2018年03月17日放送放送内容まるわかり!

首脳会談は突然に... どうなる?"非核化"への道

韓国と北朝鮮は今月5日、南北首脳会談を4月に開くことで合意。さらに韓国政府はトランプ大統領に、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長が米朝首脳会談の開催を提案していることを伝えました。トランプ大統領は5月までに応じる意向を表明。米朝首脳会談は実現すれば初めてのことになります。 これまでの強硬姿勢から態度を大きく変えた北朝鮮。この動きは核・ミサイル問題の解決につながるのか?国際社会はどう向き合う?専門家と掘り下げます。

今週の出演者

専門家

平井 久志さん(ジャーナリスト)
渡部 恒雄さん(笹川平和財団 上席研究員)
出石 直(NHK 解説委員)

ゲスト

田村 亮さん(ロンドンブーツ1号2号)
大沢 あかねさん(タレント)

今週のグラフィックレコーディング

グラフィックレコーダー
山田 夏子さん


首藤 アナウンサー
7年あまり続いてきました深読みのコーナー、実はきょうが最後となります。
キム・ジョンウンさんとトランプさんが初の首脳会談を行う見通しというニュースが。皆さん驚いたと思うんですけれども、どうですか?

田村 さん
正直、何があったの?としか言いようがない。両方あんだけ怒ってたのを、何を見させられてたのかなって、いままで。

大沢 さん
正直、信じられないですよね、北朝鮮は。だって、日本上空にミサイルも飛んでるわけで、急に非核化にする意思はありますよみたいなことをちらつかせてるわけですけども、本当なの?って思いますよね。

首藤 アナウンサー
いったいどういう思惑があるんでしょうか。7年前、深読みの第1回の放送で北朝鮮についてプレゼンした、徳永アナウンサーがまた教えてくれます。


プレゼンテーション

徳永 アナウンサー
おはようございます。また北朝鮮のお話で終わるとは思いませんでした、本当に。7年たちますと、でも、いろんなことが変わりました。

ご覧のとおり、トップが両方変わりました。このご両人です。
何がすごいって、言葉がすごい。

「あいつ、ロケットマン」。物騒なことも結構言うわけです。
言葉だけではなくて、例えば朝鮮半島の近くに空母がっていうニュースもあります。

空母っていうのは、滑走路と戦闘機がそのまま船にのったようなものと思ってください。つまり、基地がそのまま近づいてくるようにも見えるので、これは大騒ぎとなったわけです。
片や、北朝鮮。

核やミサイルの実験を次々と繰り返すし、この方もなかなかのことをおっしゃいます。「あいつ、老いぼれ」。
つまり、ずっとこの2国間の間は巨大な氷があって、

ますます大きくなってきているようなふうにも見えたんですよね。それが、「うそーん!」ってなっていくきっかけ、直接のきっかけはここでした。

首藤 アナウンサー
韓国の。

徳永 アナウンサー
ムン・ジェイン大統領ですね。韓国の大統領って主に2つのタイプに分かれます。1つは北朝鮮に強く出ようとする人。もう1つは北朝鮮と仲よくしようとする人。ムン・ジェインさんは久々の仲よくしようとするタイプの方です。その性格が強く出たのが。

首藤 アナウンサー
記憶に新しい、オリンピックですね。

徳永 アナウンサー
ピョンチャンオリンピック、一緒に行進しようよ、一緒にアイスホッケーしようよ、どんどん来てもらっていいんですよって一気に近づいたんです。

大沢 さん
こっからですよね、一気に。

徳永 アナウンサー
実はこの時、私、韓国行ってたんですけど、優しくしすぎだってデモもあったぐらい。ですが、ここから一気に動きます。オリンピックが終わったあと、今度はお返しにと韓国の特使が北朝鮮に行ってキム・ジョンウン委員長に会いました。すると、決まったんです。いきなりのご対面。

4月に2人で会いましょうよっていうのが決まります。これ、なんと史上3回目。まだ3回目なんです。
これだけでも驚きなんですが、帰ってきた特使の人が今度はアメリカに報告に行ったとたんに、この氷がパッカーン。

田村 さん
そんな?

