去年秋、大手介護事業者の老人ホームで入居高齢者の転落死・虐待などが表面化した。施設という「密室」内での高齢者虐待は、過去3年間で1500か所以上に上っているという。いま、介護施設の『第三者評価』の取り組みが始まっている。外部の調査機関が、スタッフのケア技術から経営内容まで100項目以上を客観的にチェック、「密室」を透明化し介護の質向上を目指すものだ。また、虐待の背景にある人員不足・育成の問題には、ケアのノウハウを情報学の手法を駆使して標準化するプロジェクトも始まっている。静岡大学ではベテランスタッフのケアを映像で可視化し、話しかけるタイミングやアイコンタクトの位置などを解析、「経験と勘」だけでない技術の伝授方法を探っている。その結果、丁寧なケアは時間がかかるが高齢者の問題行動が激減することで、かえって現場に余裕を生むこともわかってきた。見える化がもたらそうとしている「介護革命」の最前線を紹介する。
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