高度成長を続ける中国、それを支えてきた農村からの労働者にいま異変が起きている。上昇志向が強く権利意識が高い10代、20代の「新世代」と呼ばれる労働者が急増しているのだ。「新世代」の若者達は、携帯電話やインターネットで仲間と給料などの情報をやりとりし、少しでも条件の良い企業が見つかれば躊躇なく転職する。企業側から不当な扱いを受けた時にはストライキもためらうことはない。中国での労働争議はこの10年で20万件と10倍に増えている。高度成長の恩恵を受け豊かになり始めた農村で育った「新世代」は、家族のために働く必要はなく、農村に戻る気もない。都市部での定住を夢見る若者たちは、かつての労働者とは全く異なる行動や価値観を持っているのだ。中国に進出した日系企業も「新世代」への対応を迫られている。突然ストライキをされ待遇を大幅に改善せざるを得なくなった企業や、従業員がすぐに会社をやめていく現実に雇用のあり方を抜本的に見直そうとする企業も出ている。中国の生産現場でいま何が起きているのか、現地からの最新報告を通して「新世代」の労働者の素顔と、今後の中国経済への影響をさぐる。
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