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No.32612012年10月17日(水)放送
女性が日本を救う?

女性が日本を救う?

「女性が日本を救う?」IMF緊急リポート

女性の社会参加が日本再生の鍵だとするIMFのリポート。
まず、日本の高齢化が世界のどの国よりも早く進んでいることへの強い危機感が書かれています。
急速な高齢化と少子化で働く人の数、生産年齢人口は激減。
2050年にはピーク時の4割落ち込み、GDPは、ほかのアジア諸国を下回るという見方もあります。
労働力の縮小を食い止める手段が埋もれた潜在力、女性の活躍を促すことだとリポートは指摘します。

日本では、働く女性の数が20代後半から減少します。
出産した女性の実に6割が仕事を辞めてしまうためです。
その後、再就職は増えますが、半数以上が非正規雇用。
女性が能力を発揮しきれていないことが日本の成長のマイナスになっているといいます。
このM字型のカーブは先進国ではあまり見られない現象です。
ほかの先進国並みに女性が働けば、労働力不足に歯止めがかかり1人当たりのGDPが4%増えると推計されています。
リポートでは、実現に向けて2つのハードルの解消が重要だとしています。

1つは、国際的にも極端に少ない女性の管理職や役員を増やすこと。
日本における女性管理職の割合は1割。
先進国で最低レベルです。
女性のリーダーが増えれば、手本となるモデルが増え、働く女性の増加につながるというのです。
2つ目は、家庭と仕事の両立支援の充実です。
より柔軟な働き方や保育サービスが整えば、出産後に仕事を辞める女性を減らすことができるというのがIMFリポートの分析です。

ゲストC・ラガルド(IMF専務理事)長谷川閑史(経済同友会代表幹事)

●IMFリポートを、みずから直接、伝えることが大事

クリスティーヌ・ラガルドさん:そのとおりです。
この場でリポートの話をすることは、2つの理由から重要だと思っています。
まず初めに、日本の女性にとって働くという選択肢を持てるようにすることが大事だからです。
多くの女性が仕事と家庭の両立ができないことにいらだちを感じています。
2つ目は働く女性を増やせば、日本経済がよくなる。
そのことをぜひお伝えしたいと思いました。
日本は世界にとって、大事な経済大国です。
しかし残念ながら、多額の債務を抱えています。
しかも、近い将来、深刻な労働力不足に直面しようとしています。
この問題に対処するには、活用されていない労働力を生かすしかありません。
外国の移民労働者に頼る方法もありますが、日本の場合、働く女性を増やすことで、十分対処できると思います。
しかも結果的に、そのことによって、社会全体が恩恵を受けることになります。
私たちの研究では、女性の参加によって、国民1人当たりのGDPが4%から5%増加すると見ています。
日本の債務の削減にも有効ですし、働く人が増えれば、返済も早く進みます。

●働く女性が増えれば、日本の競争力が高まるのか

クリスティーヌ・ラガルドさん:ええ、そのとおりだと思います。
まず第一に、データがそのことを示しています。
日本の女性の教育水準は高く、熱心に働きます。
ですから、数が増えればそれだけ競争力が高まります。

●仕事を巡って競争が激化するという声もあるが

クリスティーヌ・ラガルドさん:まず、申し上げたいのは、競争はよいことです。
競争が悪いのではありません。
しかも、労働市場には女性の入る余地がまだ十分にあると思います。
そして、働く女性が増えれば増えるほど、家計の収入が増え、消費も増えます。
消費が増えれば需要が生まれ、その結果、経済全体のパイが拡大するのです。
社会環境が変われば、経済も変わるのです。
経済というのは、需要が増えた結果として成長します。
ですから、より多くの女性が働けば、そうした需要が生まれるはずです。
その結果、国民1人当たりのGDPは増加し、長期的には債務の削減にもつながります。
こうしたことが、一夜にしてできると言っているわけではありません。
ただし、できるだけ早く、女性が現在、直面している制約を取り払う対策を取り、女性に就労を促していかなければなりません。

●ラガルドさんみずからその重要性を伝えようとされているが

長谷川さん:まず最初に、ラガルド専務理事に心から厚く御礼を申し上げたいと思います。
先ほど、キャスターもおっしゃいましたように、大変ご多忙の中、わざわざこのために滞日を延長して、この番組にご出演いただくということそのものが、専務理事のこのことに対する非常な重要な関心とコミットメントが示されていると思います。
研究の内容そのものも拝見をいたしましたが、他国に先駆けて高齢化が急速に進む日本の中で、もちろん、諸外国もこういう状況に直面したときに、一つやるのは移民ということでありますが、その前にわれわれは、もっと大事な、十分に活用されてない女性労働力が日本は諸外国に比べてもまだ多いと、その部分をなんとか改善をすることが先決ではないかというご指摘をいただいていますが、それは誠に、当を得たご指摘であり、われわれも自覚しているところではありますけれども、そのことに対する具体的な宣言はされても、実行はされていない。
ラガルドさんもIMFの総会の最後に、もう課題は分かっているから、とにかく実行あるのみだとおっしゃいましたが、われわれも、このテーマについても同じことで、具体的な問題点としての指摘は、極端に低い女性管理職率だとか、M字カーブの問題が指摘されておりますが、一方で、ここにもう、9項目の具体的な解決策を、今は申し上げる時間はありませんけれども、ご指摘を頂いております。
こういったIMFという組織の中から、このようなご指摘を頂いたことに、大変感謝をし、われわれとしても大いに参考にして、少しでも実行に、実現に取り組んでいきたい、そう考えています。

