2018年01月20日放送放送内容まるわかり!

父さん母さん!いつまで乗るの? 高齢ドライバー事故をどう防ぐ

今月9日、85歳の男性が運転する車が道路を逆走、女子高校生2人をはね、2人は意識不明の重体に。その2日後には91歳の男性が1歳の女の子をはねる事故を起きました。 インターネットのSNSなどには、高齢ドライバーを抱える家族から「どうやって運転やめさせるか」苦悩の声が寄せられています。今後、高齢ドライバーが大幅に増えると見込まれる中、家族はどう支えればいいのか、事故をなくす方法はないのか、深読みします。

今週の出演者

専門家

荒井 由美子さん(国立長寿医療研究センター 研究部長)
伊藤 安海さん(山梨大学 准教授)
島 契嗣(NHK 記者)

ゲスト

マキタスポーツさん(ミュージシャン・俳優)
優木 まおみさん(タレント)

今週のグラフィックレコーディング

グラフィックレコーダー
山田 夏子さん


首藤 アナウンサー
おふたり、身近にはいらっしゃいますか? ご経験などは。

優木 さん
私、父がいま71なので、そろそろ危ないんじゃないの? っていうふうに促してはいますけど、まだいまでも運転してますよね。

マキタスポーツ さん
実は自分のおやじが実際運転してて、それをやめさせるっていうことで苦労はしました。

首藤 アナウンサー
何歳ぐらいまで運転してたんですか?

マキタスポーツ さん
80ぐらいまで運転してましたね。
結局、運転はやめましたけど、車は手放さなかったです。

優木 さん
田舎だと、本当に車がないと全く動けないんですよね。

首藤 アナウンサー
必要なんですよね。


プレゼンテーション

徳永 アナウンサー
おはようございます。高齢の運転者の方の事故というのがニュースでよく言われます。数字でいくと、75歳以上でいま免許を持ってる方、運転してる方は513万人ほどいらっしゃって、免許持ってる方の割合でいうと6%ほどではあるんです。

実は死亡事故の件数っていうのはだんだんと、全体を見ると減ってるんです。相当減ってるんです。全体で見ると。ただ、75歳以上で区切ると、横ばいか、やや増えていると。
もちろん高齢化率が上がってるからしかたない側面というのはあるはあるんですが、国も重く見ていて、法律を変えるなど対策もとっています。
75歳以上のいわゆる高齢ドライバーの方、十把一からげにするつもりは全くないんですが、ある程度の傾向が分かってきています。例えば、これです。

若い方に比べて、「運転に自信がある」と答える方が総じて多い傾向にあります。
ただ一方で、年を重ねるとしかたないんですが、

運転に欠かせない視野の広さ、判断力、それから、いざという時に修正する力、どうしても劣ってきてしまうのも事実です。
最近でもいろんな事故がニュースになります。典型的な例です。例えば高速道路で、えっ。

マキタスポーツ さん
逆走ね。

徳永 アナウンサー
これ、よく聞きますよね。高速だけではなくて、街のスーパーマーケットの駐車場などで、えっ? よく聞くと。

首藤 アナウンサー
アクセルとブレーキをね、踏み間違えて。

徳永 アナウンサー
パニックになったという人もいます。さらには、交差点など「止まれ」となってるところでも、えっ? 

一時停止をしない事案というのももちろんある。パニックになったとか、当時のことを覚えてないって答える方もいらっしゃるんですね。

国も何もしてないわけではもちろんなくて、いまこういうことを進めてはいるんです。
自信がない方などは自分から返してきてくれてもいいんですよって促してます。
実はきのうのニュースで、これ、あまり知られてない、半分ぐらいの方は知らないっていう調査がまとまったっていうニュースがあったんですが、実は返したら、代わりの本人証明書って出ます。
運転経歴証明書といって、本人であることを証明する書類がちゃんと出ます。しかも、住んでる場所によるんですが、交通機関が安く使えたり、それから、買い物が、食事がちょっとお得になったりという特典もつきます。なので、促してるんですが、75歳以上の運転してる方の中で返納に応じた方は、増えてるとはいえ、いま3%ほど。

マキタスポーツ さん
これ、なかなか難しいですよ。こういうことじゃねえんだよっていう方が、たぶんいらっしゃると思います。

徳永 アナウンサー
理屈ではないっていうところはあるんだなと思います。
さっきもVTRで見てもらったような、ことしに入ってからニュースになっている事故。われわれが気になったのは、家族が止めさせるか考えて話していたっていう事実なんですね。
番組では、広くご意見を募りました。1570件もの声を、ありがたいことに寄せていただきました。ほんの一部をここに貼り出しています。ほんの一部です。

