ふるカフェ系 ハルさんの休日

古民家や古建築のカフェを紹介するブログです。

本放送:毎週水曜 午後11時00分~ NHK Eテレ

再放送:毎週日曜 午後6時30分~ NHK Eテレ

にて放送中。ドラマも合わせてお楽しみください!

東京都

2017年05月31日 (水)

東京・浅草のふるカフェ

 

今回の舞台は、活気と下町人情にあふれる東京は浅草

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今では世界中から、この江戸情緒を感じに大勢の人たちがやって来る。

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目指すは、奥浅草の“ひっこみじあん”なカフェ。

“ひっこみじあん”っていうのがちょっと気になるが、

まあ、行ってみますか!

と、思ったら突然の雨。でも、ここは下町人情あふれる浅草。

親切なおばさまが傘を貸してくれた上に、道まで教えてくれた。

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あった!

うん?建物が奥まったところにあるから、“ひっこみじあん”ってことか?

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木造モルタル一軒家。飾り気のない外観も“ひっこみじあん”?

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店内の中央には渡り廊下。その両側は、かつて部屋だったはずだ。

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頭上には、昔はあった2階の床板をはがした開放的な吹き抜けが。

fulucafe_asakusa_008.jpg 思っていた雰囲気とちょっと違うぞ。お店の人は黙々と働いているし、

お客さんも自分たちの世界に閉じこもっているって感じ。

どこに行ったんだ?浅草の陽気な下町人情は!

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2階も1階と同じ造りで、真ん中に渡り廊下があって、

その両側に部屋があった形跡が・・・。

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廊下の突き当たりには洗面所。そしてその右にはかつてトイレだった場所が・・・。

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間違いない!ここは、戦後すぐに建てられた共同住宅、アパートだったんだ!

 

建物の謎を解明したところで、注文した甘酒と黒豆を堪能。

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黒豆の上にのっているクリームには甘酒が入っているそうだ。

さっぱりしてて、あとをひく味。器のおちょこも、かわいい!

 

黒豆のやさしい甘さにメロメロになっていたら、

この建物の大家さんが、伯父さんとお兄さんを連れてやって来た。

fulucafe_asakusa_014.jpg(大家の松村七雄さん(右) 兄の松村輝彦さん(中央) 伯父の川村仁さん(左))

 

そして、なんと、伯父さんの川村さんは、かつてこの共同住宅の住人だったのだ!

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薄い板1枚の壁だったので、当時は隣の部屋の話し声まで聞こえたそうだ。

でも、お互いにそれを聞こえないふりをした。

そう、聞こえても、聞こえないふり・・・。

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相手をおもんばかる“ひっこみじあん”も立派な人情だったのだ!

 

店主の室伏将成さんと妻の志保さんは、かつて共同住宅だったこの建物を、

ほぼ手作業で1年かけて改修。2015年にこのカフェをオープンさせた。

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「僕はお客さんに長居してほしいと思っている。

そして、今日はじっくり自分と向き合おうっていうお客さんがいると、

お店にもいい空気が流れるんですよ」と将成さん。

水がセルフサービスなのも、お客さんのペースで時間を過ごしてほしいから。

最初、そっけないカフェだなと思っていた自分を殴ってやりたい気分だ。

 

閉店後、お客さんとして来ていた俳優の奥居元雅さんも交えて映画の上映会になった。

このノリは、やっぱり下町。

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見えないところでお互いを思いやる浅草の人たち。

本当の人情って、さらっとしていて、ほんのり甘いものなのかもしれないな。

 

 

 

 

 

 

 

2017年05月17日 (水)

東京・木場のふるカフェ

今回は、僕のファンである女性店主の方からメッセージをいただき、

東京都江東区木場にやって来ました!

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 木場は江戸時代につくられた運河の町で、材木で栄えた町。

 

ところで、これ、何だか分かりますか?