●経済同友会では2020年までに女性管理職30%以上の目標

長谷川さん:このこと自体は、すでに9年前に国のほう、政府のほうで、そういうことを宣言をしておられますが、その後、ある程度の努力はなされたものの、具体的な取り組みと、その成果が、一番大事なんですけれども、ほとんど見られてない。
こういう状況の中で、われわれとしてはIMFにご指摘をいただくまでもなく、国家にいろいろ求めることも大事だけれど、まず経営者たち、企業家、産業界が、そういうことについて、もう少し認識を新たにして、具体的な行動に取り組むべきではないかということから、みずからをこれは現実に比べると相当高い目標でありますから、達成は困難であることは承知のうえで、行動宣言として宣言をし、それについての具体的な取り組みを行っていきたいという、そういう強い思いで、こういうことを宣言したわけでありまして、私事で恐縮ですが、私の経営に携わっております武田薬品にとりましても、決してこういうことの先頭を走っている企業とはいえない状況にもありますが、そういう状況の中で、あえてこの番組の出演を承諾をいたしましたのは、提言および経済同友会の経営者の行動宣言への認知度を高め、少しでも多くの皆さんの賛同を得て、大きなうねりにするきっかけになればと思って、ここに参加をさせていただいているわけです。

クリスティーヌ・ラガルドさん:長谷川さんたちの決断は、賞賛に値します。
企業が女性の幹部や管理職を増やすことに取り組んでいるのは、すばらしいことです。
そうした女性が組織の中で先頭に立ち、ほかの女性たちを引き上げる役割を果たすようになります。
だからこそ、女性のリーダーを増やすことは大事なことなんです。

女性が日本を救う?“働きたくても働けない”

「子どもも大きく、仕事も大きく育てていきましょう。」

働きたいけれど働けない女性たち。
IMFのリポートが指摘している壁の一つが、いったん仕事を辞めると再び働くのが難しいという問題です。

この都内の女子大学には、結婚や出産などを機に仕事を辞めた主婦が、再び働くために集まってきます。
パソコンなど就職に役立つスキルを身につけるためです。

「たぶん年齢的にもスキル的にも厳しくなっていくかなと思いまして、不安があって参加しようと思いました。」

受講生の一人、新居利香さんです。
新居さんは、大学卒業後3年間、繊維会社で正社員として働いていましたが、結婚を機に退社しました。
下の子どもが小学校高学年になった半年前からハローワークで仕事を探し始めましたが履歴書の段階で落とされてしまいます。
一度だけ面接に呼ばれましたが、採用されることはありませんでした。
主婦として家庭を守ってきたことに誇りを持っている新居さん。
しかし、その経験は全く評価されず逆に今、就職するうえでマイナスになっていると感じています。

新居利香さん
「面接を受けに行って話をする中でも、専業主婦であることが話題にのぼることがまったくないので、やってきたこと(育児)にあんまり価値がなかったって言われているような。」

一度仕事を辞めると戻れない。
再チャレンジがしにくい硬直的な労働市場が女性たちが働く妨げになっています。

IMFのリポートが指摘するもう一つの壁が男性の育児参加の少なさです。
専業主婦の吉居しおりさんです。
将来の子どもの教育費のために再就職したいと考えています。
大手カード会社で正社員として働いていた吉居さん。
結婚後、会社を退職してからは2人の子育てに専念してきました。
この日、吉居さんは将来の教育費のために自分も働こうと思っていることを夫に話しました。

吉居しおりさん
「大学・高校が重なる時に2回ほど大ピンチの年があるはずだから、二人がお金をかからない間に安定した収入を得られるような状態にしておきたい。」

夫は、働くことには賛成しましたが家事や育児の分担は現実的には難しいと答えました。


「なかなか休むのは、きついけれどね。
今はあれだけど管理職になっていくとなかなか会社的にも…。」

家事や育児のために早く帰ったり急に休むのは難しい。

日本の男性の多くが長時間労働を余儀なくされ家事育児を行いにくいのが実態です。


「なかなか今まで考えてこなかった部分があると思うので、それを改めて、のど元に突きつけられたみたいな。」

吉居しおりさん
「(家事・育児は)毎日のことなので、どこか負担してもらわないと全部はきついから。
やっぱり協力しないとどうにもならない。」

そして、IMFのリポートは母親が働こうとするときのサポート、特に保育サービスが日本は他国に比べて少ないと指摘しています。
横浜市。
長年、保育サービスの不足が問題で2年前には認可保育所に入れない待機児童の数が全国でワースト1位という状況にまで陥りました。
市は、母親たちのニーズを知るためのアンケート調査を実施。
そこで意外な事実が浮かび上がりました。
小学校に入る前の子どもがいる母親のうち、働いていないけれど実は働きたいと答えた女性は7割。
そして、そのうちのおよそ9割がパートタイムなど短時間で働きたいと答えました。
しかし、市の保育のほとんどはフルタイムを対象にしているというミスマッチが分かったのです。

