クローズアップ現代

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No.36392015年4月13日(月)放送
ついに発見!? 地球外生命に挑む科学者たち

ついに発見!? 地球外生命に挑む科学者たち

“氷の星”に生命!? 土星・エンケラドスで大発見

地球からおよそ13億キロ離れた場所にある土星。
その衛星の1つ、エンケラドスは、太陽からあまりに遠いため全体が分厚い氷に覆われています。
長年、生命の生存に必要な熱も水も確認されておらず、生命が存在できるとは考えられていませんでした。

ところが2005年、NASAの探査機が不思議な現象の撮影に成功します。
エンケラドスの南極付近から氷の粒子が噴き出していたのです。
その高さは、表面から100キメートル以上にも及んでいました。
画像を解析したキャロリン・ポルコさんです。

土星探査機画像チームリーダー キャロリン・ポルコさん
「表面から氷の粒子が噴水のように噴き出すさまは、すばらしく壮観でした。



ひょっとするとエンケラドスの内部には熱が存在し氷がとけ出しているのではないか。
その証拠を探るため、NASAは探査機を噴出物の中に突入させ、繰り返し分析を行いました。


その結果2010年には、「シリカ」という宇宙空間にはほとんど存在しない水晶の成分が見つかりました。
しかし、探査に携わった海外の科学者たちは、シリカがどのように出来たのか解き明かすことができません。
そこで重要な役割を果たしたのが日本で深い海の研究を行ってきた科学者たちです。

日本は30年近くにわたり有人潜水艇で熱水調査を続けてきました。
高温・高圧の過酷な環境に、多様な生命が息づいていることを明らかにしてきたのです。


その経験を生かしてシリカの謎に挑んだのが、関根康人さんと渋谷岳造さんです。




シリカは深海の熱水のような環境で出来るのではないかと考え、再現実験を行うことにしました。




用意したのは、エンケラドスの主要な成分とされる2種類の岩石。
これを圧力容器に入れて高温で熱します。




3年にわたる実験の結果、探査機が捉えたのと同じシリカの微粒子を作り出すことに成功。




氷の下には海が存在し、海底から100度近い熱水が噴き出していることを実験から証明したのです。
生命に欠かせない熱、水がそろった地球以外の初めての天体となりました。


東京大学 准教授 関根康人さん
「海の中で起きている出来事というのは、同じことが宇宙で起きている可能性がある。
生命か、あるいは生命に非常に近いような機能を持った、ある種の生物みたいなものがいてもおかしくないんじゃないかと思っています。」

凍りついていると思われていた天体に、なぜ熱水があるのか。
その理由は、エンケラドスの外側を回るもう1つの衛星にあります。
エンケラドスは、土星ともう1つの衛星とが一列に並んだとき、その引力に引っ張られ形が細長くひずみます。

このとき内部では摩擦が発生し、熱が生み出されます。
この熱が氷をとかし、表面から噴き出すと考えられているのです。

可能性広がる 生命探査の最前線

今回の発見によって、エンケラドス以外にも地球外生命が存在する可能性が一気に広がりました。




木星の衛星、エウロパやガニメデでも豊かな水が存在する兆候が見つかっているのです。
先週、NASAは木星や土星の衛星で本格的な生命探査に乗り出すことを宣言しました。


NASAチーフサイエンティスト エレン・ストファンさん
「10年以内には『地球外生命』の兆候が見つかり、近い将来、確かな証拠をつかめると思う。」

“氷の星”に生命!? 土星・エンケラドスで大発見

ゲスト高井研さん(海洋研究開発機構)

●この発見のインパクトの大きさや意義、どう捉える?

NASAの探査機・カッシーニというのが、噴出の中を通って、そこに何が噴出しているかというのを調べて、これまでのところ、水、そして塩ですね、有機物っていうようなものが噴出の中にあるということが、いろんな状況証拠、あるいは間接的な証拠で見つかってきたと。
それを噴出させるために、恐らく熱がかかって熱水がないと難しいぞというのは分かっていたんですが、さてさてその熱水が、過去の熱水の残り湯として出てきたのか、あるいは今なお、あのエンケラドスの氷の下で熱水は噴いてて、その勢いで上がってきてるかというのは分かりませんでした。
今回の研究によって、シリカというものを作り出すには、今、熱水があそこで起きていないと作れないということが分かったので、まず今現在、エンケラドスの氷の下で熱水活動が続いているということが、初めて明らかになりました。
これが大きな1つのインパクトですね。

●生き物がいる条件がそろったということ?

