クローズアップ現代

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No.38412016年7月20日(水)放送
糖質制限ブーム! ~あなたの“自己流”が危険を招く~

糖質制限ブーム! ~あなたの“自己流”が危険を招く~

糖質制限ブーム! 人気のヒミツは手軽さ?

今、糖質制限のブームに乗って、ユニークな商品が次々と生まれています。

こちらの弁当屋では、ごはんをブロッコリーに変更できるサービスを始めたところ、大好評。

糖質制限 実践者
「今、ちょっとダイエットをしていて、光のようなものです。」

糖質制限 実践者
「週5か4で食べてます。」

反響を受けて、ブロッコリーカレー、ブロッコリーカツ丼も登場。
今では、販売される弁当の2割が、ごはんからブロッコリーに変更されています。

京香 店長 内山真実さん
「私もまさかここまでなるとは思わなかった。」

こちらは、新鮮なレタスで具材を挟んだ、野菜ハンバーガー。
発売当初の人気は今一つで、長らく販売を中止していましたが、ブームを受け、復活しました。

モスフードサービス 商品開発部長 太田恒有さん
「サラダですよね、器がないだけで。」

過熱する糖質制限ブーム。
しかし、糖質を避ける風潮によって、食品が廃棄されるという事態も起きています。

この店では7年前、野菜たっぷりのちゃんぽんを開発しました。
ところが、販売開始からしばらくたつと、「野菜だけでいい」「麺をなくしてほしい」という要望が寄せられるようになりました。
さらに現場からも「麺を残す客が増え、廃棄せざるを得ない」という報告が相次ぎました。

悩み抜いた末、去年(2015年)このチェーン店では、麺なしちゃんぽんの販売に踏み切りました。

「こういう食事、いいんじゃないですか。
麺が余計だったんだよ、今まで。」

評判は上々。
しかし長年、ちゃんぽん一筋にこだわり続けてきた店の心境は複雑だといいます。

リンガーハット 営業戦略部 執行役員 川内辰雄さん
「驚きと、寂しさといいますか。
こちら側の“これでより健康的だ”というイメージの、さらに上といいますか、もっと極端に、もっと激しくていいのかというような。」

糖質制限ブーム! 手軽で分かりやすいが…

ゲスト 厚切りジェイソンさん(IT企業役員・タレント)
ゲスト 高橋久仁子さん(群馬大学名誉教授)

厚切りジェイソンさんも、今まさにダイエット中ということだが、この糖質制限ブームをどう見た?

厚切りジェイソンさん:やり過ぎると何もよくないと思います。
僕もダイエットは数学だと思っていて、ちゃんと必要となる栄養とかをとって、ちゃんと運動して、それで健康的になろうという考え方でダイエットをしていますね。

日本では、振り返りますと、これまでもさまざまなダイエットブームがありました。
こちら、ご覧ください。
これを食べると痩せるといった情報に人々が飛びつきまして、一過性のブームで終わるんですけれども、このように、次々に品を変えて出てきているんですね。
こうしたブーム、なぜ繰り返される?

高橋さん:痩せている、痩せたい、痩せ願望でしょうか。
それが基本的にあって、できれば楽をして痩せたい。
これさえ食べれば痩せられる、これさえ食べなければ痩せられる。
そのような状況、ある特定の栄養素、食品を敵と見なして、それを食べないようにする。
それは「フード・ファディズム」という概念で説明できるんですけれども。
(ファディズムとは、どういうこと?)
食べ物や栄養が、健康や病気に与える影響を過大に評価したり、信奉することです。
決して私たち、これさえ食べれば痩せられるなんていうものはないんですけれども、そう言われてしまうと、これを食べればいいんだって言われると、そればっかり食べるというようなことが、過去もずいぶん繰り返されてきました。

こういったブームは、アメリカでもある?

厚切りジェイソンさん:過去にいくつかは聞いてきたんですけど、ずっと1日これしか食べないのはあんまり聞かなかったですね。
例えば、朝はカッテージチーズとか、朝はフルーツとか、1個だけとかというのはあるんですけど。
ゆで卵ばっかりを食べてるのは聞かないです。
(納豆とか?)
納豆は、アメリカはないですね。

今まで、さまざまあったんですけれども、今、空前のブームとなっているのが、この糖質制限なんですね。

そもそもどういうことなのか、簡単にこちらの模型で説明したいと思います。
糖質というのは、ごはんとか、パン、麺など、主食に含まれる栄養素のことなんです。
国は、日本人の1日にとるエネルギーの6割程度を糖質で賄うということを推奨しているんです。
脂質やたんぱく質と比べましても、比率としてはとても大きいんですよね。
この糖質制限では、ごはんを食べずに糖質を抜くとエネルギーが減って、痩せられるという仕組みです。
簡単で、楽に続けられるというイメージがあるんですけれども、なぜ、これほどまでにブームになっている?

