クローズアップ現代

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No.38662016年9月26日(月)放送
あなたの家も危ない!? 都会を侵略“エイリアン”外来動物

あなたの家も危ない!? 都会を侵略“エイリアン”外来動物

あなたの家も危ない? 都会を侵略!外来動物

鳴き声が聞こえてきていますが、今、海外から持ち込まれた外来動物、「エイリアンスピーシーズ」が郊外から都会の真ん中へと進出し、被害が拡大しています。
特に東京23区まで生息域を広げているのが、こちら。

台湾などから毛皮を取るために持ち込まれたハクビシン。

そして、アニメ人気で北米からペットとして輸入されたアライグマ。
人に捨てられたり、逃げ出したりして野生化し、都会を我が物顔で歩いています。

このように、東京都内での捕獲数も右肩上がり。
過去最多を記録する事態となっているんです。
都市のエイリアン外来動物、まずは驚きの実態をご覧ください。

あなたの家も危ない!? 都会を侵略!外来動物

ビルやマンションが密集する東京・台東区の中心部。
外来動物などの駆除を請け負っている業者が、出動の準備をしていました。

向かったのは、市街地のど真ん中。
こんな場所に外来動物が本当にいるのでしょうか。

こちらのお宅。
数か月前から、天井の大きな物音に悩まされてきたといいます。

依頼主
「動き回っている感じ。
ガタガタガタって、どこからか入ってくるのが分かって。
来たよみたいな。
怖い怖い、やっぱり怖い。」

駆除業者が、風呂場の天井裏をのぞいてみると…。

駆除業者
「臭いがすごいですね。」

何かあったようです。

これ、カビが生えた大量のフン。

駆除業者
「こちらの右側に古いフンが結構多いですね。
ここの壁のところに足跡が、わかりやすいのが1個。」

どうやら、ハクビシンのようです。

依頼主
「これは何?」

駆除業者
「これはフン。」

依頼主
「こんな色なの?
何色?」

駆除業者
「このへんはカビが生えてきちゃってる。」

依頼主
「本当に?」

世田谷区にある別の一軒家では、天井裏に親子で住み着いていました。
柔らかくて、暖かい断熱材の上で子育てまで。

「3匹いるね、産まれたばかりだね。」

さらに、都心の繁華街にも。
マンションの天井裏にも入り込んでいました。

駆除業者 西岡徹也社長
「東京23区の新宿・渋谷あたりからも問い合わせはよくあります。
うなぎ登りでずっと増えてます。」

密閉性が高いはずの最近の住宅に、ハクビシンはどうやって潜り込むのか?
実際に被害に遭った都内のマンションです。

駆除業者 西岡徹也社長
「ちょっと下なんですけども、この部分。
(フタが)外れてしまって、ここから侵入してしまった。」

盲点となっていたのは、通風口でした。
ハクビシンが器用にフタを外して入ったと見られています。

こちらは、表参道にある商業ビル。
通風口に蓋がなかったため、侵入されました。
一戸建ての場合は、屋根のわずかな隙間から。

一見、隙間がないように見える基礎の部分も、下からのぞくと、侵入口が隠れていました。

駆除業者 西岡徹也社長
「築年数はほとんど関係ありません。
古くても新しくても穴があれば、ハクビシンが通れる穴があれば、入ってしまいます。」

それにしても、全長1メートルもあるハクビシンが、本当に小さな穴や高い場所にある隙間に入り込めるのでしょうか。

埼玉県農業技術研究センター 古谷益朗部長
「これはハクビシンの運動能力を実験した映像です。」

専門家が身体能力をテストしてみると…。
わずか8センチ四方の穴を難なく突破。
関節が非常にやわらかいことが分かりました。
爪を引っ掛けることが難しい、ツルツルした柱も簡単に登ってしまいました。

埼玉県農業技術研究センター 古谷益朗部長
「人間の手のひらのような足裏をしていまして、これはしっかりと握ることができる。
ですから垂直のものも上れるということなんですね。」

やっかいなことに、綱渡りも得意。

埼玉県農業技術研究センター 古谷益朗部長
「電柱を登って電線を通っていけば、地上に下りなくてもいい。
どんどん動いている。
それで都市部へ入ってきている。
これはもう簡単に彼ら(ハクビシン)の侵入を止めることは難しい。」

