2018年06月28日 (木)"棚田"も"地域"も諦めない ~東峰村棚田まもり隊~


九州北部豪雨からまもなく1年。福岡県東峰村は「日本の棚田百選」にも選ばれた美しい棚田で知られた場所。豪雨により、村の農地1/3が土砂が流入するなど甚大な被害を受けた。被害が深刻な農地は国の負担で復旧工事を受けられるが、河川の補修が優先され、いつ始められるのか全く見通しが立たない。こうした中、村の若手約20人が結成したのが「東峰村棚田まもり隊」。田んぼは一年休むと使えなくなる恐れがあるため、なんとか自分たちの手で復旧しようと立ち上がった。
メンバーのほとんどが農業以外の仕事をしているため、活動できるのは夜か休日だけ。狭く効率の悪い棚田では、たとえ元通りに復旧できても、得られる収入はわずか。それでも活動を続ける背景には、“地域”や“棚田”のつながりが村にとって大切なことだという1人1人の棚田への深い思いがあった。
高齢の農家の間では、災害を機に農業自体をやめる人も増えてきた。まもり隊は、そうした農家の田んぼを引き受け、代わりに壊れた水路を補修したり、田んぼに入った木や石を取り除いたりして、再び米作りできるよう取り組んでいる。
「災害でやられても、棚田も、地域も諦めたくない」と奮闘する棚田まもり隊。春から田植えまで、その活動を3か月を見つめた。

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美しい棚田が広がる東峰村(2016年8月撮影)

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2017年7月5日の豪雨で家や農地が流されてしまった

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「東峰村棚田まもり隊」は昨年秋に結成。
若手兼業農家が中心となって活動

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定期的に集まり、会合を行う

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村に対する思いを語る

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被害にあった農地を借り、米作りをすることに。取水口の修理や、水路の土砂そうじも行う
村の外の人にも呼びかけ、田植えに協力してもらう

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豪雨の後、初めて植えられた田んぼ

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田んぼの水管理は持ち主の農家に依頼

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【取材ディレクターの一言】

彼らがよく口にするのは「自分達でなんとかせんと村がなくなる」「ばぁちゃんやじいちゃんらの笑顔が見たい」など、村の人のことを思うことばばかり。どうしてそこまでしてやるんだろう。その理由が知りたくて取材を始めました。
「あの一日で全てが変わってしまった。それを悲しむより、前に進むしかない」という棚田まもり隊。自分達の仕事や生活もある中、手弁当で活動を継続するのは容易でありません。それでも彼らの活動を見ていく中で、棚田が生み出す地域のつながりや、幼い頃から過ごしてきた棚田のある風景を大切にしていることを感じることができました。
仕事終わりに夜な夜な集まる会合で、互いの気持ちをぶつけ合い、話はなかなかまとまらないけれど、「ちょっとずつ進めばいいか」と笑い合う姿はかっこよく、頼もしく感じます。そんな、東峰村のことを真面目に、強く思う彼らに、これからもエールを送り続けたいです。

■問い合わせ先
▽東峰村棚田まもり隊
事務局 梶原寛暢さん(かじわら・ひろのぶ)

投稿者:ロクいちスタッフ | 投稿時間:18時30分


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