2020年01月31日 (金)記録的大雨と記録的暖冬


気象予報士の吉竹です。

ロクいち!の気象コーナーに向けて、毎日、天気図とにらめっこしています。
さまざまな気象資料を解析して、きょうお伝えするポイントを頭の中でまとめ放送に臨みますが、
時には私が経験したことがない予想以上のことが起こります。

y_200131_01.jpg

1月27日(月)の出来事です。
発達中の低気圧の通過で九州北部は雨になりました。
放送中、大分県南部に発達した雨雲が発生、気になっていました。

y_200131_02.jpg

放送終了後、みんなできょうの番組反省会をしていましたが、
大分県佐伯市に相次いで「記録的短時間大雨情報」が発表され、
報道フロアは一気に緊張、慌しくなり、特別番組の対応に追われました。
私は雨雲の状況、雨の降り方、水蒸気の流れ込みなど、いろいろなデータを確認。
「線状降水帯」の発生です。
午後7時27分までの1時間に佐伯市で117.5㎜の猛烈な雨を観測。
1月としては日本歴代1位の記録更新。
雨雲は午後8時ごろからようやく東へ動き始め、
佐伯市の雨の峠は越えましたが、被害が発生しました。

y_200131_03.jpg

経験のない豪雨、ここでポイントになるのは、
(1)なぜ1月のこの時季に?
(2)南西諸島ならわかるが、なぜこれほどの猛烈な雨が九州で降る?

データを解析すると、低気圧が大量の暖かい湿った空気を持ち込み、
南東の風が大分県南部の山に吹きつけ、佐伯市付近に線状降水帯が形成されました。
そして、季節はずれの暖かい大量の水蒸気が九州付近まで持ち込まれたのには、
どうもこの冬の記録的暖冬とも関係があるようです。

y_200131_04.jpg

この冬は偏西風の位置が例年よりかなり北に位置した状態が続いています。
このため、シベリアの寒気が南下できず、九州を含め全国的に記録的暖冬になっています。
大分県佐伯市大雨当日の1月27日、お隣の熊本県八代市で最高気温が23.7度、
平年より13.5度も高い5月上旬並みの記録的高温になりました。
つまり初夏並みの暖かい空気が九州に流れ込んでいたわけです。

y_200131_05.jpg

この冬の記録的暖冬についてはさまざまな要因が考えられますが、
太平洋の日付変更線付近の海面水温が高いことや
通常とは異なるインド洋の海面水温の状態が日本の南の高気圧を強め、
ひいては偏西風を北上させていることが大きな原因のひとつ。
これに加え、地球温暖化による気温の上昇も暖冬に拍車をかけているものと考えられます。

福岡の1月の平均気温を1890年(明治23年)の観測開始以降、グラフにしてみました。
右肩上がりに気温が上昇しています(100年あたり1月の気温は1.9度上昇)。

y_200131_06.jpg

そして福岡における今年2020年1月の月平均気温(1月30日まで)は9.6度。
これは平年より3.0度も高く、観測開始以来130年間で2位を大きく引き離し、
経験したことがない記録的高温です。
9.6度とは3月上旬から中旬の気温に相当するまさに季節はずれの高温。
地理的には福岡市が鹿児島市や枕崎市のさらに南、種子島の近くまで移動したような状態です。

すでに記録的暖冬の影響で、
農作物の生育や冬物商品の消費など社会的にも大きな影響が出ていますが、
いろいろな資料を検討してみても、2月も暖冬が続く可能性が高いと考えられます。
今後も気候の動向に注目していく必要があります。

投稿者:吉竹顕彰 | 投稿時間:17時07分


ページの一番上へ▲