徳永 アナウンサー
伝え聞いているニュースによるとこうです。「私と会ってくれるかな?」。

すると、「いいとも!」。

こういうことですね。

大沢 さん
どっかで聞いたことあるな。

徳永 アナウンサー
いままで何だったんだ。

大沢 さん
本当ですね。

徳永 アナウンサー
この間、たった3日です。北朝鮮とアメリカのトップが会うとすれば、史上初めてです。長年ニュースを伝えてきた首藤アナウンサーも3カメに向かって、はい。

首藤 アナウンサー
えっ、うそー!?

徳永 アナウンサー
ぐらいの出来事ということでございます。 ただ会うって決めただけではなくて、伝え聞いてるところによるとですけども、キム・ジョンウン委員長、こう言ってると言います。

「非核化に尽くす」と言っているとか。それから、「核、ミサイルの実験、対話が続いてる間は控えますよ」と言ったと。

大沢 さん
本当ですかね?

徳永 アナウンサー
トランプ大統領は

「僕が直接会って完全な非核化を実現してみせる」と、こう言いました。
これ、もしかするとですよ、このままいくと、2人が会うってことは、

ずっと懸案の核の話がテーブルに載るかもね。もし話がうまくいくと、まさか、まさかの、

この2つの国の間に平和が来るかもね。そうすると、ここも平和になるかもね、

なんですよ、実は。
覚えてます?朝鮮戦争って習いましたよね。実は終わってない。いったん休憩の状態です。実は休憩しましょって話をつけたのは北朝鮮軍と国連軍なんです。国連軍っていうのは、要は多くがアメリカなんです。
ってことは、この2国間が本当に仲よくなれば、ここだって戦争が終わることになるかもしれない。ってことは、核もない、真の平和が朝鮮半島についに来るきっかけになるかもね、と。「かもね」なんです。

田村 さん
いままでの関係見てたら、そんないいことずくめのわけがないと思ってしまう。

徳永 アナウンサー
そうですよね。何しろこの番組、それでプレゼンが終わったこと1回もないです。そして、長く見てくださった方は分かると思いますが、明らかに何かが出てくるスペースがここに。
そのとおりです。はい、どうぞ。
この歴史ですよね。

そもそも北朝鮮、核兵器開発してるんじゃないの疑惑っていうのは、1990年代入ってすぐぐらいからあったんですね。実はこの時、アメリカと北朝鮮、戦争寸前というか、ぶつかる寸前までいって、なんとかのところでとどまったんです。話し合いつけたんですが、数年後、アメリカの人が行ってみると、

あれやっぱ作ってんなっていう疑惑が上がります。
今度は、6か国協議ってよくニュースに出ますけど、ほかの国も含めて6か国でお話ししましょうよって話して、やっと2005年に北朝鮮はすべての核兵器・核計画、放棄っていうふうになったんですが、次の年、

核実験をしました。その後はご存じのとおりで、2012年、キム・ジョンウン委員長になってからは憲法に核保有国ですよって書くぐらいにまでなっています。
そりゃ怒るのはこっちです。ここ数年、ずっと方針は変わってません。

北朝鮮が核を放棄しないかぎり交渉にも応じません。話し合いもしませんからねっていうスタンスであるんですね。だから、みんな素直に「かもね」とも言えないと。
実は調べてみると、トランプ大統領は会うよとは言ったんですが、この大方針は全く変わってないよっていうのをずっとアメリカは言っています。
そして、実はここ。会った韓国の人が言っている状態です。キム・ジョンウン委員長はおろか、北朝鮮からもリアクションはまだない状態です。
さてさて、会うとは言ったけれど、そもそもいつ会うの?どこで会うの?何話すの?どこまで決めるの?そもそも会うんだっけ?本当に。会ってもめたらどうするの?これから決まっていくわけです。平和になるんですかね?

首藤 アナウンサー
そもそも、本当に会うところまでまずいくんですか?

大沢 さん
5月までにって、もうすぐですよね。

田村 さん
実現するのかな?

渡部 さん
分かんないですよ。だって、場所決まってないし。普通は場所とか決めて、条件決めてから、はい合意なんですけど、順番逆なので。

大沢 さん
ちょっと信ぴょう性的にはまだ低いっていう感じなんですか?

田村 さん
会わない可能性も全然あるってことですね。

渡部 さん
そうですね。

出石 解説委員

韓国政府が言っているのは、キム委員長はこういう発言をしたんだということなんですね。それが本当かどうかっていうのは分かんないんですけども、一方でいま北朝鮮の国営メディアなどが伝えてるのは、われわれが核武力を強くしてきたのは正しかったんだと。米韓合同軍事演習についても、こんなことをやったら大変なことになるぞと言ってるんですね。だから、いま北朝鮮が言ってることと、キム委員長が韓国の特使に言ったということが全然違うんですよ。どっちが本当なの?

