山田 賢治

2018年08月07日 (火)Road to Tokyo from Fukushima vol.8 子どもたちに"遺す"ということ @山田賢治


今月2日(木)、福島市の国体記念体育館で、

東京2020オリンピックパラリンピック競技大会 2年前イベント

「オリンピアン・パラリンピアンと語る夢×未来」が行われ、

イベントのコーディネーターなどを務めさせていただきました。

 

会場は、200人ほどの子どもたちと保護者で、熱気にあふれました。

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まずは、オリンピアンやパラリンピアンとのパネルディスカッション。

福島市出身で、アトランタオリンピックに出場した、女子バスケットボールの萩原美樹子さん。

シドニーオリンピック野球日本代表の元・千葉ロッテマリーンズ投手、黒木知宏さん。

 

さらに、車いすバスケットボールで、パラリンピックに出場した増子恵美さんと佐藤聡さん。

福島市の木幡浩市長も登壇。

クロストークもあり、さまざまな話を伺うことができました。

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日の丸を背負って大舞台に立つ思い、さらには、夢を叶えるためのアプローチ・・・。

すべてをここに書きたいのですが、印象に残ったメッセージを。

 

萩原さんは、競技を始めた小学4年生のときから、

「オリンピックに出る」という夢を持っていたそうです。

 

バスケットボールが好きだから、どんな練習でも取り組むことができた、とも。

“好きこそ、ものの上手なれ”という言葉があります。

それをまさに体現されたのではないでしょうか。

“好き”という中での成功体験の積み重ねが、萩原さんを成長させたのだと思います。

 

黒木さんは、負けない!という気持ちの面を強調されていました。

さすが「魂のエース」!打てるものなら打ってみろ!という気持ち。

でも、それは、練習に裏付けられた自信から培われるものだと話します。

 

黒木さんは、練習一つ一つに、“目的意識“を持ったそうです。

なぜ、その練習をするのか?

それは“こういうプレーをしたいからだ”と。

 

この先の自分を具体的に思い描くことを、若いころから染み込ませていった結果が、

夢をつかみ取ることにつながるのではないか。

 

真剣に話を聞いた子どもたちからは、質問が相次ぎ、

この子たちの将来が、非常に楽しみになりました。

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増子さんと佐藤さんは、10代後半で交通事故に遭い、

その後、車いすバスケットボールに出会ったことが、人生の大きな転機となりました。

 

子どもたちにとって、車いすで生活している人、

さらには、パラリンピックの選手に会うことは、ほとんどなかったと思います。

 

麻痺している足は「触っても感じない」という言葉に、

子どもたちからは「えっ」という言葉が。

なかなか想像できないですよね。

 

だからこそ上半身を鍛え上げた、という考え方も、あわせて聞きました。

“失われたものは数えるな、残された能力を最大限に生かせ”、

というパラリンピックの精神を感じた瞬間だったと思います。

 

さらに、パラリンピックに出場したことが

「親孝行だったと思う」という佐藤さんの言葉もありました。

 

子どもたちにどう響いたのか。

短い時間ながらも、子どもたちは、多くのことを感じたと確信しています。

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他にも、パラリンピック競技のボッチャの体験。

みんなが初めてのプレーなのに、盛り上がったこと盛り上がったこと!

自分も楽しみ、友だちも応援!

 

障害のある人だけではない、

誰でもが楽しめるユニバーサルスポーツであることを実感したでしょう。

ことし12月1日、2日は、同じ場所でボッチャの日本選手権が行われます。

ぜひ、みんなで観戦を!!

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私も1投!緊張しました!

 

さらに、1972年札幌オリンピックの聖火リレーで使われたトーチを、全員でリレー。

そのトーチを福島市に寄贈され、

実際にランナーとして走った片倉義則さんに、“かっこいい”走り方を聞き、

子どもたちも“自分が聖火ランナー”とイメージして体育館を走りました。

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片倉義則さんによる説明

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ゆっくり!かっこよく!短い時間を味わいながらのリレー

 

記憶というのは、感動と結びついて残ることが多くあります。

この日、話を聞いて、体を動かし、きっと心も動いたことでしょう。

笑顔で、時には真剣に取り組む子どもたちの姿を見て、私も大いに心が動きました。

忘れられない一日となりました。

 

子どもたちに、2年後でも、大人になったときでもいい、この日を思い出してくれたら。。。

この上なくうれしく思います。

投稿者:山田 賢治 | 投稿時間:16:56 | 固定リンク


2018年06月08日 (金)Road to Tokyo from Fukushima vol.7 誰もが"見送る"街に @山田賢治


東京パラリンピックまで、あと800日あまり。

 

