クローズアップ現代

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No.29322010年9月7日(火)放送
日本の森林が買われていく

日本の森林が買われていく

遠藤 日雄さん(鹿児島大学農学部教授)

【スタジオ1】

●外資の森林買収の現状

>>私のフィールドの中心は九州なんですけれども、九州でも結構、こういううわさが聞こえてまいりますね。中国のブローカーが、そのアタッシェケースの中に札束を入れて森林売買に走っているとか、そういったこともずいぶん、聞こえてきます。ただそれが、水面下で行われてるものですので、どこまでが事実なのかというのは、なかなか突き止めにくいんですけれども、そういうケースというのはかなりあるのは事実だと思います。2002年ごろから、世界中がデフレを脱却して、好況局面に入りましたよね。年率5%ぐらいの成長率を誇ったんですけれども、その中で、例えば産油国にも入るオイルダラーとかですね、あるいはそれまでに見られなかった新興勢力が世界中の森林に対して、投資を始めたっていう、その流れの中で、日本でも起きているんだと、私は考えてるんですけれども。


●売りたい側の日本人の事情

>>私も非常にびっくりしたんですけれども、長崎県のある所なんですけれども、中国に対して、1立方当たり1000円で売ったというんですね。スギを。で、それを私どもで逆算していきますと、大体1ヘクタール当たり20万円なんです。九州で今、大体そうですね、植林して40年から45年製の林で、大体100万から120万というのが相場ですので、いかにこの20万というのが安い値段かというのがおわかりいただけると思いますけど、私がショックを受けたのが、それでもなおかつ売ろうとする森林所有者がいたっていうことが、私には非常に驚きでした。それは、日本中、今それは決して珍しくもないような、そういう状況になっているんだと思います。例えば、世帯主が85で、奥様が80という世帯というのは、全然珍しくないですよね。ですから、あと4、5年もたてばこういったケースというのはかなり大きな頻度で発生してくるんじゃないだろうかと、非常に空恐ろしい感じがします。


●海外から見た森林の投資チャンス

>>まったく皮肉なことなんですけれども、彼らにとって見て、まず日本列島の森林、特に人工林ですね、1000万ヘクタールに達する人工林が、ちょうどその作る林業から売る林業へと大きく転換しつつあるということ、ですから、木材生産としても非常にメリットがあるということ。そうですね、あとは水、それからCO2ですね、その3点セットが非常にそろっているっていうときで、彼らにとって見れば、垂ぜんの的になっているんじゃないかと。排出権取引で、二酸化炭素を吸収する森林も何かビジネスにつながるんじゃないかという思わくとか、地下水。なるほど、そういったものが残念ながら日本ではビジネスチャンスとしてとらえられていない。さあ、こうした外資による買収が明らかになった北海道では、今、環境破壊や森林整備への影響が、森林所有に影響が出てくるのではないかと懸念されていまして、森林所有に一定のルールを設けるべきではないかという動きが出てきています。


●外国資本の買収が相次ぐなかでの方策は

>>私は基本的には、今の林業をビジネスライクな形で動かしていくっていう、そのことが一番大事なことだろうと思いますね。ですから、林道を造って、間伐を進めていくっていうのも、これは手段としては大事なんですけれども、その次に、最終的なニーズ、あるいは実需とどう結びついて、トータルな産業として、起こしていくのか、再生させていくのかという、そこの議論をやっぱりわれわれ、きちっとすべきじゃないかなと思います。
例えば、スウェーデンですけれども、日本の住宅の柱っていうのは、3メートルなんですけれども、スウェーデンでは3メートルという概念ないんですけれども、日本に売る場合には、きちっとその3メートルに切るっていう日本の実需に合わせて山を切っていくという、そういうところがやっぱり、学んでいくべきじゃないかなと思います。非常に皮肉なことなんですけれども、今われわれが、日本人ひとりひとりが、日本の森林というのはなんなのか、あるいは森林が持っている意味っていうのはなんなのか、森林の果たす役割というのはなんなのかということを、ひとりひとりが考える、本当にいいチャンスを与えてくれたんじゃないかな、そんなふうに思ってますけれども。

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