2018年01月13日放送放送内容まるわかり!

積もり積もって883兆円! 大丈夫?"借金大国"ニッポン

過去最大の総額97兆7000億円。昨年末、政府は来年度予算案を閣議決定しました。歳入全体の3分の1以上を借金(国債の発行)に依存する異常な状態。医療・介護など社会保障費は過去最大の33兆円に膨らむ一方、少子化対策など将来への投資に予算を確保することの難しさが改めて浮き彫りとなっています。 少子高齢化がますます進む中、国民の将来への不安に応えるためにニッポンの"お財布"はどうあるべきか、専門家とともに考えます。

今週の出演者

専門家

井手 英策さん(慶應義塾大学 教授)
佐藤 主光さん(一橋大学大学院 教授)
神子田 章博(NHK 解説委員)

ゲスト

向井 慧さん(パンサー)
松本 明子さん(タレント)
椎木 里佳さん(起業家)

今週のグラフィックレコーディング

グラフィックレコーダー
山田 夏子さん


首藤 アナウンサー
国の借金、883兆円。国の収入がおよそ64兆円なので、家計に例えると、

年収が640万の人が8830万円の借金を抱えているような。

松本 さん
無理、無理。

向井 さん
首回ってないですよね。

首藤 アナウンサー
椎木さんは、現役の大学生で社長でもいらっしゃる。ことし新成人。若い世代から見て、この問題どう見ますか?

椎木 さん
883兆円、知らなかったので、しかも、つけが回ってくるのって私たち10代、20代の世代じゃないですか。これ、ちょっとやばいなって思いました。

首藤 アナウンサー
日本のお財布は本当に大丈夫なのか。バランス、おかしくない?と思うんですけれど。


プレゼンテーション

田中 アナウンサー
家庭のお金も国のお金も、大事なのは"バランス"でございます!

私はですね、長いこと、この国のお財布のバランスをずっと守ってきた、田中といいます。モットーはですね、「バランスとってバラ色に」!。

首藤 アナウンサー
怪しい。

向井 さん
この人は不安だなあ。

田中 アナウンサー
皆様、まず国の収入とはいったい何でしょうか。当然、皆さんからいただく税金でございます。

お買い物のたびにかかる消費税、個人の所得にかかる所得税、会社が払う法人税。景気がよければ、その分皆さんが豊かになって税収も上がるということなんですね。
じゃあいったいそのお金、何に使っているのか。主にこういうことです。
例えば、年金とか医療費などの社会保障。

必要な道路とか橋とか、災害が起きた時の復旧。公共事業です。

公立小中学校の先生のお給料、国立大学の運営費などの教育。

地域によってサービスにばらつきがあってはいけませんので、地方交付税。

そして、国を守る防衛費。

こういったものに使うわけです。
そして、わが国には大きなルールがあるのでございます。戦後に作られましたこちらの法律です。「財政法」。

ざくっと言うと、"借金だめよ"という法律です。

向井 さん
あら?

松本 さん
だめなんじゃん。

田中 アナウンサー
入ってくるお金の中でやりくりしましょうという法律なのでございます。家庭でいえば当然ですよね。

松本 さん
おっしゃるとおり。

田中 アナウンサー
だからこそ私は、この入ってくるお金、出ていくお金、ここのバランスをずっとずっと毎年毎年守り続けているのでございます。戦後しばらくは借金をせずにバランスをとり続けてまいりました。バランスとってバラ色だ、いうことなんでございます。

向井 さん
それが怪しいんだよな。

田中 アナウンサー
ただですよ、大きな転機がありました。それが、これです。

前回の東京オリンピックです。

首藤 アナウンサー
昭和39年。

田中 アナウンサー
はい。オリンピック控えてるいまもそうですが、オリンピックに向けて、競技場だとか。

松本 さん
高速道路とか。新幹線とか。

田中 アナウンサー
そうそう。必要なものを急ピッチで進めていくわけです。だから、がんがんお金使って景気はよくなってきたんですが、それがぴたっと、オリンピックで、終わって止まっちゃった。だから、よくとしの昭和40年、景気がわるくなっちゃった。反動ですね。
ただ、まだまだ高度成長期、発展途上なわけですよ。必要な道路とか、そういうものはもっともっと全国に広げていかなければいけない。公共事業のお金は必要なんです。

でも、お金が増えず、初めて私はこのバランスがあららららっていうピンチを迎えたのでございます。ただ、ここからが私の腕の見せどころですよね。

松本 さん
おっ、きた。

田中 アナウンサー
私はずっと悩んで、そして、ある名案がひらめきました。
・・・そうだ!借金をしよう!

松本 さん
安易なんですって、そこが。

向井 さん
財政法もあるし、だめですよ。

田中 アナウンサー
皆様はあまり財政法にお詳しくないとみました。この財政法には続きがございます。

松本 さん
あら?オッケーになっちゃったの?

向井 さん
なんでですか?

田中 アナウンサー
「公共事業」なら、ということでございます。

松本 さん
えーっ。

田中 アナウンサー
よく考えてください。道路とか橋というのは一度作れば何十年と使えますよね。私たちの世代だけじゃなくて、これから生まれてくる未来の世代の人たちも使えますよね。だったら、その人たちからお金をちょっと前借りして作るのは悪くないでございましょ。

首藤 アナウンサー
そういう考え方?

