ふるカフェ系 ハルさんの休日

古民家や古建築のカフェを紹介するブログです。

2017年01月03日 (火)

石川・金沢のふるカフェ

  回は休みを利用して、北陸の歴史ある町、金沢に遠征。

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 兼六園や近江町市場もいいけど、僕が気になるのは茶屋街!

そこで昔、茶屋だったカフェを探すのだ!

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 まずやって来たのは「ひがし茶屋街」。茶屋とは、芸妓さんがいる店のこと。

一度でいいから、芸妓さんたちとお茶屋遊びをしてみたいものです。

 

つぎにやって来たのが、浅野川沿いにある「主計町(かずえまち)茶屋街。

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 笛の音に誘われるように歩いていると、見つけました!

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大正2年に建てられた昔のお茶屋。

 

 そして特筆すべきは、

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『木虫籠(きむすこ)』と呼ばれるこの格子!外からは中が見えず、

中からは外が見えるという仕掛けだ。

 

いざ、参る!ふるカフェの価値は、店内のファーストコンタクトで決まるのだ。

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おー、階段の下を収納スペースとして利用した『階段箪笥(たんす)』に、

専用の三味線掛けがあるなんて、さすが元お茶屋だ!

 

お茶屋の本領は2階のお座敷。ということで上がってみると、

なんと床の間の部屋の壁が、全面赤い!

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これは、ベンガラというインドから伝わって赤い顔料。

それをお座敷の壁に使うなんて・・・アバンギャルド!

金沢の昔の建物は、外側から想像できないくらい華やかだ。

 

お座敷に座ってメニューを見ていると、店主の齊木信治さんが

「これはみなさんに出すお茶とお菓子です」と、くり蒸しようかんと加賀の棒茶を。

cafe_kanazawa_010.jpg羊かんのあんを、お茶が包み込み、

舌の上に甘さのじゅうたんが広がっていくんだよな。

 

ここで、うれしいハプニング。お隣のお客さんが注文したお弁当が1つ余って・・・。

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昔からお茶屋さんでは、料亭などから仕出しのお弁当を取っていた。

これも、お茶屋文化の1つなのだ。 

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それにしても、小魚ゴリの唐揚げは絶品。

あの魯山人も金沢を訪れたときは、必ず食べていたそうだ。

 

そして、お弁当をいただいた方々は「金澤町家研究会」のみなさんだった。

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(左から奥村久美子さん・武藤清秀さん・店主の齊木信治さん・増田達男さん)

 

金澤町家とは、1950年以前に金沢で建てられた歴史的建造物の総称だ。

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店主の齊木さんの娘さん麻衣さんは、横笛奏者。

お店で定期的に演奏会を開いているそうだ。

 

そして、本物の芸妓さん、亜希さんとも会うことができました!

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 今でも金沢には芸能が身近にあるそうだ。

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金沢のお茶屋文化を堪能した僕は、

「金澤町家研究会」のみなさんと一緒に町家を見学することに。

 金沢は戦災にも震災にもあっていないので、

古い町家が今でも6,000棟くらい残っているそうだ。

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cafe_kanazawa_018.jpg(天窓のある町家) 

cafe_kanazawa_019.jpg(修復中の町家)

 金沢は伝統的な技術だけでなく、常に新しいものにも目を向けている。

そんな金沢の伝統と革新を感じられる店が、

長町の武家屋敷にあるというので行ってみることに。

 

 2軒目は、「明治末期の黒い門の古民家」!

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そこは、『あずまだち』という、大きな屋根の切妻(きりづま)造りと

白壁に格子が入ったデザインが目を引くお屋敷だった。

 

入り口は、ここ!

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じゃなくて、ぐるっと屋敷をまわった

cafe_kanazawa_022.jpgここだ!

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エスニックな扉を開けて、いざ、参る!

 

 

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スタイリッシュな赤のオブジェに、曲線のカウンター、うちっぱなしのコンクリート。

cafe_kanazawa_025.jpg(赤いベンガラの壁) 

cafe_kanazawa_026.jpg(ガラスとコンクリートの壁)

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(広いオープンキッチン)

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(金沢名産の金箔をふんだんに使った仏壇)

 

明治の和風建築を、見事なまでにアバンギャルドにリノベーション。

サプライズだらけの店内だ。

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(店主の岸田貫生さん)

 

建物だけでなく、メニューにもサプライズが!

なんと、タイ料理がズラリと並んでいる。

で、僕が注文したのは、おすすめのプーパッポンカリー。

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カニのカレー風味の卵炒め。冬場のカニは、金沢の香箱カニだ。

スパイシーな卵焼きにカニの出汁が絡んでうまい!

 

2階を常連客の建築家・山田憲子さんに案内してもらった。

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そこには、金沢の最高級の色、青色に塗られた群青壁が・・・。

この色は、武士たちの権威の象徴だったそうだ。

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しかも、この建物が建てられた明治末期から塗りなおされていないというから驚きだ。

金沢では色で人をもてなすようだ。

 

また、このお店でもすてきな出会いがあった。

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(左からフリープランナーの岩本歩弓さん・染め物作家の山﨑菜穂子さん・漆工芸家の伊能一三さん) 

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(漆と金箔を使った作品) 

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(型染めのハンカチ)  

伝統と革新が、ここにもあった。

 

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ただ、古いものを大切にしているだけでなく、常に前に進む町、それが金沢なんだな。

ちょっと、遠回りして帰ろう。

 

 

 

 

 

 

 

こぼれ話

「木虫籠」
キムスコというのは木製の連子格子で、古い町家にはよく見かけられる仕掛け。「むすこ」というのは「むしこ」のなまったもの。「虫籠」、つまり虫かごのように細い格子でつくられた、という意味がある。例えば京都の町家ではべんがらに塗られた華やかな格子が有名。はじめの頃は「台格子」と呼ばれとても太かったんだけど、時代が下るほどに細くなっていく。縦に並べられる板(タテ子)の幅は約3cm、厚さは2.4cm程度。洗練された印象を受けるよね。ところが金沢の町家の格子「加賀格子」は京都よりもさらに細い!
太いものでも幅1.7cm、厚さ9mm、間隔が1.3cm程度。細いものになると幅9mm、厚さ6mm、間隔が6m程度とおそるべき細さなんだよね。しかもべんがらだけでなく、色が塗られない素木のままの格子も多い。さりげなく細かいところでこだわりのオシャレを見せてくれるのが、金沢の味なのかもね。

こぼれ話

「長町武家屋敷」
長町武家屋敷街は、香林坊の裏の鞍月用水と大野庄用水に東西を挟まれたエリア。藩政期は中級藩士の居住地域だった。
有名なのはキレイな黄土色の土壁に板葺き屋根を載せた土塀。冬には降り積もる雪から壁を守るため、こも掛けが行われる。泥跳ねの汚れを嫌う理由もあるけど、壁に水がしみて、内部で凍ると体積が増えるので、壁を傷つけるというのも大きい。一見雪景色に彩られてうっとりするような眺めでも、そのかげでは結構な努力が必要ってこと。いや、雪国のオシャレも楽じゃない!