横浜市長 林文子さん
「多くの方が週3日とか、一日5時間くらい働きたいという人が多いんですよ。
認可保育園に預けてフルタイムで働きたいという感じがするんじゃないですか。
意外とそうでもない。
そうすると、その人たちに合うところはどうなんだろうって言うことになりますよね。」

市は、さまざまなニーズに合わせて多様な保育メニューを用意。
中でもミスマッチ解消のために力を入れ始めたのが一時預かりサービスです。

ここではなぜ子どもを預けるのかという理由は問われません。
利用料は1時間300円。
市が補助金を出し、それまでより安く利用できるようにしました。

「フリー(仕事が不定期)ですので、認可保育園に預けたりが厳しい。
こちらでは制限もなく預かっていただいているので大変助かっています。」

さらにIMFのリポートでは女性が働き続けるには家庭の事情に合わせてパートタイムにもフルタイムにも柔軟に働き方を変えられることが重要だとしています。

3歳の息子を預けてパートタイムで働く住田康子さんです。
住田さんの勤務先はアクセサリーショップ。
週3日、1日5時間の勤務です。
住田さんはもともと洋服の販売会社で正社員として働いていました。
正社員のころは、商品の発注やディスプレーなど、多くの仕事をしていましたが、今は接客のみ。
パートでは仕事は限られます。
住田さんは将来子どもが成長したら、再び正社員で働きたいと考えています。
しかし、ライフステージに合わせた柔軟な働き方は、日本ではまだ難しいのが現状です。

住田康子さん
「今、ママ、ママと言ってもらえている時期にできるだけ一緒にいてあげたいなと。
仕事を一番にしたいけれども子どももいるし、子どもも一番にしたいけれど仕事も頑張りたいというところがすごく自分の今の課題かなと。」

ゲスト山極清子(WiWiW社長)駒崎弘樹(NPO法人フローレンス)

●子育てと仕事を両立させる鍵

クリスティーヌ・ラガルドさん:最初の鍵は、自分の罪の意識と戦うことでした。
母親は誰でも、子どもを置いて、仕事やほかのことをすることに対して、深い罪の意識を持つものです。
しかし一方で、子どもは母親から離れて過ごす時間も必要だという面もあります。
私も母親が大学教授としてフルタイムで働いており、子どものころ、1人で過ごすこともありました。
その中で子どもも、親と離れることも必要だと感じました。
そうでなければ、子どもは親の注目を一身に集め、プレッシャーをかけられ、圧倒されてしまいます。
もちろん、罪の意識が完全になくなるわけではありません。
ですから、まずは自分の意識を変えることが鍵でした。
第2に、私にとって重要だったのは、子どもたちを信頼の置ける人に世話をしてもらうことでした。
最初の子どもを産んだときには、まだ駆け出しの弁護士で、2人目を産んだときには経営にも携わっていました。
ですから、朝7時にうちに来て、私が帰宅するまでずっと子どもの世話をしてくれるベビーシッターが見つかったのは、とても幸運でした。
おかげでとても安心できました。
お金はかかりましたが、働きたかったですし、プロとして仕事もきちんとやり遂げたいと思っていたので、信頼できて、愛情深い人に、子どもたちを安心して預けられたことは、とてもよかったです。
一方で、私が帰宅したあとや週末は子どもを最優先し、子どもと時間を過ごすよう心がけました。
もちろん、すべての人にベビーシッターを雇うというぜいたくができるわけではありません。
託児所や幼稚園は不可欠ですし、病気の子どもを預かってくれる施設は、とても重要です。
というのも、託児所や幼稚園に子どもたちを預けていても、病気のときは、ほかの子どもたちに病気がうつってしまうので、預かってもらえなくなります。
ですから、こうした問題に対処する制度を作ることも重要です。

●パートナーは協力的だったか

クリスティーヌ・ラガルドさん:ええ、もちろん協力的でしたよ。
先ほどのビデオの男性のように、私が仕事をするのは歓迎していました。
しかし、子育てをする責任があるとは、あまり考えていませんでした。

●女性は両立が本当にできるのか

クリスティーヌ・ラガルドさん:もちろん両立はできると思います。
ただ、忍耐が必要です。
すべてを同時に手にすることはできないからです。
キャリアのピークのときに、子どもと多くの時間を過ごすことはできませんし、子育てをしているときに、社交的な生活を楽しむこともできません。
要はタイミングの問題です。
人生のどの時期に何をするか、順番を考えることが大切なのです。
ですから企業も、女性の人生設計を考慮に入れなければなりません。
子どもを産み育てる、とりわけ大変な3、4年の間は、仕事のペースを落とせるようにすることも大切です。
これは国の将来への投資なのです。
子育ての最中は、男性でも女性でも、少し仕事を離れ、スローダウンできるようにすべきでしょう。

