2018年02月03日放送放送内容まるわかり!

技か美か 何を"魅せる"? 進化する冬季五輪

2月9日に開幕するピョンチャンオリンピック。最大の注目が、羽生結弦選手らが出場する男子フィギュアスケートです。ソチ五輪後、4回転ジャンプを武器に世界と戦い続けてきた羽生選手。怪我を経て臨む今回は、4回転ジャンプの回数を増やし「技」重視で挑むのか?それとも、一つ一つの技の完成度を高める作戦をとるのか? 時代とともに "魅せ方"の基準が変わり続けるフィギュアスケート。そもそもスポーツにおける"魅せる"とは? 深読みします。

今週の出演者

専門家

友添 秀則さん(早稲田大学スポーツ科学学術院教授)
八木沼 純子さん(スポーツコメンテーター)
刈屋 富士雄(NHK 解説委員)

ゲスト

木本 武宏さん(タレント)
千秋さん(タレント)

今週のグラフィックレコーディング

グラフィックレコーダー
山田 夏子さん


首藤 アナウンサー
おふたりは、フィギュアスケートはお好きですか?

千秋 さん
はい。好きですけど、やってる時に見るぐらいなので。
にわかといえばにわかみたいな。

木本 さん
大きな大会の時に見てるだけだと思うんで、そういう意味では見事なキャスティングだと思います、僕たち。

首藤 アナウンサー
街でも本当に詳しい人もいらっしゃるんですけれども、興味あるんだけど見方がよく分からないという方も多かったんですよね。
というわけで、これさえ押さえれば、オリンピックが、フィギュアが、より深く楽しめるというポイントを、まずは徳永アナウンサーが教えてくれます。


プレゼンテーション

徳永 アナウンサー
私も皆さんと一緒で、詳しくなくて、オリンピック見たあとに跳べるんじゃないかと思ってやってみて、親に「ばかじゃないの?」って言われたタイプですけども、そんな、ふだん見ないよっていう人でも、今回から見たほうがいいっていうぐらい、今回、見どころ満載。
なぜかというと、史上最高レベルの戦いは間違いないと言われているからなんですね。

首藤 アナウンサー
どういうことですか?

徳永 アナウンサー
とはいっても、そもそもを知らないと盛り上がれないので、1からこの模型でいつもどおり説明していきます。
街で多かった疑問は、「どうやって優劣つけてるの?」。それが多かった。それから見ていきます。リンクばかりがよく中継で出ますが、そのすぐ近くには選手に点数をつける方が12名いらっしゃいます。

何を見ているかによって、グループに分かれます。
まず、3人の方はこう呼ばれています。

この方々がチェックするのは、ひたすら技です。こういう言葉、よく聞きませんか? 「技術点が」ってね。

千秋 さん
それは何回回ったとか、そういうことですか?

徳永 アナウンサー
そうなんです。ビデオを見ながら、時には、何の技が決まったかなっていうのを全部チェックしていくんです。

千秋 さん
生放送中っていうか、競技中にビデオを見てるんですか?

徳永 アナウンサー
競技中は生見ますし、判定が微妙だなっていう時はビデオにして見たりもするんだそうですよ。

千秋 さん
でも、そんな時間あるっけ?

木本 さん
だから、しばらく待ってるんちゃう?

刈屋 解説委員
跳んだ瞬間にコールしますから。

八木沼 さん
ジャッジの人たちはプログラムを見て1つ1つチェックをしていくんですけど、技術判定員の人たちは、見ながらもレビューっていうのをかけるんですよ。そうすると、全部演技が終わったあとに、もう1回レビューがかかったところを見直して、ちゃんと回転不足なかったねとか。

千秋 さん
いまのとこだけ見たいみたいな。

刈屋 解説委員
ここもう1回見たい、ここもう1回見たいというのをその場で言っていくんですね。

徳永 アナウンサー
そういう人たちがちゃんといるんです。実はフィギュアスケートって、この技なら何点、あの技決まったら何点って全部細かく決まっているんですって。
一部ご紹介しますけど、これ。

レイバックスピンっていうのは。

首藤 アナウンサー
どういうのでしたっけ?

徳永 アナウンサー
反る感じで、最後に白鳥のようにきれいにくるくる。
これ、うまく決まると、1点から2点で全部決まってます。それから、ジャンプですよね。
トーループっていう跳び方、トリプルってつくと3回転。

この跳び方だと4.3ポイント。
それから、詳しくない方もこれは知ってません?

千秋 さん
よく聞きます。

徳永 アナウンサー
3回転半必要なので、点数が上がっていくと。
どれをチャレンジするかっていうのも駆け引きという。
どう組み合わせるかは作戦しだい。

千秋 さん
例えば1回失敗したら、2回、3回、例えば1回成功するのか、10回やって成功するのかも関係あるんですか?

