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2016年6月29日(水)

アインシュタイン“最後の宿題”が解けた!~重力波天文学の夜明け~

アインシュタイン“最後の宿題”が解けた!~重力波天文学の夜明け~

出演者

  • 中川翔子さん
    (歌手・タレント)

  • 村山斉さん
    (東京大学 カブリIPMU 機構長)

  • 久保田祐佳
    (キャスター)

質問
コーナー

Q1

●日本の「KAGRA」では、今回の重力波の観測はできなかったのですか。 ●日本の重力波望遠鏡KAGRAが本格的に稼働するのはいつになりますか (2017年後半とか年度末とか様々な情報があるため最新の正確な予定を教えて!)

今回の重力波がアメリカのLIGOで観測された去年の9月と12月は、日本のKAGRAは稼働に向けて準備中でした。KAGRAの本格稼働は、現在の目標で、「2018年3月まで」を目指しています。 KAGRAは今年の3月25日に試験運転を行い、基本的な性能、つまり3キロのアームにレーザーを往復させて、検出器で捉えられることを確認しています。 本格運転に向け、やることはまだ沢山あります。その一つは、鏡の振動を抑える振り子の製作です。振り子を何段も重ねる、「多段振り子」という構造で、地面から伝わってくる振動を極力抑える仕組みで、現在、研究者が設計にあたっています。 また、鏡を冷却する仕組みも必要です。鏡は、熱によって起きる振動を極限まで小さくするため、マイナス253度という極めて低い温度にまで冷却します。これを行う装置も作らなければなりません。これは他の重力波観測施設にはない、日本独自のものです。こうした工夫が実現すれば、KAGRAの観測精度は世界最高レベルにまで到達できる見込みだということです。
Q2

重力波がアインシュタインの最後の宿題と言いますが、これまでにどのような宿題があったのですか?

アインシュタインの業績は非常に多数に上ります。そのうち、最も有名な理論の一つが番組でご紹介した一般相対性理論です。この理論は、1915年、アインシュタインの純粋な「思考実験(頭の中で考える実験)」によって、完成されました。この理論で予測され、初期に証明された現象の一つが重力によって直線的に飛ぶはずの光が曲がるというものです。重い太陽のような星のそばを通り抜けた光は、太陽によってゆがんだ時空の効果で曲がるからです。 そして1919年、このことは皆既日食中の星の位置と通常の夜にある星の位置を比較することで、事実として確かめられました。そのほかに、一般相対性理論から導き出される結論としては、ブラックホールが存在するであろうことや 宇宙が初期には一点から始まり、膨張する「ビッグバン宇宙」になるはずだという結論などがあります。 アインシュタイン自身は計算上導き出されたビッグバン宇宙やブラックホールの存在には否定的ではありましたが、 結局こうした理論から導き出された現象は、いずれも存在が実証されました。
Q3

重力波が解明されると、どんな事がこれからわかってくるのですか?なんだかワクワクします!!

重力波は光よりもずっと透過性が良い波とされ、これまで光では捉えられなかった現象の情報を得ることができます。たとえば、老いた星が一生を終えるときに起こる超新星爆発では爆発の光の表面はとらえることができますが、爆発内部の様子は分かりません。重力波はこうした爆発の内部を探る強力な手段となることが期待されています。また、直接観測されたことはない中性子星と呼ばれる星から出る重力波を調べることもできます。実は、地球上にある金や銀と言った重い元素が宇宙で生まれたメカニズムは分かっていませんが、中性子星がそれらを生んだ可能性が高く、重力波から重要な情報を得られることが期待されています。ほかにも番組でご紹介した、宇宙の最も初期に起こったとされる宇宙の爆発的な膨張、インフレーションの実証や、メカニズムの解明を行う初めての手段となるとみられています。爆発のメカニズムや原因などの詳細は様々な説がありますが、この疑問を解く手がかりになるとみられています。

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