高橋さん:いろいろあったわけですけれども、この糖質制限は栄養価計算が必要ない主食に含まれる糖質を悪者、敵と見なして、これさえ食べなければいいんだということで、お肉やお魚、そういった動物性食品はいくら食べてもいいというところ、その辺に手軽さを感じて、ブームとして続いているのかという気がいたします。
(これまでのブームと違うところは?)
これまでのブームは長くても半年、せいぜい1か月2か月3か月っていうところだったと思うんですが、これは、もう年の単位で続いていて、そのあたりに、糖質を一切食べないというような極端なことをやられても困るなという思いで、不気味さを感じています。

この空前のブームも迎えている糖質制限なんですけれども、思わぬ落とし穴もあるようです。

“自己流”糖質制限 気づけばのめり込んで…

都内でサラリーマンとして働く米澤博幸さん、54歳です。
会社の健診で、メタボと判定された米澤さん。

去年の夏からダイエットに取り組んだ結果、105センチあったおなか回りは、3か月で79センチに。
ぐっとスリムになりました。
劇的な効果に喜んでいるかと思いきや、口にしたのは意外な言葉でした。

米澤博幸さん
「(糖質制限のやり方を)間違えた。
似て非なることをやると危険を伴うものである。」

さまざまな雑誌やネットの記事を聞きかじって、糖質制限を始めたという米澤さん。

米澤博幸さん
「何となく見切り発車ですね。
割と軽い気持ちでスタートした。」

当時、よく食べていたのは、キャベツの千切りに蒸し鶏を載せたサラダ。
ごはんやパンは、一切食べませんでした。

米澤博幸さん
「ダイエットやっているから、我慢っていうのはありましたね。
我慢。」

当初、97キロあった体重はみるみる落ち、わずかひと月で10キロ減りました。
想像を超える成果に、ゲーム感覚でのめり込んでいったといいます。

米澤博幸さん
「結果がどんどん出てくるので。
じゃあ次はもっと大きな成果を出そう。
完全に入り込んじゃった、というのもありますね。」

そのうち夕食を抜き、ゆで卵は糖質の少ない白身だけを食べるなど、自己流糖質制限はエスカレートしていきました。
しかし、ひと月半後、アクシデントが襲います。
通勤中の電車で、めまいと冷や汗が止まらなくなり、意識を失ってしまったのです。
救急搬送され、病院で点滴を受けた米澤さん。
実はこの時、深刻なエネルギー不足に陥っていました。

成人男性が1日に必要なのが、およそ2,000キロカロリー。
このうち6割ほど、炭水化物を中心とした糖質でとっています。

しかし、主食を抜いた上、食事の量も減らしていたため、1日500キロカロリーほどしかとれていなかったのです。
これ以降、米澤さんは食生活を見直し、毎食欠かさず、ごはんを食べるようにしています。

米澤博幸さん
「ランナーズハイってよく言うじゃないですか、あれに近い状態が、自分の中で当時あったかもしれないなと思うことはありますね。
やり過ぎると本当におっかないことなんだなと痛感しましたね。」

健康のために始めた糖質制限が、いつの間にか極端なエネルギー制限につながる。
こうした危険性は、肥満やメタボに悩む人以外にも広がっています。

都内で暮らす、44歳の女性です。
標準的な体型でしたが、ダイエットに成功した同僚の見よう見まねで、糖質制限を始めることにしました。

糖質制限 体験者
「『もう私もやる』って、本当に単純に飛びついた。」

3食ごはんを抜き、おかずだけを食べる生活を始めると、体重は5キロ減りました。

糖質制限 体験者
「『やっぱり細いと着こなせるよね』とか言われると、『そんなことないよ』って言いながらも『やった〜』という、もう、うれしいでしかないですし、お米さえ抜けば、糖質さえ抜けば、こんなにいいことがあるんだ。」

しばらくすると、この女性もふらつきを覚えるようになりますが、食生活を変えようとはしませんでした。
病院に駆け込んだのは、ひと月後。
医師から強く注意され、ようやく糖質ゼロの生活を改めました。
女性は、体重を減らすこと自体が目的となってしまっていたと、当時を振り返っています。

糖質制限 体験者
「これを維持しなきゃという感じですね。
やせ続けなければっていうふうに、恐怖概念に変わっていく。」

糖質制限ブーム! “自己流”の落とし穴

今、ご覧いただいたのは決して特別なケースではありません。
番組でアンケートを行ったところ、3,000人を超す方々から回答がありまして、「半年で8キロのダイエットに成功した」ですとか、「気持ちが高揚した」といった喜びの声がある一方で、「体力や筋力がなくなり、疲れやすくなった」「頭が働かなくなった」などといった、体調不良に陥った人の声もたくさん寄せられました。
体調を崩してまで極端な糖質制限のダイエットをやめられないというのは、どういう心理?

