ドラマスタッフ日誌

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二つのご報告。(10.04.06)

12月の九州沖縄地区での放送、そして2月の全国放送、それぞれをたくさんの方にご覧頂きました。皆さん、本当にありがとうございました。このサイトにも温かい感想、熱い感想がいくつも寄せられ、その一つ一つをスタッフ一同で嬉しく拝見しました。こんなにも大きく、見た人の気持ちを揺さぶったのかと驚いています。「こんなに泣かせやがって、ばかやろう」とまで書いてもらえるとは…。仕事で人から「ばかやろう」と言われたのは新米助監督時代に毎日言われて以来久しぶりでしたが(幸いプライベートでもそんなにありませんが)、こんなに嬉しい「ばかやろう」があるんですね。

さて、この番組を応援して下さった皆さんに二つ、ご報告があります。

一つは、「母さんへ」が2月のギャラクシー賞を受賞したということです。ギャラクシー賞はテレビやラジオの批評家の方々の組織による権威ある賞で、優れた放送番組に毎月与えられています。今年度のドラマでは、大ヒットしたタイムスリップ時代劇「JIN−仁−」なども受賞しています。こちらから賞に応募したわけではなく、放送をご覧下さった審査員の皆さんの目にとまっての受賞だったこともあり、喜びも驚きもひとしおでした。今日発売の月刊誌「GALAC」5月号で選評とともに正式発表されますので、ご覧いただければと思います。

もう一つは、ドラマの中で登場したあの「共同風呂」が2月いっぱいをもって閉鎖されたということ。何十年もの間、黒木町の十数軒のお宅が共同管理し毎日利用してきましたが、運営上の負担が大きすぎるため皆さん惜しみつつ閉鎖を決められたそうです。今だから明かしますが、実はあのお風呂は黒木町のなかでも西側の地区にあり、人形浄瑠璃を行っている笠原地区とは数キロ離れています。笠原に住んでいるひかり先生と亜矢が行くのは本当は不自然なのですが、物語の上では近所にあるという設定にしました。そうまでしてドラマに登場させた理由は、単にあのお風呂が古くて物珍しいからではありません。実際に共同風呂を利用されているお宅にはそれぞれちゃんとお風呂があります。それでも毎日あのお風呂に来るのは、そこで近所の人たちと交わす何気ない会話が楽しいからなのです。このことを知ったときに決めました。ひかりと亜矢が初めて心を通わせるのはここにしよう、と。そこが黒木の人にとって大切な触れあいの場であることはセリフでは一言も言っていません。でも、あのお風呂には人が正直になれそうな雰囲気がしっかりあって、映像を通してそれが伝わってきます。

「母さんへ」はどのシーンもこのように作りました。黒木の人たちにお茶をご馳走になりながらゆっくり話を聞いて作った、地味でささやかな、田舎のお話です。そんなドラマが、生き馬の目を抜く東京の民放の連続ドラマと同じ土俵で評価してもらえたのです。

先週、「母さんへ」の出演者とスタッフで受賞のお祝いをしました。皆さん多忙な中、居酒屋さんの広間が息苦しくなるほどの人数が集まってくれました。アルコールでだんだん赤くなっていく笑顔の一つ一つを眺めながら、「母さんへ」という作品は一本の番組であるのと同時に、あの美しい夏の中で、このチームが力を合わせて頑張ったという事実の記録なんだなあとしみじみ思いました。どんな作品であれ、それが関係者の努力の結晶であることは変わりませんが、「母さんへ」は特にその意味を強く感じます。そんな作品に監督として関われてとても幸せでした。

僕の大好きな、そして皆さんもきっとご存じの、ある俳優さんから「母さんへ」の感想のお電話を頂きました。その方は僕が東京で演出した大河に出演され、さらに「博多はたおと」も見てくれています。「あなたの作るものはどれも同じだねえ」というのがその俳優さんの感想。そして次に出てきた言葉は「そこが良いんだよねえ」でした。今、すでに今年の福岡発ドラマの準備を進めています。演出清水以下、今年も同じチームで作ります。別の町の別の物語にはなりますが、「母さんへ」を楽しんで下さった皆さんがきっと気に入るような、そんな作品にしたいと思います。僕たちらしい作品を丁寧に作ること。それが、このホームページを何度ものぞいて応援して下さったあなたへの恩返しになると思うので。

演出 清水

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