クローズアップ現代

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No.36952015年8月3日(月)放送
もう会社には通わない ~在宅勤務“革命”~

もう会社には通わない ~在宅勤務“革命”~

もう会社には通わない 自宅で研究開発!

大阪市の中心部にある、家電製品などの開発に携わる企業です。
オフィスには社長以下2人しかいません。




「社員は2人?」

SiM24 社長 大木滋さん
「18名です。
そのうち16名は在宅勤務をやっております。」


開発の最前線を担うのは在宅勤務の女性たちです。
夫と2人の娘と暮らす、菅本陽子さんです。




菅本陽子さん(33)
「お客さまが多いので、緊張してたぬき寝入りをしてくれている。」




菅本さんが開発に取り組んでいるのは、電子部品の熱効率を計測するソフトウエアです。

菅本陽子さん(33)
「開発しているのは“発熱量測定装置”で、こうした電子基板上の目的の電子部品に、この空冷ファンをのせて、このファンの熱抵抗を変化させて、数点の濃度データを測定する事で、“電子部品の発熱量”を詳細に見ていくと。」

「すごい難しいですね。」

菅本陽子さん(33)
「すみません。」

菅本さんは、発注元の企業から製品の設計情報をネットで受け取り、自宅で効率性や安全性を解析。
結果を発注元に返しています。
パソコンの性能が向上し、インターネットで大容量データを簡単にやり取りできるようになったことで、自宅でも可能になったのです。
菅本さんは大学院を卒業したあと、大手電機メーカーの研究開発部門に勤務しました。
しかし、仕事の都合で夫と離れて暮らしていた菅本さん。
子どもが欲しいと、28歳のとき会社を辞めることにしました。
再就職後、前よりも給料は減りましたが、最先端の研究に関われることにやりがいを感じています。

菅本陽子さん(33)
「常に技術に触れさせてもらっていて、やりがいを持って取り組んでいます。
前向きに将来キャリアを検討できるので、精神的な支えにもなっています。」

この会社は、菅本さんのように高いスキルを持ちながら、一度は仕事を諦めた女性たちに支えられています。
設立から10年、大手電機メーカーなどからの発注も増え、成長を続けています。



SiM24 社長 大木滋さん
「優秀な人が子育てとかで辞めざるを得ない、もったいない話ですよね。
(在宅勤務は)非常に有効な手段だと思う。」

もう会社には通わない 管理職も在宅勤務

地方で在宅勤務をしながら、管理職として第一線で活躍している人もいます。
新潟県で暮らす植木和樹さんです。
実は、都内のIT企業の部長です。
植木さんのチームはインターネットを通じて企業のサーバーの運用・管理を行っています。

クラスメソッド 部長 植木和樹さん(38)
「お疲れさまです。」

クラスメソッド 部長 植木和樹さん(38)
「今月末までにお客さま納品なんですけれど、2日あれば終わると思うので。」

本社に出社するのは月に1度。
ふだん、部下とのやり取りはテレビ会議で行います。
チームのメンバーも愛知県や北海道など、さまざまな場所で在宅勤務しています。

クラスメソッド 部長 植木和樹さん(38)
「OKですか。」

“ハイ。”

部下は全部で15人。
直接、顔を合わすことがほとんどないため、頼りにしているのがチャットと呼ばれる社員専用の掲示板です。
何気ない雑談を交わすことで一体感が生まれるといいます。

クラスメソッド 部長 植木和樹さん(38)
「雑談が多いほうが、楽しくやってるんだなと。
反応がないほうが、もしかして煮詰まっているのではないか。」

かつては全国展開するIT企業で働いていた植木さん。
単身赴任が続いたため、家族のいる新潟でできる仕事を探したのです。
今の会社に転職して2年。
仕事を終えるとすぐに、息子たちとお風呂に入るのが日課となりました。

クラスメソッド 部長 植木和樹さん(38)
「これが本来あるべき姿だなと思う。
今まで単身赴任しか選択肢がなかったので、普通に家族と暮らしながら自分に合った仕事が見つけられるというのは増えていって欲しいですね。」

植木さんが勤める会社には、地方での在宅勤務を希望する人が次々入社しています。

社長
「この1年間で入社した人は?」

人材不足が深刻なIT業界にあって、この3年間で社員は倍増。
優秀な人材を獲得できたことで売り上げは2.6倍になりました。


クラスメソッド 管理部 部長 魚見賢太郎さん
「在宅勤務は福利厚生ではなく、“攻めの施策”です。
僕も私も参加したいなという形で、どんどん磁石のようにメンバーを集めてくる、そういう制度を目指していきたい。」

在宅勤務“革命” 地方再生も後押し

全国どこでも働ける在宅勤務。
地方自治体も注目しています。
その1つ、松山市です。
在宅で働きたいという女性たちと企業を結び付ける取り組みを始めています。

「東京の仕事を地方の松山で、なおかつ自宅でできる。」

在宅勤務は、企業誘致に頼ってきた地方自治体の在り方を変えるものとして急速に広まっています。
これまでは地方で仕事を増やそうとすると、工場や事業所を誘致するのが一般的でした。


しかし、在宅勤務ならば都市部から直接仕事を受注。
住民からの新たな税収も期待できます。
松山市は人材サービスの会社と提携。



人材サービス会社
「問い合わせが殺到している状態。」

在宅でできる仕事を紹介する専用のホームページも新設しました。


さらに、仕事を発注する企業には金額の10%を助成しています。
これまでに首都圏を中心に150社以上から発注がありました。



松山市 産業経済部 主任 太田公平さん
「勝つつもりでやってます。
松山市が推進している都市なんだと早く打ち出してアピールできたら。」

もう会社には通わない 在宅勤務“革命”

ゲスト青野慶久さん(IT企業サイボウズ社長)

●テレワーク・在宅勤務のポテンシャルは高い?

