クローズアップ現代

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No.34572014年1月23日(木)放送
子どもに会えない父親たち ~どう築く 離婚・別居後の関係~

子どもに会えない父親たち ~どう築く 離婚・別居後の関係~

離婚・別居… 子に会えない父親たち

3年前から九州で開かれている子どもに会えない親たちの集まりです。
別れて暮らす子どもとどう関わっていけばいいのか毎月一度、話し合っています。

参加者
「丸2年は会えてなかった。
この6年間の間で会えたのはわずか3回なんですよ。」

参加者のほとんどは、父親たちです。

参加者
「ごはんも食べられなかったので、1週間で6~7キロやせまして、職場でも立っているのが精いっぱいの状態。」




参加者
「一切(子どもに)近づくこともできない。
『会わせてくれ』と連絡さえできない状態で、毎日が気が狂いそうな感じ。」

“子どもに会えない” 告白 そのとき父親は

子どもと別れたあと、父親の心理はどう変わっていくのか。
妻が子どもを連れて出ていき、1年近く会えていないという30代の男性です。

30代の男性
「ベビーカーも置いてありますし、子どもの遊んでいた遊具も当時のままですね。」

会社勤めをしている男性は、パートで働く妻と共に小学校と保育園に通う2人の子どもを育ててきました。
子どもができてからは、余暇のほとんどを育児に充ててきたという男性。
一緒に遊びに出かけたり、料理を作ってあげたりするなど、子どもと過ごす時間が心の支えだったといいます。

30代の男性
「私はすごい頑固なところがあって、自分の悪いところが似た瞬間、もう本当にかわいくなりますね。
なんでこんなところ似ちゃうんだろうなって。
でも、俺の子なんだなって。
かわいいですもん。」

男性の生活が変わったのは、去年(2013年)3月。
夜遅く仕事から帰ると、妻と子どもたちの姿がありませんでした。
妻の両親に電話をすると、実家に戻っていたことが分かりました。
その後、妻からメールで離婚を切り出された男性。
思い当たることがありました。
妻のことを無視したり、子どもの前でけんかをしたりすることが重なっていたのです。

30代の男性
「大声で夜、どなり合ったことはありますね。
下の子が一生懸命、手をあげて、僕の方を向いて『お父さんやめて』って。
不仲な状況がずっと続いてて、自分の思い通りにならなかったときに、僕は無視という行為を選んでしまった。
相手が謝ってくれるまで話さないと。
妻は僕といるときは、常に苦しかったんだと思うんです。」

離婚を切り出された男性はわれを忘れ妻の実家に駆けつけました。
帰ってきてほしいと頼むはずが、妻を責めてしまったといいます。

30代の男性
「『恨む』とか『なんでだ』とか喪失感とか、自分が自分じゃない状況でいたので、『ごめん』なんて言葉は出てこなくて、『なんでだ』って。」

その後、一度は帰ろうとしましたが、諦めきれず再び妻の実家へと引き返しました。
しかし今度は、妻の両親が間に立ち、子どもにも会うことができませんでした。
最後は、玄関先で大声を出してしまったといいます。

30代の男性
「やっぱり『わが子に会いたい』って。
わが子に会いたい、会いたい、どうしても会いたい、離れたくない。
ただ、がむしゃらに会いに行きましたね。
どうにもならないから行っちゃった。」

男性は、このときは引き下がりました。
しかし、その4か月後、下の子の誕生日を祝いたいと再び妻に会いに行くと連絡しました。
妻は手紙で2度と来ないでほしいと伝えてきました。
それでも男性は会いに行くことにしました。

30代の男性
「冷静になれなんて無理な話なんです。
当時の自分にそう諭しても、そんなの無理ですね。
ストーカーになりかねない。
ストーカーという判断じゃなかったとしても、その種に近い状況にあったわけで。」

そんな男性に、自分の行動がおかしいと気付かせたのは、実の母親からのひと言でした。

30代の男性
「母が『やめなさい』と。
恐ろしい、怖いって思ってるかもしれないって。
そういうことを考えた時に、会いに行くのやめようって思って。
少なくとも僕からは距離をとらないと、彼女(妻)は冷静になれないし、苦しいだろうからって思うように今はなりました。」

去年12月、男性は子どもたちにクリスマスプレゼントを買いました。
しかし、このときは妻に連絡せず贈ることを思いとどまりました。

30代の男性
「いつか『プレゼントほしい』とか、『会いたい』と言ったときに渡せばいいかなって。」

男性は、いつか妻と子どもたちに会える日が来ると連絡を待ち続けています。

離婚・別居… 子に会えない父親たち

ゲスト棚村政行さん(早稲田大学教授)

●“子どもに会えない” 父親の心理は?

