急速な経済成長を遂げてきた中国に、今、深刻な問題が浮上している。大学を卒業する学生が直面する、”超氷河期”ともいえる就職難である。中国政府の発表によると、去年大学を卒業した500万人のうち、就職できなかったのは144万人。全体の3割に上る。中国ではこの10年、大学進学希望者の急増を受けて「ビジネスになる」と判断した学校側が大学の数を大幅に増やしてきたが、その結果かつて”エリート”だった大卒が巷に溢れることになった。特に今年は、折からの金融危機の影響も受け、就職戦線はより一層厳しさを増しており、農村の貧困から脱しようと、子供を都会の大学で学ばせるために多額の借金を重ねてきた親たちにも衝撃が広がっている。中国経済を牽引し、地方からも多くの学生が押し寄せる商都・上海で、昨年冬からスタートした学生たち就職活動に密着。毎年100万人規模の余剰労働力を生み出し、社会不安の要因にもなりかねない大就職難時代を伝える。
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