見えてきたのは、一般論では年を重ねたら免許返したほうがいいんじゃない? っていうんだけど、自分の家族の話になると悩んでる方が多いと。

首藤 アナウンサー
街もそうでした。苦労してました、みんな。

徳永 アナウンサー
つぶさにわれわれ読ませていただいたんですが、大きく分けて3つのタイプの悩みが浮かび上がってきたので、ご紹介していきます。

まず、青のおうちです。ちょっと表情が。

マキタスポーツ さん
もう怒ってますよ。

徳永 アナウンサー
娘さんがお父さんに言います。「父さん、もう免許そろそろ返したら?」って言うんですが、そうもいかない。なぜなら、父さんにとって免許とは。

首藤 アナウンサー
プライドですか。

徳永 アナウンサー
ここで悩んでるご家族がとても多かったです。というのも、こんな事例が多かったんです。「説得したら怒られちゃった」。
具体的にご紹介します。「『子どもが勝手なことを言うな。親をばかにするな』と怒りだした」「『年寄り扱いするな。隣は85でも運転している』と言われた」「運転がかっこいいと思っている」「運転交代するよと言うと、絶対譲らない。しつこく言うと、大声でどなる」。息子、娘世代の方から、皆さん、寄せていただいた声です。
言うだけではなくて、ご家族はこんなことをしてらっしゃるというのが出ました。強硬手段。
実際の声です。「こっそり出かけるので鍵を隠すしかない」「おじいちゃんの鍵を隠したら暴れだしちゃった」「車を隠したら、車がないと近所や警察まで巻き込んで大騒ぎになった」「メインヒューズ抜いた」。
実際にこういう行動したっていうご家族、心配してる方がやってる。
具体的に書いてくださる方が今回本当多かった中でご紹介したいのは、北海道の40代の女性の方です。これでも半分にしてあります。ご紹介します。

「認知症の診断が出ているのになかなか納得をせず、誤診だと言い張り病院の先生とけんかになった。本人を納得させるためにほかの専門病院も受診した。運転免許試験場の担当者ともけんか。後日、自宅に警察の担当者が2人来て、丁寧に説明をしていただいてようやく納得し、免許を返納した。自分でも運転が危なくなっている自覚はあったようですが、家族からやいのやいの言われて、認知症の診断書を取ったことが自尊心を傷つけたようです。病院の先生にも、財産失いますよと言われたんですが、全く聞く耳を持っていませんでした。かなり大変でした」。

優木 さん
自主返納だから、そういうもめ事が出てくるのかなって。全員、認知症だろうが、なってなくても、年齢が来たら返さなきゃいけないっていう決まりにしちゃえばいいのに。

マキタスポーツ さん
でも、それは難しいですよ。外側で、制度で何かやったとて。

優木 さん
でも、必ず人間は、どんだけ健康な人でも、視野が狭くなったり、判断が遅くなったり、年を重ねるとしますよね。絶対するものだから。

マキタスポーツ さん
これは、女の人と男の人のメンタル面、だいぶ違うと思うんですよね、そこらへんは。

徳永 アナウンサー
隣のおうちを見ましょうか。

逆のパターンもあります。皆さんのご意見で多かったんです。今度はちょっと悲しそうな顔をしてらっしゃいます。実はですね、「父さん、免許返そうよ」と言いづらい。なぜなら、免許とは生きがいだからと。

こんな体験談です。逆に泣かれたっていう方も多かったです。

マキタスポーツ さん
これ、つらいね。

徳永 アナウンサー
はい。こんな声ですね。ちょっとご紹介すると、「父、泣いていました」って書いてる方。それからね、「『危険な運転をする若者や、あおり運転する者もいるのに、近くだけ低速で乗っているのに悲しい』と言われた」。

マキタスポーツ さん
またその低速運転っていうね、逆暴走族みたいなやつありますからね。
遅すぎることで周りに迷惑かけてる。うちのおやじ、そうでしたからね。40キロ規制のとこ、20キロぐらいで走ってるんですよ。
渋滞起こったりとか、それで迷惑かけてるんですけど、自分のほうではね、むしろ安全運転してるんだっていう認識なんですけどね。

徳永 アナウンサー
返納させたご家族から、こんな声が多かったです。

これでよかったのかなって、それでも悩んでる方。

首藤 アナウンサー
返納させても?