八木沼 さん
ショートプラグラムとフリースケーティングって2つで争われるんですけど、ショートもフリーも、どちらも何個入れなきゃいけないってルールがちゃんと決まっていて、その中でみんなプログラムを構成して、ジャンプを入れたり、スピンを入れたり、ステップを入れたりして作っていくんです。

木本 さん
素人の考えでいくと、トリプルアクセルはちょっとリスク高いから、トリプルトーループを5回ぐらいやっとこうか、みたいな。

刈屋 解説委員
だめなんですよ。

木本 さん
それはできないんですか?

刈屋 解説委員
同じジャンプは2回までで、しかも、1つは単独で跳んでもいいけれども、もう1つはコンビネーションにしなきゃいけないっていうルールが決まってるんです。それをもし3回跳んじゃったら、3回目は0点です。

八木沼 さん
点数が入らなくなっちゃいます。

徳永 アナウンサー
これ、何がおもしろいか。跳びゃあいいってもんじゃないっていうのがフィギュアスケートなんです。つまり、この足し算だけじゃないんですよ。

あとの9人の人、審判さんは、技の完成度とか美しさとかをチェックする皆さんだと思ってください。
ただのトリプルアクセル1つとっても、こういうのがちゃんと。

上がり下がりが。よかったね。例えば、高く跳べたね。だからもうちょっと点上げようとか、着地、着氷。着地が雑だからちょっと減点だなとかっていうのをみんな見てるんです。9人の先生方が。

首藤 アナウンサー
同じトリプルアクセルでも、8.5の場合と、もっと上の場合と、もっと低い場合がある。

徳永 アナウンサー
もちろん。美しければ美しいほどいい点数をもらえる。

千秋 さん
美しいっていうのは?

刈屋 解説委員
ここの人がぱっと跳んだら、これトリプルアクセルといって技を認定しますでしょ。そうすると、基礎点が8.5なんですよ。でも、それをこっちのほうが、とっても出来がいいからプラス0.2とかいった場合には、8.7になるわけですね。

木本 さん
なるほど。

徳永 アナウンサー
こっちは全体的に見る。技の採点だけでなくて、終わったあと、全体を見てこんな点数もつけるんです。

演技構成点っていうのが出てきます。

千秋 さん
これは数字に出ないっていうか、見た人の好みみたいな。

刈屋 解説委員
一応ね、数字に出るんです。

八木沼 さん
5項目で分かれていて。

徳永 アナウンサー
それを積んでいきましょうか。

音楽の選び方から大事なんですって。音楽と合っているかどうか。全体のデザイン、完成度は? さらに言うと、技だけじゃだめよ。

間の部分が美しいかとか。

八木沼 さん
これが5項目です。

徳永 アナウンサー
これで、それぞれ10点満点でつけていって。

木本 さん
すいません、スケートのうまさって何ですか? みんなうまいやないですか?

刈屋 解説委員
これはね、全然違うんですよ、実は。普通に滑るだけでも、1回ぱってやってここら辺まで進まない人と、ふわーっとここまで行っちゃう人と、スケートの重心の乗り方とか、スケーティング技術というのはプロが見ると一目瞭然というか。

木本 さん
全員がすごいレベルの中でも、そんな細かい差がある?

刈屋 解説委員
かなりの差があります。

八木沼 さん
フィギュアスケートのフェンスがありますよね。大会によると、いろいろスポンサーのマークとかが入ってるんですけど、横に選手が滑っていくと、音もなく、本当に速いスピードで滑る選手っていうのは、スポンサーのマークを見てると、この人こんなに速く滑ってるんだとか見ることができると思うので、それも1つポイントだと思います。

徳永 アナウンサー
9人のつける点数はそんなにばらつくことがないんですって。見る人が見ると、この人はいいとか悪いってだいたい決まってくるんですって。

八木沼 さん
審判は、国際ジャッジとか、国内の大会だけを見るジャッジとか、分かれてるんですね。級を皆さん持ってて。だから、オリンピックでジャッジをする方は、ちゃんとオリンピックに出られる審判の級を持ってらっしゃる方ばかりなんです。だから、ばらつきはほとんどないと思います。

徳永 アナウンサー
おふたりと同じように、どうやってつけるの? 本当? みたいに思ってる人もいるのも事実です。
実は足し算とかかけ算が非常に複雑なんですけど、要は、技術点と演技構成点の比率がほぼ半々になるようにして合計得点を出して優劣をつけるので、技で勝負する選手もいれば、芸術がたけてる選手もいるんですよね。その駆け引きがおもしろいと言われているんですが、このどちらでも、この人はすごいと世界が拍手を送った方がいます。この方にご登場いただきましょう。お願いします。

首藤 アナウンサー
出ました。羽生選手。

刈屋 解説委員
しかも、回るんですね。

徳永 アナウンサー
われわれ、頑張りどころがちょっと違ったかもしれませんけども、ご存じのとおり、詳しくない方もご存じの、羽生結弦選手。団体は回避するってけさのニュースでありましたけれども、注目は注目です。なぜかというと、覚えてらっしゃる方も多いと思います。

前回チャンピオンでいらっしゃいます。しかも、ソチのあともずっと1位。世界ランキング1位、いまも続いていると。

木本 さん
この方のすごさでいうと、いままでのフィギュアの歴史の中でも群を抜いてるぐらいすごいんですか?

