原発事故後、役場ごと避難していた福島県川内村。今月から役場や学校、診療所などを村に戻し、住民に帰村を促す“全村帰還”に取り組んでいる。遠藤雄幸村長の「必ず故郷を取り戻す」との決意のもと、避難区域の自治体でさきがけとなる取り組みだ。この呼びかけに応じるなどして現時点で村で暮らしているのは、村民3000人のうちおよそ500人だが、多くの課題に直面している。放射線への不安に加え、村内に働き口が少ないこと、農業再開の見通しが立たないこと。かつて生活を支えていた商店も近隣の専門病院も閉まったままだ。再開した小中学校に戻った児童生徒は元の2割に満たず、子どもたちを巡る環境も大きく変わった。いったん奪われた暮らしを取り戻すことはできるのか。帰還した住民と村役場の現実を伝える。
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