高いですね。
なんかみんな、楽しそうにやってましたね。
広がればと思います。

●眠った人材を掘り起こせる可能性、どう見る?

そうですね、先ほどのIT企業なんかは、もうIT業界は今、人手不足の流れが来てるんですけど、本当に先ほどみたいに働き方を柔軟にしていけば、人も集まる、業績も上がる、これが明確になってきたかなっていうのはこの1年実感してます。
(攻めの戦略と言う人もいたが?)
ブラック企業っていう非常にいやらしいことばがはやって、2013年に流行語大賞を取ったんですね。
それぐらい、去年(2014年)ぐらいからもう、そのブラックっていう印象がついてしまうと人が集まらないと。
とにかくホワイトにしていかないと、働き方を、多様化を認めていかないと、もう人は集まらないぞと。
経営者の意識もそっちに向かってる気がします。

●働いている人たちの満足度が高まったという顕著な数字も出ているが?

分かりやすいですよね。
本当に人の満足っていろんな形がありますけれども、通勤電車で汗かきながら、特に夏なんかね、大変な中、出勤することを思ったら満足度はずいぶん上がると思います。

●制度として会社で実施しているのはまだ1.7%だが?

少ないですよね。
(何が障害になっている?)
いくつかあると思うんですけど経営者の立場からしますとやっぱりリスクはあると思うんですね。
じゃあ在宅で働いたときに、この人本当に働くのかなと、さぼりやしないかなとか、もしくはセキュリティー上、なんか問題が出てくるんじゃないかなとか、いろいろモヤモヤすることがあって。
それを日本の経営者はそういう働き方をせずに、どっちかっていうと出社してくることで認められて昇進してきた、そういう人が経営者に多いですから、やっぱりここのリスクと、あとこの在宅のよさの理解の低さみたいなもの、ここがまだ導入の低さにつながってるんじゃないかと思います。

●さまざまな働き方をする人材を管理するうえで難しさもあるのでは?

そうですね。
逆に昔の昭和の大企業って、長時間労働当たり前で、しかも男性が当たり前で、朝9時に全員来るし夜も残業してくれるし、なんか無理を言っても転勤もしてくれるみたいな、こういう人が中心ですからマネジメントは楽ですよね。
もうとにかく、なんか目標に向かってゴーだ、みたいな。
目標に届かなければみんな夜まで頑張れみたいなね、そういうマネジメントだったと思うんですけども、もうさすがにこのやり方ではもう業績もついてこないですし、むしろ人が辞めていって、先ほどみたいにいい会社が出てきてますから転職してしまうと。
そうすると、一人一人のニーズをやっぱり把握しながらそれを満たしてあげるようなマネジメントをしないと、ちょっと会社の継続性にも難しさが出てくると、そんな時代になってきてる気がします。
(女性もずっと働き続けられる、介護している社員がいたらその人も働き続けられるようにするなど、いろんな人がいる?)
労働力が減ってますから、特に女性は、私はターゲットとしては非常にいいと思うんですよね。
女性が結婚しても子どもが出来ても気持ちよく働き続けられる環境であれば、この人手不足の時代でも労働力確保できると。
逆に、これができないと辞めざるをえないと。
介護になれば、その人をもうリリースするしかないと、そんなリスクが出てきているように思います。
(いろんな人たちが交じり合った組織のほうが競争力も高い?)
そうですね。
さすがに金太郎あめ的な働き方で、やっぱ新しい発想が出てこないですよね。
例えばお菓子を作っていますと、スーパーでお菓子選びをしたこともない、なんかもう長時間労働当たり前の男性しかいないのに、なかなかニーズを理解して指示出すことは難しいですよね。
やっぱいろんな人がいていろんな意見を出すからこそ、現代の多様なニーズが拾えるんじゃないかと思います。

在宅とチームワーク どう両立?