徳永 アナウンサー
うん。実はね、「老け込んでかわいそう。外の空気を吸わないと」。弟さんの声です。「兄は家にこもりっきりになりました。テレビばかり見ています。糖尿病も悪化しました。これでよかったんでしょうか」「父親、大げさだけど人生を奪われた感じでした。本当にこれでよかったのかいまでも分かりません」。そのあとも悩むことがある。
さらに、こんなケースもありました。

このご家族。「母さん、免許返しなよ」と言いづらい。なぜなら、免許とは生活そのもの。

特に地域から寄せられたのはこれです。
なきゃ暮らしていけないんだよっていう声です。
「病院は市の外にあります。電車もバスも1時間に1本です。バス代もばかになりません」。実は東京からも同じような意見来てます。

マキタスポーツ さん
東京なのに。

徳永 アナウンサー
「駅まで坂があり、足の弱い祖父にとっては大変です。歩くのが遅く、夏の暑い時、体調がすぐれない時はしんどいです。駅までの距離が近すぎて、タクシーも敬遠されます」と。

優木 さん
生きがい、プライドはちょっと我慢してよって感じなんですけど、生活のほうは、返納制度とかをもっとよくして、交通機関の運賃割引っていうだけじゃなく、もっと考えれば補えるんじゃないかなと思うんですよ。

徳永 アナウンサー
と、なりたいですよね。そのあと話してもらうんですが、実は優木さんみたいな子ども世代の方からこんな声が来てるんです。「私たちも親の運転に頼ってます」。

優木 さん
すみません。手伝ってもらってます。

マキタスポーツ さん
あるだろうね。あるんだよ。孫とかいるとさ、使っちゃうんだよ、老人を。

優木 さん
父に手伝ってもらってます。

徳永 アナウンサー
この方は60代の方で、北海道の方で、いとこの心配をしてます。
80歳のいとこが孫の送り迎えをしてるんだそうです。そのご家族は、助かるって言ってるので。
でも、時というのは待ってくれなくて、こんな予測もあります。

いま513万人の75歳以上の運転してる方は、オリンピックの次の年には100万人増えるペース。高齢化が進んでいるので。こういう現実もありますよというお話です。

優木 さん
あとは車に進化してもらうしかない。
自動運転、絶対ぶつけないとか、駐車も全部してくれるっていう。

首藤 アナウンサー
そこもまた時間もかかりますよね。すべてがそうなるにも。
本当にたくさんメールもいただいてまして、私も紹介したいんですけど、こちら、例えば、「親はまだまだ現役と思い込んでいます。80歳になったらお祝いに自分で新車を買うなんて言ってます」ですとか、同じくプライドに関わりますかね。「祖父は家族にさんざん言われても、『運転しないなんて惨めだ』と聞かず、結局事故で廃車になってやめました」と。
家族が言っても、プライドっていう部分っていうのはなかなか崩せないんですかね?

マキタスポーツ さん
いちばん難しいんですよ、家族っていうのは。家族の距離感だからこそ、お互いに甘えがあって、言うことを聞きたくないとか、言い方とかもね、こっちのほうで、「お父さんさあ」みたいな感じとかで言えないでしょ。優しく、「やめたほうがいいと思うんだよ」なんて。飯がまずくなるようなね、そういう時間帯にそういう話をお前はしてくんのか? みたいなね。

優木 さん
子どもに言われるから、よけい嫌なんですよね。

荒井 さん
子どもが上から目線で、やめさせるっていう言い方ってよくないっていうか、高齢の方には乗ってきた歴史があるので、その人生っていうか、ずっと車を、小さい車からだんだん買っていって、車を持つことがステータスというような世代だった方たちなので、それを急に現役の子どもから言われるっていうのは非常に難しいと思います。

マキタスポーツ さん
カチンときちゃうからね。

荒井 さん
でも、こういう話をする時に絶対押さえとかなきゃいけないことを言ってもいいでしょうか。その方がもしかして危険な運転をしてしまう背景には、何か医学的な疾患、病気を抱えている場合もあります。例えばそういったことが原因の場合には、まずは医学的な疾患がないのかとか、医療機関をっていうことはチェックしないとまずいと思います。
具体的には、例えば認知症の方ですと、研究の結果によると、自動車学校の先生が危ないよって言ってるような運転行動に対しても、いや、俺は大丈夫だって言う人の割合が健康な方より高いっていう報告も出てます。だから、単にプライドとか、そういったことで違いが出てるっていうことではなくて、もしかしたらその方が認知症である場合もある。
認知症の場合には、法律で免許の取り消し対象となるので、きょう出てくるいろんなお話も、ちょっとそこは区別して議論したほうがいいと思います。