●根本的な解消には何が必要か

駒崎さん:まずやっぱり何はなくとも、保育所ですね。
そもそも数が足りないという状況があります。
ですから、先ほどのVTRにもあったように、フルタイムの人が入るけれども、パートタイムの人は入れないという状況になります。
これは先日、法改正があって、保育園が作りやすくなってきているというところで、まずはちょっと一安心なんですけれども、しかし、先ほどラガルドさんがおっしゃったように、じゃあ、保育所出来ても、子どもが熱出したときに預かってくれない、あるいは急な残業は、あるいは障害持った子どもは?といろいろと多様なニーズがあるわけですね。
ですから多様なサービスをきちんと用意しなくてはいけない。
しかし、厚生労働省の場合、どうしてもハコモノ行政が長かったので、フランスのベビーシッターのようなものに対して、補助をするといったところまで行ってないんですよね。
ですから、そういったところの、そういったソフトサービスにきちんと補助するというのが1つ目。
そして2つ目としては、やっぱり女性側の意識も変革が迫られているというふうに思います。
というのは、先ほどのVTRにもあったように、年収が20年間で200万円も下がっているという状況ですよね。
夫に頼るというのが、なかなか不安定になってきているという状況にあります。
ですので、女性がきちんと働き続けられるということが非常に非常に、重要になってきているわけですよね。
ですが、子どもと一緒にいたいという気持ちは、誰しも思っているんでね、そこは非常に共感するんですけれども、だけれども、そこで辞めてしまわないで、そもそも続けられるというような形が、やっぱり非常に重要かなというふうに思ってますね。

●M字が解消しない大きな背景

山極さん:いくつもいくつも要因があるんですけれども、それは日本の雇用慣行としてずっと長時間労働が定着していますよね。
それをベースにして、今度は男性が仕事、そして女性が家庭、育児をするという、その役割が担われちゃったんですね。
ずっとそれが。
それをもとにして、税制も社会保障制度もなんら変わってない。
先ほどのVTRにあったように、実際、今は非常に経済不況でもあるし、よくない状況ですね。
たくさん出てきましたけれども、にもかかわらず、まだこの状況が温存されているというところが大きな問題ですね。
そして、そういうことがある、役割分担があるからということもありますが、男性がほとんど育児家事をしない。
私、自分自身の体験からしても、キャリアアップをしていく就業継続するには、夫の育児参画というのは、参加っていうより参画ですね、これは必須なんですね。
共に子どもを育てる、そして共に仕事をするという、そこがとても大事だと思うんですね。

●主婦で経験というのが評価されない

山極さん:主婦の経験って、大変な評価すべきことなんですね。
例えば、短時間でいろんな作業をこなす力もある。
コミュニケーション能力もある、また育児を通して子どもを育てるような経験というのは、新しい発想にもつながると思うんですね。
そこをまず企業はその評価ができないんですね。
ですから、その所をまず評価するということと同時に、やはりブランクがあると、この変化の激しいスピードの中では、スキルが後退してしまったり、新しい知識も得られないんで、そこのところの訓練がすごく大事なんですね。
今、国、特に経産省がやっているのが主婦のためのインターンシップですね。
それからマザーズハローワークがやってるような企業がそういう再就職する女性とマッチングする、そういうふうな事業も大事ですし、さらに言えば、国を挙げて政府、もちろん、地方自治体もそうですし、大学、民間企業、みんなが連携し合って、1人の女性、再就職する女性が、将来のキャリアデザインをどう描いていくのかということの支援、そのための訓練というのがとても重要だというふうに思っています。

●残業を減らすということが大事

長谷川さん:当然、そうですね。
今、山極さんおっしゃったように、やっぱり日本の雇用習慣、労働習慣として、長時間残業っていうのが常態化しています。
私どもも残業半減とか、そういう全社的な取り組みをいたしました。
初年度はかなり減りましたが、以降、ちょっと注意をそらすと、ほとんど変わらないか、また元に戻るという、こういう状況でありますから、仕事のやり方、仕組み、考え方、やっぱりそういうことをトップから率先してやることによって、まずはそこをきちっとやっていかないと、次のステップに行けないと思うので、再度私どもも挑戦しないとと、改めて考えています。

女性が活躍 オランダ パートで経済成長

女性の社会参加を大幅に増やしたオランダ。
しかし、かつてはヨーロッパで最も女性が活躍していない国の一つといわれていました。
40年前は女性の労働参加率はおよそ2割と日本より低い数値でしたが、今では世界でもトップクラスの8割に達しています。
その鍵は、パートタイム労働。
これを生かすことで長い不況から脱し、オランダの奇跡と呼ばれる経済復活を果たしたのです。

金融会社で働くリンダ・クラーメルさん41歳。
2人の子どもを持つワーキングマザーです。
リンダさんは週4日だけ働くパートタイマー。
そして、実は管理職でもあります。


