クローズアップ現代

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No.38352016年7月7日(木)放送
暗い夜が楽しい ~いま星空は見えていますか~

暗い夜が楽しい ~いま星空は見えていますか~

天の川が見えない? 夜が「明るすぎる」日本

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東京から2,000キロ離れた石垣島です。
夜9時。
島を訪れた観光客が真っ暗な畑に集まってきました。

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お目当ては…満天の星。
多いときには肉眼で4,000個もの星を捉えることができます。

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「これがさそりの頭。
この心臓のアンタレスからぐるっと、こういう尻尾を巻いています。」

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連日50人前後が参加するというこの星空ツアー。
その多くが、ここでしか味わえない光景を求めてやって来た都会からの観光客です。

「東京では(見られないですか)。」

東京から来た客
「全然違いますね。
本とかで見ているのが本当に空にあって、さっき、すごく感動しました。」

東京から来た客
「心洗われた感じ。
癒やされました。」

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このツアーを企画した上野貴弘さんです。

星空ツアー ガイド 上野貴弘さん
「最初に撮ったころの星空の写真ですね。」

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4年前、仕事で石垣を訪れた際に見た空一面の星に魅了され東京から移り住んできました。

星空ツアー ガイド 上野貴弘さん
「石垣島の星空は日本の宝だなと。
これ残さなくてはいけないのではないかな。」

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今、上野さんは石垣島が星空保護区に認定されることを目指しています。
星空保護区とは、世界中の天文学者らで作る団体が設けた国際的な認定制度。
地球上に67か所しかなく日本はゼロです。

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高さを抑えた街灯を設置したり、光が上空に漏れないように工夫したり。
過度な明るさを抑えながら住民の暮らしを両立させた地域に贈られるもので、夜本来の姿を大切にしようという取り組みが急速に広がっているのです。
上野さんは、夜の暗さと人工の光を共存させるこの考え方を石垣にも広めたいと考えています。

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星空ツアー ガイド 上野貴弘さん
「知ってもらうことによって、それが守っていく対象になると、それがずっと残されるようなことにつながっていくので。」

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先月(6月)、環境省が呼びかけ全国2万を超える施設で一斉にライトダウンが行われました。
省エネの意識を高めてもらおうと行われたこのイベント。

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しかし、明るい夜に慣れた人々にはちょっと違和感があったようです。

女性
「ともし火が無かったら、全然やんか。
大阪のシンボルやから。」

女性
「やっぱりキラキラしてないと“大阪感”が無いと思います。」

子ども
「なんか暗かったら何も面白くない。」

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一体なぜ、日本の夜はこれほど明るくなったのでしょうか。
その答えを独自に分析している照明デザイナーの面出薫さんです。
面出さんは、日本人が明るさを求めてきた背景には戦後、普及した蛍光灯の影響が大きいと言います。

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拡散する光が部屋全体を照らし出す蛍光灯。
明かりを制限された戦争の暗い記憶を吹っ切るように、全国の家庭に瞬く間に広まりました。
面出さんは一様に明るい夜、それも明るければ明るいほど、それが豊かさとして受け入れられたのではないかと考えています。

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照明デザイナー 面出薫さん
「日本人が戦後ずっと本当に真っ白な光が大好きだし、光がどんどん足されてくる。
光が多い方が幸せだと思ってきたからね。
日本の都市照明がそういう発展のしかたをしたのです。」

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しかし5年前、日本の夜に大きな転機が訪れました。
東日本大震災です。
計画停電や節電意識の高まりによって、人々の間でエネルギーの浪費を自粛する動きが広がりました。

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10年にわたりデジタルカメラを使って東京の夜空の明るさを観測してきた小野間史樹さんです。
小野間さんによれば震災後、東京の夜空は4割暗くなったと言います。

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小野間史樹さん
「2011年の初めごろに比べ、2011年の3月11日以降急激にかくんと落ちているのが分かる。」

その後、東京の空は明るさを取り戻しているものの、そのスピードは緩やかであることが観測データから分かってきました。
小野間さんは、明るさ一辺倒の考え方を見直す機運が芽生えつつあるのではないかと考えています。

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小野間史樹さん
「本当に必要な明かりというのは、なくしてしまうと生活に影響があるのですが、それはキープしたままで“本当に必要な明かりって何だろう”と考え直すきっかけになったのかなというのは感じています。」

