視覚障害者のための作品づくりにとりくんでいる刺しゅう作家上田菊明(きくあき)さん(76)を、若い視覚障害当事者が訪ねてリポートする。リポーターは点字図書館に勤務する城間紀乃さん(30)。
上田さんは、明治から昭和にかけて神奈川県小田原周辺で盛んだった「縫い箔(ぬいはく)」と呼ばれるおみやげ品の刺しゅうを発展させ「足柄刺しゅう」と命名、30年あまり作家活動を続けてきた。3年前に視覚障害の若い男性が会場に訪れ、付き添いの女性の説明を熱心に聞いている姿に感激。「説明だけでは分からないだろう」と額からガラスを外して触って貰ったという。その話が伝わったのか、多くの視覚障害者が来場。彼らの喜ぶ姿に感動し「障害のある人も楽しめる作品作りを」と思い立ったという。触れてもほつれないよう強めに縫い、凹凸を強調することで立体感を出すなど、くふうを重ね、3年をかけて6点の作品を完成させた。妻の介護をしながら、今も作品製作に取り組んでいる、上田さんの姿をおう。 |