薬の多剤処方による影響で、深刻な健康被害に苦しむ高齢者が後を絶たない。十種類以上の薬を処方され、副作用で記憶力が低下し認知症と誤診されたり、適切に服用できず昏睡状態に陥ったりするケースが続出。5つの大学病院の調査では、高齢者入院のおよそ1割が薬による有害作用だという。さらに最近の調査では、飲み残しなどの“残薬”を知らずに、新たな薬が追加され、深刻な副作用を引き起こしている実態が明らかになった。高齢者がどのように薬を飲んでいるかを把握しないまま、投薬が先行する医療体制の問題が指摘されている。“残薬”は、在宅の高齢者だけで500億円に迫るとみられ、国も本格的に体制を見直す検討を始めた。高齢者の健康を守りながら、無駄な薬を減らすにはどうすべきか。知られざる“残薬”の被害に苦しむ患者の実態に迫るととともに、地域ぐるみで減薬に取り組む医師や薬剤師たちの模索を追い、対策を考える。
みんなのコメント