徳永 アナウンサー
それをいきます。まず、技術。いきましょう。これです。4回転です。ちょっといま回りすぎましたけど。

木本 さん
回り方の乱れからいくと、裏で人がやってますね(笑)。

徳永 アナウンサー
いまのだと芸術点低いですけども、本物の方は全然違います。4回転がいかに有利かというのを、一目瞭然、これでご覧ください。
4回転って総じて高い。その4回転を次々と決めるので、圧倒的に強いのが羽生選手。

技だけではなく、こっちもお願いします、羽生さん。芸術性も評価が高くて、実はソチのあともずっと進化しているのが羽生選手で、こんなすごいこともありました。今回も滑る演目、安倍晴明をモチーフにした「SEIMEI」という演目のフリーなんですが、よくとしの2015年、なんと10点満点で平均が9.856。

めちゃくちゃ高くて、平均したのが9.8ってことは、押してる点は10、10、10、10。10点、10点、10点、10点っていう。

千秋 さん
ほかの選手の方はそんな人はいないんですか?

刈屋 解説委員
いないですね。 トップ選手でも9点台。9点台に乗ればトップ選手と言われてますね、国際的な。

徳永 アナウンサー
2014年からまた進化してるというのが分かるのが、次の年にたたき出したすごい記録です。この数字を覚えておいてください。

首藤 アナウンサー
330?

徳永 アナウンサー
330点超えっていうのが出ました。世界最高得点。この記録、誰も破っていない。
そもそも羽生選手が出てくるまで、300点超えることはなかったんですって。
300超えたなと思ったら、330点いっちゃった。

首藤 アナウンサー
それはもう驚きですよね。

徳永 アナウンサー
このあとも進化していて、同じ4回転でも、難しさによって6種類、跳び方が6種類あるんですけど、これも体得します。

点で分かるとおり、だんだん難しくなっていきますけど、13ポイント以上入るルッツとかループとかっていうのも跳ぶようになります。実はこの4回転ルッツを練習してる時にけがをしてしまった。
どんどんどんどん、この4年でも進化を羽生選手は続けている。
それだけでも驚きなんですが、ライバルの選手がそこに追いつけ追い越せと、一気に一緒に成長していってる、進化してるっていうのもまた驚きなんですね。ここでライバルのすごい世界の選手をご紹介いたします。
まず、この方。

アメリカのネイサン・チェン選手。ぜひ覚えてください。技術のほうから出てきたんでお分かりいただけると思います。「技のチェン」とでも覚えてください。羽生選手は4回転を4種類いま跳べるんですが、この方、5種類跳べるそうです。 勝ったこともあります。羽生選手に。
それから、こっちからも出てきます。どうぞ。

スペインのハビエル・フェルナンデス選手。
芸術性で。羽生選手と同じコーチに習っている方で、ドン・キホーテになって今回演技を披露するそうです。10点がつくかということなんですね。
いっぱいライバルが出てきて、これを見ていただくとあれなんですけど。ほら、いきますよ。

いま自己ベストっていうのが、みんな300点を超えてる。
羽生さんの下に宇野さんって方いるでしょ。

この方も注目。

首藤 アナウンサー
街でも大人気でしたよ。

徳永 アナウンサー
人気急上昇。二十歳になったばかり。羽生選手の後輩です。次々にいま4回転を決めていて、なんと世界ランキング、羽生選手が1位で、宇野選手が2位です。
どんどん後輩も育ってきてる。ソチの時に300点出した人は1人もいなかったのに、いまや上位5人の、自己ベストを並べると、上から5人がみんな300点を経験してる。

刈屋 解説委員
これは羽生選手の登場によってそうなったと思います。羽生選手が4回転をあれだけクリアに跳ばれると、ほかの選手も跳ばざるを得なくなってくるんです。

千秋 さん
ほとんどの選手、みんな4回転以上みたいになってるんですか?

