クローズアップ現代

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No.38732016年10月11日(火)放送
シリーズ あなたの働き方が変わる!? コンビニで急増!?留学生バイト ~外国人労働者100万人時代へ~

シリーズ あなたの働き方が変わる!? コンビニで急増!?留学生バイト ~外国人労働者100万人時代へ~

外国人労働者 100万人時代へ!?

番組に届いたご意見です。
「ここは日本、外国人に頼るべきではない」「治安の悪化も心配」など、外国人受け入れに反対のご意見がある一方で、「人手不足が解消できるから、感謝すべき」「人口減少社会の問題解決の切り札」といった賛成意見があるように、外国人労働者を巡っては、長年、議論が続いてきました。

しかし、2020年度までに400万人以上の労働力が不足するという試算がある中、国は今、外国人の受け入れ拡充の方針を打ち出しています。
日本では、単純労働を目的とする外国人の入国を認めていません。

働いているのは、結婚して日本に定住している外国人、そして留学生と技能実習生などです。
まずは、国が4年後をめどに、30万人にまで増やそうとしている留学生を見ていきます。
留学生は勉強に支障を来たさないために、週28時間までのアルバイトしかできませんが、その労働力に大きな期待がかかっています。

留学生を確保せよ! コンビニ 最前線

全国におよそ1万2,000店舗を展開する、大手コンビニチェーン。
レジを任されているのは、ベトナムから来た留学生。

留学生 ヴー・ティー・ビック・トゥーさん
「599円お返しします。」

日本に来て3か月。
おでんの具もすべて覚えました。

留学生 ヴー・ティー・ビック・トゥーさん
「私が一番最初に覚えた日本語は『いらっしゃいませ』です。
日本のお客様はとても忙しいので、時間が無駄にならないように、私も注文を聞きながら必要にあわせて動いています。」

この店のアルバイトは12人。
そのうち、ネパール・ベトナム・中国の出身者が7人。
日本人が集まらない中、留学生は欠かせない戦力です。
留学生を確保するため、このコンビニでは、かつてない戦略を打ち出しています。

日本に留学予定の学生を、現地で一足先に確保しようというのです。
特に力を入れているのが、若者の人口が増え続けているベトナムです。

「発注。
納品。」

これは来日後、即戦力として働いてもらうための研修です。

「2,000円をお預かりします。」

レジの打ち方やあいさつのしかたなどを教えています。

「レシートと319円でございます。
お確かめくださいませ。」

「よろしくお願いします。」

さらに、インターネットで留学生と対話。
文化や習慣が異なるベトナムだけに、こんな場面も。

「接客、勉強しましたね。
日本の接客とベトナムの接客、何が違うと思いますか?」

留学予定者
「例えばベトナムでは細かいお釣りは時々、渡しません。」

「えー渡さないの。」

留学予定者
「アメを渡します。」

企業が獲得を目指す、アジアの人材。
狙っているのは、日本だけではありません。

同じように人手不足に悩む、国と地域があるのです。
労働人口の減少は、2020年までに中国で2,000万人、韓国や台湾では30万人になると見られています。
ベトナムやフィリピン、インドネシアなどの働き手を巡って、しれつな奪い合いが起きているのです。

ローソン クルー人材開発部 千葉寛之マネージャー
「日本は(外国人に)選ばれる国にならないといけないです。
われわれはそういう選ばれる立場にあるというふうに変わってきている。
そういうふうにわれわれとしても変えていかないといけない。」

このコンビニでは、多くの国から外国人を受け入れられるように、5か国語の接客マニュアルも作成しています。

ローソン クルー人材開発部 千葉寛之マネージャー
「英語、ベトナム語、ネパール語、中国語、韓国語。」

さらに、外国人に人気の富士山や雪国でのイベントを開催。
外国人の気持ちをつかもうとしています。

ローソン クルー人材開発部 千葉寛之マネージャー
「働くみなさんに選んでいただきたいと思っているので、『実際に働くんだったらばコンビニだしローソンだよね』と思ってもらいたいなと思っています。
『そういう環境が整っているよ』というふうに思ってもらって、選んでいただきたいなというのは、やっぱり思っています。」

アジアで激化 人材争奪戦

ゲスト サヘル・ローズさん(タレント)
ゲスト 丹野清人さん(首都大学東京 教授)

サヘルさんのお母様がイランから日本に来た時に、外国人労働者として、ずいぶん苦労されたそうだが、今のような動きをどう見る?