首藤 アナウンサー
平井さんはどう見てますか?

平井 さん
南北の首脳会談はもちろん約束したんだからやるでしょうね。次の段階の米朝がやれるのかどうか。でも、北朝鮮は、本気は本気だと思いますよ。
キム・ジョンウンさんという人は30代前半でしょ。で、たぶん本人は自分の政権が30年、40年、まだ続くと思ってるわけですから、国内の権力を固めて、核兵器もほぼ完成に近い状況まで来てるわけですから、次何をするかといったら、自分の政権が長く続くことを考えるだろうと普通は思うんですよね。そのためには、いままでやらなかった外交をやってくると。アメリカとの関係をなんとかしないと自分の政権は長く続かないというふうに考えるんじゃないのかなという。

田村 さん
経済制裁っていうのは効いてなかったんですか?

平井 さん
これまではあまり効いてませんけど、昨年の国連安保理がやった、8月、9月、12月という連続的な制裁は、これから効いてくるのは間違いないと思いますよね。

田村 さん
それを危惧して会うってことなんですか?

平井 さん
それは大きいと思いますね。北朝鮮は、本当に効いてから交渉に入ったら足元見られるじゃないですか。だから、まだ少し余裕がある間に交渉に入って、経済制裁の包囲網というのを破らなきゃいけない。それのいちばん弱いところが韓国じゃないのかな。同じ民族ですし。韓国というものを通じてアメリカに行こうとしてる。いまは、そういうプロセスじゃないのかなという気がします。

大沢 さん
北朝鮮の時間稼ぎって言われてますけど、それはどうなんですか?

平井 さん
そういう面はあると思いますけど、北朝鮮は対話をしてもしてなくても、いままで核・ミサイル開発をやってきたわけですね。ですから、時間稼ぎという見方もできるかもしれないけれども、逆に言えば、ほっといたら、もっともっとやりますよね。そうしたら、歯止めをかけるような交渉を僕はやったほうがいいんじゃないのかなという気がするんですけどね。

首藤 アナウンサー
もうすでに、視聴者の方からの声が。


グラフィックレコーディング

田中 アナウンサー
このコーナー最後のきょうも視聴者の方からたくさんの声が届いています。ツイッターなどで寄せられた声をイラストを交えて描いていくグラフィックレコーダーの山田夏子さんです。

北朝鮮・アメリカのトップどうしが会うということに関して、さまざまな意見があります。

「北朝鮮の意見を聞く機会がやっと来てよかった」という声。 ただ、印象としてはやはり、不安がいま多く来てるなという感じです。

「トランプさんとしては、中間選挙、近くにあるからかな」「何か裏があるとしか思えない」「ずいぶんの変わりようで信じられない」「急な展開、疑うばかりです」「キム委員長、方針転換、なぜ? これをよく考えるべきじゃないですか」。

首藤 アナウンサー
この急な方針転換、なぜと見てますか?

出石 解説委員

「並進路線」っていう言葉は聞いたことありますかね?キム・ジョンウンさんになってから、こういうことを言いだしたんですね。つまり、核を開発することと、経済を強くすることを同時並行でやりましょうと。
平井さんがおっしゃったように、去年の6回目の核実験とICBMの発射実験で、だいたい核のほうはほぼ完成したと。今度は経済のほうがまだまだだ。しかも、ことしの9月に北朝鮮は建国70年。お祝いがあるんですよ。その時までに今度は経済を強くして、国民を豊かにしなくちゃいけない。そのためには制裁を解除しておかなくちゃいけないというふうに北朝鮮は考えて、核から経済のほうに切り替えてきた、そういうことが言えるんじゃないですかね。

平井 さん
そうですね。お父さんのキム・ジョンイルさんという人は核やミサイルを自分のカードにしていたようなところがあるんですよね。例えば、お金をアメリカが払ってくれたらミサイル開発やめてもいいですよって、それの交渉をやりましょうとか言って。
キム・ジョンウンさんは核開発をすること自身が自己目的化しちゃって、あまりカードという性格が薄くなってた。それが今回はお父さんの路線に戻ったような感じがあるわけですよね。
だから、悪く言えばマッチポンプ、何も変わってないって言えるし、よく見ればお父さんの路線に戻って、カードとするわけですから、交渉の余地があるって、そういうふうに前向きに見ることができる。それがどちらなのかっていうことはむしろ今後の交渉で見えてくるんじゃないのか、その先に進めるかどうかですよね。

首藤 アナウンサー
ここも気になったんですけど、「体制が保証されるならば」っていうのはどういうことを意味してるんですか?