八木沼 さん
トップの選手は、トップ10以上は必ず4回転は入ってるっていうような。

徳永 アナウンサー
だから、いままで知らない人も、今回からでもいいから見といたほうがいいっていうのはこれなんです。技で勝負が決まるか、芸術性で雌雄を決するかは見ないと分かりません。この勝負が決まるのは2週間後。ご覧のチャンネルでご覧いただけます。

首藤 アナウンサー
急に宣伝(笑)。

木本 さん
うまいこと持っていく。通販番組やったら買いますもんね(笑)。

徳永 アナウンサー
でも、フィギュアが変わろうとしてるっていう瞬間なんですって、これ。

首藤 アナウンサー
よく分かりました。かつてないハイレベルな戦いですよね。

木本 さん
昔、人間が4回転するっていうことなんて考えれない時代ってあったわけでしょ。

八木沼 さん
そうですね。まずはシングル。1回転ジャンプとか。

友添 さん
理論的にはもう5回転が可能だろうって言われてるんです。
滞空時間と回転数を見ると、5回転も理論的には難しくないっていうふうに言われだしています。

千秋 さん
それは人の技術が上がったんですか? スケートの靴の技術とか。

友添 さん
両方でしょうね。

八木沼 さん
でも、スケートの靴はあんまり変わってないんですよ、実は20年前ぐらいから。ただ、ブレードが少し軽くなった。
4回転とか非常に難しいジャンプ、回転数の多いジャンプを跳ぶことによって、少しでも軽く、衣装も軽く、靴も軽くっていって、少しずつ軽量化はされてるんですけど、大きくは変わってないですよ。やっぱり技術が。

刈屋 解説委員
でも、かなり肉体的に負担がかかるようになってきた。

友添 さん
そうですね。今回、羽生選手がぶっつけ本番になりますけれども、故障が非常に多くなってくる。世界のトップ選手は多く故障で悩んでるということですね。女子でも宮原選手はいま故障明けで、ようやく出てきたところで、体がちょっと限界にきてる。トップ争いが非常にしれつだっていうことでもありますね。

刈屋 解説委員
これまで、4回転時代に入って、4回転を、多い種類、多い回数跳んだほうが点数出たんですけれども、さすがにオリンピックになってくると跳べばいいっていうもんではなくて、あそこに出てくる、完成度によって加点、減点ってありますよね。それがいわゆる「出来栄え点」と呼ばれている、

フィギュアの放送を見てると「GOE」っていう言葉がよく出てくるんですよ。これはグレード・オブ・エクスキューションといって、実施のグレードっていうんで、あの技は全部、全くない、プラスマイナスがないところを含めると、プラス3段階、マイナス3段階で計7段階に分かれて、点数が加点されたり、マイナスされたりするんです。だから、ここの勝負にかなりなってくるんですね。
これが勝敗を分ける大きなポイントになってきますし。

八木沼 さん
失敗はしちゃいけないんです。優勝するためには。表彰台の上に上るためには。プラス、完成度の高いものをやらなくてはいけない。基礎点が1つずつに、ジャンプについてますけど、その基礎点を確実にもらうことと、GOEっていう出来栄え点のプラス3をいかに多くもらえるかの、そのあたりの戦いになってくると思います。

友添 さん

バンクーバーの時がそうでしたですね。これ、ご覧になったら分かるように、4回転を跳ばないで金メダルを取って、4回転を跳んで銀に終わったという、まさに確実にやっていくっていうこと。そこにも勝つチャンスがあるということだと思いますね。

八木沼 さん
実は、いまお話があったとおり、バンクーバーでは4回転を跳ばないライサチェック選手が優勝したんですけど、バンクーバーオリンピックの前にソルトレークシティーオリンピックがありました。そこはロシア人のアレクセイ・ヤグディン選手が4回転を跳んで、プルシェンコ選手も2位に入ったんですけど、4回転を跳んで、いよいよ4回転時代が到来したと。そこから4回転時代に少しずつ入っていくんですけど、次のバンクーバーオリンピックに関しては、確実性、完成度の、プログラム全体の高さっていうものが求められて、ライサチェック選手が4回転なしで勝ったんですね。

千秋 さん
大会によって何を求められるかって変わるんですか?

刈屋 解説委員
ソルトレークから、今度トリノがあって、そして、バンクーバーの時には本当の4回転時代に入ると言われてたのに。

八木沼 さん
実はバンクーバーオリンピックの前のソルトレークシティーオリンピックの時に、ペア競技で金メダルが2個生まれたんです。普通ありえないんですけれども、ペアのロシアが最終結果として1位、カナダが2位になったんですが、これはどう見てもカナダがノーミスだったんですね。ロシアが1つミスをしたんです。なんでロシアがそこで1位なんだっていうことになって、この結果はおかしいと論争が起こりました。
最終的に国際オリンピック委員会が、2人に、2国に金メダルを出そうっていうことになって、1位が2人。カナダとロシアに与えられたんですね。そこから、もう1回採点方法を見直そうっていうことになりまして、そこからいまの採点方式に変わっていったんです。


