イラクやシリアで勢力を拡大するイスラム過激派組織「イスラム国」。ソーシャルメディアを駆使し、欧米の若者を次々と勧誘、戦闘員に加わらせている。さらに今月、日本人まで「イスラム国」に参加しようとした動きが明らかになるなど、国内外で大きな衝撃が広がっている。いま、国際社会の懸念は、イスラム国に加わった若者たちがイラクやシリアから本国に帰り、大規模なテロを引き起こすのではないかということだ。なぜ若者たちは「イスラム国」に引き寄せられているのか。私たちは、アメリカでの勧誘活動に関わり、起訴された男の捜査資料を入手した。そこからは、ツイッターやユーチューブ映像などを巧妙に使いながら、若者たちの心の隙間に入り込み、次第にイスラム国の戦闘員に加わらせる手口の詳細が浮かび上がってきた。アメリカ、ヨーロッパ、中東での取材を積み重ねる中で、「イスラム国」勢力拡大の背景を探るとともに、欧米で始まった監視網強化の動きや若者が過激な思想に染まらないようにするカウンセリングの取り組みなどを追い、再びテロの脅威にさらされ始めた各国の苦悩を描く。
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