福島に来てからも、パラスポーツを取材しています。

これまで出会ってきた福島の選手に共通することは、

練習場所まで、車で移動している選手が多いこと。

 

練習のときだけではなく、車がないと生活が不便ということも、

地方の事情としてはあります(福島だけに限りません)。

足が機能しなかったり、切断したりしている選手の運転では、

アクセルやブレーキは、全部、手元でコントロールします。

 

私は、これまでずいぶんとパラの選手を取材してきましたが、

こんなに頻繁に、手動運転装置を見ることはありませんでした。

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手動運転装置の一例。

写真中央下(やや左)の銀色のレバーは、引くとアクセル、押すとブレーキ。

ハンドルについているノブを使い、片手で運転できる。

 

また、自分は運転しなくても、家族や仲間が車で送迎してくれる、ということもあるでしょう。

このようなクルマ文化も手伝って、

なかなか街で、車いすの人や、視覚や聴覚などに障害のある人、知的障害や精神障害の人などと

すれ違うことが少ないような気がします。

 

障害のある人もない人も、同じ社会に生きています。そこに大きな“段差”はありません。

ただ、障害のある人には特性があり、一部、配慮が必要な場合があります。

そして、それを知って、自然と接することが求められます。

それが、“誰もが生きやすい街づくり”につながります。

 

ただ、ふだん接する場面が少ないと、“どんな人なんだろう?”

“どんなことに困るのか、困らないのか”が分からず、

ひいては“こわいから、どう接したらいいかわからない。見て見ぬふりをしよう”という考えに至り、

障害の「ある人」と「ない人」という、分離された社会になってしまいます。

 

つまり、「理解できない」ということが「恐怖」となり、関わりを避けてしまうのです。

福島で、もっと障害のある人もない人も混ざった場があるといいな、と感じることが多々あります。

接してみると、「こんなちょっとした配慮があればいいんだ」とか

「なんだ、大きな違いはないんだ!」といった気づきが必ずあります。

 

さらに、“一方的なサポート”ではなく、学ぶことがさまざまあります。

障害があってもなくても、常に“双方向の関わり”であることが、理想の人間関係。

そんな社会であるべきではないでしょうか。

 

つまり、意識的な歩み寄りが必要です。

それには、あえて言えば、障害のある人にも、積極的に街を“歩いて”ほしい。

そのことで、街も変わっていきます。

 

車いすの人、白杖を使ったり、盲導犬といっしょに歩いたりした視覚障害の人、

お年寄り、妊婦さん、子ども・・・がすれ違ったとき、大丈夫かな?危険がないかな?と

自分の後ろを少し振り返って“見送れる”ように。それが自然と習慣付くように。

いろんな人がいるんだ、という認識を多くの人が持つことで、誰もが“見送る”文化になれば、と願います。

 

一方で、障害のある人が外出しやすいような、インフラ整備(道路や店の段差やトイレなど)も必要です。

「誰もがお互いを尊重して、“普通に”接することができる街になれば」

福島に来て1年。日常生活で感じている思いです。

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点字ブロックが続く歩道。この上を、無意識に歩いている人もいる。

“見送った”ときに、そうした人がいたら注意したい。

投稿者:山田 賢治 | 投稿時間:11:05 | 固定リンク


2018年02月27日 (火)めざすのは"フル・インクルージョン" @山田賢治


先日、福島市で開かれた

「ふくしまボランティアフェスティバル」の司会を務めました。

 

ボランティアとして励んできた県内の個人や団体に、

知事や福島県社会福祉協議会の会長から、表彰状や感謝状が送られました。

このフェスティバルは、今回で20回目。

これまでの活動をスライドショーで紹介したときには、

震災の際の活動の様子を見て、「がんばったよね、ほんとみんなでがんばったよね」と、

当時を思い出し、涙を流しながらご覧になっていた方もいました。

 

記念講演は、Eテレで日曜午後7時から放送している、

障害者情報バラエティー「バリバラ」に出演中の玉木幸則さんです。

テーマは、

「障害のある人もない人もともに暮らせるまちづくり 〜一人ひとりが大切にされる社会へ〜」。

ところどころに、笑いを入れた語りに多くの人が聞き入っていました。

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 ソーシャルワーカーであり、兵庫県西宮市で障害者の相談支援に乗っている傍ら、