グラフィックレコーディング

徳永 アナウンサー
皆さん、皆さん、正直そういう声多くてですね、皆さんの声が一目で分かるグラフィックレコーディング。担当は山田夏子さんでございます。

正直言うと、多いのが、素朴な疑問と点数のつけ方です。ここからいきましょうか。

「美しさの基準って何?」「難しいんじゃない?」「感覚なんじゃない?」とか。こっちいきましょうか。

「好き嫌いもあるんじゃない?」とか。

刈屋 解説委員
でも、好き嫌いはジャッジですからありますよね。

首藤 アナウンサー
あると言いきりますか。

刈屋 解説委員
あると思います、間違いなく。
絵画にしても、美術品にしても、あるいはミュージカルとか舞台にしても、好き嫌いってあるじゃないですか、評論家の人たちが。芸術的要素が入ってくると必ず好き嫌いとか、あともう1つ、バンクーバー五輪の時、ライサチェックはこれまで大きな試合で、この時まで完璧な演技ってしたことなかったんです。それに対してプルシェンコは常に完璧な演技をして、しかも、この前のトリノオリンピックでは金を取ってる。
そうすると、ジャッジはプルシェンコすごいっていうイメージがあるじゃないですか。そして、ライサチェック、本番でこけると思ってるじゃないですか。そしたら、本番で最高の演技をしちゃったんです。プルシェンコはそれなりの演技をしたんですけど、本来のプルシェンコだったらもっとできたんじゃないかなと。

千秋 さん
期待値が高いから。

刈屋 解説委員
はい。と思った瞬間に点が抑えられる。点が上がる。

千秋 さん
えぇー、そんなこと。

刈屋 解説委員
だって、人間が判断するんで。

首藤 アナウンサー
でも、私も正直、私、プルシェンコ様を見ていて。

刈屋 解説委員
様ですか。

首藤 アナウンサー
すばらしかったと思ったんですよ。ど素人ですけど、私の目には、金なんじゃないかなって思った。

刈屋 解説委員
僕はこの時に、ミックスゾーンで高橋大輔選手と2人で見てたんですよ、最後のプルシェンコの演技を。終わった瞬間に、うわー、連覇だねって2人で。これ勝ったよ、プルシェンコっていったら。
そして、ぱっと点見たら、あれっ? 伸びないっていうんで、こっちが金だったんですよ。あの点数抑えられるんだったら、高橋大輔選手が4回転成功してたら彼が金だったんですよ。あとから考えてみると。

木本 さん
だから、全然違う例えで申し訳ないんですけど、ふだんあまりおごってくれない人が1回だけおごってくれたら、めっちゃいい感じになるじゃないですか。

首藤 アナウンサー
確かに。確かに。

木本 さん
似てますよね?

刈屋 解説委員
ふだん全然おごってくれない人が、ある時おごってくれた。全然イメージが変わるでしょ。同じです(笑)。

千秋 さん
本当ですか? そんなのいいんですか? いつも頑張ってる選手がかわいそう。

刈屋 解説委員
それも含めての勝負です。

友添 さん
芸術的な要素が非常に強く反映する、独特な種目でもありますね。

八木沼 さん
大会だけを見られるのではなくて、ホテルからどういう行動をしてるかとか、どういう服装なのかとか、そういうことも実は大事だったりします。ジャッジと選手が同じホテルに滞在するんですよ。だから、四六時中、ホテルの部屋以外は見られてるわけですよね。
審査には入らないんですけど、やっぱり印象。

刈屋 解説委員
練習は全部見てますよ、ジャッジは。公式練習で、この選手がどれだけのレベルかとか。さっきスケーティングの技術のレベルって言ったじゃないですか。だから、本当に練習から全部見ていて、この選手のスケーティング技術はこれくらいだなってジャッジはみんな思います。

木本 さん
ちょっと待ってくださいよ。話戻りますけど、羽生選手は、これだけみんながすごい、世界的にすごいんだっていうのが当たり前の状況で、さらにその上行こうとしてる、このプレッシャーって、想像を超えたところで。

刈屋 解説委員
これはもうすごいと思います。つまりは、プルシェンコのさっきの例じゃないですけど、羽生結弦のすごい演技をジャッジはみんな見てるじゃないですか。その上で、しかも、2年前にあんな点数を出した同じプログラムを今回やるんですよ。これまでの常識からいったら、それは金が取れない選択なんです。つまりは、最高だった羽生を超えなきゃいけない。

首藤 アナウンサー
自分で自分を超えないといけない。

刈屋 解説委員
でも、ああいう形で、ループとかルッツとか、新しい4回転を取り入れてきてるから、目の前であの時の自分を超えることを技術的に見せることができるんですね。だから、今回同じプログラムを持ってきたんです。