リンダ・クラーメルさん
「ここをまとめておいてね。
昨日はどうだった?」

「すごくうまくいきましたよ。」

オランダではパートタイマーでも責任ある仕事ができ実に女性管理職の4割がパートタイマーなのです。

リンダ・クラーメルさん
「期待に応え、ちゃんと仕事をしていれば、パートタイマーが管理職をしていても誰からも文句はでません。」

そうした働き方を可能にしている一つはパートタイムの待遇がフルタイムと同等だということです。
同一労働、同一賃金。
パートタイムの待遇改善を法律で決めたのです。
また、ライフステージによってパートタイムになったり、フルタイムになったりと柔軟に働き方を変更することもできます。
フルタイムと同じ待遇で柔軟に変えられる労働時間。
それによって、子どもを産んでも安心して働き続けることができるようになり働く女性が増えたのです。
これは国にとってもプラスでした。
働く人が増えたことで税収が増え、国の財政は慢性的な赤字から脱しました。
そして、年金や職業訓練など社会福祉に予算を回すことができるようになったのです。

元社会雇用相 アド・メルカート氏
「年金は働く人たちによって支えられなければなりません。
多くの人が貢献しなければ維持することはできません。
パートタイムの地位向上は、まさに豊かな国家の維持・強化のためでした。」

パートタイマーで管理職のリンダさんです。
実は、リンダさんの夫ピーターさんもパートタイマーです。
家庭のために、夫婦でフルタイムからパートタイムに変更した2人。
収入はそれぞれ減りましたが、片方だけが働くのと比べ、夫婦で1.5人分。
今の生活に満足しているといいます。

ピーター・クラメールさん
「家庭を犠牲にして仕事のためにすべてを懸ける時代は終わったんです。
仕事はたくさんしていますが、家庭にはより多くをささげています。
今では仕事と家庭のバランスがとれています。」

リンダ・クラーメルさん
「男性のためになれば、女性のためにもなります。
男性の選択肢が増えれば、女性の選択肢増えますから。」

1日6時間 全社員が時短

若者向けのファッションブランドをインターネットで販売している会社です。
社員は、およそ450人。
年間300億円を売り上げています。
午後3時。
社員が次々と帰宅し始めます。

今年(2012年)5月、この会社は勤務時間を6時間に短縮。
それでも従来どおり8時間分の給料を支払う制度を導入しました。
短時間勤務を実現するために行ったのが、業務の効率化です。
資料作りにかける手間を省き、会議の時間も短縮。
勤務を1時間減らすことに成功しました。
さらに昼休みをなくしました。
実は、労働時間が6時間を超えない場合、会社には社員に休憩を与える義務が生じないからです。

前澤友作社長
「いま世界で1位2位を争う働きすぎの国って日本は言われてますけれど、僕らが先頭をきって発信していきたいなと思っているんです。」


短時間勤務の導入で社員の意欲も高まったといいます。
営業の沼田さおりさんです。
販売するブランドの情報をお客さんに伝える仕事をしています。
この日は仕事帰りに買い物です。
途中、自分が担当するブランドの店に立ち寄り商品がどう売られているか直接、見ることにしました。

沼田さおりさん
「(買っていくのは)学生さんが多いですか?」

「意外と主婦層の方もヒョウ柄とかチャレンジされる方いらっしゃいます。」

沼田さおりさん
「夜遅いとやはり歩いているお客さんの層も違いますし、実際に買い物姿を見ることができなかったので、客層目線、幅広い目線がわかるようになったと思います。」

買い物が終わってもまだ5時半。
日が暮れる前に帰宅できました。
かつては遅くまで働いていた沼田さん。
短時間勤務のおかげで、食事を作ることが当たり前になったといいます。
沼田さんはフルタイムの仕事を続けながら子育てするのは難しいと感じていました。
しかし今は、子どもを持つことを現実的に考えられるようになったといいます。

沼田さおりさん
「いま3時で終わっている生活をしてみて、心に余裕もあるので、子どもを産んでも絶対仕事は続けたいなと思っています。」



ゲスト宮本太郎(北海道大学教授)

●働く時間が6時間だと子どもを考える人が増える

クリスティーヌ・ラガルドさん:そのとおりです。
女性にも男性にも、プラスになっているのは明らかです。
オランダもよい手本になっていると思います。
ビデオの男性が、労働時間を短縮して、子どもと過ごす時間を増やしていたのは印象的でした。

●なぜオランダモデルが日本の参考になると考えたのか

クリスティーヌ・ラガルドさん:仕事を離れた女性が、仕事に復帰しやすいモデルだということ、そして第2に、多くの女性の希望と合致するからです。
先ほど、若い女性が言っていたように、家庭で過ごす時間や、自分のための時間が欲しいという希望がかないますし、子どもを産んだあと、仕事に戻ることができ、家庭と仕事の両立にもつながるからです。
仕事と家庭の両面での質が、鍵となります。
仕事において、企業が労働時間を短縮すると、パートタイムの社員の仕事の質が高くなることが知られています。
生産性が上がるのです。
一方、家庭でも質の高い時間を家族と過ごせるようになります。
ですから、いいことずくめです。
私が法律事務所の代表だったとき、産休明けの弁護士がパートタイムで働けるようにしました。
そうしたら、パートタイムのほうがフルタイムに比べ、生産性が高くなったのです。
そのことを実際に確認することができました。
このことからも分かるように、労働時間を短くすることは、生産性の面からも、私生活の面からも、ともによくなる関係にあるのです。

