井上二郎

2018年03月30日 (金)ありがとうのことば おわりに


てくてくてくてく歩く、歩く

「電車移動の多い東京を離れたら歩かなくなるよ」と言われてやって来ましたが何のその。福岡に暮らして本当に歩くようになりました。道が平坦、健康のため、おいしそうなお店がいっぱい、街を歩く人がオシャレ等々、いろいろ理由はありますが
1時間くらいであれば乗り物にのらずに歩きます。

毎日のお散歩コース、大濠公園。NHK福岡放送局の目の前です。

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晴れの日も、雨の日も、風も雪も雷も、全部の大濠公園を経験しました。夏の汗ふく人々の姿、秋の落ち着いた皆さんの表情、冬の厳しい顔つき、そして春の柔らかな笑顔、笑顔、笑顔。さえぎる物もなくぽかんとあいた青空を見上げると、不思議と『上を向いて歩こう』という気持ちになる場所です。

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もうひとつ、大好きなお散歩コース。福岡市の『けやき通り』。繁華街の赤坂や警固あたり、文字通りけやきが植えられた素敵な通りです。

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特に夜、ご飯を食べに行った帰り、タクシーにはのらずにあえててくてく歩きます。夜の暗闇に、少し暗めのオレンジの外灯が溶けていきます。街には粗い光のつぶが漂っているよう。その中をゆっくり歩いていると、福岡にいる今の自分がちゃんと歩けているか、確認するような気持ちになる場所です。光の粒に、大切な人たちの顔を思い浮かべながら。

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そして・・・。

3年たって、自分がなぜ歩くようになったのか、理由がわかりました。
この街の感覚を肌に感じたかったんだな。景色と、においと、顔と言葉。この空気を忘れないよう、刻む作業だったんだな。

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そしてこれからも、前を向いて、きょろきょろして、立ち止まって、時々振り向いて、でも、てくてくてくてく歩いていこう。抱えきれない「ありがとう」を胸に。

これから先、曲がり角の向こうで誰に会えるだろう、どんな場面に出くわすんだろう。

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「ありがとうのことば」。有り難い経験を沢山させていただいた3年間。このブログもおしまいです。くだらない私の文章にお付き合いいただき、ホントに、ほんとうに、本当に、ありがとうございました!

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投稿者:井上二郎 | 投稿時間:12時24分 | 固定リンク


2018年03月29日 (木)ありがとうのことば(5)


この3年間、数え切れない思い出をくれた福岡、九州を振り返っています。ありがとうのことば。

最近福岡を訪れる方々から熱い視線を注がれる場所、『糸島』

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福岡から西に電車や車で30分ほどで行ける半島です。海あり山あり、おいしいものもオシャレなカフェも、雑貨も遊び場も盛りだくさんの宝箱のような土地。私ももちろん大好きなのですが、糸島というと、私にとっては「励まされる場所」なのです。

福岡に来てからジョギングを始めました。いや、始めさせられました。3年前、『ロクいち福岡』の企画で「福岡マラソンに挑戦!」というものがありました。その当時の私は42.195キロという道のりがどれほどの長さなのか全く見当もつかず、いつもの調子で「おっ、いいすね」と安請け合い。その後、自分の発言には責任を持たねばならないと知った40代中年でした。

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コースは福岡の中心部をスタートして糸島半島をぐるりとまわります。私のようなへなちょこランナーにとって、ちょうど笑顔が消え、「なんでこんなことをやっているのか」あるいは「なんで俺がこんな目に」というネガティブ思考に支配されつつあるあたりで糸島に入ってきます。美しい海の景色、すがすがしい山の風景、それらがすべて足の痛みに塗りつぶされていくそのとき。

沿道の皆さんが声をからして応援してくれます。
「明日のことは考えるなー!」「人生最高のビールが待ってるぞ!!」「走れるだけ幸せだ!いやな顔はしちゃだめだ!!!」等々。