しかし、今になってなぜハクビシンは、大都会に進出してきたのでしょうか。

東京野生生物研究所 小堀睦さん
「動いてるな。」

都市部のハクビシンの生態を明らかにするために、発信器をつけて、追跡調査が行われています。

1頭のハクビシンが、どこを寝床にしているのか、5か月にわたって追いかけたデータです。
同じ場所にとどまらず、100か所以上の寝床を自由自在に移動。
生息域は、外周4キロの広い範囲に及んでいました。
中でも繰り返し訪れていたのが…。

東京野生生物研究所 小堀睦さん
「こちらの家は空き家状態で、この上にも過去に3回ぐらい入ってます。
ここも空き家なんですけど。」

分析すると、人と遭遇するリスクが低い空き家を、好んで休息や繁殖に活用している可能性があることが分かりました。
もう1つ、ハクビシンが都市に進出する理由と推測されるものがあります。

東京野生生物研究所 小堀睦さん
「捕まえたときの栄養状態を見るとすごくいいので、食べるものには本当に困っていないというふうに思っています。」

まだ食べることができるのに捨てられた、食品ロスです。
生ゴミのおよそ4割を占めています。

東京野生生物研究所 小堀睦さん
「近所に飲食店もありますので、そういうところの残飯というか、廃棄されているものを食べている可能性はあります。」

さらに、より凶暴な外来動物も都市に進出し始めています。
体重がハクビシンの3倍以上あるアライグマ。
気性が荒く、鋭い爪と牙を持ち、攻撃されると大けがを負うおそれがあります。

東京都内における、アライグマの生息域は、かつては郊外が中心でした。
しかし、年々、行動範囲を都心部に広げ、今では23区内にも出没し始めています。
凶暴性に加え、もう1つ懸念されているのが、人への感染症のリスクです。

アライグマの小腸に寄生することがある、回虫。
卵が人の体内に入ると、重篤な脳神経障害をもたらすおそれがあります。

加えて、危険視されているのは、アライグマに付着するマダニです。
マダニは、致死率の高い感染症を引き起こすウイルスを媒介することがあるのです。

酪農学園大学 浅川満彦教授
「(アライグマは)他にもたくさん病原体を持っている可能性が高い。
病原体のデパートみないなもんですから。
人が密集するようなところに入ってくるのは、ちょっと考えただけで怖いですね。」

あなたの家も危ない!? 都会を侵略!外来動物

ゲスト 五箇公一さん(国立環境研究所 侵入生物研究チーム)
ゲスト 山口もえさん(タレント・愛玩動物飼養管理士)

感染症のリスクとは、実際はどの程度あるのか?

五箇さん:これまでに国内で捕獲されたアライグマから重篤な病原体が見つかったというケースはまだないんですが、われわれが一番恐れているのが、狂犬病というウイルスです。
アライグマというのはゾンビのような動物でして、この狂犬病というのは、多くの哺乳類が感染しますと、大体最後はすぐに死んでしまうんですけれども、アライグマの場合はすぐには死なないで、このウイルスを持ち運んでしまうという
ベクター(病原体の媒介動物)です。
(広げてしまう?)
性質を持っているということで、実際アメリカ合衆国の国内では、こういったアライグマが一番の狂犬病の原因になるということで、非常にその管理が徹底されているという部分もあります。

こういう外来動物が都市部で増えてしまっている実態をどう思った?

山口さん:動物園で見たら、とても癒やされる存在である動物たちが、この都会で遭遇してしまうとこんなにも恐ろしい存在になってしまうんだっていうことが悲しいなあと思いました。
それは、そもそもをたどると、ペットとして飼った人たちが飼えなくなってしまったから手放したり、そして輸入業者の方たちが、お金もうけになるからと仕入れたけれども、それをこう離してしまったりっていう、人間が起こしてしまったことじゃないですか。
だから何か、この負の連鎖といいますか、これを何とかしなきゃいけないなとは思うんですけど。

外国から運ばれてきた外来動物が、日本で都市部でこれだけ生きていけるというのは、外来生物の生命力はすごく強い?

五箇さん:そうですね。
外来動物自体、もともといた生息地では、ちゃんと競争相手がいたり、あるいは天敵がいたりして、その数が抑えられているんですけど、全く違う環境に持ってこられると、そういった競争相手もいない、天敵もいないといった中で非常に増えやすくなってしまう。
逆に、日本の生き物でも外国に持っていけば、外来動物になってしまうというケースは、いっぱいあるわけです。
そういった中で今回、特にアライグマやハクビシンが非常に都会に適応できているので、まず両種とも雑食性であるということと、子だくさんであるということ。
それと先ほど言ったように、競争相手や天敵となるものがいないという都会環境で、彼らは非常に適応できて、どんどん数を増やしていると考えられます。

山口さん:都会は人間がたくさんいるじゃないですか。
その人間に対して、恐怖心というものはないんですか?

