今年1月にがんで亡くなった研究者・澤昭裕さんの選択が話題を呼んでいる。終末期において、最後の原稿を仕上げることを決意。医師や妻と治療方針を詳細に詰め、意識をなるべく明朗に保つために敢えて緩和ケアを抑制し、完成2日後に亡くなった。同様に、アルバム発表直後に亡くなったロックスター、デビッド・ボウイや、残される一人娘のためにみそ汁の作り方を伝えた母親など、それぞれのやり方で自分の最期を“生ききった”人々に改めて関心が集まっている。医療技術の進歩で治療の選択肢が広がり、患者自身が自らの命(時間)の使い方を主体的にマネジメント出来るようになる中で、「闘病」に対する意識が変わりつつあるのだ。国の最新の意識調査では、末期がんになった場合、「治療優先の医療」ではなく「生活や私欲を優先した医療」を選択するという回答が7割を超えた。国は新たに「QOD(死の質)」という概念を定義し、「自分らしい最期」をサポートする制度改革に舵を切り始めた。人生を最期まで豊かに過ごすとはどういうことか。自らもがんを公表している樹木希林さんをゲストに迎え、考える。
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