16歳の少女が通信アプリ・ラインでつながった同世代の少年少女に殺害された「広島強盗殺人事件」。去年秋、主犯格の少女に1審判決が下された。残忍な犯行に酌量余地はないものの、幼少期の「愛着不形成」の影響が大きいことなどが加味され、求刑より減刑となり、注目された。いま、幼少期に周囲との信頼関係が育まれない「愛着不形成」に関する研究が進んでいる。脳の特定部位が萎縮を起こす、自己の行動抑制ができなくなるなど、「精神症状」や犯罪行動につながるメカニズムを解き明かそうというのだ。さらに愛着形成に失敗した少年たちの更正や回復をどうするかの研究も始まっている。福井大学病院では、愛着形成と関わりの深いホルモンを投与することで、脳へ働きかけ、治療につなげようという取り組みが行われている。一度生じた「愛着不形成」の克服には時間がかかる。広島の強盗殺人の主犯格の少女も、母親との手紙のやりとりなどを通じて、親子関係修復への第一歩を踏み出そうとしている。子どもたちの「愛着形成」を、社会全体で支えていく仕組みを考える。
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