

髙井さん:まず前提として、これまでの日本の旅行業界というのは“日本人の、日本人による、日本人のため”の旅行を扱ってきた。
つまり「BtoC」、旅行会社から最終消費者である旅行者、ツーリストに向けてのビジネスに関して旅行業法という法律で管理してきたわけなんですね。

(日本の法律はこれなんですね)
インバウンドというのは、少数の欧米の旅行者、ツーリストの方を大手の旅行会社がランドオペレーターを行ってきていた。
ところが、この数年、急激にアジアの市場が伸びてきていて、これが想定外の成長をしてしまい、いわば真空地帯だった所に新たに登場したのが、今、出てきました、多くの新しいランドオペレーターということになります。

今年(2016年)国が初めてランドオペレーターの数を調査したところ、分かっているだけで864社、その7割近くは経営実態不明。なぜ、これだけ急激に増えたのか?

徐さん:例えば、2015年に「爆買い」という言葉が出てきたんですが、その前の2014年の場合は、中国人の来日の6割がツアーで、4割が個人なんです。
今はどうかと言いますと、今年の6月から、そこは急速に変わりまして、僅か1年間なんですけど、今、個人が6割なんです。
逆転してしまいまして。

(数年前までは、ツアーでモノを買っていた?)
バスで免税店に行って、いっぱい炊飯器だとかウォシュレットだとか買っていきましたね。
当時も話題になりましたけどね。
(それが今、個人旅行が逆転して増えていることと…)
日本のいろんなところを体験したいですよね。
だから、地方にも分散しましたし、あと、実はコトの体験というのはどういうことかと言いますと、バスでお店に行っただけじゃなくて、いろんな生活の場面に中国人が入ってきたと、こういうことです。
(それぞれのニーズに応えるために、結局、ランドオペレーターの人たちがニーズに応える形で?)
まだ日本は安心・安全だから、個人でも旅行に来れましたけれども、日本の情報はそこまで詳しくないので、今のところは中国人は中国人のツテに頼るというのがありまして、それが多分個人のランドオペレーター、あるいは個人のガイドが急速に増えた理由にあるんじゃないかなと思いますね。
国としては、今年初めて外国人観光客が2,000万人を突破し、2020年には倍増の4,000万人を目指しているが?
徐さん:そのうちの1,400万が中国人だと言われていますね。

国の観光行政では、“無資格の通訳ガイドは今後、もう「無資格」でもいいにしませんか?”、“民泊も特区とかに限るのではなく、「住宅街」でも可能にしませんか?”という方針が出ている。
現状、ルールがなく、いろんなところで問題が起きている中、国としては規制緩和の方向に行っているが、これはどう見ればいいのか?
髙井さん:緩和と規制の強化の両面がやっぱり必要だと思うんですね。
安全面の確保、もしくは健全な競争を担保するために、取り締まるべきところは取り締まる、法改正を検討することが本当に必要なことだと思います。
一方で、先ほど言いましたように、まだ受け皿が整ってない中で、これだけ増えた需要を吸収するためには、どうしても規制緩和をせざるをえないという市場からの要請があるのではないかと思います。
2020年には中国人観光客が1,400万人に増えるのではないかということだったが、こういった流れはそういうすう勢なんだということ?

徐さん:世界の流れなんです。
例えば、ネット上でマンションを互いにシェアするだとか、個人が個人に頼む、「民泊」ですね。
個人にガイドを頼むだとか、あるいは個人旅行で日本にやって来るだとか、いわゆる旅行のシェアサイト、マンションのシェアサイト、こういうのがもう今、世界でどんどん出てきまして、「シェアリングエコノミー」というのがあるんです。
中国人が日本にやって来て、例えば“安全”“安心”“健康”、それが日本のコンテンツ。
日本の商品だとか、空気とか水も含めて、それが評価されている。
ただ、実際には、こういったシェアリングエコノミーというのはアメリカが発端で、今、中国のほうが日本よりも先に進んでるんです。
一番分かりやすく言いますと、スマホ1台ですべての情報、要は旅行の予約とかガイドの頼みだとか民泊の予約、これが全部できちゃうわけです。
ルールを守ってやってる現場からは反発の声もあると思うが、流れとして、シェアリングエコノミーという世界のすう勢も日本は取り入れていかないといけない?
髙井さん:観光というのが、インバウンドで言うと、外国人のニーズを日本で満たしてあげる。
やっぱり市場は外にあるので、国際ビジネスがどのように動いているか、中国であれば、中国の今のマーケットの状況やビジネスの仕組みを理解することは最低、必要だと思います。
中国人の観光客がモノを買うだけではなく、いろんな体験型に流れが変わってきていて、生活圏に入ってくる?