伊藤 さん
プライドの話でいくと、世代が違うのをちゃんと自分たちも理解しないといけないなと思うのが、われわれがスマホとかインターネットあしたからやめてよって言われたら、ぱっと手放せるかっていう。
高齢者の方々と話していると、それこそ若いころ、彼女連れてドライブ行ったんだとか、みんなと一緒に山行ったんだとか。だから、いまゲートボールに行くのだって、その時のわくわく感を持って同じような気持ちで行ってたりするので、われわれが運転やめるのと、たぶん感じ方がすごい違うんです。そこは、自分がもしスマホあしたからやめるんだったらどんな準備するんだろうみたいな意識でいないと、意識のギャップが。

マキタスポーツ さん
そうですよね。まず、前提に埋め込まれてるものをやめるっていうことの煩わしさがものすごい大きいと思うんですよね。煩わしい、面倒くさいっていうのがすごい先立つ意識としてあると思いますね。

優木 さん
だから、もっと前々から家族で話していく。うちだったら71歳ですけど、75歳ぐらいなのかなとか、数年単位で話していったり、さっき、医療機関にも、なかなか医療機関自体にも行ってはくれないと思うんですよ。

マキタスポーツ さん
そうなんだよね。それで車で行っちゃったりね。そこにね。

荒井 さん
健康診断を兼ねてじゃないですけどね。

優木 さん
でも、過信してる人っていうのは自分の健康も過信してたりするので、それも長く積み重ねて話していかないと、きょうあすでは無理ですよね。

首藤 アナウンサー
60代、70代の前半ぐらいからじわじわ話すとか?

優木 さん
あと5年だね、あと10年だねってずっと話していく。

マキタスポーツ さん
本当はそれがいちばんいいし、それができるのはいちばん身近な家族とかだとは思うんですけどね。

優木 さん
仕事とかも定年が決まってるから、そこに向けてずっと準備したりできますからね。

伊藤 さん
私も、社会実験なんかしていて、高齢者の方々と会ってるんですけど、見ていると、能力が高い人ほど、そろそろやめたほうがいいでしょうかとか。例えば70歳の人でも、あなた、50歳の人ぐらいの能力あるから全然まだ大丈夫ですよっていう人から順番に、最近、世の中でも高齢ドライバー危ないっていうから、自分も心配なんだけどって来ると、診断させていただくと、非常にうまいなみたいな。


グラフィックレコーディング

徳永 アナウンサー
皆さんね、ちょうどいまお話にあったとおり、当事者の方からの反論ももちろんたくさん来て、ご紹介したいんです。いまのお話、ここですね。

「個人差があるのに、不愉快です」。そうだと思います。

担当は山田夏子さん。描いていきます。どうぞご意見をお寄せください。お待ちしておりまーす。

首藤 アナウンサー
個人差、高齢者の方から。本当ですね。

荒井 さん
だって、高齢者でも運転能力が高い。運転適正って、安全に運転ができれば別に運転を続けていいわけですから、そこで安全な運転ができないっていう場合にどうするかっていう話なので、何歳以上は一からげにやめるっていうのは、なかなかそれは、このご意見はなかなか難しいですよね。

優木 さん
ただ、毎年毎年、そのスキルを調べるのがあるわけではないですもんね。

伊藤 さん
たぶん予算的なものとか、いろいろありますので。ただ、いま、例えばドライブレコーダーだとか、いろんな機械がついて、データが蓄積されているので、そういったものを分析できる仕組みとか作っていくと、運転診断とか、もっと身近になってくるのかなと思いますね。

優木 さん
電話とかも高齢者向けのシンプルで簡単な電話とかできてるけど、そういうふうに高齢者向けの車が開発されたりとか、今後はあるのかな。ドライブレコーダーが最初からついてるとか、ずっと記録取っていくとか。

伊藤 さん
そういうのもかなり普及してますし、あと、例えば追突防止だったりだとか、車線逸脱防止なんかの機能も、いま高級車にしかついていないんですけれど、標準仕様にしようって形で、たぶんこれから2、3年でかなり普及していくと思いますので。そうすると、いま報道されてるような事故のかなりのものは、実は機械側で防げたんじゃないかなというのは感じてますね。

視聴者の声

佐賀県・53歳・女性
「私も父に運転をやめるように説得しましたが、できませんでした。警察とか公権力のある第三者が行うべきです」。

マキタスポーツ さん
強烈だな。

視聴者の声

高知県・67歳・女性
「自分からやめる判断ができなくなっていた92歳の父。家族の対応には限界があると思う。免許センターが免許を与えなければいいのでは」

島 記者

まず、実際に75歳以上のドライバーの皆さんが運転免許の自主返納についてどのように考えているかという、平成27年の警察庁の調査なんですけれども、「自主返納しようと思ったことない」というのが7割近く。

優木 さん
そうなんだ。逆かと思ってたな。

島 記者
大きな理由としては、まだ運転に自信があるっていう方もいらっしゃるでしょうし、さっきおっしゃったように、生活の足として車が欠かせないので、中には、返したくても返せない、返納、まだできる状況にないという方もいらっしゃると思います。

首藤 アナウンサー
制度はというと、70歳からできるんですっけ?