石垣島で、日本最初の星空保護区認定を目指す上野貴弘さん。
この、夜本来の姿を守り通すことができるのか。

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星空ツアー ガイド 上野貴弘さん
「この街灯はあまりよくないです。
光が上に全部漏れちゃっています。
夜空に全部漏れてしまっているので。」

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今、上野さんは商工会などを回り、夜の暗さが島にとっての財産であることを訴えています。

星空ツアー ガイド 上野貴弘さん
「星空保護区に認定してもらうと。」

夜本来の暗さを意識した街の明かりとはどのようなものなのか。
住民を巻き込んだ議論を目指す上野さんの模索は続きます。

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星空ツアー ガイド 上野貴弘さん
「本当に限られた場所でしか星空を見ることができない。
そこを最後守らないと星空が見られない環境が次の世代に来てしまう。
大切なものがあるのだということを伝えられる場所になればいいかなと。」

天の川が見えない? 夜が「明るすぎる」日本

ゲスト 中野純さん(国際ダークスカイ協会東京支部)
ゲスト 若林正恭さん(お笑い芸人)
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スタジオの明かりも落とし、いつもと違う雰囲気から暗い夜を考える 若林さんは天の川を見たことは?

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若林さん:僕は東京出身なので、星空が見えないのが普通、日常なので、天の川が、例えば海外、サイパンとか行ったときに見たぐらい、1、2回ぐらいですね。
ただ、街灯とか上に漏れなくすれば、生活に支障が出ない範囲で星空が見れるならいいなと思いますけどね。

(電気も止められた経験もあるとか?)

若林さん:そうですね、お金ないときは。
うちの相方が節約家で、相方の家でネタ作りしてたら、電気つけてくれないんですよね。
だから街灯漏れてくるので、書いて、やってましたね。

(そういう意味では、暗闇とのつきあいも長いですね)

若林さん:そうですね、生活的にも合うかもしれないですね。

星空のきれいさだけでなく、星空の存在意義のようなことまで感じたが?

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中野さん:われわれ、明るければ明るいほど、なんでも見えると思いがちですけれども、でも実際には暗ければ暗いほど、見えてくるものっていうのはたくさんあるんですね。
蛍の光もそうですし、星の光、暗ければ暗いほどどんどん見えてきて、それはつまり宇宙のかなたまでどんどん見えてくると。
それが本来、当たり前だったのが、今、全然見えなくなって、もう本当に身の回りの街だとか人間が住む社会しか見えてこなくなってしまっていて、蛍がいることも、広大な宇宙の中に自分たちが社会を作っていることも忘れてしまって、人間どうしの争いだったり、人間どうしの関係ばかりに執着するようになってしまった。
その謙虚さを忘れてしまって、夜が暗くないと、謙虚さを忘れてしまうというのは、ちょっと怖いことだと思います。

(暗さって深いですよね)

若林さん:ほとんど日常生活で暗いって思うことないですよね。
ずっと明るいですもんね、夜も。

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中野さんは、とにかく暗さを広めようと「闇歩きツアー」というのをしている 東京郊外のとにかく真っ暗な山の中をひたすら歩き続けるが、2、3時間くらい?

中野さん:時には一晩中だったりしますね。

若林さん:一晩中。

中野さん:基本的に懐中電灯使わないで。

若林さん:本当だ。

(真っ暗ですね)

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若林さん:これ、歩けるもんなんですか?
真っ暗ですもんね。

中野さん:最初は真っ暗ですけど、どんどん目が慣れて、見えてきます。

若林さん:見えてくるんですね。

(慣れるというのは、怖さがどう変わっていくんですか?)

中野さん:最初の5分、10分は怖いんですけど、それがもう、それを過ぎると、どんどん暗さに包まれてることが心地よくなってくるんですね。

若林さん:なんか寝て見てますね、上を。

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中野さん:こうすると、本当にもう自分の姿もなくなって、闇しか見えなくて、目の前には星空があって、“逆スカイダイビング”って呼んでるんですけど、宇宙に溶け込んでいくような。
本当に闇と一体になれる感じです。

(よく自然と一体になるなんて言いますけど、これこそが本当に…)

中野さん:そうなんです、昼間はなかなか森の中で自然と一体になりましょうと言われたってなれるわけないんですけど、闇の中にぽんと置かれてだけでも、簡単に自分が見えないんで、勝手に一体になっちゃうんです。

若林さん:無人島で真夜中ロケしてて、空き時間に寝そべってたら、星がすごくて、確かに謙虚な気持ちになりますよね。
すごい大事で、宇宙の中の自分っていうのが。

暗さの魅力を挙げるとすると?