●「女性が日本を救う?」“オランダモデル”とは

宮本さん:まさに日本に非常に似た社会だったんですね、オランダが。男性は仕事、女性は家庭という役割分担なんですね。
それがここまで劇的に変わったっていうのは、やはり日本にとって、無関心ではいられないと思います。
その処方箋がやっぱりパートタイム労働を魅力的にする、これ今、ラガルドさんおっしゃったことと重なるんですけれども、2つの点で魅力的にする。
1つは家族と仕事の両立を可能にするツールとしての魅力ですね。
2人で1.5人分働こう、残りの0.5の部分は、2人で、家族で過ごそうと、そういう魅力ですね。
2番目には、しっかりした見返りのあるパートタイム労働っていう魅力です。
これは1時間単位の、要するに時間単位のパートタイム労働の賃金、それから社会保障の権利などをフルタイムと同じにする。
つまり、短時間労働の正社員という形にしていく。
そうなると、経営者もそれなりにコストをかけるわけですね、パートタイム労働に。
したがって、高い質の労働を求めるようになる。
そうなってくると、今、VTRにあったように、パートタイムの管理職というのも珍しくなくなってきて、パートタイム労働がよけい魅力的になる。
そこでまた人々が入っていく。
まさにラガルドさんの言い方では、ウィン・ウィンゲームをやったというのが、このダッチ・モデル、オランダ方式ですね。

クリスティーヌ・ラガルドさん:ここで大事なのは、企業が不利だと感じるような制度にしてはならないことです。
社会保障費の拠出や給与に対する課税なども、釣り合いのとれたものにして、パートタイムで雇用した企業が不利になるような仕組みであってはなりません。
これは極めて重要です。

●オランダのモデルは、経営者の視点から見てどうなのか

長谷川さん:当然のことながら、反論の余地はないというか、ある意味での理想型を実現しておられることについては、大変すばらしいと思います。
ただ、翻って、日本の現状から、そちらに持っていくことについては、まだいくつかのステップを踏まないと、いきなりそういう方向にジャンプはできないかなと思います。
まず1つは、やはり先ほど、出ていますように、時間外の労働をまずは徹底的になくすことによって、より効率的な仕事ができるようにする。
特に日本の場合は、ホワイトカラーの生産性が非常に低いといわれています。
それをずっと放置してきた経営者側も悪いんですけれども、そこを大幅に効率化をすることによって、まずは残業を少なくするということと、それからもう1つは、働く女性、それも特に比較的まだ小さい子どもさんを養育しながら、働いている女性への、いろんなフレキシブルな時間での働き方はだんだん広がってきてますから、これをさらに広げていくと、そういうステップを踏んだうえで、最終的にはオランダのように男性もパートタイムで働いて、なおかつ管理職にできるという形ができれば一番理想なんですけれども、それには、まだまだちょっと遠いなと思います。
だから、経営者としては、そういうことを着実にできることからやっていきたいなと考えています。

●どういう障害が予想されるか

宮本さん:今日は実は、長谷川さんにお願いしようと思ったことを、長谷川さんが言ってくださったんで、大変うれしいんですけど、ともかく男性正社員の労働時間が長すぎる。
東京都のある調査では、お父さんの帰宅時間、ピークになるのは夜の11時ですよ。
これではやっぱり、女性が家事や育児に携わっている女性ができるはずもない、そもそも近づける世界じゃないですよね。
やっぱり経営者、男性正社員というのは高い賃金払ってるし、社会保険料負担もしてるし、教育訓練もしたと、だからしっかり働いてもらわなきゃ困るんだという発想なのかもしれませんけれども、それで本当に生産性が上がってるんだろうかということですね。
だから、やはり残業時間をもうちょっと規制してもらうっていうことです。
オランダでは、所定労働時間、せいぜいプラス2時間が、1日の最大限の残業ですよ。
日本は労使協約でも6時間くらい許されて、それにさらにサービス残業が続いていくわけですね。
ここをとにかく整理して、この部分を男性と女性で分かち合っていくというのが、まず第一歩として必要だと思いますね。

●正社員の地位が脅かされるという懸念もあるのでは

宮本さん:もちろん、正社員の地位が脅かされるという見方はそうなのかもしれないんですけれども、今、現実にはやっぱり男性社会の働き方が、生活のニーズをくみ取れなくなっているわけですね。
ここにビジネスの限界も明らかになっている。
他方で、高等教育を終えた女性の労働力率というのは、66%で、極めて低くて、ここで大変な人的資源が生かされないでいるわけですよね。
そういう意味ではこの2つを結合するっていうのは、まさに経済厳しいからこそ、必要な問題になっていると思いますね。

●日本の経済、大丈夫かという声

長谷川さん:がむしゃらに働けば生産性が上がるというものではないんですよね。
ですから、やはりそろそろもう少しワークライフバランスということをみんなが考えるようになって、一方で、やっぱり教育費なんかはこれからも上がっていくから、われわれも日本再生戦略の中にも盛り込みましたけれども、ダブルインカム・ウィズ・キッズというのが、これからの普通のライフパターンになると思いますから、だからそういうことの社会を目指して、やはり少子高齢化が進む日本の経済を少しでも維持していくためにも、そういう形が一般的になるような受け皿を作る、企業も備える、そういうことをもっともっとやっていかないといけないと思います。

