2020年03月11日 (水)福岡のソメイヨシノに異変が?


気象予報士の吉竹です。

さまざまのこと思い出す桜かな 芭蕉

春を代表する花といえば、やはり桜ですね。
気になる桜のつぼみがどうなのか、
先日9日に福岡管区気象台のソメイヨシノの標本木を見にいってきました。

福岡管区気象台のお天気相談所の許可をいただいて、写真を撮ってきました。
まず、こちらが標本木の全景です。
高さ10メートルを超えそうな立派な桜です。
この標本木の桜が5~6輪以上開けば、「開花」が発表されます。

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標本木の根元には立札があります。
裏を見て見ると「1979年2月」の文字。
つまり1979(昭和54)年の2月に
気象台のこの地に移植したことが記されています。
もう40年以上たっています。立派な大人の桜です。
(※実は、この標本木の近くにもう一本、ソメイヨシノが植えられています。
もし、標本木が病気や台風などで折れた場合にはこの予備の木が選手交代、
新しい標本木に昇進します)

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今年は暖冬の影響で桜の開花は早いという予想、
もうつぼみは随分大きくなっているだろうな、
と思い肝心のつぼみに近づいてみると、

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「ウワッー、これは・・・」
「まだつぼみ堅くて小さい!茶色で緑が見えてない」
「開花予想日まであと1週間、絶対無理!」
「このままでは平年の開花日3月23日より遅くなるのでは?」
とつぶやいてしまいました。

予想が外れ、心の片隅にあった恐れていたことが起こっているようです。
前回のブログ(2月27日)で少し説明しました「休眠打破」です。
この春、福岡のソメイヨシノについては
記録的暖冬の影響でこの休眠打破が「不十分」である可能性が。

ソメイヨシノは冬の寒さが足りないと目覚めが悪くなり、
開花が通常より遅れる傾向が強くなります。
近年、鹿児島の桜が、暖かい冬が多いため開花が異常に遅い年が増えています。
この現象がとうとう福岡でも。

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福岡のこの冬(12月~2月)の平均気温は9.8度、平年より2.2度も高い。
1890(明治23)年の観測開始以来、第1位の記録的高温となりました。
ベスト5を並べてみると
第1位 9.8度 2019年12月~2020年2月の冬
第2位 9.2度 2018年12月~2019年2月の冬
第3位 9.0度 2006年12月~2007年2月の冬
第4位 8.8度 1988年12月~1989年2月の冬
第5位 8.7度 2016年12月~2017年2月の冬
※平年は7.6度

2位以下に大きく差をつけ、ダントツの高温です。
「9.8度」という気温は、鹿児島の平年の冬の気温「9.6度」を上回っており、
「福岡が鹿児島に引っ越したような冬であった」
と言うことができます。
これまでに経験したことがない未知の領域に足を踏み入れたような状態です。

さあ、福岡の桜は、開花がいつになるのか?
こまめにつぼみの状態を確認する必要があります。

ちなみに、きょう(3月11日)現在、
東京のソメイヨシノの標本木は1輪開花とのことです。
ほころびそうなつぼみもたくさんあり、
東京は過去最も早い3月16日を抜き記録的に早い開花になる可能性も。
「この春、全国の桜前線に異変あり」の様相を呈してきました。

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撮影:日本気象協会

投稿者:吉竹顕彰 | 投稿時間:16時44分


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