島 記者
まず、70歳以上の方が運転免許を更新しようと思うと、高齢者講習というものを受ける必要があります。70歳以上が更新する時。高齢者講習というのは、実際に車を運転して、実車試験というんですかね。その運転の様子をドライブレコーダーで撮影して、車を降りたあとご自身で、自分がどういう運転をしてるのか、客観的に見て自覚してもらうというのが高齢者講習に含まれています。いまのは70歳以上の話。

75歳以上の方が運転免許を更新しようとすると、高齢者講習に加えて認知機能検査というのを受ける必要があります。これは、認知症かどうか調べるものですね。記憶力、判断力をテストするものです。

首藤 アナウンサー
記憶力っていうのが、こういう、一部用意したんですけど。

島 記者

これは認知機能検査のテストの一部なんですけども、イラストを、更新しようとする高齢者の方に見ていただいて、しばらく時間がたって、まだ覚えているかどうか記憶力を試すものです。
これは手がかり再生と呼ばれる試験でして、もちろんぱっと覚えられる方はいいんですけども、すぐ出てこない方は、絵を隠して、例えば手がかりは。

首藤 アナウンサー
昆虫だったですねとか、ヒントは出る。

島 記者
動物、うさぎだったんじゃないかなとか、そういう手がかりをもとに。これは記憶力を調べるものです。

マキタスポーツ さん
なるほど、なるほど。

島 記者
その認知機能検査の結果を3つのステージに分けて、しっかりこういうふうに記憶されたり、全くテストの結果問題ない方は「おそれなし」、緑色ですね。少し低下してるっていう方がオレンジ。「低下のおそれ」、これは認知症のおそれという意味ですね。
認知症のおそれというテストの結果が出た方は全員、医師の診断を受けなければならないというふうに、去年の3月に法律が変わったものが施行されました。高齢者ドライバーの相次ぐ悲惨な事故を受けて、法律が認知機能検査を厳しく強化したという形になります。
その結果、テストで医師の診断を受けてくださいと言われて、さらに医師の診断を受けて認知症と診断されましたら、免許の取り消し、または停止処分になります。

首藤 アナウンサー
これで防げるんでしょうか? どうでしょうか? 伊藤さん。

伊藤 さん
当然認知症になった方は運転してはいけないわけで、それが少しでもこれから見つかるようになることはいいんですけれど、実際多くの高齢ドライバーが事故起こしてるのは認知症ではなくて、加齢によるいろんな能力の低下なんですけれど、そういったものを調べてみますと、運転能力と認知機能の低下っていうのは、認知症にいかないレベルであればほぼ関係がないので、例えば物忘れがちょっと普通の人より多い方でも、もともと運転がうまい方はうまいですし、下手な方は下手だったりとかっていうので、際どい人たちが結構起こしてて、しかも、その方々というのはあまり認知機能検査の点数では測れないっていうのが。

マキタスポーツ さん
そうか。そういう穴があるんですね。

首藤 アナウンサー
海外はどういう? 日本はこういう制度ですよね。何かヒントになる事例が。

伊藤 さん

海外の場合、いきなり免許を停止するのではなくて、その人の能力に応じて限定免許みたいな制度を結構とっている。これはアメリカの例なんですけど、ヨーロッパでもだんだん増えてきてまして、高速の運転ができないんだったら、まずは高速道路を走らないようにだとか、あとは、例えば、夜、ものが見えづらいので夜の運転はやめましょうとか、慣れた、ふだん運転してる道であれば安全に運転できるけれど、初めてのところだと情報取りながら安全運転できないので、それはやめましょうとかいう形で、ここらへんはいくつかの検査を組み合わせたりだとか、あとは実際に運転の状態、データに基づいたりして、順番に限定していって、最後、それでも危なくなったら運転やめるっていう形ですね。

徳永 アナウンサー
皆さんね、さっきは高齢者の方からの反論ありましたけど、一緒にしちゃいけないと分かっていながら、かなり極論だと思うんですけど、来てるのは、正直あります。

例えば、「『逆走です』ってナビで言うようにしてください」とか、年齢で区切っちゃえっていう人は一定数いらっしゃいますね。

「75過ぎたら保険料も増やしてください」とか、それから、「70歳以上は自動ブレーキ限定にすべきです」というように、制度で、えいっ、どうですか? っていうふうに言う方も一定数いるのは事実ですね。

首藤 アナウンサー
どうですか? そういう意見。マキタさん。

マキタスポーツ さん
だめ、だめっていうようなこととか、制度的に外側から規制をしていくことももちろん必要だと思うんですけど、あと、制度でいうと、返納したあかつきには、もっとうまい汁はないんですか?