打ち合わせや対面での業務が多い会社で、どうすれば在宅勤務ができるのか。
社員およそ1,200人、結婚情報誌などを発行する情報サービス会社です。
在宅勤務によって業務を効率化できないかと、今年(2015年)から思い切った取り組みを行っています。

「原則、週2日の出社、3日のリモート(在宅勤務など)という環境でやってみよう。」

一定期間、チーム全員が会社に来るのは週に2日だけと決めたのです。

「不安ですか?」

「不安しかないよ。」


取り引き先を回り、雑誌の紙面やホームページの企画を担当する大崎理恵子さんです。
以前、育児のために在宅勤務を利用したことがありますが、ほかのメンバーとのコミュニケーションの難しさが壁となっていました。



今回、大崎さんのチームでは、メンバーが互いの状況を把握することを最優先にしました。
全員が1日のスケジュールを共有。
外回りの営業の予定など、情報を細かく伝えます。



取り引き先からの急な問い合わせがあっても、ほかのメンバーの状況を確認し、すぐにテレビ会議などで対応できます。





リクルートマーケティングパートナーズ
ブライダル事業本部 大崎理恵子さん(35)
「みんながやっていることが分かる。
そういう意味では置いていかれている感や不安感はすごく少なくなる。」


営業を終えたあとは、そのまま出先で資料を作成しテレビ会議にも参加。
職場と行き来する時間を大幅に削減することができました。
これまでに参加した社員は300人。
その6割が、より効率的に仕事ができるようになったとしています。

リクルートマーケティングパートナーズ
人事統括部 岡理恵子さん
「一番大きな目的は、全従業員の生産性をより上げていく。
リモートワーク(在宅勤務など)自体が機能するということが分かった。
成功だと捉えています。」

家での勤務 どう“見える化”

在宅勤務導入のもう1つの壁は、働いている時間を把握しにくいことです。
都内にあるインターネット通販関連の会社です。
在宅のスタッフがちゃんと仕事をしているのか、逆に働き過ぎていないか、実態が見えにくいといいます。


コマースデザイン 代表取締役 坂本悟史さん
「在宅で仕事をしている人は、テレビを見てソファで寝ていても、一生懸命仕事をしていても、こちらからは見えない。」



そこで、この会社は新たなシステムを導入しました。
熊本県の自宅で働くこちらの女性。
通販サイトの制作を行っています。



仕事を中断するときは退席をクリック。
席に戻ったら着席をクリック。
仕事を再開します。



突然の雨で洗濯物を取り込むときも、このボタンを押します。





これによって、東京の本社では実際に働いた時間を確認することができます。
青い部分が着席中の時間。
働いた時間が一目で分かります。
さらに、仕事中のパソコン画面が定期的に保存され、上司が見ることができます。

米満孝予さん(42)
「やっぱり自分はズルはしていないし、向こうに見てくれる相手がいる安心感と、逆にモチベーションを保てる、いい緊張感を持てるツールだと思います。」


コマースデザイン 代表取締役 坂本悟史さん
「特に子どもがいる人は、席をはずしたりするケースがすごく多い。
そこが『見える化』されることで、会社も安心して仕事をお願いできる。」

もう会社には通わない 在宅勤務“革命”

●疎外感や情報セキュリティーの問題など、どうやって克服する?

そうですね。
結構、やってみるといろいろおもしろいことがあって、その管理者の人は在宅の人が働いているかどうか心配だし、在宅の人はちゃんと見てもらってるんだろうかとか逆に緊張感があったりとかなので、こういうのは出てくるたびに課題設定してやっていくしかないと思うんですよ。
先ほどのビデオの例だと、「私、今から開店します」みたいなこと書いて、私今から働きますよと、だから話かけてくださいねみたいな、ああいうの、ひと言書くだけでも実は遠隔でも、あっあの人今からパソコンに向かって頑張るんだわ、みたいな想像もできたりしてぐっと距離が縮まると。
全部の企業がそうする必要はないんですけど、なんか問題があれば一個一個個別に対処していくと。
こんなサイクルに入れるのが成功のこつじゃないかなと思います。

●サイボウズでは在宅と会社に通う人、どうやって評価を公平にしたり、会社の人たちに自分は公平に見てもらっているということを納得させる?

これやってると本当に難しくて、毎日在宅する人もいますし、週1回だけ在宅する人もいますし、時間をシフトさせて働く人もいますし、もう社員どうしを比較させるというのが相当難しくなってきます。
私たちが行き着いた答えとしては、公平じゃなくてもいいやと。
社員どうしを比較して給与テーブルに位置づけるみたいなことをやめようと。
この人はこういう人だから、大体転職したらいくらぐらいですよねと、「市場性」って呼んでるんですけど、その市場性に任せて給与を決めていくと。
それに納得して残ってもらえるかどうか、その社員どうしで同じようなルールで比較することはやらないと、それが私たちが行き着いた結論ではあります。
(給与テーブル、ランク付けがあった?)
やってましたね。
日本の大企業と同じような仕組みを入れてたんですけども、もう今は廃止しましたね。
(あの人が休んでいるから私の仕事が増えた、というようなクレームもあった?) 最初はママさんだけ優遇されてみたいな話もあったんですけど、じゃあ残ったあなたはどんな働き方をしたいんですか?何を報酬として得たいんですか?お金ですか?それとも人入れて仕事を減らしてほしいですか?
そういうのを一個一個聞きながら対処していくと。
そうすると、その人のやりがい・モチベーションも上がっていく。
本当に個別。
先ほどの図にありましたけれども、一人一人全くブロックの形が違うので、個別が大事だとそう思います。

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