平井 さん
北朝鮮とアメリカというのは、朝鮮戦争をやった当事者なわけですから、休戦状態なわけですよね。そういう意味でおそらく体制の保証というのは、平和協定。

これは朝鮮戦争の時の休戦協定を平和協定に変える。そして、敵対しているアメリカとの国交を正常化をする。
それと、いままでの主張では、在韓米軍というものがいつ自分たちに攻撃をかけてくるかも分かんないので、在韓米軍を撤退させる。こういうふうな条件がすべて整えれば、われわれは核を持つ必要はないんじゃないかと。だから、ある意味ではすごく出口論なんですよね。
ところが、一方のアメリカ・トランプさんは、まず非核化ということをやってからだろうと。非核化というのが入り口論なわけですよね。ですから、いちばん難しいなと思うのは、出口論・入り口論をどこで結びつけることができるのか、接点がどこにあるのかっていうところじゃないかなっていう気がするんですけどね。

大沢 さん
でも、会談が行われたとして、もし決裂してしまったら、軍事的な行動みたいなのもゼロではまだないですもんね。

平井 さん
そうですね。今度の会談というのはキム・ジョンウンさんとトランプさんという非常に特異なキャラクターの方によって作られた合意であるとも言えますけども、もしこれが非常に悪い結果を生んで、トランプさんが非核化ということでもてあそばれたというふうな判断をした場合には、再び軍事的な行動もありえるんだよみたいな、そこは怖いですね。そういう意味では、非常に危うい分水れいのような交渉になるんじゃないのかなという気がしますけど。

田村 さん
そもそも、非核化のことは宣言しないかぎり交渉しないっていうところで、ずーっとまだ経済制裁が効くまで待っとくっていう判断はないんですか?

首藤 アナウンサー
アメリカの思惑ってところですよね。

渡部 さん
まず、アメリカの思惑とトランプ大統領の思惑は切り離したほうがいいと思います。トランプ大統領はあまり真面目に外交とか政治を考えてないし、知識がないので。

大沢 さん
でも、大事なティラーソンさんとかも辞めさせて。

渡部 さん
辞めさせた理由は、去年の時点でティラーソンさんが、報道ベースですけど、トランプ大統領のことを「あんなまぬけの下で働いてられない」って言ったのが報道されちゃったので、首切られるのは時間の問題だったんですね。
ただ、どこで切るかだけだったんですけど、このタイミングで切ったんですね。

首藤 アナウンサー
なぜこのタイミング?

渡部 さん
まずは、ホワイトハウスの中のパワーバランスが変わった。現実的に、もうちょっと冷静にちゃんとやりましょうよっていう人たちが力持ってたんですけど、その1人が前の奥さんへの虐待とかが報道されちゃって辞めちゃったんですね。ポーターさんっていう秘書官なんですけど。それでパワーバランス変わっちゃって、トランプと、どちらかっていうとトランプ的な考え方をする人ばかりになった。
アメリカ・ファースト。世界のことは関係ないと。アメリカがアメリカのやりたいようにやると。だから、ほかの国がアメリカに戦争してほしいと思っても、いや、俺はやらんって言ったり、ほかの国が平和でいってほしいと思っても、俺はやるとか、そういう。自分勝手。

大沢 さん
日本はいま結構アメリカとはいい関係じゃないですか。安倍さんと。

首藤 アナウンサー
「100%ともにある」。

渡部 さん
それは世界からも評価されてて、安倍首相がわがままなトランプとうまく相性を合わせて、うまくアメリカを変な方向に行かないようにしてくれるっていう評価をされてるぐらい。でも、トランプという人は、いっとき仲よかった人でもだめになるとだめなので、日本だって結構怖いです。

大沢 さん
今回の話、日本、ちょっと置いてきぼりみたいな印象あるんですけど、大丈夫なんですかね?