優木 さん
返納特典がもっと欲しいですよね。自主でわざわざ、運転まだできるのにしてるっていうのがあれば。

荒井 さん

でも、もう1つ、この場合すごく難しいのは、いちばん考えなきゃいけないのって、車の運転の時に何がいちばん考えなきゃいけないかっていうと、周りの安全。自分が加害者になってしまって、誰か人をけがさせてしまったり。 そこは絶対避けなければいけないっていうところで、ご家族としてできることは、やめろ、やめろって頭ごなしに言うんじゃなくて、その人がどうして運転してるんだろう。私がアンケート調査をした時は、プライド、生きがいだって言ってる方が3割だったんですけど、7割の方は自分やご家族の移動に困る、自立した生活ができない。だから、ご本人がなんで運転をしてるのかっていうことを見極めて、この人にとって、運転をやめても安心して生活ができれば、みんなやめられるんですよね。安心できないからそうなってしまうので。
その時に、それぞれに相談窓口はあって、いちばんで家族だけで安全確保が難しいっていう時には、

免許センターの運転適正相談窓口というのがありますし、お近くの警察も交通のこういった部門があります。家族だけで安全のことを解決しようとすると、それは難しいので。

マキタスポーツ さん
限界があるよね。

荒井 さん
けんかになってしまったりとか。だから、絶対第三者に入ってもらうっていうのがいいと思いますし、支援を考える時には、お近くに地域包括支援センターって呼ばれたり、高齢者相談センターっていうのがあるので、あと、自分の住んでいる、お住まいの自治体の役所でもいいですし、家族だけでっていうのはすごく。

マキタスポーツ さん
そこの前の時点の、僕、ケアがちょっと欲しいなとかって思ってしまうんですけどね。そこに、例えばみずからの意思で、ちょっとやばいかもしれないっていう意思があって行く人ってわりとしっかりしてる人で、いい意味でですよ。そうじゃなくて、非常にグレーな人とかって、そこに行くこと自体が煩わしい。

荒井 さん
おっしゃるとおりですね。

マキタスポーツ さん
家族がアプローチしてもー耳を閉ざすというか、私みたいな、そういうややこしい人っていっぱいいると思うんですよ。

優木 さん
言われれば言われるほど、よけい嫌だみたいな。

マキタスポーツ さん
そうそう。そもそもそういうことを聞きたくない、そういうところに行きたくない、耳を傾けたくないから、自分1人で抱えて運転するっていうメンタルがあるわけじゃないですか。そこを何か改善できる、ないんですか? 先生。

伊藤 さん
1つ私が感じてるのは、家族だけだと難しいかなと思うのが、いま富士河口湖町で10年ほど社会実験をしてるんですけれど、ドラレコの映像を見ながら、同じ年代の方々でみんなでお互いにチェックしあうと、われわれとかご家族が言っても「そんなことないよ」って言うのが、「お前、いつもこんな運転してるよ。危ないよ」とか言われると、「そうかな」とか。例えば同級生たちに言われたりすると、「そうか。俺、いつもこうなんだ」とか。
だから、かえって、親子だったりとか、あとは専門家みたいな感じで言われるよりも、昔からのよく知った人たちが、最近ちょっと危ないからこういう運転やめたほうがいいよとか、地域の連携というのも大事かなって。

マキタスポーツ さん
緩やかにね、そうなんですよ。だから、いきなり制度みたいなことを振りかざされても、そこには近づこうと思わない人たちもいるし。あるいは、家族は近すぎて言うこと聞きたくないとかっていうことがあるし。

優木 さん
老人会の会合とかのテーマとして必ず話すようにするとか、そういうこともあるんですかね。

伊藤 さん
僕は10年ほど、運転の診断とかリハビリというのを社会実験でやっているんですけど、そうすると、友だちを誘って毎年人数が増えて、受け入れられないからどうしようかな、なんて思うんですけれど、お前も来いよみたいな感じでだんだんだんだん増えてきて、自分たちで競い合ってトレーニングしたりとか。中には、能力落ちてくるとお互いに、確かにお前、よく見落としてるしとか。
そういう、まだ元気なうちから長く運転するためにトレーニングしようとか、お互いにチェックしあってやられるというのも。