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お名前も存じ上げない、はじめましての皆々様が、知らない私たちのために大きな声を出してくれる。励ましてくれる。背中を押してくれる。すごいことだ、すごいことだとつぶやきながら、でもくじけそうになる心と戦いつつ。足の痛みは一歩ずつのしかかってきます。どう誤魔化しても寄せては返す激痛のことで頭がいっぱいです。

そんな中で、今も私の心にしっかりと刻まれている応援の言葉があります。

「なんとかここまで来たじゃない」

糸島の風に乗って届けられたこの言葉。「なんとかここまで来たじゃない」。そうだ、なんとか、なんとかここまで来たんだ。いろいろあったけど、やめようと思ったけれど、楽しいこととつらいことと同じ割合ではなかったけれど、でもなんとかここまで来たじゃない。躓きながら、転がりながら、なんとかここまで来たじゃない

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そうだな、そうだったな。振り返ればいっつもそうだったな。ここでやめたらここまでの道のりを自分で捨てることになるんだな。

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汗と涙で、普段からひどい顔が5割り増しのひどさにアップしながら、この言葉を繰り返し唱えてなんとかゴールすることが出来ました。

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走りきったとき、自然と「応援の言葉、ありがとう」と頭が下がりました。3年間で、フルマラソン2回にハーフマラソン1回。タイムは度外視とにかく完走のおじさんランナーは、糸島で出会えた素敵な言葉に支えられて、きょうも福岡の街をどたどたと駆け抜けるのでした。

投稿者:井上二郎 | 投稿時間:10時41分 | 固定リンク


2018年03月23日 (金)ありがとうのことば(4)


この3年間、数え切れない思い出をくれた福岡、九州を振り返っています。ありがとうのことば。

いや~、スマホに残されているこの3年間の写真を見返すと、ほんとに食事の写真が多くてですね。

めんたいこさん、お世話になりました。
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かわはぎ師匠、肝がキモな姿、忘れません。
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かき君、ここであなたを好きになりました。
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もつなべ先輩、お酒をすすめますね。
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あさりちゃん、潮干狩りの楽しみありがとう。
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ああ、他にもお礼を言い切れない皆さんが・・・。

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ありがとうといいたくなるほどおいしい食事であり、ありがたくないお肉がついてしまった魅惑の食事。

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何を食べてもうまい、何を食べても安い。にしても食べたな~、食べつくしたかしらん、などと思っていたら、先日の送別会にて。
福岡の友人たちが、「あれ食べたと?食べとらんと!?」「この店行ったと?行っとらん??今までの時間何しとったんやジロー!!」と怒られる始末。・・・すいません・・って何で謝らないかんと??

ちなみに私の福岡食ベスト5はこのような感じ。あくまで主観に基づいておりますのであしからず。
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それにしても、この豊かな食文化に触れられたのは、自分にとってのかけがえのない財産となりました。

元気な人たちはよく食べる。食べる人たちはパワーがあふれる。あふれたパワーは波及する。

なんで福岡って元気なんやろ、なんで福岡ってパワーがみなぎるんやろ、なんで福岡って魅力的なんやろ。この3年間、この地で暮らしながら考えていました。そうだ!おいしいもの、いっぱい食べる人たちが暮らしてるからだ!!

福岡の人たちはよく食べる。
おいしいものがたくさんあって、これを食べようあれを食べようという楽しみがあって、いっぱい食べて元気になって、また元気な福岡を作り上げる。それは脈々と続いてきた文化であり、食べることは元気なことだ、そんな至極当たり前のことを改めて気づかせてくれました。

そして、きょうももりもり食べるの巻。

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元気があれば何でも出来る、ありがとー!