渡部 さん
別に大丈夫でもないけど、今度逆に韓国がはしご外されることもあるし、みんながみんなトランプ大統領とうまくやれないので、それはしょうがないので。
ただ、さっき言った、トランプ大統領とアメリカは別なので。アメリカの国務省とか国防総省とか軍とか、こういう人たちは伝統的に普通に考えてるので、そういう人たちとトランプ大統領のせめぎ合いもあるんですね。

首藤 アナウンサー
新しくなる。

渡部 さん

ティラーソン国務長官が今回は解任されて、後任はポンペイオCIA長官になったんですけども、ティラーソン国務長官と、あともう1人、マティス国防長官という人は、もうちょっとアメリカの国益のために考えましょうと。
それから、同盟国とかほかの国のこともちゃんと考えましょうという人。この人たちが、トランプ大統領がかなりむちゃなことをやろうとしても、ちょっと待ってください、よく考えましょうと言ってきた。
トランプ大統領が、北朝鮮に対して軍事攻撃の可能性を強く言ったり、キム・ジョンウン委員長に対して厳しい言葉を、「リトル・ロケットマン」とか言ったりすることは気をつけてくださいと。偶発でエスカレートすることもあるからっていうことをいさめてきたようなポジション。
ポンペイオさんはどちらかというとトランプ大統領が言ったことはわりと言うことを聞いちゃう人。世界的にアメリカ・ファーストっていう気持ちをものすごく一緒に持ってる人。伝統的な外交官じゃないので。
なので、実はみんな心配していて、北朝鮮に関して心配してる人よりも、むしろイランとの核合意を2人で壊しちゃうんじゃないかっていう心配がいま世界にある。

首藤 アナウンサー
さっきの、非核化っていうのは具体的にはどういうことをお互いが言ってるんでしょうか。

出石 解説委員
非核化という問題についてアメリカと話をする用意があると。いままではこれについては絶対交渉しないよと言ってたのが、やりますよと言った。ここは新しいところなんですよね。
ただ、「非核化」っていうことが何を意味するのかっていうのは、北朝鮮が言ってるのとアメリカが言ってるのはちょっと違うんですよね。

平井 さん
南北の合意の中でも、北朝鮮が言ってるのは「朝鮮半島の非核化」って言ってるんですね。北朝鮮の非核化っていうことを北朝鮮は全然言ってないんです。

これには歴史的経緯があるんですけども、朝鮮半島の非核化という考え方の中には、例えば韓国にいる在韓米軍に核があるのかないのか、それを北は確認しなきゃいけないとか、例えば、もっと言えば、グアムから核兵器を持ってくることがあるのかないのか、在日米軍の役割はどうなるんだとか、アメリカの核抑止力に対抗するわれわれの核抑止力というのをどうするのかとか、非常に広範な考え方が後ろについてるんですよね。単純に北朝鮮が核をなくすっていうことではなくて、全体の状況の中の非核化なんだという主張なんで、かなりこれは違うんですよね。

首藤 アナウンサー
この溝は埋まりますか?

平井 さん
この違いをトランプさんが分かってんのかな、という。

田村 さん
そこも分かってない可能性あるんですか?

渡部 さん
あります。トランプ大統領っていうのは直感でやってきてる人。しかも、政治の経験ないので。いままで議員をやったりしてないので。

田村 さん
だけど、合意するっていうところにあたっては、せめてちょっと勉強してくるとか、そういうのはないんですか?

渡部 さん
トランプ大統領は、一般的に言われてる話なんで本当のところは分かんないですけど、あんまり本を読みたくないのと、あと、1ページ以上紙を読むのが苦手だっていう話なので、耳学問でやってきてます。でも、耳学問は必ずしも悪いことではない。一流の情報を持ってる人たちが耳学問で入れますから。
ただ、トランプ大統領が自信持ってるのは直感的な自分の交渉。例えば、レーガン大統領がゴルバチョフ大統領と、ソ連とアイスランドで交渉した時。この時、レーガン大統領もあんまり経験がある人じゃなくて、もともと俳優出身で、あんまり準備もしてなかったんだけど、あの人のコミュニケーション能力で結構冷戦を終わらせるような交渉をして成功させてるんですよ。

田村 さん
レーガン大統領はそうかも分かんないですけど、コミュニケーション能力が高いと到底思えないんですよね、トランプさんが。

大沢 さん
高かったらあんなに辞めてないですもんね。

出石 解説委員
1つだけトランプさんを擁護すると、これだけ北朝鮮、北朝鮮って言ったアメリカの大統領はいないんですよ。これだけ核を持って、日本にも韓国にも届くようになってきて、大変なことなんだけれども、アメリカは遠いアジアのことだと、なかなか関心を示してくれなかったんですよね。
ところが、トランプさんになって、北朝鮮は大変だ、核だ、核だと言って、世界中が北朝鮮をなんとかしなくちゃいけないねというふうに思った。これはトランプさんの業績。それだけは言っていいと思う。

首藤 アナウンサー
ある意味突破できたのもトランプ大統領だったからとも言えるってことなんですか?

