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八幡昌裕さん

  • 未来デザイナー

奇跡の土タナクラクレイ

春、農作業の準備がはじまると、トマト農家のおっちゃんが、なにやら粒を撒き始めた。

 

 

実はこの粒、タナクラクレイといって、世界でも棚倉町にしかない、土。

太古の海の底に堆積した、海藻や貝などのミネラルがたっぷり50種類以上も含んでいる、

天然の土壌改良剤だ。

この土を畑にまけば、立派すぎる白菜、

宝石のようなイチゴがとれるという。

 

 

地元の東西しらかわJAでも、土をはじめとする

地域の鉱物資源を利用した作物を『みりょく満点』としてブランド化している。

 

40年以上、土を採掘し続けてきた八幡昌裕さん、84歳。

 

八幡さんが、土の力に気が付いたのは50年ほど前。

当時畜産業をしていた八幡さんは、野生の動物が土を舐めに来ることを聞いていたため、

下痢で死にかかっていた子豚に、試しに土を舐めさせた。

すると、昼に泥を舐めさせた子豚は、夕方には跳ね回るように走りまわった。

その劇的な回復ぶりに、土にはなにかある!と睨んだ八幡さんは、

これまで畜産業をしていたころに世話になった農家の何か役にたてるのではないかと、

家族の反対を押し切り山を買い、土を家畜の飼料や土壌改良剤として売り出した。

 

 

牛舎では、土を撒けば牛たちが競い合うようになめる。

また、土は人にも効果あり。

土に含まれるミネラル成分と吸着力は、化粧品の原料にも最適。

また、遠赤外線を発する土を、ボール状にして素焼きしたセラミックは、

低温サウナにも用いられている。

塙町の湯遊ランドはなわでは、サウナを楽しむことも可能だ。

 

 

2011年。土はさらなる力を発揮した。

放射線で苦しむ農家の助けになれればと、八幡さんは放射線量の比較的高い飯舘村に土を持ち込んだ。表土をはぎとるなどの除染は行わず、田んぼに土だけを撒き、実験的にコメを作った。

すると、玄米で24ベクレル。白米は検出限界以下。

収穫したコメからは放射性物質は基準値を大きく下回る値だった。

多孔質の泥は、放射性物質を吸着。さらに、遮蔽する効果もあることが判明。

2013年、八幡さんの土は、放射能を低減する効果があると認められ、特許を取得した。

「やっぱり環境重視しながら、持続可能な農業を後世に伝えていきたいって思いますね」

 

 

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