「パラリンピックに出場する、ということは大前提。その上で、どんな戦いをするのか。」
アルペンスキー、座って滑るクラスでパラリンピック連覇を目指す、猪苗代町出身の鈴木猛史選手。
3月に、韓国ピョンチャンで行われる冬季パラリンピックに派遣されることが、
日本パラリンピック委員会から、22日(月)に発表されました。
これで、トリノから4回連続のパラリンピック出場です。
フランスに遠征している鈴木選手から、コメントが届きました。
「4度目のパラリンピック出場内定を受け、ほっとしているのが正直なところです。
パラリンピックの大きなプレッシャーの中でも、自分を見失わず、自分の滑りができるようベストを尽くします。」
(正月、猪苗代スキー場にて鈴木選手と)
鈴木選手の取材は、前回、2014年のソチパラリンピック前から続けています。
そして私自身、去年から福島放送局勤務となり、これまで以上に頻繁に会うようになりました。
彼は、とても誠実な人柄です。
日本代表チームの中では、常に若手で、先輩方からかわいがられる存在。
集合写真のときは、わざとおどけた表情を見せるときもあり、チームのムードメーカーでもあります。
そんな鈴木選手が、前回、世界の頂点に立ったのは、技術だけでなく、精神力の強さが磨かれたからでした。
金メダルを獲った「回転(スラローム)」は、2本滑って、その合計タイムで競います。
1本目で2位。2本目で逆転して、3回目のパラリンピックで優勝を飾りました。
自分にプレッシャーを与えすぎてしまう、考えすぎてしまう一面がありますが、
その4日前の「滑降」で銅メダルを獲ったこともあって、
楽に自分の滑りに集中できたことが、結果につながったのでした。
しかし、今回メダルを獲ることは、一筋縄ではいかない状況です。
4年前と今では、勢力図が大きく変わりました。
オランダやノルウェーといったヨーロッパの10代の若手が台頭し、
以前のように、ワールドカップでも簡単に勝てなくなってきたのです。
さまざまな迷いの中、前哨戦とも言える、去年3月ピョンチャンで開かれたプレ大会で、見事、優勝を果たしました。
前回ソチのときも、1年前のプレ大会で優勝しています。
1年後の本番に向けて好材料です。
コースとの相性も大事なだけに、自信を持って臨めるはずです。
「パラリンピックだから特別ではなく、逆に、いかに普通にいけるかが勝負」と話す鈴木選手。
“これまでの実績”ではなく、“これまで積み重ねてきたこと”に自信を持ち、平常心でスタートしてほしい。
そう願うばかりです。
(父、保さんと談笑)
このあと、保さんは、私に
「息子が交通事故で両足を失ったときには、こんな人生が待っているとは思わなかった」と
ゲレンデで滑走する姿を見ながら、感慨深く話してくれました。
投稿時間:10:38