まずは基本的な少子化ということで、子どもの数が非常に少なくなってきて、しかも、昔は、夫はとにかく外で仕事、それから妻は家事、育児、こういう役割分業みたいなことが、はっきりしていましたけれども、最近はやっぱり、共稼ぎというのが増えて、お父さんもかなり家事、育児に参加をしてくると。
そういう中で、お父さんの場合は、仕事とか、友人とか、そういうことによほど、そういう中でつながり持ってないと、お子さんとか、やっぱり家族が支えで、掛けがえのない子どもっていうんで、子どもにかなり関わろうとしてるのに、お母さんと仲が悪くなると縁が切れてしまうと、孤立化しやすい、精神的にも社会的にも結構、追い詰められやすい状況が生まれています。
(男は地域からも孤立しやすいですから。)
そうですね。
そういう意味ではやっぱり、お子さんを通して、お母さんを通してつながっているということが多いですね。

●離婚・別居後の母親の心理は?

やはり先ほどのVTRであったように、言葉とか、態度でもって、相手を追い詰めていると、それに今、お父さん自身が気付いてなくて、そういうものや、夫婦のいさかいから、子どもを守りたいと、安全・安心した環境を確保したいというような逃げる思いで、本当にそういう行動にやっぱりお母さんも、なりやすいというのが言えることだと思います。

●離婚・別居後の親子 面会のルールは?

面会交流については、民法の766条というのに規定が設けられて明記されてるんですね。
つまり、子どもと暮らしてない親が、定期的に子どもと会うということを制度的に認めているものですね。
(まずは当事者間の話し合い?)
はい。
当事者の話し合いが円滑に進めばいいんですけども、それがうまくいかないということになると、家庭裁判所に間に入っていただいて、それで家庭裁判所の調停で決める、話し合いで決める。
(それでうまくいかなければ審判?)
そうですね。
裁判官が子どもの福祉ということを考えて、子どもの利益になるように、面会の回数とか、方法とか条件を定めるということになります。
(子どもの幸せにつながるか?)
そうですね。
大体3分の1ぐらい、3割ぐらいの人たちは、自分たちで決めて、自分たちで実現をできてるんですけども、なかなか調停で決まったり、審判で決まっても、実現がされないというのは6、7割あると。
うまく自分たちでは、その内容を守れないとか、実現できないケースが結構あります。

どう進める 親子の“面会交流”

会わせるつもりのなかった父親に、子どもを面会させようと考えるようになった母親がいます。
小学校に通う娘を持つ40代の女性です。

40代の女性
「子どもが生まれたときの写真です。」

別れた夫は、かつて娘を虐待したことがあったため、さらなる危害が及ぶことを恐れて会わせないでいました。
ところが離婚して半年、娘に異変が現れました。
学校で、友達とけんかが多くなったり、遊んでいるさなかに、不安な心の内が現れるようになったのです。

40代の女性
「例えばお人形で遊んでいて、誰かが怒ったとか家族がバラバラになったとか、急に人を傷つけるサメがやってきたりとか、家庭の中のいざこざが再現されたり、子どもの精神的な面ですごく心配なことが出てきた。」

娘はさらに、お父さんに会いたいと頻繁に口にするようになりました。
娘の変化を心配した女性。
夫が虐待の心理カウンセリングを受けることを条件に、自分が付き添った上で面会させることにしました。
月に1回、2時間の面会。
次第に、娘の異変は見られなくなったといいます。

40代の女性
「会いたいときに会いたいって言えば会えるんだよって子どもに伝えるために会わせて、子どもは安心、会えない不安は今なくなりました。
面会をする必要性を考えるようになりました。」

“面会の取り決めを” 行政が支援

親と子の面会を進めていくための模索を始めた自治体があります。

職員
「離婚届と一緒に提出していただくことを考えております。」


兵庫県明石市では、来年度から夫婦が離婚届を出す際に、面会などについての計画を任意で提出してもらうことを検討しています。
今、離婚の際に面会の取り決めを行っているという夫婦は57%にとどまっています。


新たに取り決めることを検討している内容。
それは、どのくらいの頻度で面会するか。
そして場所や連絡手段。
定期的に面会を行うための決まり事です。


明石市 政策部 藤本一郎次長
「面会交流は子どもの権利なので、子どもの立場からも非常に重要であると。
離婚の際にはきっちり取り決めされるように、市としても支援していきたい。」


こうした事前の取り決めを、子どもに会えなくなった親たちはどのように受け止めるのか。

「皆さんにご意見頂きたいと思いまして。」

離婚裁判中 2人の子どもと別居
「取り決めについて無関心だったり、意識が低かったりしていると思うんですけど、『こういうことを決めなきゃならないんだ』と思うきっかけ作り。」