そうですね。
その完全なる証拠が出そろって、熱水が噴いているということが分かったんですが、もう1つ重要な発見というのは、その熱水がどのような特性を持っているかというところまで迫ることができました。
例えば論文では、90度以上の熱水が噴いてるに違いないとか、アルカリ性であるとか、あるいは岩石がこうであるとか、そういうのが書かれてるんですが、実際にあそこに噴いている熱水の性質が非常にこれまでにない精度で明らかになってきたので、実はこういう熱水が噴けばこういう生物がいるんじゃないかというところまで、われわれは予想することができるようになったと。
そういう意味で、今回の発見というのは非常に大きな成果があったと、意義があったと言えると思います。

●どんな生命がいると考えられる?

僕はどちらかというと、いて当たり前だろうと、いるに違いないというタイプなので、あくまで生命がいるという前提に立って話をしてしまいますけれども、まず生命がいるためには、あの熱水活動が結構長い期間続いてないといけないということをおさえないといけないんですが、エンケラドスの中でああいう熱水活動が、40億年近い歴史の中で何回も何回も起きてずっと続いたと仮定をするならば、われわれのような大きな生物、目で見えるような生物まではなかなか進化ができないんですが、エンケラドスの内部の熱エネルギーで生きていけるような、もうそれは今の地球の深海の熱水の周りにいるような、暗黒の生命たちがいるんですけど、そういう生命とよく似た生命が今なおエンケラドスの氷の下で生きているという可能性が見えてきたということだと思います。
(地球が進化する前の状態に近い?)
そうですね。
実は地球っていうのは、40億年前に海がほとんど出来てから40億年間、熱水が続いてて、その間に生命が誕生して、進化して、そして途中から太陽の光を使えるような生命が出てきてから、地球っていうのは生命によっても変えられてしまっています。
ですので、今の地球に、例えば古い時代の熱水というのはなかなか残っていないんですが、われわれが想像している非常に古い時代の熱水というのは、実はあのエンケラドスの氷の下で起きている熱水に近いんじゃないかというふうに考えていて、ある意味、もうわれわれが見ること、直接見ることのできない古い時代の地球を今、エンケラドスで見ることができるかもしれないし、あるいはわれわれが今なかなか見えない、非常に古い時代の地球に誕生したような生命体があのエンケラドスの氷の下に生きている可能性があると。
(早く行って何かをつかみたくなる?)
もちろん。

●探査計画はかなりある?

いや、現在のところ、本当に行けますよというような探査計画というのは、提案は出てるんですけど、まだ本当にちゃんとした議論の場には乗っかっていなくて、われわれとしてもぜひやりたいと思ってまして、アメリカとか日本からそういう提案が出てるんですけれども、本当にエンケラドスの今回の発見によって、そこに今なお現在、熱水が噴いていて、そしてそれが支えている生命がいる可能性が非常に強くなったので、今の段階でエンケラドスというのは、われわれが地球以外の生命を探す最も可能性の高い、これは生命がいることが可能性が高いという意味ではなくて、われわれが探すのに一番適した可能性の高い星ではないかというふうに考えられると思います。

●ヨーロッパの宇宙機構も木星の衛星への探査計画がある こうした衛星にも熱水がある可能性が?

もちろん、今回はエンケラドスというのは噴水みたいなものが見えて、実際、熱水が噴いてて、一番熱水があるということが確実視されている衛星ですけれども、そのほかの探査によって、もう少し大きな氷の衛星であるエウロパとかガニメデにも、エンケラドスと同様の内部の海というのがあると考えられていまして、確かに宇宙空間に噴出してるのはなかなか確認はできないんですけれども、恐らく同様の、そして少し違った内部の海があるんではないかというふうに考えて、いろんな方々がそこを調査しようという計画を立てています。

地球外生命を探せ 日本の技術がカギ

ヨーロッパを中心に22か国が参加しているESA・欧州宇宙機関です。
実はESAでも地球外生命の発見を目指し7年後をめどに木星に向けて探査機を打ち上げる予定です。


この探査計画で大きな期待を寄せられているのが、実は日本の電波観測の技術です。




マックスプランク研究所 ポール・ハルタフさん
「日本の(観測技術の)すばらしい実績を、是非とも木星系探査チームに生かしたいと思っています。」



起伏に富んだ地形の日本では、標高の高さや気象条件などが過酷な環境でも、複数の電波システムを組み合わせることで必要な情報だけを送受信する技術が培われてきました。
激しい温度変化が想定される宇宙空間でも、天体からの微弱な電波を正しく受信し、精度の高いデータを取ることが不可欠です。
そのため今回の探査では、日本の持ち前の電波技術を生かし、天体の表面や大気にある微量の分子を観測。
生命が生息できる環境を探し当てたいと考えています。

情報通信研究機構 笠井康子さん
「山があっても電波を飛ばす技術、電波を受ける技術、感度を上げるとか、そういうものを特殊な状況下で日本独特の開発をしてきた。
いろんな技術の集合でパッとできてしまうのが、日本の技術の強みだと思う。」

