東日本大震災で壊滅的な打撃を受けた、東北の基幹産業である漁業。その復興をめざして宮城県が打ち出した方針が、全国の漁業関係者を巻き込む議論を呼んでいる。すべての港を平等に支援するのではなく将来性の高さに応じて支援に優先順位をつけ、漁協が優遇されてきた漁業権に特区を設けて企業など外部資本の参入を促そうとしている。背景にあるのは、震災以前から続く漁業の衰退と高齢化、これまでの「平等主義」「漁協任せ」の漁業のあり方が産業としてのじり貧を生んだという強い危機感だ。しかしこれには宮城県だけでなく全国の漁協関係者も一斉に反発。浜は揺れに揺れている。特区構想が呼び起こした波紋と、これを契機に自ら自立した漁業のあり方を模索し始めた漁業者たちの取り組みを紹介しつつ、宮城の挑戦が日本の漁業体制全体にどんな影響を与えるか、持続的な漁業の姿はどういうものかを検証する。
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