投稿者:井上二郎 | 投稿時間:16時38分 | 固定リンク


2018年03月14日 (水)ありがとうのことば(3)


「ポン」というベルト着用の合図。
次第に上空から福岡の景色が見えてきたとき、不安と緊張とちょっとの期待が胸にこみ上げてきたのをはっきりと覚えています。3年前の3月末、『よろしくお願いします』。そんなつぶやきと共に降り立った福岡空港。

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この3年の間にターミナルビルがリニューアルして、今もなおその顔を変えようと進化しています。

いま、私は新年度の番組準備のため、東京と福岡を行き来する週末を送っています。福岡空港から、『行ってきます』
先週末も東京でポスターやら番組宣伝の撮影でした。

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新しい年度、私が担当するのは土曜朝9時に始まる「週刊まるわかりニュース」という新番組です。
1週間のニュースをまとめてわかりやすくお伝えする、というコンセプトの番組。
その舞台は、「とある昔風の雑誌編集部」という設定です。私、その編集長を務めます。
ですので出演者全員みんなこんなレトロ調衣装。わたしサスペンダー編集長。

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ポスター撮影の後はテレビで流れる番組宣伝のVTR撮影。
首から下はアニメーションになるため特殊な格好で撮影します。

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出来上がりは、乞うご期待。

その後に雑誌の取材を受けたのですが、記者さんから一言。「前に担当していた『知恵泉』に引き続きちょっと変わったキャラ設定となりますが、ご自身ではどう捉えていますか」。・・どう捉えるといいましても・・・笑。ま、『自分の抱くイメージと人が思うイメージにはこれほどまでの乖離が』でしょうか。今回のプロデューサー「君をイメージするとやっぱり『レトロなオヤジ』、だったんだよね」。いやいや自分の中ではスタイリッシュスタイリッシュ。知恵泉のプロデューサー「二郎さんはやっぱり寂れた酒場が似合うし・・」いやいや自分の中ではお洒落なカフェバー。なにがどうなるかわからない、だから人生は面白い。ありがたいですね、こんな経験。


そんなこんなでドタバタと仕事をして、夜、また飛行機に飛び乗ります。
じんわりと足の疲れを感じながら、うっすらひげの伸びてきたあごに頬杖ついていると、「ポン」というベルト着用音。
窓の外に、ぽつぽつと福岡の灯りが見えてきました。
緊張した体をほぐすような黄色やオレンジの灯り。
『ただいま』

3年がたち、福岡空港に降り立つ言葉も変わりました。「よろしくお願いします」「行ってきます」「ただいま」。
そして心に届く、「おかえり」。
ほっとさせてくれて、ありがとう。

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投稿者:井上二郎 | 投稿時間:11時57分 | 固定リンク


2018年03月08日 (木)ありがとうのことば(2)


この3年間、数え切れない思い出をくれた福岡、九州を振り返っています。ありがとうのことば。


むうっとするような湿り気を、遠く離れた福岡市内でも感じていたあの日。
いつも冷静な仲間たちが、ニュースセンターを慌てて走り大きな声を上げていたあの時。
何が起きているんだ?緊急ニュースを出しながら、自分の理解を超える出来事が迫っているのではと恐怖したあの瞬間。

2017年7月5日九州北部豪雨。
地形がえぐられ、川は流れを変えさせられ、街は変わり果て、そして多くの人の命が奪われました。

土砂に埋まった福岡県朝倉市。美しい自然と果樹が広がるのどかな場所でした。流木が突き刺さった東峰村は、ホタルが飛び交う陶芸の村。私のようなよそ者が言うのもはばかられますが、本当に美しい地なのです・・・。

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災害後、何度も実際に取材やボランティアでうかがいました。

たくさんの「なぜなんだ」の涙に出会いました。たくさんの「自分も何か」の手に出会いました。たくさんの「これからだ」の瞳に出会いました。

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たくさんの人のたくさんの声。
『もうだめだと思った。でも農業せんと、親父が残してくれたこの土地、捨てるわけにはいかんのです』(壊滅的被害受けた70代梨農家)
『正直、時間が止まっています。でも、今ここでへたっていたらしょうがないし、前を向いていくしかない』(家が埋まった女性)
『テレビでボランティアが少ないって言って!もうみんな忘れてるでしょう!でもまだ行ってないところ、いっぱいあるっちゃ!できることやって!!』(ボランティアの男性)
『自分ひとりではどうしようもなかったです。想像もつかなかった、みなさんがこんなにまでしてくれるとは』(泥のかき出しを依頼した農家)
『何かひとつでも希望があれば・・。ひとつの希望さえあれば』(土砂につぶされた商店経営の夫婦)