首藤 アナウンサー
羽生選手についてはけがの心配のメール、たくさんいただいてまして、

視聴者の声

東京都・30代・女性
「開幕まであと少しなのに、羽生選手のいまの様子が全く分からず、とても気になります」

首藤 アナウンサー
と。 きょうニュースで団体は回避すると出ましたけれども、そんな中で、羽生選手のけがってどういった。

友添 さん
本来ならば団体で、いわゆる試合勘を取り戻すのに格好の場所だったんだと思うんですね。それを、団体を辞退して、シングル、それだけに懸けるっていうのは、そこに焦点を絞り込もうということで、かなり意気込みがあるんじゃないかっていうふうに思いますね。

八木沼 さん
足の状態を考えますと、温存したいっていう気持ちもあるかもしれません。ぎりぎり。オリンピックまで。どうにか間に合う。

首藤 アナウンサー
団体が9日で、シングルが16日と、1週間。

八木沼 さん
なので、その1週間は、温存する時間としては非常に大きいと思います。

刈屋 解説委員
団体っていうのは前回のソチからやるんですけど、前回のソチの時、団体に全力を傾けた選手はみんな、シングルとか個人の種目で崩れてるんですよ。だから、団体から個人っていうのはなかなか難しいんですよね。
だから、僕は絶好調の羽生選手でも、団体は出すべきではないんじゃないかと個人的には思ってたんですけれども、でも、けがからの復帰っていうことになると、いま友添先生が。

友添 さん
試合勘を戻すのにはいちばんいいタイミングだったなというふうに思うんですね。

刈屋 解説委員
そうですね。それを回避したっていうことが。

友添 さん
いきなりシングルの本番というのは、本人にとっても賭けですね、一種の。

八木沼 さん
でも、羽生選手ですから、何かアクシデントがあると、いつもプラスに転じてきた選手ですので、今回のオリンピックでもやってくれると思います。

刈屋 解説委員
それだけのプレッシャーを、逆にエネルギーに変える特殊な能力を持ってますよね。

木本 さん
すごい人なんや。なんでもっと毎回ちゃんと見とかんかったんやろうって思いますね、そういうふうに聞くと。

刈屋 解説委員
いやいや、まだ間に合いますから大丈夫です。

八木沼 さん
ただ、今回のけがのことがあったので、もしかしたら、プログラム構成を少し変更してくる可能性はありますよね。4回転を4種類ばーって入れるとか、そういう構成ではなくて、確実にプラス3を全部で取れるような。
確実に決めて、あとは演技構成点での総合的なプログラム構成で戦っていくんじゃないかなと思います。

徳永 アナウンサー
皆さん、視聴者の方の声、だんだんね、フィギュアはこうあるべきっていうのが2つに割れ始めてる感じがします。
こっちね、やっぱり技でしょっていう人の声です。

「ジャンプこそがほかの競技にないフィギュアならではでしょ」とか、「技があるから美しく見せられるんですよ」っていう方もいます。
一方で、こっちは、いやいや、美しさでしょって方です

「ジャンプだけがフィギュアではないと思う」「最近はジャンプ大会。表現力・芸術性はその次って感じ」。

「色気のある演技が大好きです」。みんな語り始めましたよ、だんだんと。

首藤 アナウンサー
技も美も。強いて言うならどっちが大事とかあるんですか?

刈屋 解説委員
フィギュアスケートは両方です。

首藤 アナウンサー
両方ですか? やっぱり両方。

友添 さん
美しさを評価するスポーツっていうのはあんまりないんですね。これは非常に芸術的な要素を多く持っている。そういう意味でいうと、新しいスポーツの形を示してるっていうふうにも見てとれるわけなんですね。

木本 さん
ただね、大きな大会のすごい選手の演技を全部見てると、みんなが美しいんですよ。そうじゃない?
その中の美しさの優劣って、本当難しくて分かんない。

刈屋 解説委員
でも、いまテレビだとなかなかスピード感とか伝わりませんけど、生で見てると、こっちがいい、こっちが悪いって分かりますよね。分かるんですよ。

千秋 さん
自分に似合う衣装を身につけるのも大事なんですか?