徐さん:民泊は、まさにそうですね。
今、東京都内の空き家率が20%ぐらいあると言われていて、当然ながら、いろんな資源を有効利用して、外国人が生活に入ってくると。
これがただ単に、例えばホテルより民泊のほうが安いからだけじゃないです。
ほかの国の人たちもそうなんですけど、中国人が日本に来ると“日本人の日常生活をちょっと見てみたい、味わってみたい”と、これが実は大きな旅行のニーズ、これが意外に訪日のとても大きな魅力なんです。

(われわれの身近にたくさん外国人が入ってくると、どうしても起きうるのが…)
文化、生活習慣が違うから、どうしても自分の慣れた生活習慣の延長線上にやってくるわけです。
そうすると摩擦が起きるということが当然、出てきます。
「コト消費」、体験をしようと地元にやって来る中国人観光客のマナーに戸惑う現場を取材しました。

これは3年前から中国の方が連日写真撮影にやって来るという鎌倉市内の高校です。
人気漫画に登場する学校のモデルになったと言われているんです。

敷地に入るのは遠慮してほしいんですけれども、それを、どう伝えればいいのか、対応に苦慮しているそうなんです。
徐さん:でも逆に言いますと、これぐらい日本のアニメ文化が中国人に好かれているということです。
いいことでもあります。
ただ、例えば中国のマンションとか、学校は絶対ドアがあって、ガードマンが立っていて、中には入れないです。

ここまでおおっぴらにしていると、“どうぞ、どうぞ”というサインみたいなものになってしまいます。
(日本からすると、十分に閉めているように見えるが、中国人には、まだ行けるんじゃないかと?)
まさにお互いの文化の違いですね。

もう1つ、こちら富士山のふもとにある「忍野八海」。
ここも3年ほど前から、こんなふうに小銭が大量に投げ入れられているんです。
徐さん:これも文化の違いですよね。

水質の悪化やコイが誤飲するおそれがあるので、投げ入れ禁止の看板も立てているんですが、なかなか伝わらないと。

徐さん:中国では、お寺に行きますと、基本的にはこういったコインを投げてもらう池が用意されていて、これは日本で言うと、神社に行っておみくじをするのと同じ発想なんです。
だから、“今年のボーナスが倍になるように”だとか、そういった気持ちが込められている。
(つまり、悪いことをしているというよりも、むしろお願い事をして、いいことをしていると)
中国のお寺では、そのお金を全部集めて修繕工事に使ったりしています。
(まさに文化の差でもあるんですが…)
コインを投げてもらえる場所を用意してあげればいいかもしれないですね。
そうすると、お互いにハッピーで、改善されるかもしれません。

(投げる用の場所を用意すると、髙井さんはどう思いますか?)
髙井さん:やってみる価値はあると思います。

徐さん:さっきの学校でも、校門にアニメのキャラクターの写真が撮れるような看板があれば、中国人はみんなそこに集まって、そこで撮るから、みんな、中に入らなくなります。

視聴者から“ホームで整列乗車という文化を知らないためか、横入りしてくるんです”という話もあるが?
徐さん:中国人って結構、行き当たりばったりっていうのがよく言われていたり、日本ではなるべく短い時間で早く移動したいということもありますが、こういうのは慣れていくうちにだんだん“こういうのはかっこ悪いよ”というのが情報で知れ渡っていって、こういうことをやる人は少なくなっていくと思います。
ひと言教えてあげればいいのかもしれないとも思うが?

髙井さん:私たち日本人も、80年代に大挙して海外旅行に行き始めたころに、いろいろと粗相をしてたはずなんです。
少しずつ教えられて、例えば、西洋のホテルでは、廊下に出れば、もうパブリックの場であると、公共の場であるというようなことも、私たち知らずにやってたと思います。
教えられたかったってことですよね。
ルールやマナーを知らない外国人と気持ちのいい関係をどう築いていくのか。韓国ではこんな取り組みをしているんです。
外国人観光客 急増! トラブル解決の秘策は?