高橋さん:糖質制限で非常に痩せると、体重減少ということが急速に効果が出るわけですね。
そこに、おもしろさを感じて、VTRに出ていた男性がおっしゃってるように、とにかく結果が出る、セルフコントロール、自己管理でこういうことができるんだという、のめり込みもあるのかなという気がいたします。

厚切りジェイソンさんはダイエット経験者として、この心理を理解できる?

厚切りジェイソンさん:分からなくはないですけどね。
体重だけ見ればいいというよりも、例えば運動もしてたら、さらに腕立て伏せもできるようになりましたとか、そういう喜び方もあるから。
でも、成功していく自分を見るのも楽しくてしょうがないでしょうね。

はまっていってしまうと陥りやすいという注意点をまとめたいと思います。
まずは、糖質を減らし過ぎてしまう。
さらに痩せようと、タンパク質や脂質といった必要な栄養素も減らしがちになってしまう。
さらには、必要なカロリーがとれず、極端なエネルギー不足に陥ってしまう。
また、体調不良になってもまだやめることができないといったことなんですね。

厚切りジェイソンさん:中毒じゃないですか、ここまでなるとね。

でも、この糖質制限ダイエット、実はさらなるリスクもあるんです。
今年(2016年)の1月、驚くべき試算が発表されました。

こちらをご覧ください。
メタボ検診では、男性で、腹囲が85センチ以上、女性で、90センチ以上の人を対象に、血圧や血糖値を測って判定されていまして、メタボと診断された人は、現在970万人以上といわれているんです。
しかし驚きなのが、こちらの太っていない人でも生活習慣病のリスクを掲げる「隠れメタボ」の人が、なんと910万人以上いるという。
この極端な糖質制限ダイエットによって、さらにそのリスクが高まっているというんです。
こちらご覧ください。

糖質制限ブーム! “隠れメタボ”の原因に!?

隠れメタボの人口を試算した、名古屋学芸大学の下方浩史教授です。
下方教授は、極端な糖質制限を行う人が増えれば、将来その人口はさらに増えると見ています。

運動を伴わない極端な糖質制限は、筋肉を減らしてしまいます。
すると、全身の代謝が低下し、使われなくなった糖が中性脂肪として体内にたまっていくというのです。

名古屋学芸大学 健康・栄養研究所 所長 下方浩史さん
「(極端な)糖質制限食を長期間行っていると、メタボになってしまう。
『隠れメタボ』になってしまう危険が非常に高いと私は思います。
その人たちが中年以降、重い心臓病だとか脳卒中だとか、そういう病気で苦しむことを危惧しています。
メタボだけじゃなくて、隠れメタボも防いでいかなきゃいけないんです。
そのためには正しい情報を伝えることが重要だと思います。」

糖質制限ブーム! “隠れメタボ”の原因に!?

極端な糖質制限によって痩せていても、メタボのリスクが高まったり、さらには心臓病や脳卒中の危険もあるということだが?

厚切りジェイソンさん:意外ですね。
痩せていっているから大丈夫でしょうと思われがちだけどね、実は。
(健康かと思いがちだが?)
「健康とは何なんですか?」という質問になっていくんですね。

では健康的に、この糖質とつきあうにはどうすればよいのか。
ある企業の取り組みをご覧ください。

糖質制限ブーム! 上手な糖質とのつき合い方は?

