「化血研の薬剤不正製造」「東芝の不正会計」など、組織内で長年繰り返されてきた不正が、“内部告発”によって発覚する事件が相次いでいる。組織内部に隠れていた不正を表に出す内部告発は、国民の生命や利益を守り被害拡大を防止するための「公益通報」として、社会的意義が大きい。そのため、10年前に施行された「公益通報者保護法」では、通報を行った告発者に対し企業などが不利益を与えることを禁止している。ところが国の調査で、通報を理由に解雇や嫌がらせなどの不利益を受けたという人が、半数近くに上ることが明らかになった。背景にあるのは、この制度の脆弱さ。報復行為などに対し罰則がない上、通報を受ける窓口の整備も追いついていない。いま、全国の内部告発者からは、公益通報者保護法の見直しを求める声が高まっており、国も法律の改正を含めた見直しの検討を始めた。これまで光があてられることのなかった内部告発者たちの被害の実態を取材し、海外の取り組みと比較しながら、暮らしの安全や公益を守るためにあるべき仕組みについて考えていく。
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