マキタスポーツ さん
ある種、娯楽みたいな感じとか、同世代の人たちと共有する感覚の中でそういうものがあると、だいぶ助かりますね。

優木 さん
あと、運転をしなくても地域から孤立しないっていう制度ですよね。生活、外に出られなくなっちゃいますもんね。

徳永 アナウンサー
そうなんです。生活っていうことでいうと、ご紹介したいのが、増えてきてるのが、地域の方からの「現場を分かってない」っていう声です。

「田舎は歩いて買い物できないよ」っていう声です。もう1つ。「山間部で1人暮らしです。死ねと言うんですか?」って、かなり厳しい声が来ています。暮らしが成り立たないんだっていう方からの声もすごく来始めてますね。

首藤 アナウンサー
本当そう思います。こちらにもたくさん届いていて、生活面に関してはたくさんいただきました。

視聴者の声

神奈川県・57歳・女性
「車がないと生活できない地域では、高齢者は手放さないと思う。バスが1日に数本では不便で、自家用車で...となってしまいます」。

新潟県・51歳・女性
「義父母が『代わりに足になってくれるのか』とキレる。返納はしてもらいたいが、代わりに運転手をして時間を奪われるのは絶対に嫌」

荒井 さん
買い物って、ここでお話が出てたとおり、行きは、歩いて15分のところにスーパーがあるとしても、買い物でじゃがいも買ったり、牛乳買ったり、いろんなものを買うと、しかもそれが炎天下だったりして、帰ってくるっていう時に、ちょっとぐらいひざが痛くても、車で行けば、スーパーの中はカートを押しながらで、そこで運んでもらって車に積み込めさえすれば、買い物ができるっていう方も多いですね。だから、非常に生活上、難しいっていう。

マキタスポーツ さん
利便性とか便利さっていうものとかは、ちゃんと本人の中に入ればふに落ちると思うんですけど、その前の段階で、買い物に行くっていう自分たちのいままでの前提があるじゃないですか。車で行くっていう。それは楽しみも入っちゃってるし。

荒井 さん
うん。自分で見て買いたいから。

マキタスポーツ さん
代わりに買い物をしてくれる人がいるって、例えばサービスとかもあるから。

島 記者

警察に取材すると、高齢者の方が運転する理由は主に2つで、ここにあるように、病院に行く時に車が欠かせない。もう1つは、買い物。特に中山間地とか山のほうにお住まいの方とかは、スーパーまで行くのに車は欠かせない。あとは農作業で、例えばキャベツとかレタスとか収穫して、軽トラックに積んで出荷される方もいると思います。
ここにあるように、そもそも高齢者が運転しなくても済むような環境であれば交通事故は起こらないですよね。いま取り組みとして地方で一部行われているのは遠隔診療。自宅にいながら、かかりつけ医の先生。これ、テレビ電話のようなイメージですね。きょうは体調いかがですか? というような。
これであれば、病院に行く時に車に乗らなくてもいいですよね。
もう1つは買い物。自宅まで必要な食料を届けてもらえるような宅配サービスがもっと普及すれば、一部地域で進んでいるんですけれども、こういうものがもっと普及すれば、高齢ドライバーによる悲惨な事故は減らせる方向になるのかなと。1つのアプローチとして。

優木 さん
気持ちは解消、ちょっとしないですけどね。出かけられない。出かけたいんですよね。

マキタスポーツ さん
出かけたい楽しみね。

優木 さん
家に閉じこもってろ、みたいなことになっちゃう、これじゃあ。

荒井 さん
さっき、自主返納っていうことに対しての何かメリットはあるかっていう、特典ですね。
いろいろ自治体によって違うんですけれども、まず自主返納して、身分証明書に免許を使いたい方に関しては、運転経歴証明書っていうものを、取得するのを補助してくれる制度もありますし、あと、自主返納をすることによって、タクシーの割引券ですとか、チケットをもらえることもあります。
あと、運転経歴証明書、自主返納したことによって、その地区の商店街なんかと協力して、例えば商店街のスーパーで10%引きとか、いくら以上買った時の宅配を割り引きにするとか、そういった利便性についてはあるんですね。

マキタスポーツ さん
それは、でもね、また男の人、女の人みたいな話になるとややこしく感じられる方もいますけど、男の人ってもともとポイント制とか、ポイントカードとかまめにしない人が多い。
女の人はそういうの、ちゃんとしてる。

優木 さん
大好き。それを細かく使うのが大好き。

マキタスポーツ さん
男の人ね、そういうの昔からだめなんですよ。

荒井 さん
10%引きっていってもだめですか?

