ものがたり

会津地方

渡部節朗さん

  • 未来デザイナー

節朗さんと桜の半世紀の物語

【川桁地区の観音寺川の桜】

猪苗代町川桁地区、「観音寺川の桜」。ここは毎年10万人が訪れる桜の名所だ。桜が咲くころになると、毎年桜祭りが開催される。屋台を開いて観光客をもてなすのは、地域の人々だ。

しかし今年はその中に、毎年いたある人の姿がない。

渡部節朗さん(享年84)。今年3月、この世を去った。

節朗さんは桜祭りの生みの親であり育ての親。50年前、

祭りを立ち上げ、その後も運営を続けてきた。

 

 

【桜祭りを立ち上げた節朗さん】

祭りを立ち上げた当時、町は存亡の危機にあった。

かつて鉄道が走り、スキー場や温泉に向かう観光客であふれていた川桁地区。

しかし、年々利用者が減り、鉄道会社が倒産。人口は急速に減っていった。

そんな中、節朗さんが注目したのが、観音寺川の桜。

先祖が厳しい暮らしの中、植えたものだった。

 

 

「桜祭りをやろう!」という節朗さんの声に地域が一致団結。先祖から受け継いだ桜に将来を託した。

 

【節朗さんの思いを継ぐ人々】

住民の一人、渡部三郎さん。造園業を営んでいた渡部さんは、桜の手入れを続けている。

節朗さんの地域のために動くひたむきな背中を見て、心を動かされたからだ。老木が多い観音寺川の桜は1年かけて手入れが必要だ。「今年もきれいだな。ありがとう」という節朗さんの言葉が忘れられないと言う。

 

 

若い仲間を増えている。野本真吾さん(46)は、夜桜を7色にライトアップすることを始めた。節朗さんに会うたびに「お茶飲んでけ!」と誘われ、桜や仕事、川桁のことを教えてくれた。そこで、恩返しがしたいと考え始めたのが、夜桜のライトアップだった。節朗さんが大切にしてきた桜をより盛り上げたいと考えてのことだった。

 

 

「若い人たちにつなげられたっていうことは私たちは本当に幸せですね。節朗さんも今頃は花見酒を飲んでるんじゃないですか。天国で」と嬉しそうに語る哲也さん。

節朗さんがつないだ地域の宝。これからも地域と共にあり続ける。

 

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