全国の刑務所で入所受刑者の高齢化が加速している。65歳以上の受刑者は20年前の5倍、2200人に上っている。そのうちの7割が何らかの病気にかかっており、柔らかい食事の提供など介護施設のような対応が必要だ。重症化した受刑者を頻繁に外部医療機関に移送するため、保安職員の配置が必要となり、通常の業務に支障が出ている。問題の根にあるのは、高齢者の多くが社会的に孤立し、出所しても犯罪を繰り返してしまっていることだ。犯罪グループによって振り込め詐欺に加わるよう誘い込まれているケースもある。こうした事態を食い止めようと、司法が取り組みを強めている。検察は身寄りのない高齢者を起訴猶予にして福祉施設に橋渡しする支援などを始めた。さらに出所後の高齢者を地域の支援機関に引き合わせる仕組みも動き出している。居場所を作り、社会的孤立から犯罪に走る根っこを断つ試み。増え続ける高齢者犯罪の問題を考える。
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