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(川は埋め立てられて公園になっていた)  

 

正解は、公園の門、じゃなくて、昔の水門。

と、教えてくれたのは、偶然の再会を果たした高山英男さん。

僕のブログのファンなら、覚えていますよね。

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 そう、中野のふるカフェで出会った・・・『感じてみてください』の人です(笑)。

川沿いにたたずむ、いかにも木場っぽいふるカフェ、発見!

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いい感じの木の外壁。カフェの中がどうなっているか、期待感マックス!

 

扉を開けると、香ばしいパンの香りが・・・。

 

 

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店内には木工品や木のオブジェがいたるところに置いてあり、あったかい雰囲気。

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こちらが、僕にメッセージをくださった店主の高橋幸子(ゆきこ)さん。

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正確には、僕のファンではなく、僕のブログのファンでした(笑)。

 

着物姿の常連さんが、しょうが湯を飲んでいたので、

郷に入れば郷に従えということで、僕もしょうが湯を。

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(スパイシーな味がクセになる)

 

店の常連さんであり、地元の材木問屋の旦那衆のみなさんが、

この建物のことを教えてくれました。

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(左から田中さん・柴崎さん・天野さん・鷲田さん)

 

ここは元々、林場(りんば)と呼ばれる材木置き場だったそうだ。

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(この格子のようなものは材木が痛まないように風通しをよくしたもの)

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 (壁の下のコンクリートは昔の川の護岸)

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(2階は住み込みで働いていた若い衆が使っていた)

 

幸子さんがこのカフェをオープンさせたのは2015年。

長年勤めていたパン屋さんを辞めて次の仕事を探していたとき、

たまたま空き家になっていたこの建物と出会ったそうだ。

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多くのビルが建つ中、この建物は昔ながらの木場を今に伝えている。

 

こちらは、材木屋さん3代目社長の馬田勝之さん。

木の良さをもっと子どもたちに知ってもらいたいと、木工体験などをやられている。

店内にある木のおもちゃも馬田さんのところで作ったものだ。

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昔の風景はなくなっても、他人のことを気にかける

おせっかいなところは昔のままだそうだ。

木の温かみを感じられる人たちの思いは、いつまでも変わらない。

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2017年04月26日 (水)

東京・中野のふるカフェ

やって来たのは、東京・中野
ちょっと高い建物に上ると、もうすぐそこに新宿副都心が見渡せる。
だって、新宿から電車でたった4分ですから。

 

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しかし、こんなにぎやかな場所に、
築およそ70年!二軒長屋を改築したカフェなんて・・・

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ありました!

二軒分の長いスペースをうまく利用して、

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いい感じのテラスになっている。
出迎えてくれたのは、店主の嘉山隆司さん。

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店内は、二軒を仕切る壁が取っ払われて1つの空間に。

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長屋にもともとあった障子は、なんと天井に!

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老朽化を逆手にとったアイデアがいっぱいだ。

そして、ラッキーなことに、長屋を改築した中西さんを
店主の嘉山さんが紹介してくれた。

cafe_nakano_007.jpg(中西道也さん)

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空き家だった二軒の長屋を2010年に中西さんがカフェに改築したのだ。

「古い建物の古さを残すのは、自然を残すのと似ているところがある」

と中西さん。名言だな。

 

オススメのカレーは店主の嘉山さんが半日かけて作ったもの。
スパイシーだけど玉ねぎのほのかな甘みもあって絶妙なおいしさだ!

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テラスで何かを眺めている人がいたので、話しかけてみると、

「見ているのではなく、感じている」と意味不明な答えが・・・。

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 (高山英男さん)

よくよく話を聞いてみると、カフェの前の通りは暗渠(あんきょ)で、
通りの下には桃園川という用水路が流れているとのこと。その流れを感じていたのだ!
ちなみに暗渠とは、上からフタをして覆い隠された川や水路のこと。

 

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だから、通りがクネクネしていたのだ!
そして僕が入ってきた入り口は、かつて川沿いの縁側だったところだった。

もう1つ、忘れられない出会いがあった。
それは、児童文学者の森ひさしさん、御年99歳!
戦後から中野に住む、このカフェの常連客だ。

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森さんからは、戦後の中野がどんなところだったのか?
貴重な話をたくさん聞かせてもらえました。

店主の嘉山さんと妻・明美さんには、もう1つの顔が・・・。
区役所でケースワーカーとして実績を積んだ嘉山さんは
今でもお客さんの様々な相談に乗っているそうだ。
そして、明美さんは・・・

cafe_nakano_013.jpg(沖縄芸術大学研究員の肩書きを持つ明美さん(中央))

琉球音楽の専門家なのだ。
この日は、お仲間と沖縄の歌と踊りを披露してくれました!