中野さん:闇歩きをやっていて、2、3時間でも一晩でも、それで光の中に戻ってくると、びっくりするほど心も体もすっきりしてるんですよ。
そのすっきり、ストレス解消ということが、一体、自分は何にストレスを感じてたんだろうって、そんなにストレスを感じてるとは思わないのに、これはつまり、闇の中にいてストレス解消したっていうことは、光がストレスだったんだなと、ずっと同じ光の中にいることが、実はすごいつらいことなんだなということに気付きましたね。

(朝昼が明るいのはもちろんだが、夜も明るいままでいると心に負荷のようなこともかかっているんじゃないかということですね)

若林さん:なんかちょっと、座禅みたいな、なんか近いんですかね。

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今、ナイトハイクのように楽しもうという試みだけではなく、暗さを生かして、さらに積極的にそれを取り入れようという取り組みも広がっています

夜の「暗さ」を楽しむ 新たな効用発見?

「こちらでアイマスクをおつけください。」

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東京・浅草にあるお寺で月1回開かれている一風変わった食事会です。
参加者は暗がりの部屋でアイマスクを着用。
どんな料理が出されるのか自分の感覚だけが頼りです。

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参加者
「なんだろう?豆腐?」


参加者
「ナス、ナス、ナス的なもの?」


参加者
「しょうがかな?」

参加者
「何だか全然わからない。」

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「部屋全体に明かりが入ります。」

食べ終わったところで種明かし。
さて反応は?

「ごま豆腐っぽいものをお出ししたと思うのですが、何だと思いました?」

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参加者
「そら豆と。」


「そら豆と枝豆でした。」

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「みそ味で少しピリ辛にしてあるのは、ナスのへたの部分。
ふだん、こうやって出てきたら、みなさん召し上がりになりますか?」

参加者
「食べない。」

「なぜですか?」

参加者
「へただからと思います。」

暗闇での食事会を通じて、参加者はふだんいかに五感すべてを生かしきれていないか気付くと言います。

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参加者
「やっぱり嗅覚だったり味覚が研ぎ澄まされた感じがしました。」

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参加者
「日常で先入観で考えてしまっているものがたくさんあるなと、思い返してみると思いました。」

さらにビジネスの現場でも暗闇の効用が見直されつつあります。

案内役
「どうぞこちらです、お入りください。」

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これは真っ暗闇の中で行われる企業研修。
コミュニケーション力を磨くことがねらいだというのですが…。

案内役
「これからみなさんの手元に虹の部品が届きます。」

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配られたのは形は同じで、大きさが異なる虹のパズル。
参加者は自分のパズルの大きさを言葉だけで伝え合い、きれいな虹を完成させることを目指します。

案内役
「ここから15分間はチームでお過ごし下さい。」

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パーツの大きさをどうすればことばで伝えられるのか。
ポイントはいかに相手の気持ちになって考えられるかです。

参加者
「腕ぐらい。
手首から肘までがちょうどになっているのと手のひらのサイズ、ペラっとする。
あれが5センチくらい。」

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参加者
「何センチという感覚がつかめないので、ちょうど、椅子の背もたれの若干小さいぐらいで。」

参加者
「高さがね?」

案内役
「はい、15分経過しました。」

参加者
「はい、1番の部品を渡します。」

予想した順番に並べ始めたメンバー。
さて、結果は…。

参加者
「全然…。」

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完成形は出来ずじまい。
ふだんは当たり前のコミュニケーションも、実はいかに奥が深いかを痛感する結果となりました。

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参加者
「自分は伝えているつもりとか、相手は分かってくれているだろうと思っていても、実際の(積木の)結果を見ると、全くコミュニケーションが伝わらないんだなと感じた。」

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参加者
「人に頼ったりとか人の感覚をどう思っているのか確認したりとか教えてもらうということが、とても大事なことなのではないかと改めて教えてもらった。」

夜の「暗さ」を楽しむ 新たな効用発見?