全国各地で講演活動も行っています。

この日は土曜でしたが、翌日の日曜は愛知県蒲郡市。

忙しいながらも、「みんなで考えたいことがいっぱいある。」と使命感を持って、全国を飛び回っています。

 

玉木さん自身、脳性まひがあり、だからこそ持っている違和感があると言います。

「障害があるのにすごいですね。これからもがんばってください」と言われた時。

「(心の中)障害があるかないかは関係ない。頑張っているよ!これ以上、何を頑張ればええの?」

 

“障害のある人が頑張る姿は、感動を与える”、

“障害者は頑張るものだ“という、固定化されたイメージ。

それが、障害のある人の「生きづらさ」につながることもあります。

私たちは、「障害」をどう捉えるか。

玉木さんからは、障害は「個人にあるもの」ではなく、「社会が作り出したもの」だと。

 

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私自身、これまでたくさんの“障害者”と呼ばれる人に接してきましたが、

接するうちに「障害って何だっけ?」と思うことが多々あります。

玉木さんのお話は、脳性まひゆえに聞き取りづらい時がありますが、

講演を聞いていると、始めよりも最後の方が断然わかるようになってきます。

やはり“接する”“関わる”ことが大事!

 

そのためには、障害のある人が外に出られるような街を、

ソフト・ハード両面で作っていくこと。

さらには、障害のある人もそれを待たずに積極的に外に出ること。

その両輪が、うまく機能していくことが求められます。

その結果、障害があってもなくても誰もが生活しやすい

「フル・インクルージョン(完全な共生社会)」へと変わっていくのではないでしょうか。

 

今回のフェスティバルの司会を務め、

地域で福祉活動を続けているみなさんの活動に敬意を表しながら、

その活動自体を孤立させないようにバックアップする

「支援者支援」の態勢も求められると感じました。誰もが幸せと感じられる社会へ、と。

 

“ふくしま“の”ふくし“を、これからも見つめていきたいと考えています。

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玉木さんとは「バリバラ」でかつて共演したことがあり、

控え室では話が尽きませんでした

投稿者:山田 賢治 | 投稿時間:13:59 | 固定リンク


2018年02月07日 (水)Road to Tokyo from Fukushima vol.6 ボッチャ日本選手権、福島開催決定! @山田賢治


パラリンピックの正式競技「ボッチャ」の国内最高峰の大会、日本選手権が、

ことし12月1日(土)と2日(日)に、福島市の国体記念体育館で開かれることが決まりました!

2年前のリオデジャネイロパラリンピック団体で銀メダルを獲った選手など、

国内トップレベルの選手が出場します。

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銀メダルメンバーで、日本のエースの一人、廣瀬隆喜選手。

 

去年9月のジャパンパラ陸上競技大会に続き、パラスポーツのビッグイベントが福島で開催!

2020年東京パラリンピックに向け、福島でも盛り上がっていきたい!

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写真は、おととし金沢で開かれた日本選手権の様子です。

ボッチャは、ヨーロッパ発祥の競技で、

脳性まひなど、身体に重い障害のある人たちのために考案されたものです。

ほとんどのクラスの選手は、車いすに乗ってプレーします。

 

氷上の競技、カーリングに似た競技で、

2つのチーム、または個人が、赤と青のボールを投げたり転がしたりして、

的となる白いボールに、いかに近づけられるかを競い、勝敗を決めます。

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ボールを投げ合って、どちらが近いか微妙な時は、メジャーで測ります。

一方で、距離を自動計測できるアプリも、いま開発されています。

 

ボッチャは、障害の有無に関係なく楽しめる、頭も使う、奥深いスポーツです。

障害のある人だけのスポーツではありません。

「ぜひ応援してください!」「ぜひ会場に行きましょう!」と呼びかける前に、

「まずは、みなさんに1回体験してほしい」と心から思います。

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投げる技術を磨くのはもちろん、戦術も大事。

ボールの素材、

(写真をよく見ると、素材が違いますよね。

滑りやすい素材、ぶつけて弾きやすい素材など、さまざまです)

床の摩擦具合などなど、いろいろな要素を考えた上での一投は、

緊張感あり、喜怒哀楽あり、魅力いっぱいです。

 

「やりたくなる!」「見たくなる!」、ボッチャ。

東京では、1月、元オリンピック選手やプロ野球名球会がチームを作り、

パラチームと対戦する大会が開かれました。

 

去年夏には、平日金曜の夕方、オフィス街で「企業対抗ボッチャ大会」を開催!