ユニークで人情あふれる人たちが集い、絆を深める場所。
ひょっとすると、昔の長屋もこんな感じだったのかも。

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2017年04月12日 (水)

東京・錦糸町のふるカフェ

スカイツリーを望む、ここは、東京・錦糸町。

cafe_kinnshicho_001.jpg今回は、ビルの谷間にある「見つけにくい」カフェを探しちゃいます。

 

僕が学生のころに知っていた錦糸町とは様変わりして
大きなショッピングモールもできて、まさに大都会って感じ。

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でも、1本裏路地に入ると、昔ながらの町工場も残っているんだよな。


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軽く迷ったけど、見つけました!見事にビルに挟まれている(笑)。

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引き戸にはガラスの装飾。この意味は、のちほどってことで。


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店内は、狭いけど木のぬくもりが感じられる空間。


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そして、いたるところにガラス細工が・・・。


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   店主の廣田英朗さんに聞いたところによると、
昭和31年に建てられたこの建物は、もともと靴やわらじの町工場だったそうだ。


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ここで、廣田さん情報を2つ。
廣田さんの実家は、120年続くガラス製造店。だから、店先のガラスの装飾をはじめ、
店内にたくさんのガラス工芸が置かれているのだ。
そして、もう1つ。廣田さんは、カリスマブロガーのハル、
つまり僕の大ファンらしい(でも、僕がハルだってなかなか気づいてくれない・・・)。

 

cafe_kinnshicho_010.jpg(およそ200年前から続いている伝統のガラス工芸、江戸切子(えどきりこ)。)

 

熱いコーヒーが飲めるように開発した江戸切子のカップで飲むコーヒーは最高でした!

そして、そして、伝統の和菓子を特別にいただいた。
人生ではじめて食べる「野菜の砂糖漬け」だ。


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甘いだけでなく、野菜のうま味や食感がしっかりあって、絶品でした!

ものづくりが盛んな墨田区だけあって、お客さんには職人さんも多い。
隣のテーブルには、ブラシづくりの職人さん母娘が。


cafe_kinnshicho_012.jpg(宇野千榮子さん(左) 宇野三千代さん(右))

 江戸切子に手作りブラシ!下町の職人技に感動!

 

和柄のステキなTシャツを着ているお客さんを発見。


cafe_kinnshicho_013.jpgcafe_kinnshicho_014.jpg(繊維工場の会長 久米信行さん)

 なんとこの方、日本でいち早くTシャツを作った繊維工場の会長さん。

当時は、Tシャツのことを「色丸首(いろまるくび)」と呼んでいたそうだ。

 

特別にカフェの屋上に上がらせてもらったら、そこには戦後の日本があった。


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この屋根瓦は、戦後の物資不足のときに生産された厚型スレートだ!

たくさんの体験をさせてもらって、そろそろ退散しようかと思っていたとき、
また職人さんとその娘さんが入って来た。


cafe_kinnshicho_016.jpg(娘の七虹(ななこ)ちゃんと、はさみ製造職人の石田明雄さん)


石田さんははさみ職人。子どもにも安全な刃のないはさみを見せてくれた。


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そして、娘の七虹ちゃんは僕がハルだって見抜いてくれた。
七虹ちゃん、ありがとおおおお!

 

新しさは、いつも古さの中に眠っている。


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僕のなかで、常に新しいことにチャレンジする職人さんの姿と、
ビルのはざまに残っているカフェの姿が重なった。