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朝倉と東峰を訪れるたびに、生きることや日々過ごす大切さを考えるようになりました。前を向くとは、希望とは、助け合うとは、それでも土地とともに生きるとは。

いまもこの瞬間も、一歩一歩復旧復興に向けた動きが続くこの地。さまざまなことを教え続けてくれています。

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投稿者:井上二郎 | 投稿時間:12時10分 | 固定リンク


2018年03月06日 (火)ありがとうのことば(1)


ご無沙汰しております。井上二郎でございます。
このブログ、だいぶ遠ざかっておりましたが、実は皆様にご報告があり再び筆を執ることとなりました。

3月いっぱいで、福岡放送局を卒業いたします。

3年間にわたる福岡での生活。本当にありがとうございました。ただただ感謝の言葉しかございません。
この場を借りてお礼申し上げます。

町の曲がり角、ブロック塀、街路樹、標識一つとっても、様々な思い出が刻まれています。
振り返るのは少々早いかもしれませんが、私の大好きな福岡、九州のこと、場所を文字にしていきたいと感じています。
これから何回かにわたって書き連ねていこうかと思っています。

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最初の場所は「福岡ヤフオクドーム」。プロ野球ソフトバンクホークスの本拠地です。
野球のだいご味、応援する楽しさ、感動を共有する一体感・・。私がいた3年のうち、実に2度も日本一に輝く強いチーム、勝利の喜びを教えてくれました。自分は「にわか」だとちょっと引け目を感じつつも「ロクいち!福岡」の放送が終わって何度となく駆け付けたものです。

通路からグランドが見えてくる瞬間が大好き。多くの人が行きかう通路からゲートを入っていくと、ウワァアア・・という大歓声が耳に、まばゆいばかりの照明群が目に、飛び込んできます。テレビの中だった選手たちが屈伸したり、深呼吸をしたり。全力での応援の声、せわしなく動く売り子たちの動き。3万を超える意識がしゅうっとグラウンドに注がれる。たまらない瞬間です。

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そして。
この場所が、私にとって特別な理由。
『びょうきにかつ。もう一度、しあいをみにいく』。

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3年前のことです。
突然、数十万人に一人という難病に見舞われた息子がよりどころにしていた場所が、このドームでした。急に自らの命と向き合わされた彼は、毎日病院のエレベーターホールの窓から見えるヤフオクドームを、飽きずに見つめ続けていました。
「もう一度応援したい」。「もう一度、もう一度」。私たちは合言葉のように話していました。私は「ここを元気に出て、必ずもう一度、連れていくよ」と約束しました。根拠はないけど、スポーツには何か分からないすごい力があるって聞いたから。

それから。
普段はあんまり約束を守れない親父は、沢山の支えと本人のがんばりのおかげで、その後きちんと約束を果たせてほっとしたのでした。

今は?ですって?
もう人並み以上に元気になって、声をからして応援しています。静かにしなさい!って言われるくらい・笑。

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投稿者:井上二郎 | 投稿時間:10時30分 | 固定リンク


2017年10月04日 (水)ハムレット


廊下は走らない。老化が走ってくる。恐怖に走って逃げ回る、そうわたしは井上二郎。

ある日、ピコーンと携帯電話のメール着信音がなりました。見ると、もう何年かぶりの懐かしい名前。
その昔、私がドキュメンタリーの制作で全国を飛び回っておりましたときに知り合った遠くに住むお父さん。もう60、70代かしら。お元気でよかった!とメールを開封した瞬間。

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まさかの「年取ったね」確認メール。台風のニュースで全国放送に出たのを見ていただいたそうで。
読んだ直後の様子です。

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はぁ・・・。分かってはいるんです。そう、おじさんは43さい。加齢臭と戦ったり、鼻毛が白髪になったり、若者言葉の「ディスる(「悪口を言う」という意味。『ディスリスペクトする』から)」を「デスる」と言って「それじゃ重犯罪になっちゃいますよ」と若者に嘲笑されたり。