サヘルさん:正直、羨ましいなと思ってしまいました。
23年前は、母が働こうと思っても、なかなか外国の方々を受け入れる企業とか、こういう体制というのが整っていなかったんですよね。
なので、だいぶ母も働く時に、外国人というだけで仕事先が見つからなかったり、信頼してもらえなかったり、すごく苦しい状況が長く続いていたので、今のVTR見ていても「あっ、日本サイドも地盤作りを今、始めているのかな」と、そういう意味で、すごくプラスな、いい方向だなというふうに今、受け入れました。

最近はコンビニだけでなく、スーパーのレジや居酒屋などでも、外国人の方を見かけない日はない。そもそも、日本人だけでは回らなくなってきている?

丹野さん:回らなくなってきていて、こういう「バックヤードから見えるところへ」ということが、1つのキーワードだと思っています。
最初、外国人労働者の方が入ってきた頃というのは、それこそ、コンビニの弁当工場であるとか、要するに、われわれから見えない所に、いつのまにか働くようになってきて、そして労働の成果を私たちがサービスを利用し、食べていたりするということだったんですけれども、それがだんだんとバックヤードから見えるところに、今までだったら、見えないところで働いていたものが、今や見えるところにまで働いてもらわないと、私たちがサービスを受けられない。
そういう社会に変わってきたと思います。

コンビニも、あの手この手で人材確保をしている印象だったが、そこまでしないと外国人の方たちは来てくれない?

丹野さん:東京や大阪、名古屋の方でしたら、都市部の居酒屋さんに行くと接待してくれるのは、ほとんど外国の方ですよね。
コンビニだけじゃなくて、あらゆるサービス業が、もはや外国人の方の労働がなかったら、私たち日本人がサービスを受けられないという時代に変わってきていると思います。

サヘルさん:すごい日本経済の一部に、それが携わっているということですよね。
昔は深夜帯で、今だと深夜帯になると日本の方々が働かなくなってしまったんですよね。
そうすると昔、開いてたスーパーも閉店してしまっていたんですけれども、最近は、それがまた深夜帯も働けるようになった時にレジを見渡すと、ほとんど外国の方なんです。
そういう、ある意味では経済の一部になれているんですよね。

丹野さん:また外国の人が働いてくれることによって、日本人の側が、そのサービスを受ける、要するに私たちは、この享受者になってしまっているというところで、もうちょっと見ていただかないといけないかなと思います。

民間のシンクタンクの試算では、2020年度までに400万人以上の人手不足になると見られている。さらにアジアでも同じように獲得競争が始まっている。日本の状況は、ますます厳しくなる一方では?

丹野さん:どんどん厳しくなると思います。
特に、アジアとの格差が非常に狭まってきてしまっておりまして、かつて、90年代でしたら、中国とは1人当たりのGDPは72.5倍、ベトナムだったら257倍。
これぐらい違いがあると、例えば、時給300円とか400円で働いていたとしても、持ち帰るお金がそれなりに大きかった。
ところが、日本は90年以降、ほとんど成長してないというか、1人当たりのGDPがほとんど変わってない国なんですけれども、ところが中国やベトナムは、ものすごい勢いで成長していますから、今や中国とは4.1倍、ベトナムとも15.6倍くらいしか差がなくなってしまっていますから、かつて300円、400円で働いていたってことから、じゃあ、今もそうやって低賃金で働いてくれるかっていうと、やっぱりそうではない。
彼らが、彼女たちの側が、必要とする金額が上がってしまっている。
先ほども、私たちの日本の側が選ばれるということが出ていましたけれども、やはり、こういう格差が一気に縮まってしまう時代になってしまったからこそ、日本の側が選ばれる、ちゃんと払えないところだと来てもらえない時代になったと思います。

ここまでは留学生について見てきましたけれども、国が外国人の労働力を確保するため、制度の見直しを進めているのが、技能実習生です。
これは農業や建設、水産加工など、およそ70の職種で、技術を学ぶことを目的に、外国人に働いてもらおうという制度なんです。
今の国会で法改正をして、最大3年の実習期間を5年に延長することなどを目指しています。
しかし、この技能実習制度については、課題も指摘されています。

労働環境が劣悪で、強制労働に当たるケースがあるとして、国連やILOなどから国際的な批判が集まっているんです。
賃金の未払いや長時間労働など、待遇面で不満があっても、企業を移ることができず、中には逃げ出して、不法滞在になる外国人も少なくありません。
トラブルを抱えた技能実習生の相談に乗っているシェルターを取材しました。