●どういう社会のビジョンが見られるか

宮本さん:そうですね、やっぱりこれまで専業主婦の方たちが大切にしてきた家族や生活のつながり、これを大事にして、足場にして、さらにもう一つの雇用というつながりを作っていく。
これまで雇用、仕事に没頭していた男性は逆に家族や生活のつながりに、もっともっと力を入れていく、そのことで、要するに、男性と女性で仕事を分かち合うっていうのは、1つはつながりの分かち合いなんですね。
それからもう1つは、生活論理と経済の論理っていうのをつなげていく。
VTRの6時間勤務の女性も、仕事帰りに買い物をエンジョイしながら、生活者目線で、ある意味ではビジネスの感覚を磨いていたわけですね。
これからそういうつながりが重要になってくると、さらに男性と女性が人生を複線化して、多様な人生を歩むことで経済を豊かにしていく。
こういう社会のビジョンが、ほのみえてきているんじゃないかなと思います。

女性幹部を増やせ 韓国の国家戦略

韓国では、女性の社会進出を国家戦略と位置づけています。
政府が主催する大企業の中間管理職向けのセミナーです。
現状に満足せず、さらに上を目指すよう政府みずから背中を押しています。

「最終の目標はCEOです。」

韓国が改革を始めたのは2001年。
女性を担当する専門の省庁を設置。
新たに採用する国家公務員の3割は女性にすることも決めました。
2006年には働く女性を増やすため企業の指導にも直接、乗り出しました。
対象となるのは従業員500人以上の企業。
1700社を徹底調査し問題点を洗い出してきました。
指導の必要がある企業には直接、乗り込みます。
今、課題となっているのが女性の幹部を増やすことです。
この日、訪ねた企業は役員7人のうち女性はゼロ。
女性役員の登用を促しました。
ところが。

企業 人事担当
「男性社員からの“逆差別だ”という反発を覚悟しなければなりませんよ。」



政府機関 職員
「女性の役員が多いほうがむしろ利益率が高い。
そういう研究結果が出ています。」

指導にかける期間は4週間から5週間。
企業が納得するまで続きます。

雇用労働省 女性雇用政策課 イム・ヨンミ課長
「韓国女性の多くが高等教育を受けています。
優れた女性の人材を生かさないことは国家の損失です。
だからこそ政策で女性の社会進出を促しているのです。」


女性を役員に登用し成果を収めている企業があります。
韓国を代表する財閥LGのグループ会社です。
10年前は1人もいなかった女性の役員が今は3人になりました。
その1人、ソル・グムヒ常務51歳です。
3つの事業本部と部下530人を統括し、大型プロジェクトを次々、受注しています。
ソル常務は、年功序列を重んじてきた組織に風穴を開けてきました。
年上の部下に対しても遠慮はしません。

ソル常務
「もっといろんな意見を入れて、中身のあるものにまとめ直しなさい。」


ソル常務を役員に抜てきしたキム社長です。
男性とは違うリーダーシップを発揮するソル常務が組織を活性化しているといいます。

キム・デフン社長
「女性は人間関係を築くことや、コミュニケーション能力に優れています。
ソル常務はその能力を生かしてプロジェクトを円滑に遂行しており、会社に大きく貢献しています。」

女性役員の登場は、女性社員にとっても大きな変化をもたらしました。
ソル常務の提案で社内に誕生した保育施設、子どもの家です。
朝7時から夜8時まで都合に合わせて預けることができます。
いつでも様子を見に来ることができる子どもの家は、母親たちに安心をもたらし母親どうしのネットワークも生まれました。
そのため、出産や育児を理由に会社を辞める女性は大幅に減りました。

「仕事に復帰するべきかさんざん悩みましたが、子どもの家があるので安心して復帰できました。」

「子どもの家を通じてお互い育児の悩みも話せるし、仕事の相談もできるし、関係が広がりました。」

キム・デフン社長
「社内で女性への偏見が一掃され、むしろ女性の人材を生かすことが会社にとって大きなプラスになると社内のみんなが感じるようになりました。」

女性の管理職 増えない日本

一方の日本。
9年前、政府は女性管理職の割合を2020年までに30%以上にする目標を掲げました。
今年(2012年)6月には、女性の活躍を推進する行動計画も策定。
取り組みを強化していますが目標達成にはまだ遠いのが現状です。

何が壁になっているのか。
最大手のスナック菓子メーカーです。
女性管理職の比率を今年度末までに15%にする目標を掲げました。
当初5.9%だった比率は今年4月10.2%にまで上昇。
しかし、まだ目標達成の途上にあります。
社内アンケートから社員の意識に課題があることが分かりました。
女性が管理職になることをよしとしない男性。
一方で、目指すべき管理職像が見えない女性。
管理職になることに女性がちゅうちょしている様子が浮かび上がってきました。