渡部 さん
この先は難しいかもしれませんが、ここまで来た大統領はいないわけですよ。だから、自画自賛してて、どんな大統領も北朝鮮のリーダーと会えなかったろうって。それはそうで、みんないろいろ考えるし、周りの圧力もあるから、「大統領、やめてください」とか言われるんですよ。ちゃんと相談すれば。例えば国務長官とかに相談すれば、「もうちょっと詰めてから」とか言われるんですけど、それ吹っ飛ばしてるからこういうところに来てるわけで。

視聴者の声

長野県・60代・男性
「せっかく開発した核技術を北朝鮮は簡単に手放すことはないと思う」

田村 さん
そりゃそうです。

出石 解説委員
非核化っていうのは実はいろんなプロセスがあって、簡単にしちゃいましたけど、

まず、いまやっていることを凍結する。それから、いろんな核燃料なんかを作っている施設を停止する。それから、その施設を解体する。この間でいろんな核物質を取り除いて、それを捨てるっていうこともしなくちゃいけないですよね。
しかも、それで完全に核がなくなったかどうかっていうのを、口約束じゃだめだから、第三者、IAEAっていう国際機関があるんですけど、そこの査察官が現地に行って全部調べて、はい、オッケーよっていう、そういうプロセスがあるんですよね。

大沢 さん
これ、だいたいどれぐらいの期間かかるんですか?

出石 解説委員
何年もですよ。しかも、これいっぺんにやるわけにいかないので、まずこれをやりましょうね、これをいつまでにこんなふうにやりましょうね、それ終わったら今度これやりましょうねって、これをずっと積み重ねていかなくちゃいけない。だから、非核化って簡単に言うけど、そんな簡単なものじゃないんです。

田村 さん
ちなみに、非核化を実際やった国ってあるんですか?持ってるところから。

出石 解説委員
南アフリカですね。

田村 さん
南アフリカはそうやって。へぇー。

出石 解説委員
それから、リビアは途中でやめましたね。成功例はあります。

平井 さん
ただ、おそらく交渉の始まりは凍結で始まると思うんですけど、凍結の対象をどういうふうにするかって、そこのところから、たぶんもめると思いますね。

出石 解説委員
入り口からね。

渡部 さん
北朝鮮は、IAEA・国際原子力機関っていう査察をするところをかつては受け入れていたんですね。ところが、ある時から、核不拡散条約・NPT、そこから抜けると言って、最後はIAEAの査察も追い出しちゃったんですよね。だから、そこを戻せるかどうかって1つの試金石になると思います。

首藤 アナウンサー
でも、そもそも北朝鮮が核を作った、作り始めた理由って、孤立させた世界の現状もあるんですよね?

平井 さん
そうですね。最大の理由は、冷戦構造の時は、北朝鮮のことを一応中国と旧ソ連が守ってくれてたわけですね。軍事同盟があって。ところが、冷戦が崩壊して、韓国は中国やソ連と国交を結ぶけども、北朝鮮は日本やアメリカと国交はないという状況になって、しかも、軍事同盟がほとんど意味をなさなくなってくるから、守ってくれる人が誰もいない。世界から孤立してくるわけですね。そうすると、自分で守らなきゃいけない。ということで、彼らが核・ミサイル開発にいった。そういう孤立化の結果なんですよね。
だから、いま核をなくすために孤立化させようというんだけど、そうしたら彼らが放棄するだろうかという、非常に矛盾した状況があるわけですよね。彼らが安心できるようにしてやらないと放棄しないだろうし、かといって核・ミサイルを持ってる国を、圧力を加えないでいいのかっていう、非常に難しい、矛盾した問題になっちゃってるわけですよね。

首藤 アナウンサー
こんなにこじれてしまって、テクニカルな交渉も必要だと思うんですけれども、でも、みんな目標は平和っていうことでいいんですよね?