都内のタクシー会社です。
従業員の3割が生活習慣病を抱えるこの会社では、去年から糖質制限のプログラムに取り組んでいます。
その食事内容とは、どのようなものなのか。

日の丸交通 従業員
「(ご飯)90グラムが一食の量なので。」

参加者は、糖質を極端に抜くのではなく、むしろ1食に、おにぎり1個分はとるよう指導されています。

おにぎり1個分90グラムには、およそ30グラムの糖質が含まれています。

3食食べても、合わせて1日およそ100グラム。
普通の食生活の半分ほどです。
これが、無理なく体質の改善につなげられる適量だといいます。

男性は、ウエストが1年で8センチ減少。
糖尿病の診断基準となる数値にも改善が見られました。

日の丸交通 従業員
「これだけ減っております。
私これダイエットだと思っていないんですよ。
厳しくきっちりやっちゃいますと、それがストレスになっちゃいますので、なるべく出来る範囲で出来たらすごいなって、自分を褒めながら。」

肝心なのは、それぞれ食事の内容を専門家に報告し、アドバイスをもらうこと。
自己流で極端な糖質制限に陥るのを防ぐためです。

このプログラムを指導している、医師の山田悟さん。
正しい糖質制限とは、糖質をなくすのではなく、適量をとる習慣を身に着けることだといいます。

北里研究所病院 糖尿病センター長 山田悟さん
「簡単に言えば主食は半分に、おかずはお腹いっぱいになるまで食べる。
何とか制限ではなくて、何とか食べましょう法。」

プログラムを通じて、従業員たちの健康への意識にも変化がありました。

日の丸交通 従業員
「(糖質)20グラムぐらいの商品が。」


どこまでなら食べて大丈夫か。
食品の成分をチェック。
諦めていた食べ物も楽しめる喜びを感じています。

北里研究所病院 糖尿病センター長 山田悟さん
「情報がどんどん増えていけば、増えていくほど、これは大丈夫です、これも大丈夫ですというものが増えてくる。
そういう食事法が、どんどん広がると良いなというふうに思います。」

糖質制限ブーム! 上手な糖質とのつき合い方は?

高橋さんは、この取り組みをどう思った?

高橋さん:ごはんをおにぎり1個程度を毎食食べるというところは、とてもいいと思います。
いろいろな減量方法がありますけれど、結局のところ、やっぱり太る方はごはん、主食を何杯もお代わりするようなことがありますよね。
ですから、おかずを食べて、そして、ごはんは減らすというのが基本であって、この場合、ごはんは1杯というか、おにぎり1個分は食べる。
そして、タクシーの運転手さんの場合には、運動不足がありますから、そこで待ち時間に足踏みするとか、そういう試みも同時にやってほしいです。
食だけで解決っていうのはちょっと無理ですね。

厚切りジェイソンさん:難しいですね。
でも、日本人は基本的に痩せすぎていますよ。
理想の女性とか、体型とかは本当に細くて、ちょっとどうかな。
アメリカの理想の女性は、例えばビヨンセとか、ちょっと肉がありますよね。
でも、それがいいんですよ。
(それぐらいが魅力的に感じる?)
だから、意識し過ぎてると思いますね。

今、いろんな情報があふれていて、この糖質制限に関しても、ネットや本などで情報があって、どれを信じていいか分からなくなってしまうが、どうやって、このあふれる情報とうまく向き合って、健康な体を手にしていけばいい?

高橋さん:基本的に食事というのは、ごはんなどの主食があって、そして、そこにおかずがあるという、それを原則にして、その主食を食べ過ぎない。
でも食べるということを原則にするのが間違いがない方法だと思うんですね。
そして、全体として食べ過ぎている方は減らしていくということに尽きると思います。

楽に痩せる方法はないということですね。

厚切りジェイソンさん:バランスよく。

今回のグラレコ

番組の内容を、「スケッチ・ノーティング」という会議などの内容をリアルタイムで可視化する手法を活かしてグラフィックにしたものです。

質問
コーナー

Q1

糖質は炭水化物にしか入っていないんですか?どんな食品に多く含まれていますか?

糖質は、ごはんやパン、麺などの炭水化物以外にも含まれています。砂糖をはじめとした“甘い食品”や、イモなどに含まれるデンプンも、糖質の一種です。糖質が比較的多く含まれているのは、根菜類、ビールや日本酒といった醸造酒などです。
Q2

糖質制限ダイエットを行う上での注意点を教えてください。

糖質制限で陥りがちなのが、「主食を完全にカットしてしまう」というパターンです。ごはんもパンも、麺も、全て摂らないという極端な食事をしてしまうと、長続きせずに挫折したり、無理して続けていると急激にやせすぎてしまい、筋肉が減ってしまいます。「ごはんを毎食90グラム、おにぎり一個分は摂る」ことをお勧めします。気軽に糖質制限ダイエットを始めてしまいがちですが、妊娠中の方や持病のある方は、取り組む前に医師に相談してください。また、体調に異変を感じるなどした時は、無理して続けることは避けてください。

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