人材開発部 江木忍部長
「(女性は)自分であきらめてしまうとか、遠慮してしまうことがあった。
自分の将来の姿を描いて、どんどんすすんで成長していこうという意欲が、女性の方がかなり低いということがわかってきました。」

女性の登用が特に進んでいないのが製造現場です。
機械を扱う職場のため管理職は男性が望ましいと思われていました。
今年4月、課長に抜てきされた石丸早苗さんです。
就任を打診された当初やはり強く拒んだといいます。

石丸早苗さん
「(男性は機械の)メンテナンスとか、経営を意識しながら、教育を受けたというかそういう中に携わりながら社歴を伸ばしていっているじゃないですか。
“私の手には負えないだろう”というのがすごいありました。」

嫌がる石丸さんを説得したのが工場長の川畑浩介さんでした。
石丸さんが工場内のさまざまな部署の人と人脈を築いていることに着目。
そうした強みを生かしてほしいと考えた川畑さんは男のまねをする必要はないと繰り返し伝えました。

川畑浩介さん
「(男性は)とかくこう、メカの方にいっちゃうんですけど、思考がですね。
それは、その(課長の仕事の)中のひとつに過ぎない。
みんなとネットワークしながら自分の製造課の利益を上げていって欲しいなと。」

課長となった石丸さんには部下が13人います。
主力商品を任されその原材料の仕入れからラインの管理、出荷まで全ての責任を負っています。
一人一人にきめ細かく接し部下の力を引き出すためにコミュニケーションは絶やしません。

石丸早苗さん
「今日の目標は?」

「一応4,800。」

石丸早苗さん
「ほんまに。」

課長就任から半年、石丸さんは目標を上回る利益を達成し、管理職としての手応えを感じ始めています。

石丸早苗さん
「半年前に比べたら、ずいぶん職場は変わっていってると私自身感じます。
そういうことが実現できるのは、課長になったからならではのことではないかと思います。
私は今、楽しんでやってます。」

「女性が日本を救う?」女性リーダーを増やせ

●意識をどのように克服したらいいのか

クリスティーヌ・ラガルドさん:3つあります。
まずロールモデルです。
彼女にできたんだから、私にもできるはずだと思えるような人がいることが大事です。
第2に、メンター制度です。
男性か女性のメンターに、コーチングや支援をしてもらい、自信を与えてもらうのです。
そして第3はトレーニングです。
ロールモデルとメンター制度以外に、責任ある地位に就くスキルを獲得するためのトレーニングが大事です。

●どのような積極的な対策や政策が必要なのか

クリスティーヌ・ラガルドさん:これまで勤めてきた会社で、実践してきたことがあります。
能力が全く同じ男性と女性、2人の候補がいた場合、女性を選びます。
これは差別ということではありません。
能力が全く同じなのであれば、私は女性を選ぶようにしています。

●企業として管理職の割合を意識的に高めていくための施策

長谷川さん:2つあると思います。
1つはトップダウン、もう1つはボトムアップ。
このトップダウンというのは、先ほどLGライフサイエンスの中でも出ましたリバース・ディスクリミネーションで、出てましたけれども。
逆差別、だけどやっぱり、この段階の日本においては、例えば何年までに女性の管理職の率を何%にするというのを、トップダウンで設定するということに、私は意味があると感じています。
必ずしも全員が賛同してません。
武田の場合は、恥ずかしいぐらいですけど、13年には3%、15年に5%と、20年の30%に比べるとまだずいぶん差があるんですけれども、それを公言しています。
それからボトムアップは、入社のときから同じようにジョブローテーションを海外のアサインメントも全部含めて、同じようにやって、で、ラガルドさんがおっしゃったように、昇進のときになったら、やっぱり実力で昇進をするということの鉄則を守ると。
おっしゃったように、同じであれば、女性にフェイバーを与える、多く昇進させていただくということが大事だと思う。

もう一つだけ言いますと、ごめんなさいね、アンケートですね、昨日(16日)、発表したところです。
私どもの実態調査、それを見ていただくと、実態が非常に分かって参考になると、具体的にどのような取り組みをして、企業が苦しみながらやっておられるかというのもたくさん出てますから、ぜひホームページとかで見ていただいて、参考にしていただければありがたいと思います。
ビジネスの世界で、理屈上考えてこうやるべきだということを、本当に粛々と、淡々と実行することほど難しいことはないケースが多いんですよ。
本当に難しい。
しかしながら、やはり今までずっと今日の番組で見てきましたように、女性が男性に劣る理由は何もない。
そういうことをもう一回、やっぱり原点に立ち返って考えて、女性がその能力を十分に発揮する場を与えられないことが、自分の会社にないかということを点検していただいて、一つ一つそれを潰していく。
短期的なことと中長期的なことを両方並行してやっていただくことを、できるだけ多くの経営者に望みたいと思います。

●最後に日本に向けてひと言

クリスティーヌ・ラガルドさん:高齢化という根本的な問題があり、生産年齢人口を増やさなければならない。
そこに優秀で教育水準の高い女性たちがいる。
答えはおのずと見えているはずです。

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