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放送日:2016年2月9日(火)
出演者(ほっ旅人):森下絵理香アナウンサー

 人気を集める "個性派"寺巡り

今回は、県内3か所のお寺を訪ねました。

少し変わったお坊さんがいると聞き、大野市の公民館を訪ねました。 行われていたのは、去年亡くなった町内の人たちを弔う法事。 お経をあげ、お説教をしていたのが、大門哲爾(だいもん・てつじ)さんです。
説教が始まっておよそ10分。大門さん、なんとギターを取り出しました。

実は大門さん、地元大野市では有名な「唄うお坊さん」
大野市にある善導寺の副住職を務めながら、 週に1度は、歌の法事などの依頼が舞い込んでいるんです。
この日歌っていたのは、いずれ訪れる「死」に備え、今を大切に生きようという自作の歌、『ダイイング・メッセージ』です。

寺の跡取りとして生まれた大門さん。 家業を継ぎたくないと、学生時代はプロのミュージシャンを目指していました。
しかし、プロへの道は厳しく挫折。7年前にお寺を継ぎました。 転機が訪れたのは去年、人々を前に説教をする中で単調な話に退屈している人たちが多いことに気付き、説教に歌を取り入れたのです。 そうすると、聞き手はリラックスして説教を聞いてくれました。


手応えを掴んだ大門さんは今、「歌」と「話」をうまく使い分けています。 この日の説教は、「期待」と「苦しみ」について。話が少し難しくなったところで、 「期待」と「苦しみ」を歌った、有名な一曲『スーダラ節』を披露します。


「いかに人生を意義深く生きることができるか説いたのが仏教。 話が伝わった時ってすごくいい顔をされるんです。その顔を見たい。」大門さんはそう話していました。




続いてやってきたのは、これまた変わった説教をすることで知られる、福井市の大安禅寺
この寺の23代目、副住職の橋玄峰(たかはし・げんぽう)さんです。
千年の歴史があると言う、平安時代に作られた仏像、大日如来坐像を見せてくれました。
片手がなく一部が腐食しているのは、織田信長が越前に攻めてきた際に、民衆が土の中に隠してまで守り抜いたためだと言われています。

「お寺を守っていくのも、僧侶の一つの仕事」と橋さん。
しかし、寺離れが進む中、この寺も一時は訪れる人がほとんどいなくなったといいます。
そこでこのお寺が始めたのが、説教に「笑い」を取り入れること。
冗談や身ぶり手ぶりを取り入れ、集まった人が楽しめるよう工夫を凝らしたのです。 まるでトークショーのような説教は人気を集め、今では年間2万人がこの寺を訪れるようになりました。

高橋さんは
「いろんな方の、祈りの対象となってきた場所なんですね。それが1000年以上続いているわけですから、そういった想いが(お寺の)形になっているだけなんです。多くの人に足を運んでもらって、多くの人にこのお寺を使ってほしい。」
と話していました。




最後に訪れたのは、“ある動物”がいるという寺、御誕生寺


それは
このお寺では、27匹の猫と自由に遊ぶことができます。

猫たちの世話をするのは、この寺の僧侶たち。これも修行の一環なんだそうです。
きっかけは住職の板橋興宗(いたばし・こうしゅう)さんが、捨て猫を育て始めたこと。
その噂を聞きつけて、猫を預けたり捨てたりする人たちが増え、一時は80匹にのぼりました。

「人間と同じように、猫も幸せになってほしい」
そう考えた副住職の猪苗代昭順(いなわしろ・しょうじゅん)さんは、3年前、インターネット上にお寺のページを作成。 この寺や地元の保健所に持ち込まれた子猫の写真を投稿し、育ててくれる人の募集を始めました。
すると全国から問合せが殺到。この3年間でおよそ250匹が引き取られて行きました。

「猫1匹1匹のことを考えると、1匹に一家族というのが一番いいことだと思う」「猫1匹に対する対応も、人に対する対応と同じ」と言う猪苗代さん。



古くから命の大切さを伝え、人々の心の支えとなってきたお寺。
形を変えながらも、その心は今も息づいていました。


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