“成熟産業から成長産業へ―失業なき労働移動を進める”。国が成長戦略の主要テーマとして掲げている政策である。すでに今、業績悪化などで人員削減を迫られる業種から、希望退職というかたちで移動を余儀なくされる正社員が増えている。こうした人達の多くがたどり着くのが、転職支援会社だ。国は来年度から、転職支援に重点を置き、転職支援会社を活用して社員の再就職を実現させた企業への資金投入を増大させることで“失業なき労働移動”を後押ししようとしている。その額300億円。代わりに、むやみな解雇を防ぐために支給されてきた「雇用調整助成金」を大きく減らす予定である。この政策を先取りし、転職支援会社では新たな取り組みが始まっている。企業からは「希望退職させる社員の転職先を探して欲しい」という依頼が数多く寄せられている。取材を進めると、転職を迫られる人の多くは40歳代後半から50歳代の中高年であることがわかってきた。“失業なき労働移動”は実現するのか。そのためには何が必要なのか。企業や新たな職を求める人々の姿を通して雇用流動化の方策を考える。
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