クローズアップ現代

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No.30222011年3月29日(火)放送
いま、私たちにできること ~“ソーシャルメディア”支援~

いま、私たちにできること ~“ソーシャルメディア”支援~

広瀬 弘忠さん(東京女子大学教授)
中谷 日出(NHK解説委員)

【スタジオ1】

●今回のこのソーシャルネットワークの支援のあり方、あるいはその影響というのはどう感じている?

(広瀬さん)
>>まず、災害がばく大な、巨大なものだったわけですよね。津波も地震もすごかったし、それに原子力災害も加わった。われわれは同じ船に乗ってるような、つまり運命共同体的な意識が非常に強くなったわけですね。そうすると、何かしたいという気持ちが他人のために、あるいはその被災者のため、何かしたいという気持ちが非常に強くなるわけですね。そうすると、このぐらいの災害になりますと、いろんな所でいろんなことが起こっていって、具体的な姿っていうのは誰にも分からない、情勢もつかめないという状況ですね。そこで個々の極めて微細なこういうのをですね、状況を伝えてくるという、そのツイッターの役割は非常に大きかったわけですね。それを捉えて、またそれを発信し直すという、そういう善意の人々の協力もまたものすごかったと思いますね。ただ、つぶやけばいいわけですから、特に叫んだり、説明したりしないで、自分は今こうなんだと、こういう状況でこれが欲しいんだということを言えばいいわけですよね。それ言うだけでも伝わっていくわけですから、非常に使いやすいという意味では、こんな扱いやすい道具はないはずですよね。


●固定電話もつながらないという中で、ツイッターがつながりやすかったというのは、どういう背景があるんですか?

(中谷解説委員)
>>ツイッターはインターネットなんですね。インターネットは成り立ちからいって、何かネットワークの中で問題が起こっても、そのルートを回避して、別のルートを探して安全に目的地に情報を届けるという使命があるわけですね。それで、ほかのメディアにはない、強みがあるということですね。そういう強みがあるけれども、実際に行動を起こそうっていう人たちがこれだけいる。ユーザーは基本的に20代、30代の若い方が多いんですね。その方たちがもうまさに、ヘビーユーザーといわれる人たちなんですね。かたや、なんていうか、高齢者とか、それから子ども、お子さんたちはあまり使ってないというとこで、情報格差が出ているわけですよね。そのへんが今回の多少、問題であるとは思います。


●災害心理学のご専門家として、なぜここまで運命共同体的なという空気が今、生まれてるんですか?

(広瀬さん)
一般に、災害になりますと、平等化の原理というのが働くんですね。つまり自分もほかの人も、なるべく、同じものがあったら分けて共有しようと。分け与えて、余ったものを分け合う、足りないものはもらうと、そういうお互いの間のつながりが密になると。これは災害時の非常に特徴なんですね。それが、たまたまこういう文明の利器といいますかね、この道具があることによって、さらにその利用がお互いに連帯感が強まっていくということが起こっているんだと思いますよね。


●しかしこうしたツールには負の側面が付き物だという点もありますよね。

(中谷解説委員)
>>ソーシャルメディアは社会的な影響力がどんどん増していって、その影響力が増せば増すほど、そこにはいろんな課題が出てくるんですね。例えばデマとか、うそとかですね。それからチェーンメールなどの問題もかなり出てるんですね。今回も原発の事故で、うがい薬を飲めばいいとかですね、そういう、もう本当に、困ってしまうデマがたくさん出てるわけですよね。

(廣瀬さん)
>>まあだけどね、デマそのものは、これだけわれわれの社会のように情報がかなり自由に発信できて、それをチェックできる社会では、デマが大きな問題に、例えばパニックとか、ヒステリックな行動になることはないですね。ですから、そのへんは安心していいと思うんですよね。


【スタジオ2】

●現地のニーズ、しかも今回の場合は、被災地が非常に広範に及んでいる中で、持っていく場所によってはニーズ、変わってきますよね?的確につかむというのは、難しいんですか?