離婚裁判中 子どもと別居
「離婚する際に『子どもに会わせないといけない』と認識できる文面なので非常にいい。」

取り決めについて評価する一方で、夫婦がそれを話し合うこと自体が難しいという声も上がりました。

離婚裁判中 子どもと別居
「夫婦間の信頼関係が崩れているので、話し合うというのは難しいと思う。」




息子が離婚裁判 孫に会えず
「親の葛藤が前面に出てしまって、子どもが置き去りにされている。
(息子夫婦は)傷つけ合いが加速されて、子どものことまで考えつかない状態になってきた。」

夫婦は、自分たちが別れることばかりに気を取られ、子どものために話し合うという意識が薄れがちになることが分かってきました。

“子どものために” 面会への歩み

離婚したあと、自らの意識を変えたことで、面会が許された父親がいます。
5歳の娘を持つ40代の男性です。
元妻が、娘を連れて出ていったころは、相手を責めるメールを送っていました。

40代の男性
「『子どもを強奪するために勝手に関係を破壊して』とか。
あと、『本当に身勝手なことばかり言いますね』とかですね。」

その後、男性は実の母親の助言を受けたことなどで、元妻を責めるのは子どものためにならないと気付くことができたといいます。

40代の男性
「子どもにとっての母親なので、そこを忘れないことですよね。
単純に『にくたらしい』という気持ちを持っていてもしょうかない。」

男性は元妻を気遣うメールを送ることができるようになり、子どものことをメールで話し合えるようになりました。
その後、裁判所が週に2回の面会を認め、元妻は、それに応じました。

40代の男性
「これが3年数か月ぶりに(娘が)私のうちに来たときの映像です。
すぐになじんでくれたので、本当にほっとしたのを思い出します。
子どもを悲しい気持ちにさせたりすることがないように、お互いが子どもの方だけを向いて頑張っていきたい。」

親子の“面会交流” どう進めるべきか

●子どもとの面会 まだ少数派だということだが?

そうですね。
(もし当事者どうしの話し合いがこじれた場合は?)
ですから、まずは最初の段階で、やっぱりガイダンスとか教育というのが必要なんですけども、そのあと、やっぱりきちっと困難な人たちのためのペアレンティング・コーディネーターみたいな形で。
海外ではやはり専門家がきちっと関与して、合意やルール作りを行うということの支援があるわけですね。
(第三者がしっかりとしたサポートとして入る?)
そうですね。
そして、取り決めたり、やったことも、お子さんのためになるように、関係機関が連携して、支援をすると、こういう3段階でもって、制度や支援の在り方を整えているということなんです。
(あくまでも子どもの幸せを第一に考えるという視点がある?)
そうですね。
大人の問題、大人の対立から、子どものためにどうやって2人が、両親が協力していくか、そういうことの支援をしているわけです。

●親子の“面会交流” 海外では?

ですから、最初に面会交流とか、それから養育費とか、お子さんの問題について、どんなことが大切なのかと。
で、そういうことのルール作りとか、ガイドラインみたいなものを、しっかり当事者たちに認識してもらって、取り決めをすると。
取り決めをしたことが確実に守られるように、自治体を含めて民間の機関とか、裁判所とか、いろんな所が協力をしながら、当事者を、なんていうんですかね、子どものために約束を守れるように支援をするという形になっています。

●日本と海外で離婚事情が違う?

そうですね。
要するに、協議離婚というような簡単な制度ではなくて、お子さんがいれば、お子さんのことをしっかり決めて、責任を持って実現できるような形の取り決めを支えるということになってます。
(そのためにプランをしっかり作らなければいけない?)
そうですね。
離婚したあとの親子の関係、子育てについて、面会交流について、どういう責任を果たさないといけないかというようなことについて、きちっと取り決めをさせる。
(そういうことをしないと離婚ができない?)
そうですね。
ですから、日本はそういう形で当事者だけに任せっきりにして、話し合いをすればいいというような形なんですけれども、もう少し実質的に専門家が関与して、取り決めがきちっとできて、お子さんのためになるような実現ができるような、やっぱり仕組みを、やっぱり支援を広げていったほうがいいと思います。

●明石市の取り組みは1つのヒントに?

そうですね。
非常に相談体制を充実させて、それからお子さんについてどのような取り組みをしたらいいかという、参考書式みたいのを用意する。
それから関係機関が、例えば弁護士会とか、法テラスとか、裁判所とか、みんなそういう所が一緒になって、お子さんの幸せのための、協力をする体制を作っているんで、画期的な取り組みだと思います。
(ネットワークが広がっていくことを期待したいです。)
そうですね。

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