そうかぁ、まあそうだよな、でもなぁ、と、とぼとぼ歩いていると。
頭から「ジジ、ジジジ」という羽音のような音が。しばらく放置していましたが、なんかもそもそ動くような感覚があり、頭をささっと払うと。
ぴょん。

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コオロギのような虫が飛び出て、着地後絶命しました。

あふれる涙を抑えられませんでした。

もう虫しか寄り付かないおじさん。頭から虫が飛び出るおじさん。人に老けたと指摘され、虫に最期の場所と選ばれる、ああわたしはおじさん。

以上、すべて実話です。

この現状を受け入れるべきか、抗うべきか、はたまた恥を忍んでエステにでも行くか。それが問題だ。
ハムレットならどうするかしら。

そんなこんなでまた一日、年をとるのです。
でも、どうせなら笑いジワでくしゃくしゃになってやるぜ!

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投稿者:井上二郎 | 投稿時間:10時13分 | 固定リンク


2017年10月03日 (火)3か月が突きつけるもの


青ってどんな色?って言葉を覚えたての子どもに聞かれたら、「これだよ」って見せたいような空。

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こんな日は、絶好の何日和?
そう、きょうは「ボランティア日和」!

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もうすぐ3か月が経とうという九州北部豪雨で甚大な被害を受けた福岡県朝倉市。大量の土砂と流木に覆われた地域が広がります。

朝倉にも抜けるような青空が広がっていました。

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前回ボランティアに来たのは7月だったから、2か月ぶりのボランティア。その間何度か被災地取材をして、出会ったボランティアの皆さんから、「もうみんな終わったと思ってるでしょう。でも、これからやけん。これからって、ちゃんと伝えてよ」って託されました。

これから。これから。

そんなことをぼんやりと考えながら、ボランティアセンターで派遣の案内を待っていると「はい、では皆さんには、この3か月まったく手付かずだったお宅に行っていただきます」と社会福祉協議会の方からアナウンスがありました。車に乗り込み移動です。

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道中、隣に座った方とお話しをしていると「毎週ボランティア行ってるんです」とのこと。いろんなつながりも出来て、できる範囲でやってますから、と。とっても素敵な笑顔。

伺ったお宅は、本当に3か月、時が止まったままでした。あたり一面の灰色の土砂。かろうじて建つ骨組みだけの家々。
家の中は土砂と流木と家財が折り重なって、かがまないと家には入れず、立ち上がると天井にすぐ手が届きます。
3か月の時間で泥はセメントのようにかたまり、へばりついた布団一枚出せません。
マスクの隙間から入り込む埃にむせながら、「これから、これから」とつぶやいていました。

手を見ると、新品だった軍手に穴が開いてました。

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でも、この手でかきだした土砂なんて、運んだタンスなんて、ほんのわずかだ。なんにも役に立ててない。「これから。いや、これから、すらも言える状況じゃないかもしれない」。作業時間は終了を迎え、呆然と、ただ呆然として帰ろうとすると。

一緒に片づけしていたそのお宅の親戚の方が、いたずらっぽく話しかけてきました。「皆さんのために泥は片付けんと残しておくけん、またのお越しをお待ちしてます」ですって。みんなでひとしきり、げらげらげらげらお笑い。それで、「ありがとね、うれしかった」と。もう少しでも力になれれば、すいません。

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ボランティアセンターに戻ると千羽鶴が飾られていました。

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集まる気持ちです。「それじゃあ、また」出会ったボランティアさん達と連絡先を交換して、お別れしました。

あれから3か月。僕に出来ることを考える時間が続きます。

投稿者:井上二郎 | 投稿時間:10時37分 | 固定リンク


2017年09月14日 (木)びっくりしたなぁ、もう


この夏、観光地でソリのような遊びをやった際、安全のためヘルメットをかぶりました。

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こうしたものを装着すると、必ず「大~成~功」と言ってしまう、元祖どっきりカメラ世代の井上二郎です。あの番組、びっくりし過ぎて時々喧嘩になってましたね。どうでもいいですけど。