マキタスポーツ さん
だめです。10%引き、いや、面倒くせえなあ、やっぱやめとこうか、みたいな感じになるんですよ。

優木 さん
1回ただ券ぐらいだったら分かりやすい。

マキタスポーツ さん
そう。分かりやすいでしょ、ただになるんだったら。ただなの? だったらいいよって。

伊藤 さん
ただ、問題としては、たぶんある程度栄えてる町でいまできてるんだと思うんです。そもそも大型店が増えてくると地域の小売店がなくなっていったりだとか、なかなか買いに行けなかったり。
あと、タクシーに乗ればいいじゃないかってよく言われるんですけど、いまタクシードライバーの平均年齢60歳ですから。平均がその年齢ですから、もしかすると、個人タクシー呼んできたら80歳のドライバーが来たとか。
要するにドライバー問題っていうのが、バスだとかトラックもそうですし、どんどんどんどんいま平均年齢上がってしまっていて、実は代わりに運転する人も高齢者ってことはすごい増えてきているので、やめればほかの人に乗せてもらえばいいじゃないかというのはなかなか難しくなって。

首藤 アナウンサー
だから、何歳で区切るというのはかなり難しいですね。農作業だって、私、愛媛ですけど、みかん山に作業しに行くには絶対必要だし。しかも、そこでひく可能性も少ないんじゃないかなとか。

優木 さん
その議論を若い人に理解してもらうのってすごい難しくて、若い人って車いらないって言ってて、免許も取らない。交通機関使えばいいじゃないっていうドライな人が多いし、田舎に住みたい人も、だいたい住んでる人が現実高齢者が多くて、都会に、都会にって、どんどん若い人出てくるから、議論を若い人とすると、返せばいいじゃんって、それだけで終わっちゃうから。

マキタスポーツ さん
若者の合理でね。

優木 さん
理解し合うのがすごい難しい。

徳永 アナウンサー
優木さんね、来始めてる声があります。考え始めてる方、多い。

「いずれ誰もがたどり着くんですよね」っていう声。それから、「年取る前に話さなきゃね」っていう。ひと事じゃないなっていうふうに考え始めた方が、ツイッター見てると多い気がしますね。

首藤 アナウンサー
島さん、どうですか、これ、解決。

島 記者
本当に難しい問題で、例えば強制的に高齢者ドライバーから免許を取り上げて済むような問題ではないというのは、いままでの議論で出てきたように、私たち社会全体で考えなければいけない、本当に難しい問題だなと思いますね。

マキタスポーツ さん
さっき先生がおっしゃってたけど、同世代の方々と寄り合いの中でみたいなことですけど、僕、変なアイデアですけどね、どこの地方でも健康ランド的なとこあるじゃないですか。あそこには高齢者の方たち結構いらっしゃいますよね。自分でも行くし、送迎バスとかあるじゃないですか。

優木 さん
あるあるあるある。

マキタスポーツ さん
で、リラックスしてるじゃないですか。
無防備な状態のとこで、もういいか、免許とかいらねえかっていうような感じのこととかを同世代の方たちとかと。

優木 さん
サウナのテレビでかけたりね。

マキタスポーツ さん
そう。テレビとかで。なんかね、極端なんですよ。制度があって、あと、身内があってみたいな。で、特典も細かい。面倒くさいみたいなことになるじゃないですか。
でも、みんな温泉は好きです。そういうところとかに、ある種、娯楽の提供と結びつけて、おじいちゃん、おばあちゃん、分かるよ、そういうのっていうのとかと。自主返納を促すにしても。

荒井 さん
自主返納をした方が経験を語り合うっていうのが、そういえばありました。自主返納した方が、こうだったよとか、いまマキタさんおっしゃったとおり、同じ世代の方が、リラックスした状況で、自主返納したけどこうだったよとか、こういうことを使ったよっていうのを言われて成功した例っていうのを聞いたことがあります。

伊藤 さん
私のところに来た話で、スポーツクラブって結構高齢者の方が多くて、皆さん楽しくやってるけれど、皆さんがどういう能力持ってるかって、スポーツクラブなので分かるので、そういったものをまた運転免許のほうと連携しちゃったり。

マキタスポーツ さん
いやあ、衰えちゃったなあみたいなこと言って、じゃあそろそろ免許返したほうがいいんじゃねえの? なんて言われて、そうかもねなんて言う。

優木 さん
そっちがかっこいいみたいな流れになればね。

伊藤 さん
スポーツとか医療とか警察とかって分かれてるんではなくて、仕組みが1つにつながってるような形でいくと、楽しみながら仲間内でだんだんだんだん、やめたら誰がここに送っていこうかとか、そういう話もできますし。

マキタスポーツ さん
あんな特典あるらしいよ、なんつって。プライドもだいぶ下げられるような気がする。

首藤 アナウンサー
時間になってしまいました。ありがとうございました。

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