例えば味覚というのは分からないものなのか?

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中野さん:もう見えないだけで全然分かんないですね。
逆に言うと、ふだんいかに目で食べてるかってことですね。
目で見て、これはナスだと思って、思い込んで食べてると。
そうじゃないと、一気にナスだって分からなくなってしまう。
だから、分からないから、唇の感覚から舌の感覚から匂いから、本当に匂いは必ず嗅ぎまくるんですけども、もう五感を総動員して食べるという不思議な、新鮮な経験できますね。

(ちょっと楽しそうですね)

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若林さん:今、スマホ見ながらごはん食べたりしてるから、味覚に集中するっていう時間とかが、そんなないのかもしれないですね。

闇の中を歩くことや暗闇の中での食事は楽しそうだが、例えば暗闇の中で山を歩くときに気を付けることは?

中野さん:本当に楽しいんですけども、でも楽しいばかりじゃなくて、もちろん夜の山ですから危険はありますから、必ず闇に慣れた経験者の方と一緒に行くようにしてください。

子どもがいたりすると連れていきたくなるが、強制してもだめ?

中野さん:やっぱりつらい記憶って、震災とか、そういうつらい記憶と闇がセットになると、なかなか切り離せなくなるんで、だから、強制はいけないですね。

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視聴者から“部屋の光を真っ暗にすると、まるで宇宙にいるような気がします。皆さん、試してみませんか”という意見も 中野さんからもお勧めがあるということだが?

中野さん:部屋を暗くするのもすばらしいですけれども、家族に怒られたりしますよね。
だから家の風呂でやるのが一番よくて、1人で勝手に暗闇を作る。
もう本当に風呂の電気を消すだけで、5分、10分すれば、どんどんモノクロで世界が広がってきて、もう風呂に入ってることが本当に気持ちよくなってきます。

(それだけでそんなに変わるのかとも思いますが?)

若林さん:一日で、お風呂に入る時間だけでもそういう時間があるといいのかもしれないですね。
シャンプーとかコンディショナーを手探りで。

(どっちだったっけなって思いながら)

中野さん:ざらざらがあるからシャンプーだ。

闇の魅力をどう思うか?

若林さん:刺激がふだん、目から強いんだなと思ったんで、そういうクラッチを離すみたいな時間があったら、心のバランスとか取れていいのかなと思いましたね。

(あと、とにかく楽しそうだからやってみようという動機も大事かもしれないですね)

中野さん:環境問題とかいう前に、本当に暗闇に入ると楽しいんで、まずそこからです。

質問
コーナー

Q1

暗い夜空を守るためにどんなことから始めればいいの?

VTRにも登場した石垣島の上野貴弘さんの考えが、ヒントになるかもしれません。まず一つは「照明の向き」。上方へ光が漏れる構造のものなどは、覆いをかぶせ下方向だけを照らすように変えていくことが大切です。また「光の色味」も重要だとのこと。白色でまぶしい色温度の高い光ではなく、暖色系の色温度の低い光に変えて行くことも夜空を暗く保つには有効だとのこと。防犯や安全面も含め、生活に必要な光はもちろんあります。ただ、「必要な光を必要なだけ」という観点で夜間の照明を考えていくべきなのではないか、というのが上野さんたちの考えです。その意味では近年増えてきている「センサー式ライト」も非常に有効だと言えます。
Q2

おすすめの闇遊びはありますか?

スタジオゲストの中野さんは、番組中に「一番簡単な闇遊びは電気を消して風呂に入ること」とお話しになっていましたが、その他にも部屋を真っ暗にして寝転がるとか、何かを食べてみるとか、要は「何でもあり」だそうです。慣れ親しんでいる家の中であれば、気軽に、また安全に暗闇を楽しむことが出来ます。目から入る情報を一度シャットダウンしてみると、自分の抱えている悩みや不安と落ち着いて向き合うことができ、心のデトックス効果が期待できると中野さんは言います。また、あえて光りも使ってみるというのも「おつ」な闇遊び。たとえば、線香花火も真っ暗な場所では、その光の美しさが違ってみえるとのこと。みなさんも自分なりの「闇遊び」を見つけてみてはいかがですか。

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