(広瀬さん)
>>難しいですよね。だから、本当に細かなニーズをね、細かなニーズをどうやってつかむかっていうのが、非常に重要だと思うんですよね。それは時々刻々変化するわけですよね。やっぱりこの、長い避難所生活、あるいは避難生活というのがあるわけですから、いろんな多様なニーズがあって、それに多様に応えていかなきゃいけない。そうするとそれで、やはりソーシャルネットワークが非常に有効に機能する。大きなネットワークではだめで、小さなネットワークを積み重ねていくことによって、対応できるんじゃないかと思いますけどね。ただ、ネットでいろいろ聞いていますと、本当に皆さん、何を欲しているのかっていうのを本当に言ってくださいっていう声もすごく多いんですよね。自粛とか、そういう場合、被災者だからという自己規制が非常に強く働くんですね。そうじゃなくて、今必要なものはなんでも言ってください。それに対してわれわれは応えますよっていう、そういうスタンスがやっぱり必要なんで、やっぱりね、言いにくいとかいうことは確かなんですね。被災者としてはなかなか言いにくい。それをやっぱり引き出す努力がやっぱり必要だと思いますね。


●ネットを使った、その多角的な情報収集の模索っていうのは?

(中谷解説委員)
>>現地はですね、情報を収集する機能も発信する機能も、ほとんど崩壊してますから、実際にボランティアの方々がそこへ行って、デジタルの情報をアナログに変えて、例えば紙にプリントして、被災者の高齢者の方に配るとかっていうことがすごく大事なことかなというふうに思います。被災者の方たちの本当に小さな声を、大きな声にするために、ネットワークに載せて発信するっていうことが、周りを囲っているわれわれ見つめている、被災者を見つめる人たちにとっても、すごく大きなことで、われわれは本当に被災者の方々が、何を欲しているのかというのはなかなかリアルに分からない部分がありますから、それはネットワークで、なんとか吸収していきたいなと思いますね。


【スタジオ3】


●みんなでアイデアを出しあって、前向きに取り組もうという姿勢っていうのは、本当に勇気づけられますね。

(広瀬さん)
>>そうですね。なんか一般、われわれの大衆の知恵っていうのがすばらしいなと思いますよね。ヤシマ作戦なんて、とても思いつかないわけだけど、個々の人は思いつかないわけだけど、誰かが思いつくわけですよね。そうすると、それが今のソーシャルネットワークに乗って広がっていく。われわれはまあ、肩の力を抜いて、これ、この災害というのは恐らくそんな簡単には終わらないだろうと、みんな予感しているわけですね。だから長期戦に備えて、自分たちの持っている知恵と工夫をそういうものにつぎ込んで、なるべくうまくですね、災害を切り抜けていこうという、そういう知恵が出てきてるという。だから、タイガーマスクもそうですもんね。そういう意味では、非常にやっぱりこういうシステムというのは、非常に有効に機能するということが証明されたんじゃないかと思うんですけどね。


(中谷解説委員)
>>今のリポートを見ているともうネットを使える人はネットを通して、いろんな支援をしますけれども、一方でそうした作られた支援、必ずしもネットユーザーじゃなくても参加できる形になっている。ポスターを貼るとか。ネットの周辺にいる人たちとも、ネットを使っているユーザーたちは接することができるんで、そこから輪が広がっていくというのもあると思うんですね。


●何か結束していくような空気が生まれていきそうな気配もするのですが?

(広瀬さん)
>>ただね、つぶやくだけでいいわけですよね。例えばそのヤシマ作戦でも、誰かがつぶやくと、それが一つの形を取る。そういう社会になってるわけですよね。それはすばらしいわけで、われわれとしてはそういう一般大衆の知恵をね、いろんな工夫とか、創意というものをそういうものを集めて、こういう災害であろうと、なんであろうと、これから起こってくるいろんなものに対して、これ、備える、あるいはそれに対応するということができるんじゃないかと思いますけどね。もう一つ、例えばこういうネットワークだけではなくて、例えばアメリカなんかにあるディザスターサービスというのがあるんですけど、これはある宗教団体がやってる団体ですけど、大工さんとかね、左官屋さんが多いんですね。その人たちは例えば被災地があると、そこにチャーター便で飛んでいって、被災者のために2週間とか、3週間とか、場合によっては数か月家の修理をしたり、いろんな援助をするということをやってるわけですから、そういう職能集団とか、さまざまなグループがそういう活動できるんじゃないかと思うんですね。そういうのをつなぐのがもしかすると、このシステムじゃないかと思うんですね。ソーシャルネットワークじゃないかと思います。これは短期的なものじゃなくて、だから、本当にあんまり、その頑張り過ぎないで、自分でできることをやるということで、長い戦いに備えていくということがやっぱり必要なんだと思いますよね。そういう意味では、例えば阪神大震災がボランティア元年といわれたわけですけど、恐らくこの災害を契機に、ソーシャルネットワーク元年というのができて、それが積み重なっていって、よりわれわれの社会が安全な社会になっていくんじゃないかという気がしますけどね。

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