五箇さん:そこはすごく大事なところで、かつては人間という動物もほかの動物を狩猟して餌にする、食べ物にするという生活をしていたのが、最近は特に日本人も、そういった狩猟生活をしなくなって、言ってみれば、動物から見ても人間という動物がそんなに怖くない動物になってしまったと。

われわれはこれを、野生動物の「ニュー・ボーン・ジェネレーション」と呼んでいるんですけれども、言ってみれば人間に襲われたことのない新しい動物世代ですね。
外来動物は、まさにそういった中で、新たに日本という新天地で、全く人間を恐れないで人間社会の中に浸透してしまったという動物になってくるわけです。

山口さん:しかも、食べるものもたくさんある。
だから余計に増えていってしまうんですかね。

五箇さん:都会の最大の利点は、黙っていても人間がどんどんゴミを捨ててくれるので、餌には困らない。
一生懸命、餌を探さなくても、そこら中に餌が落ちているという環境になるわけです。

そして、狭い所にも入り込めて家に侵入してしまう、そういう被害が増えているわけですけれども、こうした外来動物たちが私たちの家へ侵入するのを防ぐにはどうすればいいのか、今すぐできる対処法について、専門家に聞きました。

わが家を守れ! “エイリアン”外来動物対策

まず試したのが、夜行性のハクビシンをライトで追い払う方法。
しかし、全く光を恐れないことが分かりました。

埼玉県農業技術研究センター 古谷益朗部長
「びっちりとクギを並べています。」

さらに、クギで侵入を阻止しようとしたものの…。
足の裏が丈夫なためか、やすやすと乗り越えてしまいます。

埼玉県農業技術研究センター 古谷益朗部長
「正しい対策というのが生まれてこない。
なかなか難しいのかなというのがありますね。」

結局、ハクビシンの侵入を防ぐには、住宅の隙間や穴をしっかりと塞ぐしかないといいます。

駆除業者 西岡徹也社長
「まずここなんですけど、一番入りやすい床下の通風口といわれるところですね。」

この通風口は一見、問題ないように見えますが、ハクビシンの目線でのぞいてみると、ありました。
侵入ルートです。

駆除業者 西岡徹也社長
「普通に歩いていると見えないですよね。
しゃがんでいただいて見ていただいたり、指を入れて穴が開いていないか確認が必要。」

では、隙間が見つかった場合は?

駆除業者 西岡徹也社長
「このようなホームセンターでも売っている、ステンレス製の金網で、そういうところを(穴を)ふさいだほうがいい。」

金網は、市販のビスや建築用の接着剤で、しっかりと固定します。
でも、難しいと思った方いますよね。
詳しくはスタジオで。

わが家を守れ! “エイリアン”外来動物対策

光もクギも効果なし。
とうがらしのにおいも効果がなかったというケースもありまして、やはり駆除業者によると、通気口などの隙間を塞ぐというのが一番だそうです。
マンションだと、通風口のところに、金網をビスなどでしっかりと留める。
これは、管理組合の了承が必要な場合もあります。
さらに、一戸建てでは、屋根の隙間に金網を留める。
ただ自分でやるのは難しいので、工務店などにお願いすることが必要な場合もあります。
さらに寄せつけないためには、どうしたらいいのか、東京都に聞きました。

「缶やペットボトルは洗って出す」
飲み物が餌になってしまう?

五箇さん:ジュースであれば糖分、あるいは缶詰であればたんぱく質といった栄養素になってしまうので、そういったものを与えないようにするためには、洗って出すというのが大事になってくるということです。

同じく餌になってしまうので、「野菜や果物はこまめに収穫」。
枝を伝って、屋根に登られてしまうので、「庭木は早めに枝を切る」。
こうした対策があるということだが、山口さんはどう思う?

山口さん:最初の、この侵入対策の通風口。
まず初め、自分の家の通風口がどこにあるのか見つけなきゃいけないと思いました。
これ(金網)、自分でつけられるものなんですかね。
だって外しちゃうんでしょ、頭いいから。

五箇さん:さすがにこの手の工事になってくると、個人というか、自分でやるというのはかなり難しい難易度の高い作業になってくると思います。
先ほどおっしゃったように、工務店あるいは大工さんにお願いしなくてはならないという意味では、経済的な負担というものも生じてしまうだろうと思います。

もう屋根に入られてしまっているとか、出くわした場合は、どうしたらいい?