大手企業のサラリーマンがチームを作り、

選手60人が参加して(ボランティア50人、応援者100人以上)、大いに盛り上がりました。

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写真は、リオパラリンピックで日本代表ヘッドコーチを務めた、白河市在住の村上光輝さん。

日本ボッチャ協会の強化指導部長です。

 

日本のキーマンが、福島にいるのです!

福島県のボッチャ普及にも力を尽くしていて、

12月に向け、ともに体験イベントや放送で魅力を伝えていければと思っています。

 

日本ボッチャ協会は、12月までに数回、体験イベントを開く予定です。

スケジュールは、決まりしだい、お伝えします。

このブログでも、ボッチャの面白さを、随時アップしていきます。

ぜひ、ボッチャを一緒に楽しみましょう!

投稿者:山田 賢治 | 投稿時間:19:18 | 固定リンク


2018年01月24日 (水)会い続ける @山田賢治


人に会って、“久しぶりであって、久しぶりではない”という感覚は、誰にでもあると思います。

 

相馬市の佐藤定広さん。

東京で、福祉番組を担当していたときに定期的に取材し、その時々の思いを交わしていました。

佐藤さんは、南相馬市で、障害のある人の自立研修所を運営していて、

震災と原発事故の後、それまで行っていた農作業をあきらめ、缶バッジ作りなどの仕事を立ち上げました。

 

「ハートネットTV」ブログ 「支援に終わりはない ~南相馬取材報告~」

http://www.nhk.or.jp/hearttv-blog/1700/155068.html

 

「ハートネットTV」ブログ 「これからも、被災地を忘れない」

http://www.nhk.or.jp/hearttv-blog/1700/176738.html

 

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そして、2年前の春。

佐藤さんは、ふるさと相馬市に、障害のある人の福祉作業所を立ち上げました。

その名は「工房もくもく」。

JR相馬駅から歩いて数分の建物の2階にあります。

精神障害や知的障害の程度が比較的重い、20代から40代の人たちが、毎日、10人前後通っています。

 

写真の入口から階段を上がり、2階のドアを開けると、

大きな窓から、やわらかな日差しが差し込む空間が。

スピーカーから流れる、ゆったりとしたインストルメンタルの音楽が、やさしく部屋の空気を包みます。

皆さん、わたしの取材を、楽器演奏で迎えてくれました。

ハンドベル演奏では、曲をじっくり聞きながら、

“自分の音”が来ると、丁寧に腕を動かし、きれいな音を奏でていました。

曲は「きらきら星」や「ふるさと」など。私も一緒に口ずさみました。

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(立ってウクレレを教える佐藤さん)

 

中には、南相馬市小高区から避難してきて、戻らずに相馬に住み続けるという選択をした人もいます。

「もくもく」が、“自分の居場所”になっているのでしょう。

特に、障害のある人にとって、

あらたにコミュニティに入って溶け込むためには、大きなエネルギーが必要で、難しいのが現状です。

「ここでは、お互いがお互いを認めて、仲間意識がメンバーの心に生まれ、

ある人の姿が見えない日には、みんなが心配するというつながりができています」と佐藤さんは話します。

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みなさん、機織りやボールペンへの糸巻き。

さらに、紙すきやTシャツプリントなど、スタッフの方々のサポートを受けながら、

疲れた時は休みながら、自分のペースで制作に取り組んでいました。

 

佐藤さんによると、今年度は売り上げが3倍になり、工賃を上げることができたそうです。

しかし、まだ全国平均には至っておらず、常に“次の一手”を考えているそうです。

 

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(商品の数々。どれも丁寧に仕上げられています。)

  

佐藤さんのお話で、印象に残っていることがあります。

『「支える」「支えられる」という一方的な関係ではなく、

みんなから教えてもらうことが、本当にたくさんある。

一緒に笑い、一緒に涙しています。毎日いろいろなことを教えられる。楽しいです』

 

とは言え、スタッフの献身性だけで福祉事業所を持続的に運営していくのは困難です。

活動への助成金が削られていくとしたら、どのように運営していくのか。

 

ここに通うみなさんの笑顔を、そして、佐藤さんたちスタッフのみなさんの笑顔を絶やさないためにも。

現状を把握した上での、国や自治体の施策や仕組みづくりが求められます。

 

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みなさんと一緒に!楽しい時間をありがとうございました!

投稿者:山田 賢治 | 投稿時間:19:47 | 固定リンク


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