過重労働 低賃金 「日本に来たくない」

岐阜県の労働組合が運営するシェルター。
技能実習生の駆け込み寺です。
去年(2015年)保護された外国人は91人。
長時間、低賃金で過酷な労働を強いられたと訴えています。

シェルターの窓口を任されている在日中国人の甄凱(ケンカイ)さん。
かつて、自らも外国人労働者として働いていた経験から、実習生たちの逃げ場が必要だと考えました。

「ふるさとの味がしますか?」

「はい。」

これは、シェルターに保護された実習生が働いていた縫製工場の映像です。
仕事は連日、深夜に及ぶ、過酷なものだったといいます。
相談のほとんどは、法律で定められた最低賃金を下回る給与についてです。

岐阜一般労働組合 甄凱支部長
「問題は最低賃金以下。
縫製が一番低いですね。
残業代が(時給)200円。」

この日、夕方4時過ぎ。

岐阜一般労働組合 甄凱支部長
「もしもし。」

技能実習生 張さん
「こんにちは。
突然、電話しましたが、お忙しいでしょうか。
いつ電話すればいいか分からなかったので。」

岐阜一般労働組合 甄凱支部長
「大丈夫ですよ。
公衆電話で、すぐ切れました。
もう一回電話してくると思います。
来ました。
もしもし、どうぞ話してください。」

技能実習生 張さん
「私は日本で働いています。」

岐阜一般労働組合 甄凱支部長
「どんなお仕事ですか。」

技能実習生 張さん
「縫製。」

岐阜一般労働組合 甄凱支部長
「今から行きます。」

技能実習生 張さん
「ありがとうございます。」

岐阜一般労働組合 甄凱支部長
「では。」

助けを求める電話を受け、すぐ現場に向かうことにしました。

待ち合わせ場所は、縫製工場から少し離れた駐車場でした。
中国人の女性が姿を現しました。

3年前に来日した、張さん。
縫製工場に住み込みで働いています。
寝る間を惜しんで仕事をしてもお金が残らず、逃げ出すしかなかったといいます。

技能実習生 張さん
「賃金が低すぎます。
1年間ほぼ毎晩11時、12時まで働いて。
苦しいよ、苦しいよ。」

張さんは、中国の仲介業者に手数料や日本への渡航費など、日本円で300万円を支払いました。
仲介業者からは、支払ったお金は日本ですぐ元が取れると説明されたといいます。

技能実習生 張さん
「日本にいる2年間で十分稼げなかったので、このままでは帰れない。」

シェルターで保護されることになった張さん。
日本に来たのは、中国で待つ家族に仕送りをするためです。

技能実習生 張さん
「娘。
13歳。
寂しいよ。」

十分な仕送りができずにいる張さん。
技能実習生になったことを後悔しています。

技能実習生 張さん
「もう日本に来たくありません。
もし『日本に行きたい』という人がいれば、私はやめたほうがいいとアドバイスします。
行かないほうがいい。」

岐阜一般労働組合 甄凱支部長
「実習生たちが労働環境に縛られて、働かせるというのが一番の問題ですね。
日本に働きに来る人がどんどん減っていく。
日本の労働力を集めるのが、だんだん難しくなるんですね。」

失踪外国人 広がる不法就労

リポート:大野桃(首都圏センター)

国の調査によれば、法律に違反して実習生を働かせていた事業所は、去年だけで3,700。
調査した事業所の7割に上っています。
企業から逃げ出した後、姿を消し、不法就労となる技能実習生も後を絶ちません。
取材を進める中で、建設会社から半年前、逃げ出したという中国人に会うことができました。

「車の中で話を聞いてもいいですか?」

不法就労をしている中国人
「いいですよ。」

身元や連絡先を明かさないという条件でインタビューに応じました。
中国では、仲介業者から技能実習生になれば、学びながら十分な給料がもらえると説明を受けていたといいます。

不法就労をしている中国人
「『日本で最新技術を学べば中国に戻ってから能力を発揮できる』と言われたが、日本に来てみたら全く違ってました。
ウソもいいところですね。
しかも汚くてきつい仕事ばかりで給料も少ないです。」

この中国人は失踪した後、不法に日雇いの仕事などを見つけて、収入を得ています。

これは実習生に闇で仕事をあっせんするインターネット上の書き込み。

“溶接工、男求む、月給25万円。”

“急募、農作業、時給900円。”

社会の水面下で、闇の人材マーケットが広がっているのです。

不法就労をしている中国人
「『仕事が欲しい』と書き込むと、あっせん業者から連絡が来ます。
お金を稼ぐためにもっと日本に居たいんです。
家に送金して女房と子どもを養わないといけませんから。」

取材の後、この中国人と接触することはできなくなりました。
国によれば、企業から失踪した実習生の数は、去年だけで5,800人に上っています。

外国人労働者 100万人時代へ!?