五箇さん:まず、やってはいけないのは、自分で手を出してはならない。
相手は野生動物ですから、むやみに手を出せば、かまれたりひっかかれたり、けがをする恐れもありますから、見つけ次第、市役所や区役所に届け出て捕獲をお願いするということをやっていただきたいと思います。

こうした外来動物の波紋は、ほかにもさまざまな場所に広がっています。

勢力拡大!“エイリアン”動物 各地で思わぬ事態!?

この夏、関東平野を流れる、利根川の堤防に異変が起きていました。
動物の巣穴が次々と見つかったのです。
巣穴は、最大で7mに及んでいました。

国土交通省 関東地方整備局
伊藤一十三 副所長
「もうびっくりしました。
今まで勤めてから初めてのことなので。
大雨で洪水とかなって、何時間も続くと水がしみこんできて、(堤防が)崩れてしまうということにつながりかねない。」

決壊も招きかねないという巣穴。
作ったのは、一体どんな動物なのか。

無人カメラに写っていたのは、古くから日本の里山に生息してきたキツネでした。
しかし、本来なら警戒心が強く、人通りの多い堤防に巣穴を作る事はないといいます。
なぜ堤防に、キツネが居つくようになったのか。
動物の行動心理学の専門家は、外来動物アライグマが関与している可能性があると考えています。

もともと餌が豊富な里山などを好むキツネ。
体が一回り大きなアライグマに敗れ、堤防に追いやられたのではないかといいます。

北海道大学 池田透教授
「アライグマが入ってきた場合に、キツネが他の地域へ移動していくということは、前例としてもある事例ではあります。
最適な場所は(外来動物に)どんどん奪われていっている。
そういう可能性はあると思います。」

さらに外来動物は、世界文化遺産にも影響を及ぼしています。
姫路城の石垣が、ある外来動物によって、崩壊の危機にさらされているといいます。

毛皮を取るために南米から持ち込まれた、ヌートリア。
水辺に6mに及ぶ巣穴を作る性質があります。
石垣の隙間に入り込めば、崩壊を招くおそれもあるため、市が捕獲に乗り出しています。

姫路城総合管理室 高島佑介さん
「国宝でもありますし、世界遺産でもありますから、(ヌートリア)をみすみす見過ごすわけにはいかない。」

あなたの家も危ない? 都会を侵略!外来動物

山口さん:人間と外来動物の共存は難しい?

五箇さん:共存というのは、必ずしも仲よく暮らすという意味ではないんです。
それは言ってみれば、動物を放し飼いにするということであって、そういう共存っていうのは、決して人間にとっても動物にとっても、双方、幸福になることではないと。
正しく理解しなくてはならないのは、外来動物というのは、本来の住みかではない所に連れてこられており、もともと動物というのは、それぞれの住みかで進化してきた生き物たちが生態系を作っているわけです。
そういったことを理解して、人間社会と、そういった動物たちの世界の間のゾーニングをしっかり作って、双方がむやみに立ち入らずに共生していくという社会を作っていくことが、まず大事になってきます。

質問
コーナー

Q1

人間の身勝手が招いたこと。共存の道を探れないか?

五箇公一さんによれば、外来動物が増えれば生態系が変化し、在来種を絶滅に追いやってしまう可能性があるそうです。都会で暮らす外来動物は適応力も高く、人間の生活圏にまで侵入しているため、感染病のリスクも出てきます。そのため駆除することが基本だそうです。ただ、外来動物はもともとペットや毛皮目的で人間が輸入したものがほとんどです。需要がなくなり野に放たれた結果、野生化したものを「外来動物」と呼んで排除する…五箇さんは「私たちはそうした現実に向き合って、これ以上増やさないように努力すべき」と言います。
Q2

一般市民が駆除するのはダメなのでしょうか?

鳥獣保護法で野生動物を勝手に捕獲することはできません。狩猟免許を取得した上で、自治体に申請し、許可が下りれば捕獲することができます。自宅の敷地内に「箱わな」などを設置する場合も同様です※。もし外来動物が自宅の屋根裏などに侵入してしまった場合は、お住まいの自治体に相談してください。※“特定外来生物”であるアライグマの場合は狩猟免許がなくても、自治体に申請、許可が下りれば箱わななどを設置できます。

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