2017年12月11日(月)
出演者:食探料理人 田中佳子さん/食探案内人 羽生ちひろキャスター
福井の冬の風物詩「水ようかん」。箱に流し込んだ四角い形、そして深い小豆色にツヤのある表面。みずみずしく、滑らかな舌触りとあっさりとした味わいは、福井の冬には欠かせない定番のお菓子となっています。
12月上旬、福井市内で行われたイベントでは、屋外に設置されたこたつで水ようかんを食べるというユニークな光景も見られ、多くの来場者でにぎわいました。しかし、来場者に話を聞いてみると、意外と水ようかんのルーツや独特な形状については知らないことが判明。業界トップシェアを誇る老舗菓子店2代目の江川正典さんに話を聞くと、水ようかんについての文献などは現在残っておらず、発祥については諸説あるとのこと。一説によると、里帰りしたでっちがようかんを水で薄めてかさ増しして家族で味わえるようにしたことから広まったともいわれています。そんな水ようかんを作る工場内では、この時期、1日3000箱の水ようかんが作られており、年末年始のピーク時には、1日におよそ1万箱が作られます。材料は、ザラメ・黒砂糖・寒天・小豆あんのみ。これを煮詰めて作られます。材料も工程も非常にシンプルですが、水ようかん特有の滑らかさは、煮詰められた材料の粗熱を取る工程でできるのだと言います。大事なのはじっくり時間をかけて冷ますこと。寒天が分離しない50度以下になるまで、休みなくかき混ぜることで、寒天が均一に固まり、材料もムラなく混ざり合うのだと言います。さらに福井の水ようかんといえば、箱に直接流し入れる「一枚流し」が定番。全国的にも珍しい形だといわれています。かつては、漆塗りの木箱に直接流して売られていて、漆の器は回収し、洗って使いまわしていました。もっと多くの人に水ようかんを楽しんでもらいたいと考えた先代が、箱屋と現在の紙の箱を開発したのだといいます。知っているようで意外と知らないことが多い福井の冬の風物詩「水ようかん」。
今回はこの水ようかんを使った洋風のデザートを作りました。
水ようかんのミルフィーユケーキ