思いを共有して、前へ @山田賢治

 先月、広野町で開かれた「第2回福島第一廃炉国際フォーラム」に行ってきました。

 震災と原発事故からの復興に向けて、また住民の帰還に向けて、廃炉作業は大きなカギとなります。廃炉への課題としては、「汚染水対策」や「燃料デブリ(溶けて固まった燃料)の取り出し」、「解体」、「労働環境の改善」などが挙げられます。長いスパンのロードマップの中で、一つ一つの作業、施策にしっかりとした計画性や確実性が求められます。

 

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【初日の会場の広野町中央体育館。昼食では、「なみえやきそば」がふるまわれました】

 

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【会場はほぼ満員。会場をかえて、2日間に渡って開かれました。】

 

 このフォーラムの大きなコンセプトは、「今、ともに考えたいこと」。廃炉に、私たちはどう関わっていったらいいのでしょうか。

 ファシリテーターは、立命館大学准教授で社会学者の開沼博さん。福島局夕方のラジオ番組「こでらんに5」、火曜のパーソナリティーです。

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【講演する開沼さん。この後のワークショップでは、参加者の思いが外に出るよう、会場を動き回って語りかけていました】

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「“廃炉”について、何がわからないのかがわからないのではないか」

この言葉から始まり、まずは廃炉について知っておくべきことを、データとともに開沼さんがわかりやすくレクチャーしました。その話を踏まえて、地元から参加した人たちが、不安や疑問をボードに書き出します。率直に出して、みんなで共有し、考えることを目的としました。

 

実に様々な角度からの声でした。

「本当に計画通りに進んでいるの?予定通りに進むの?」

「再び地震がくるのではないか」

「メディアはもっとポジティブな報道をしてほしい」

「公開していない情報があるのでは?」

「廃炉のかかる総額は?どれだけ国費が使われるの?」

「デブリはどこにもっていくの?」

「数字の読み解きができない。どこからが安心かがわからない」

などなど、心の中にあるモヤモヤを外に出すことを行っていました。

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【地元の人だけでなく、外国の人も参加していました。ほかにも、原子力を研究している東京の大学院生など、初めて出会った人たちで議論を交わしていました】

 

“安全”と”安心”を得るために、住民が直接、廃炉の状況を視察できる仕組みを作るなどして、“ローカルからグローバルに”声をどんどん発信していくことが必要だという言葉がありました。その上で、正確でわかりやすい情報提供がなされることは言うまでもありません。

 

来年以降もこのフォーラムは継続的に実施予定とのことです。私たちにとって距離感を感じてしまいがちな廃炉作業が、さらに遠い存在にならないように。閉ざされた中で行われることのないよう、私たちも関わっていく姿勢を持ち続けていくことが必要だと感じました。

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【来年も参加し、今年との変化を感じられれば…】



山田 賢治

投稿時間:15:02