平井 さん
そうですね。

首藤 アナウンサー
だから、私たちは何をすればいいというか、日本は。

大沢 さん
日本は、非核化もそうですけど、拉致問題もあるわけじゃないですか。そこをどうやってこれから食い込んで交渉というか、していけば。

出石 解説委員
日本にとって最悪のシナリオっていうのは、トランプさんとジョンウンさんが会って、アメリカに届くような核はだめですよと。でも、日本や韓国に届く核ぐらいだったら黙認しましょうっていうのが最悪のパターン。
もう1つは、核問題はこれで解決しましたね。拉致問題?それは勝手に日本でやってくださいよ。これも最悪のシナリオ。だから、そうならないように安倍総理大臣は今度ワシントンに行くわけですけども、トランプさんにそんなことでオーケー出しちゃだめよっていうことを言いに行くんでしょうね。

田中 アナウンサー
視聴者の方からもその辺りは来ていて、

「アメリカと北朝鮮の会談というのをチャンスとするにはどうすればいいか」

「日本が仲介するぐらいではないとだめなんじゃないか」

「拉致問題の解決につながることを祈ります」と。

大沢 さん
本当ですね。

平井 さん
北朝鮮の核問題っていうのは、7〜8割は北朝鮮がうそをついて悪かったよって点があると思うんですけど、2〜3割ぐらい、国際社会がうまく対応してこれなかった。過去にいくつかチャンスはあったわけですよね。その時にうまい対応をしてこれなかったことのつけがいま回ってきてるっていう点が、その部分は少しあるんじゃないかなと思うんですよね。
それと、逆思考っていうんですか。北朝鮮の立場になって少し考えるということも必要なんじゃないか。彼らがその道に行かざるを得なかったのはなぜかという、それを取り除くっていうことも必要なんじゃないかと思うんですが、ただ、それだけだと北朝鮮の言いなりになっちゃうんで、それはだめで、そういう考え方を私たちの観点から、これは間違ってるよ、これは正しいよ、これはできるよ、できないよって、また国際的な観点から検証する、そういう複合的な作業が必要なんじゃないか。
だから、単純に対話だけでもだめだし、単純に圧力だけでもだめだし、それを複合的に僕たちは考えていかない。そのいちばんたぶん大事な課題は、戦争を起こさない。平和をなんとか維持する。その考え方じゃないのかなっていう気がするんですけどね。

渡部 さん
もう1つの最悪のシナリオは戦争になっちゃうことですよね。これも避けなくちゃなんない。でも、戦争だけ避けていて、北朝鮮が核を持ってしまったり、それも避けたい。
なんでかっていうと、北朝鮮が核兵器を持ってしまって、それがアメリカに届くようなミサイルに載せて、最後は、北朝鮮は自分のことを核保有国と認めろって言う、そうするとどういうことが起こるか。アメリカから攻撃されないで持てちゃうんだって思うと、世界中で、みんな持ちたい国が増えるわけです。
核兵器を持つ国がいっぱい増えると、管理がそれだけ甘くなるので、例えばそれが流出して、テロリストが、犯罪者が持ったりして。いま幸いなことに、広島・長崎以降、核兵器が使われてないんですね、人類では。その核兵器を使うハードルが下がっちゃうというのは、われわれ、日本人だけじゃなくて人類の問題なので、ここが実は北朝鮮の核開発の問題と絡んできてるんですね。

平井 さん
北の核の問題を、隣の、朝鮮半島の問題だというふうにわれわれは考えがちなんですけど、先般、ピョンチャンオリンピックありましたよね。2年少しで東京オリンピックじゃないですか。もし今度の会談がうまくいかなくて、非常に危機が高まったりした場合に、そうしたら、東京オリンピックは安全にやれるんだろうかと。Jアラートが鳴ってる中で東京オリンピックをやらなきゃいけないなんてことになったら、大変なことになるわけですね。そういう意味では、この問題は私たち自身の身近な問題になりかけてる。

田中 アナウンサー
視聴者の方からも、「日本は圧力というだけでは取り残されちゃうんじゃないですか」っていう心配の声来てます。

首藤 アナウンサー
そこはどういう姿勢で。

渡部 さん
圧力と対話をうまく組み合わせるという、難しいんですけど、これしかないんですよね。
ただ、いままでちょっと失敗してきたのは、アメリカが政権交代のたびにものすごく強く出たり、ものすごく弱く出たりっていうのを繰り返して、実はそれを短期間で繰り返してるのがいまのトランプ政権。でも、それでも1つの方向を変えないで、じわじわと日本とアメリカと韓国でタッグを組んでっていうのは、1つのいままでの反省からの教訓だと思いますけど。例えば、安倍首相は韓国のムン・ジェイン大統領と電話会談、ついきのうですか、しましたけど、そういうふうにコミュニケーションを取って、われわれの失敗って何だろうっていうことをちゃんとアメリカにも韓国にも言って、つなぎ止めるという努力をするしかなくて。日本はそんなにぶれてないんですよ、この20年間。