ソウル最大の繁華街ミョンドンを制服姿で歩く人たち。
路上で休んでいた中国人に声をかけました。

ソウル観光警察隊
「たばこを吸ってはいけません。」
ソウル観光警察隊
「ここは禁煙区域なんです。」
吸い殻を受け取り笑顔でマナー順守を呼びかけます。

この人たちは「観光警察隊」。
外国人観光客のトラブル解消のため、韓国で考え出された切り札です。

ソウル観光警察隊 巡回チーム
キム ヒュヨン チーム長
「中国人観光客は、ここでたばこが吸えないのを知らないのです。
ちゃんと説明すれば、彼らは聞き入れてくれますよ。」

3年前、警察の一部門として発足。
隊員は外国語の能力を買われて選抜された警察官150名です。
ソウルやプサンなどの主要観光地で活動しています。
「今日も一日頑張りましょう。」
ソウル観光警察隊
「頑張ります。」

マナー指導だけでなく、悪質な旅行業者の取り締まりも行います。
この日は、ぼったくりタクシーの通報が入りました。
旅行中の中国人女性が通常の3倍もの運賃を払わされたと言います。

ソウル観光警察隊
「被害者からの情報を元に、データベースでタクシーのナンバーを割り出したい。」

観光警察は、発足から3年で7,000件もの悪質業者の摘発を行ってきました。
こうした活動で、観光客にとっても迎え入れる地元住民にとってもよりよい環境を生み出そうとしています。
ソウル観光警察隊 巡回チーム キム ヒュヨン チーム長
「私たちの活動によって観光客が安心できれば、また韓国を訪れてくれるでしょう。
とてもやりがいを感じています。」
外国人観光客急増! トラブル解決の秘策は?
ソウルでの警察が巡回するという仕組みについてどう思うか?

徐さん:こういうのもいいかもしれませんけど、ただ、あまり怖い顔をして、せっかく旅行に来たんだから、例えば、さっきの一番最初に出てきたVTRの女の子、無免許ガイドやってますけど、この仕事をすればいいですよね。
日本人と一緒に連携してやっていって、やっぱりひと言、女の子だから優しい言葉で、中国人に“ちょっとこういうことはやっちゃいけませんよ”とか“これはちょっと中国と違うからね”みたいな。
ひと言言ってもらえれば。
(髙井さんはどう思いますか?)

髙井さん:訪れた国や地域の印象って、やっぱり出会った人で決まると思うんです。
だから、公権力だけに頼らずとも民間や個人の力を使いたいと。
今、外国人の道案内をするボランティアガイドさんですとか、いろんなツアーをボランティアでされる方、こういう方たちに教えて差し上げるということを1つ加えていくことで、ずいぶん変わるんじゃないですかね。

先日、大阪のすし店が外国人のお客さんに限ってわさびを大量に提供していたとして、批判の声が上がり、運営会社が謝罪したということがあった。
これから、どんどん観光客が増えて、お互いなかなか文化の違い、分からないことで、こういった摩擦が増えてしまうとしたら、とても悲しいことです。
どう心構えをもっていけばいいか?
髙井さん:今、年間12億の人が国境を越えて旅する時代で、その波が日本にもやって来ています。
ですから、この摩擦を越える、混乱を越えていくことは、私たちがこれから多文化共生社会へ向かっていくためのすばらしい経験になると思います。
そこを避けずに、政府や自治体だけじゃなく、個人がその気持ちを持っていきたいと思います。
(乗り越えていくってことですね。知らないよりは知るように歩み寄っていくことが大事かもしれないですね)
徐さん:すべてそう、背後に訳がありますからね。
それを知れば、自然にいい方法が見つかると思いますね。
(せっかく来てくれているんだから、好きになって帰ってほしいところですね)
そうですね。

番組の内容を、「スケッチ・ノーティング」という会議などの内容をリアルタイムで可視化する手法を活かしてグラフィックにしたものです。
質問
コーナー
なぜ、悪質なランドオペレーターを取り締まれないの?
国はどのような対策を取ろうとしているの?
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