友添 さん
もちろんそうですね。衣装点だとか、音楽だとか、あるいはその解釈ですね。例えば羽生選手は、自分の中で取り込んで、物語を自分で作って、それを表現してるわけですよね。だから、皆さんが感動を共鳴するっていう、そういう素材を一生懸命工夫して作ってるっていうのが大きな特徴だと思うんですね。

八木沼 さん
女子でもそうなんですけど、いま千秋さんがおっしゃったとおり、まず最初にシーズンオフに曲を決めて、振り付けをしていって、衣装を決めて、ヘアメークを考えてっていう段取りでいくんですけど、自分に合ったものをいかにうまく体現できるかっていうことがとても大事になります。これは男性、女性も、どちらも同じです。
だから、トータルバランスだったり、自分で自分をプロデュースできるかどうかっていうことがとても大事で、どの振り付け師さんにつくかとか、どういう選曲をするかとか、すごく大事になってきます。

千秋 さん
例えば、速いのが得意とか、優雅なのが得意とか、自分は黒が好きだけど白のほうが似合うとか、そういう周りのいろんな意見をやって、審査員の人とかの目に留まるように。

友添 さん
これ、見てて楽しいもんだから、オリンピックの中でも特に冬季の花形だって言われてるスポーツです。スポンサー集めたり、あるいは、オリンピック離れがいま世界でも進んでるわけですけども、これを食い止めていくための最後の切り札、これが羽生選手であり、あるいはフィギュアスケートだっていうふうにも言われてるんですね。


プレゼンテーション

徳永 アナウンサー
皆さん、皆さん、オリンピック離れをどう食い止めるか、見栄えのいい競技どうするかっていう話なんですが、実はフィギュアスケートだけではなくて、今回、新しい種目も次々とスタートします。
テレビで見ておもしろいものが増えるそうです。そのうちの2つをご紹介します。

はい。スノーボードのビッグエア。この人、岩手出身、16歳、岩渕選手。期待の星です。ビッグエアの名前のとおり、急斜面を下って、待ってるのはジャンプ台で、これです。
この歓声がすべてです。

それから、スピードスケートのマススタート。みんなで一緒にスタートするんで、最初はゆっくりです。

首藤 アナウンサー
なんで?

徳永 アナウンサー
だって、この中で1位になればいいので、駆け引きするんです。最初はゆっくりです。16周するんです。
いつ勝負するかです。トップについては、1番でゴールした人が金メダル。
ペアの時は、ほかの人とタイムで競うじゃないですか。だから、最初からいかなきゃいけないんですけど、これはこの中でトップになれば金メダルなので、最初から全力を出す必要は必ずしもない。

刈屋 解説委員
2人でうまく作戦をやったっていうことです。

友添 さん
1位と2位を狙っていくわけですよね。

刈屋 解説委員
少なくとも2人のうち1人が勝つという作戦です。

友添 さん
各国2人、出てますのでね。

八木沼 さん
でも、日本はこの種目も強いですから、楽しみですよね。

徳永 アナウンサー
種目がどんどん増えてるのが冬のオリンピックの特徴なんだそうですね。

友添 さん

そうなんです。これを見ていただければ分かると思うんですけれども、札幌で35種目だったやつが、今度、ピョンチャンで102になってるんですね。
どんどん増えてるんですね。とにかくいっぱい種目を入れてくる。なぜかというと、夏は日程的にいっぱいいっぱいなんですね。ところが、冬、冬季に関してはまだスケジュール的に余裕がある。
それから、さっきのビッグエアなんていうのは若者に非常に人気がありますので、こういう種目をどんどんどんどん入れていくっていう、

ある種オリンピックの百貨店化が起こってるんじゃないか。
とにかくいろんな商品を並べていって、そして、人気のあるやつは残していく。なければ次変えていくっていう、そういう意味でいうと、若い人たちに受けるもの、そういうものを入れていく。もともとああいう種目も、アメリカの中の賞金大会、エックスゲームズっていうところから来たゲームが多くあるんですね。
だから、それをもって、いまオリンピックの人気、開催地に、嫌だとか、あるいはスポンサーがつかない。これをどう防いでいくのか、視聴率をどう取るのかっていう意味でいうと、サーカスのようなアクロバティックなスリリングなゲーム、こういうものをどんどん入れだしてると。まさにオリンピックの百貨店化が起こってるってことですね。

木本 さん
でもね、1つの競技のおもしろさは絶対あると思うんですけど、オリンピック離れとおっしゃいましたけど、それと競技の種類が増えていくのがもしかしたら反比例してるというか。

友添 さん
どれか当たればいいわけですよ。
どれか当たって非常に人気が出れば、それを残していけばいいわけですね。

千秋 さん
いまの段階でも、私たちが1回も見たことないものもあるかもしれないってことですか?

