9月3日(木) 放送
「3回連続『幸福度日本一』  変わる幸せのかたち①」

角谷:
民間のシンクタンクが2年に1度行う「全国都道府県幸福度ランキング」。 2020年のことしは2年に1度の幸福度ランキングが発表される年にあたります。
一方、私たちの社会はことし、感染が拡大している新型コロナの影響で暮らしや働き方が大きく変わりつつあります。
こうした中で幸せのかたちはどう変わりつつあるのか、県内の動きを取材しました。

福井駅前の商業施設「ハピリン」
幸せ=ハッピーにちなんで名付けられました。

「福井しあわせ元気国体、開会します!」
おととし開かれた国体の愛称にも「しあわせ」の4文字が。
今、福井で暮らす私たちのまわりには「幸せ」「ハピネス」など
幸福度の高さを誇ることばがあふれています。

行政も「日本一幸せな県」を全面に押し出して、PRに活用してきました。
一方、知名度や交通の便利さでは他県に劣る福井県。
人口の流出は続き、移住者や観光客の誘致に一定の成果を挙げながらも苦労を重ねてきました。

こうした中、新型コロナの感染拡大後、変化が起きています。福井県の移住相談の受付窓口です。8月1ヶ月の相談件数は4月の2.5倍に跳ね上がりました。

この日は関西に住む女子大学生からの相談でした。
福井へのUターンを希望しています。

(職員)
「どう?コロナは3月頃から多くなってきた?
コロナのせいで福井に戻りたい?」
職員はただ移住相談に乗るだけではなく、就職先も支援します。

(職員)
「総合職、特に総合事務を求めてるみたいで売り込んだんですけど、
『4年生の人でいい人がいる』と言ったら『是非お会いしたい』と。
面接の段取りつけました」

特に東京や大阪など大都市部で暮らす若い女性や家族などからの相談が
目立つということで、県は手厚いサポートで
UターンやIターンにつなげようと取り組みを強めています。

(職員)
「コロナが凄く心配でそれで非常に増えてきている。
自然も豊かですし、コロナが流行っても山にでも遊びに行けますし
それは安心だと思います」

一方、「幸福度日本一」とされる福井に新型コロナの感染拡大前に
移住した人たちは今、何を感じているのか。
人口およそ2500人の池田町で取材しました。

5年前、東京から移住した笠原辰徳さん・理紗さん夫妻です。
住まいは、無償で譲り受けた古民家。
子どもの遊び部屋だけで24畳もあります。

「都会のアパートだと大きなおもちゃ置けないんですけど
滑り台とかトランポリンも」

就学前の娘たちの遊び部屋は4部屋をあわせた広さで
「3密」を一切気にせずのびのびと遊び回ります。

前回の「幸福度ランキング」でも、「教育」の指標が全国1位なのに加えて、
持ち家率の高さなどを含む「生活」の指標でも5位と、生活環境も上位の福井県。持ち家の広さも全国2位で、子ども3人を育てる笠原さん夫妻にとってはぴったりな場所だといいます。

(笠原さん)
「コロナのために来たわけじゃないんですけど。でもやっぱりこういう環境に来といて正解だったなと思います」

東京の中心、丸の内で働いていた頃とは通勤も大きく変わりました。
満員電車に乗って毎日、1時間半以上、通勤に費やしてきましたが、
今は車で10分あまりです。

(笠原さん)
「家から職場までも自分の車で運転して10分、15分好きな音楽
聴きながらとかも大声出しながらフリーな状態で。
インターネット繋がんない地域だったら違うんでしょうけど
池田町・福井は全然関係ないのでね
その日の早朝の情報とかも携帯見ればわかるので
そこは全然ストレスはないですね」

そしてことし5月、3人目となる女の子が生まれました。
全国的に新型コロナの感染が拡大する中でも、
心配する要素が少ない環境で子育てをしながら暮らせることに、
笠原さん夫婦は幸せを感じていると言います。

(理紗さん)
「安心感はすごいです。大丈夫。東京とかだとポッといっちゃうと
全然知らない人に囲まれて何人会ったかも誰に会ったかも
分からないっていう状況ですけど。
自分で把握出来るのでそこの安心感は違いますね。
コロナがあって変わらざるを得ない状況があったからこそ
見えてきたものっていうのもあるのかなって思います。
大正解だったと思ってます。私にも子どもたちにも」

新型コロナで変わる社会。
幸せの形も、変わり始めています。

角谷:
スタジオには取材した宗像記者です。
笠原さん夫婦、東京とは全く違う環境に、このコロナ渦の中であらためて
意味を感じている様子でしたね。

宗像:
そうなんです。ご覧いただいたような生活環境の良さに加えて、
多くの人で混雑する電車を利用しての通勤がないことだったり、インターネットを利用すれば情報面でも特に困らないことなど、今、コロナの感染拡大に伴う社会全体の変化の中で、関心が集まり始めていることを先取りして享受しているような状況なのかもしれないと強く感じました。

角谷:
一方で、あす5日は民間のシンクタンクの幸福度ランキング発表ですね。
どういった点に注目すればいいですか。

宗像:
もちろん、3回連続1位の福井県が今回どうなるのか、というところが気になりますが、
ランキングを公表している「日本総合研究所」は、「結果の順位だけに注目するのではなく、評価全体を通して、自分の暮らす土地の環境を客観的に知る手がかりにしてほしい」
としています。

角谷:
たとえば前回のランキングでも福井県は「教育」や「仕事」の分野では全国1位でしたが、外国人の宿泊者や留学生の数などを含む「文化」の指標ではだいぶ下のほうの33位です。また、「女性就業率」が1位の反面家族とくつろぐ時間などを示す「余暇時間」は25位と、決して高くないことなど、個別に見ていくと課題もみつかります。
こうした点がどうなっているのかや、そもそもコロナ渦の中で幸福度の指標は今後どうなるのかなど、あす4日は、ランキングの結果も踏まえて詳しくお伝えします。





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