探査機に搭載される各国の機器は、実に11種類。
中でもプロジェクトの成否を分けるのが、日本の観測機器です。
この性能を落とさずにいかにして軽量化できるか、調整が続けられています。


一方で、宇宙空間の微生物を直接採取しようという日本独自のプロジェクトも動きだしています。




生命科学者の山岸明彦さんです。
山岸さんは宇宙空間に漂うちりに注目し、生命の起源に迫ろうと考えています。



これまでの宇宙探査は遠くから天体を観測し、データを解析することが主流でした。
しかし山岸さんたちは、宇宙空間にあるちりを直接採取し、その中にある有機物を持ち帰って分析することで、生命がどこから来たのかを確かめたいと考えています。

東京薬科大学生命科学部教授 山岸明彦さん
「例えば、宇宙から来た微粒子の中に有機物があるということになれば、地球で生命が誕生する前に宇宙から有機物が来たことが確かになってくる。」


たんぽぽの綿毛のように宇宙空間を漂うちりを採取する、その名も「たんぽぽ計画」。
しかし、課題があります。
採取する宇宙のちりはピストルの弾よりも速い秒速8キロ。
このスピードの衝撃にも耐え、かつ、ちりの微粒子を壊さずに採取できる素材が不可欠です。

この難題を解決したのは、全く異なる分野の科学者でした。
山岸さんが探し当てたのが、千葉大学で物理学を研究する田端誠さんです。



注目したのは、田端さんだけが作り出せるという、ある素材でした。
その不思議な見栄えから、「凍った煙」とも呼ばれる「エアロゲル」。


体積の9割以上が空気で占められていて極めてクッション機能が高い素材です。
物質の衝突実験を専門的に研究してきた田端さん。



独自の技術を駆使し、6年がかりで、2種類のエアロゲルを組み合わせた新素材の開発に成功しました。




宇宙空間を想定した衝突実験を繰り返した結果…。
エアロゲルは撃ち込まれた有機物を柔らかく包み込み、分子を壊さずに回収できることが裏付けられました。

東京薬科大学生命科学部教授 山岸明彦さん
「一番すごい(エアロゲル)を作れる人がいたっていうのはラッキー。
これがなかったら、たんぽぽ(計画)は実現しなかった。
技術がないと知りたいことが分からない。
科学には技術がものすごい重要。」

いよいよ明日(14日)、このエアロゲルを搭載したロケットが打ち上がる予定です。
山岸さんはこの日本発の技術を、将来、地球外生命を探査する要にしたいと考えています。

ロマン広がる 地球外生命との出会い

●エアロゲルが何を捕まえて帰ってくるか期待されるが?

そうですね、宇宙に漂うちりから有機物を見つけたり、あるいはもしかして、ひょっこり宇宙にいる微生物を捕獲できれば非常に大きな成功になると思います。

●さまざまな分野の人たちがコラボしながら進んでいる?

そうですね、やはり人の行けない所に行って、非常に最先端のことをやろうとすると、いろんな技術、いろんな分野の研究者の力を結集してやらないと、なかなか達成できないので、そういう意味では、本当に最先端のことをやろうとするわれわれのこの宇宙探査というのは、そういうコラボレーションで成り立っているなというのが分かっていただけるかなと思います。

●これからどんな発見を期待する?

まず、地球外生命を見つけることっていうのは、もう2600年のこの歴史を持つ科学の究極のゴールの1つであるということなんですが、実はこれはゴールではなくて、これから実は、われわれがどうしてこの地球に生まれたかというところまで探っていく、いわば急がば回れの近道なんですね。
そういう意味では、宇宙に生命を見つけることもすごく重要なことなんですけど、それによって、われわれがこの地球でどのように誕生したのかというところに迫れるんじゃないかと思います。
1つ言うならば、もし、同じ宇宙で、同じ生命のシステムが同時に誕生していたならば…。
(例えば土星の衛星、木星の衛星、それぞれでいたとしたら?)
もし同じだったら、われわれのシステムっていうのは、ある意味、必然のプロセス。
ところが、もしわれわれがこの太陽系で別々の生命が誕生していたならば…。
(プロセスが違っていたら?)
違っていたら、実は宇宙で生命が存在する、誕生するシステムにも多様性があって、その中でそれぞれの環境に適した生命が選択されたというシナリオが見えてくる。
そうすれば、われわれがどのようにこの地球で誕生したかというところにまで迫ることができるんではないかなという気がします。
(全く新しい時代が始まろうとしている?)
それがもうこの10年以内に誕生するんじゃないかというのが、すごくわくわくしますね。

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