こうした実態を受けて、国も法案の中で企業を監視する機関を新設するなど、対策を打とうとしているが、この厳しい現状をどう思う?

サヘルさん:すごく心が痛みました。
というのも、不法就労したくてしているわけではなくて、みんな、家族を置いていったりとか、家族を食べさせるために、いろんな希望を持ってきているわけですよね。
でも、実際来てみたら、思っていたものと全く違う現状が日本にはあって、たぶん、向こうにいると求められていると思って来てみているわけですよね。
でも、実際に来てみたら「求められていない、私たちは」。
そこで、すぐに戻れるわけじゃなくて、あのように、さっきの借金をしてしまったりとか、行き場がない、行き詰まりの中で、じゃあ、どうやってこれから生きていかなければいけないかという、何か本当に犠牲者になってしまっているように思えてしまってしかたがなく、本当にすごくかわいそうに思いました。

働きたい外国人がいて、働いてほしい企業もあるという状況なのに、なぜうまくいかない?

丹野さん:技能実習生が典型だと思うんですけれども、技能実習生は当初、始まった時には17の職種から始まってます。
それが現在では、74の職種にまで広がってしまっています。
これだけ職種が広がったということが、いかにこの国で、人手不足の所、人手不足の業界、業種が多いかということの調査でもあるんですけれども、しかし、あまりにも広がり過ぎてしまったということに対して、もっと目を向けるしかない。
私たちは、留学生はやっぱり勉強をしに来た人、そして、技能実習生は本来は技能を学びに来た人です。
そういった人に労働力として期待するのではなくて、本当に労働者が欲しいのであるならば、それは労働者として迎え入れるという道をきちんと考えるってことが必要になっていると思うしかないですよね。
(労働者として迎え入れる道とは、例えばどういうふうに?)
それは現行制度では。
(期間も限られていて、一度しか日本に来られない?)
去年まで90万7,000人の外国人が労働者がいるわけですけれども、その中で技能実習生が16万8,000人ぐらいアルバイトをしてしまっている。
本来は就学する、学ぶために来た人で、アルバイトをしている人が19万2,000人ぐらい。
さらには、日系人のような住むためにいる人たちが36万7000人。
この人たちが労働者になってしまって、この国は回ってるんですよね。
だけど、本来は働きに来た人じゃない人が働くという仕組みではなくて、その人たちを堂々と労働者として迎え入れる。
それから労働者として迎え入れてないからこそ、技能実習生は転職もできない。
要するに、嫌な、合わない雇用主のもとでも働き続けるしかないんです。
やっぱり、そういったことがないような仕組みを考えていかないと、どうしてもその人権抑圧とか、そういうところから抜け出せないということなんだろうと思います。

サヘルさんから見て、今の日本の制度の現状をどう思う?

サヘルさん:うまくマッチングがしてないなと思っていて、例えば、私が思う専門職で、介護っていう部分で、たぶん介護職っていう部分をこれから外国の方々に仕事として求めたら、すごくマッチングすると思うんですけど、求めているのに、求められている者同士が当てはまってない、出会えてないという道、導線作りが必要なんじゃないかなというふうに思うんですけれども。

外国人労働者の受け入れについては、まだ反対意見も根強い ただ、日本のこれからの社会をどうしていくのかという大事な問題だと思うが、どういうふうに考えていったらいい?

丹野さん:外国人労働者の問題というより、外国人が低いところに置かれてしまうということによって、逆に日本の非正規の労働者の人たちのような労働市場も残ってしまうということになりますから、やはり外国人が入ってくるんであるならば、日本の非正規のような人の状況を作らないようにするためにも、きちんと受け入れる。
そういったことが必要になるんだと思います。
(外国人がきちんと働ける場を作る、いい環境を作るということが、日本の働き方も変える?)
そして、そのことによって日本全体の労働市場を底上げするってことが必要だと思います。

<関連リンク>
シリーズ あなたの働き方が変わる!? 収入アップ?ダウン?~揺れるパート・企業~

今回のグラレコ

番組の内容を、「スケッチ・ノーティング」という会議などの内容をリアルタイムで可視化する手法を活かしてグラフィックにしたものです。

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