平井 さん
それと、圧力をかけることは必要だと思うんですけど、かけて、その先にどういうふうな朝鮮半島を描くのか、そういうビジョンというものを私たちはもう少し具体的に考える必要があるんじゃないか。いつまでも休戦状態の不安定な状態が続いてもいいわけはないわけですから、圧力をかけると同時に次の出口のビジョン、そういうものを日米韓できっちりと作り上げていくって、そういう努力も一方で必要なんじゃないかなという気がするんですけどね。

首藤 アナウンサー
そのビジョンってどう描けばいいのかなって思うんですけど。

出石 解説委員
例えば、病気に例えると、血が出たからばんそうこう貼りましょうとか、熱が出たから解熱剤飲みましょうっていうのは対処療法ですよね。それはちょっとよくなったようには見えるけれども、病気自体は治ってないわけですよ。病気の原因を見つけて、それに対して薬なり、手術なりをするっていう根本治療が必要なんですよね。
僕は北朝鮮の核問題っていうのはまさにそれで、いままでは対処療法しかしてこなかった。さっき平井さんがおっしゃったように、なんで北朝鮮が核を持ちたいと言いだしたのか、なんでいまだに手放さないのかっていう、原因をちゃんと究明して、そこに届く薬、そこに届く手術をすれば、僕は解決の可能性ゼロじゃないと思うんですよ。しかも、いま対話ムードになってるわけだから、チャンスを生かすことが大事だと思いますけどね。

平井 さん
こういうドラスティックに、非常にスピーディーに動いてるからわれわれは錯覚しがちなんですけど、この核問題がある日、指導者どうしの会談で全く解決するっていうことはほぼ期待できないわけですよね。
ですから、長い長い、ステップバイステップの努力が求められてる長期戦なんだという、そういう視点も一方で持っておく必要があるんじゃないのかなっていう気がします。

大沢 さん
やっとスタートラインに立ったみたいなことですね。

渡部 さん
長期戦。これですよね。いまが入り口だ、ぐらいに考えて、そして、トランプ大統領とキム・ジョンウンさんの話がうまくいったとしても、その先も分かんないでしょ。そういう話を、ちゃんとどうしたらいいか、いま言ったような話をちゃんとアメリカ側とも韓国とも話す。

田村 さん
長く構えて。政権が変わろうと変わるまいと、こっち側で向かっていきましょうみたいなことを話していけるといいってことですね。

視聴者の声

香川県・50代の・女性
「米朝の非核化の話し合いがもしうまくいけば日本は安心できます。でも、拉致問題は解決するのでしょうか? 日本はそれがいちばん大切なところ」。

首藤 アナウンサー
この点はどうですか?

平井 さん
関係を切っちゃったら、残念ながら拉致というものも交渉が難しいわけですよね。日本は外務省が水面下でずいぶん交渉なんかやってたんですが、最近ちょっとそれが途切れてるような感じがあって、ですから、そういうものを回復して、相手が何を考えてるかっていうことを把握して、それに基づいてちゃんとした交渉をするっていうことがすごく必要なことじゃないかなっていう気がするんですね。

首藤 アナウンサー
でも、早く解決してほしいっていう思いはある。

出石 解説委員
拉致問題については話せば分かるっていう簡単なもんじゃないとは思うんだけど、でも、話さないとどうにもならないんですよ。だから、それは対話をしていくってことだと思いますよ。

渡部 さん
1つヒントがあるとすれば、そもそも北朝鮮が拉致問題を認めて謝った時が1度あるんですね。キム・ジョンウンという人が。それは経済的に苦しくて、日本からの経済的な協力が欲しくて、かつアメリカが厳しくて、あんまりアメリカが話ししてくれなかった。チャンスはあるんですね。

首藤 アナウンサー
議論はもっと続けたいんですけれども、深読みのコーナー、7年3か月、皆さん、どうもありがとうございました。

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