刈屋 解説委員
でも、これで1回見たらハマるかもしれないですよね。冬のスポーツは特に北のほうの国に限られていて、しかも、その競技っていうのは、自分がやるっていうところから始まってるんですよ。スキーにしても、日常生活の中でやるっていう。でも、そういうのは、ほかの雪が降らなかったり、暖かい国の人たちは全然興味が持てない。
でも、冬のオリンピックをやってテレビで世界に流して、でも、そこで見てもらえない。じゃあ見てもらえるにはどうしたらいいかっていうんで、より若者に受けるような、よりテレビ映えするような、そういう方向の競技を取り入れたり、あるいはルールを変えていったりという形なんですね。

視聴者の声

東京都・10代・女性
「スポーツは知っている人しか楽しめないところがありますが、パフォーマンスとして楽しめるのもいいなと思います」。

東京都・50代・女性
「派手なパフォーマンスがなくても、真剣に競技する選手を見るだけでしびれます」。

八木沼 さん
フィギュアスケート選手から言わせていただくと、いつまでも日本に、フィギュアスケートは残ってほしい。100年先も、200年先も残ってほしいと思います。でも、日本のリンクっていうのは状況がよくなくて、閉鎖されてしまったりとか、いい状況の中で選手は練習してないんですね。
なので、いま非常に華やかなオリンピックっていうふうに言われていますけれども、そこからでもいろんな層がフィギュアを初めて見て、やってみたいとか、今度習いに行ってみよう、近くにリンクがあるからとか、そういう環境作りを地域密着型にして作っていくっていうのも大事なんじゃないかなというふうに思います。

刈屋 解説委員
フィギュアも最初はこうやって、

コンパルソリー。

八木沼 さん
私もコンパルソリー世代です。

刈屋 解説委員
つまり、みんなが見てるところで、円を描くように、スケーティングのいろんなターンとかのパターンを6つやるんですよ。それをこんな近くでみんなが見てて。つまり、お客さんに見せるっていう発想が全くなくて。

木本 さん
まるで現場検証みたいな。

刈屋 解説委員
現場検証みたいなもんですよ。こういうところからまず始まってるんです。始まってるというか、まだ札幌オリンピックの前の大会がこうだったんです。

八木沼 さん
すごい難しいです、これ。

刈屋 解説委員
これはやってる人にしかおもしろくないわけですよね。

八木沼 さん
私、好きでした、これ(笑)。

刈屋 解説委員
フィギュアスケートそのものの競技を広げていくためにはどうしたらいいかといって、どんどん変わっていったんですよ。

八木沼 さん
コンパルツリーは、廃止されたんです。

刈屋 解説委員
その時に、技術的なものなのか、芸術的なものなのか、そして、その融合なのかっていう部分が、その後、ルールとかジャッジの考え方とかが揺れ動きながら、現在に至ってるんですよね。

友添 さん
小さい時から一生懸命スキルを磨いていって、八木沼さんのように選手として活躍していくっていうパターンではなくて、さっきやったようなスノーボーダーなんかはみんな10代の選手なんですね。15歳、16歳の選手がオリンピック選手になっている。それは非常に勇気もいるし、無鉄砲じゃないと入らないわけですけれども、半分命がけでやってるっていう種目になってくるわけですね。

木本 さん
今回のピョンチャンオリンピック冬季、人類の来るとこまで来た状態を見れるオリンピックだったりするわけですよね。

八木沼 さん
そうですね。

刈屋 解説委員
で、行きすぎたと思うと、またルールをちょっと変えて、そんなにジャンプしなくても勝てますよっていうルールにたぶん変わってきたりとか、ジャンプもちゃんと跳べなければ跳んじゃいけませんよみたいなルールに、これからたぶんまた変わっていく。

八木沼 さん
来シーズンは結構大幅なルール変更がフィギュアスケートもあると思いますので、今回のオリンピックの形は、最高得点いくつ取れるのかとか、これが最後かもしれないです。

友添 さん
芸術にしろ、いまのようにアクロバティックなものにしろ、見て楽しい、派手で、そして、非日常の感覚を味わえるようなスポーツが人気になってきてるわけですね。

徳永 アナウンサー
でもね、コンパルソリーやっぱりやってほしいっていう人がすごく多いです。

八木沼 さん
コンパルソリーは非常に大事な競技ですのでね。

木本 さん
そういうふうなのを見たいっていうぐらいの目線を養いたいです。

友添 さん
これ、世代間のギャップがあるんですよね。若い人たちがみんなコンパルソリーが好きかっていうと、意外とそうでもない。年齢によっても、趣味も違うし、嗜好性も違うし、楽しいと思うスポーツも違うんですね。ところが、IOCはそれを全部抱えていきたいと思ってるんです。

木本 さん
これ、千秋ちゃん、始まる前より、見ようっていうテンション全然あがったよね。

千秋 さん
上がりました。もうちょっと真剣に見たいと思う。

刈屋 解説委員
ただ、そういうふうにルールが変わっても、その競技は何の競技かってことをしっかりと見ないといけないですね。フィギュアスケートはスケーティング。
スケーティングに基づいて作られた世界。これを競う世界、スポーツだっていうことですね。

八木沼 さん
2つ楽しめるので。技術と芸術と両方。

友添 さん
オリンピックは人間形成が大事ですのでね。

首藤 アナウンサー
人間形成。ありがとうございました。時間になってしまいました。

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