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いや生きていると日々驚かされます。最近「びっくりしたなぁ、もう」と口をついて出たのは。

その一。
「先輩、せ・ん・ぱ・い」。素敵な笑顔で呼びかける後輩。さわやかトーテムポールこと小宮山晃義アナウンサー

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私と同じくらいの身長ながらなぜか腰の位置がぜんぜん違うな、と妬みに満ちた視線を送っておりましたが、なんと!
「さっき健康診断行ったら、去年よりまた1センチ身長伸びて、189センチになってました!」
ええっ!!30超えてまだ伸びてるの?!このペースなら2028年に2メートルじゃん!・・・にしても、こっちとら年取ってきて年々縮んできてるというのに・・。びっくりしたなぁ、もう。そして悔しい。ねたましい。

その二。
家の近くの橋にて。穏やかな日差し。穏やかな川の流れを、やや微笑んで見つめるわたくし。この穏やかな微笑み、誰か見てくれないかしら・・好感度あがりそうだな・・・などとよこしまな思いに満ち溢れて歩いていると、ええっ!!ええエイ!!・・いや、ほら、エイ。

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川を悠然と泳ぐ「エイ」。

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まさかこんなところにエイが・・。いやちょっと大事件だと思い、大相撲の勢関が塩を取りに行くくらいのスピードで(分からない方、すいません)会社に行って少し調べたら、まあ時々あることらしいですね。川にエイが出没するのは。しかし、びっくりしたなぁ、もう。

その三。
ことしある調査会社のリサーチで、「『子どもが尊敬する人』の項目で、初めて『母親』が『父親』を抜いた」という記事を目にしました。
これはいかん。父親の沽券問題勃発。なんとか「お父さんすごい」を見せねば・・。しかし勉強はもはや追いつけず、流行の歌も分からない。ようし、じゃあこれで目に物見せてやろうではないか。
釣り。

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オヤジの尊敬回復の定番レジャーです。
釣れそうなポイントを探すそぶりを見せつけ、えさも豪快に手づかみで扱う様子も見せつけ、いざ仕掛けを投入!
ちゃぽん。
・・10分後。30分後。1時間半後。2時間後。

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天気晴朗なれども魚おらず。各員いっそう眠気退治せよ。びっくりするほど釣れず、出るのはあくびばかり。

と、そこへ。ええっ!!「ぼく釣れたよ!」

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ええっ!えっ!あ、あそう・・。よかった、ですね。
その後も威厳は見せられず。自分のあまりのふがいなさに一番びっくりしたなぁ、もう。

びっくりどっきり。だから人生はおもしろいのかも。そんなことを言い聞かせながら、また日々を生きています。

投稿者:井上二郎 | 投稿時間:14時10分 | 固定リンク


2017年09月08日 (金)ゴールデンスランバー


そろそろ書こうか書くまいか。
夏休みはとうの昔に終わってしまった。

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長い長い「ゴールデンスランバー」。

甘く見ていました。こやつを。

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仕事を始めればおのずとブログを書くだろうとたかをくくっておりましたが、こやつの易きに流れる性格。だらけにだらけてもう9月になってしまいました。「ブログ書いてください」。「ブログやめちゃったんですか」。沢山のお手紙をいただきました。すいません。

ぼんやりと福岡の街を見つめていた8月のひと月。

みんなでヒーローに手をたたく街。

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みんなで伝統を受け継ごうとする街。

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みんなで少しのお金でわいわい楽しめる街。

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みんなで住みやすくしようと力を合わせる街。

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みんなで亡くなった命に手を合わせる街。

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あらためて、いい街だな。

家へと続く道。
故郷へと続く道。

「黄金のまどろみ」から目を覚まそう。

この夏、この街でいろいろあって少し疲れていましたが、もう一度、また元のとおりに書き始めようと思います。

投稿者:井上二郎 | 投稿時間:10時31分 | 固定リンク


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