田中 アナウンサー
専門的に言うと、「建設国債」というものでございます。
ただですね、それと時を同じくして、人口がどんどん日本は増えてまいりました。そうすると、公共事業だけではなくて、社会保障などいろいろなお金がかかってくるんでございます。

あららららら、おかしいな。またバランスが崩れちゃった。どうしようか。

向井 さん
もう無理よ。だめですよ。

田中 アナウンサー
考えました。そうだ!借金をしよう。

向井 さん
だめですよね、だって。公共事業じゃないんですから。

田中 アナウンサー
これはどうでしょうか?今回だけです。今回だけ。ごめんなさい。

今回だけどうしても足りないんだったら、特別にオッケーという「特例法」という法律を作って、借金をさせていただきました。

向井 さん
ちょっとふに落ちない。

田中 アナウンサー
ただですね、そのあと、毎年毎年何だかんだでお金が足りなくなって、何だかんだで特例法をいただいて、何だかんだで毎年借金しております。

松本 さん
何だかんだって。

向井 さん
その何だかんだが883兆になってった。

田中 アナウンサー
そして借金しますとね、いつか返さなきゃいけないんです。もちろん借りた金だけを返せばいいわけじゃなくて、利息、利子。ちょっと多めに返さなきゃいけないんです。
そっか、借金しちゃって、お金返さなきゃいけない。どうしようかな。じゃあ、借金を返すために借金しよう!

向井 さん
自転車操業ですよ。

田中 アナウンサー
さっきから皆様、借金をするたびにわーっと言いますが、借金が悪いというイメージがあまりに強すぎやしませんか?

松本 さん
もちろんですよ。だって、家計だったら大変なことですよ。抑えないと。

田中 アナウンサー
本当にそうでしょうか?借金をして、そのお金を使います。景気をどんどん刺激します。その結果、どうなったか。日本は、バブル景気!

向井 さん
あ、出た!

田中 アナウンサー
借金をしたおかげで、本当に景気は上がったという実績がありますよね。つまり、私には先見の明があったと言ってほしい。

向井 さん
投資みたいな?

田中 アナウンサー
そう。投資をしたおかげで、こういう時代が来たわけですよ。

松本 さん
ただ、崩壊しましたよ。

田中 アナウンサー
ちょっと待って、ちょっと待って。その前にですよ、この時は借金を頼らないで、税収が増えた分でバランスとれました。

松本 さん
それ。それはよかった。

田中 アナウンサー
バランスとってバラ色。ようやく私の時代が来た。ただ、松本さんがちょっと言った、そのあとの話。確かに景気というのは移ろうものでございます。

こうなりましたよね。大きな企業が倒産しましたね。そして、仕事を失ってしまった人もたくさん出ました。そうなると、入ってくる税金が減るんです。いちばんいい時だった時に比べて、年間で10兆円ぐらい税収が減っちゃった。

向井 さん
全然バランスとれてない。

田中 アナウンサー
ああ、またバランスが悪い。どうしよう。この時の成功体験があるぞ。そうだ!お金が足りないなら。

松本 さん
まさか。

田中 アナウンサー
いっぱい借金しよう!この頃から、

年間30兆円以上という、いっぱいお金を借りて景気を刺激するぞ。再びあの時代よ、来い。
それから20年ぐらいたちましたけど、皆様のご実感はどうですか?

首藤 アナウンサー
だって、バブルとか来てないし。

田中 アナウンサー
思ったほど実感がない。確かにそうなんですよね。
そして、時代が、新たなフェーズに入ってきた。高齢化。

お年寄りが増えて、かかってくる社会保障費が増えてくるわけですよね。やばい、やばい。また傾いた。だったら。

松本 さん
来た。まさか。

田中 アナウンサー
減らすわけにいかないなら、借金をしましょう!

ということで、なんとかこうやって毎年毎年バランスをとり続けて、今日に至るわけです。あー、よかった、危ない。

松本 さん
悪循環。

田中 アナウンサー
ただ、そんな私を悩ませるこんな数字があるのでございます。

7年後、2025年になりますと、すぐ先ですね。介護費がいまに比べて2.1倍、医療費でいうと1.4倍に増えてくるわけです。というのも、団塊の世代の人たちがみんな75歳以上になる。
そして、これだけじゃなくて、"少子"高齢化なんです、日本は。もうすでに始まっているんです。少子ということは、つまり、子が減っていく。つまり、収入が減っていくという

私が恐れていたアンバランスな時代がやってくると。
お年寄りが増えるということは、さらにこの社会保障が増える。ということは、危ない、危ない。借金増える。
世界の情勢が変わってくると、新たにこういう防衛のようなお金も必要になってくる。危ない、危ない。バランス崩れる。借金も増える。これだけお金借りちゃうと、返済のお金もなんか増えちゃって、危ない、危ない。借金だ。

なんとかよかったですね。バランス、ここまでとってきました。

松本 さん
よかったじゃないですよ。

田中 アナウンサー
いいのです。私は、いまのこのバランスだけを整える、これが最大のミッションなのであります。これから先は椎木さんたちのような若い世代になんとかしてもらう。ああ、これで私の仕事もバランスとってバラ色だ〜。

松本 さん
無責任な。

椎木 さん
ちょっとなんかもう、お先、暗くないですか?

首藤 アナウンサー
神子田さん、そもそも借金はどこから借りてるんですか?素朴な疑問なんですけど。

神子田 解説委員
いまのところはね、大部分は、私たち日本国民から借りてるということになりますね。返すのはあとの世代の人たちですけどね。

松本 さん
あとの世代。よろしくお願いします。

首藤 アナウンサー
いや、ちょっと(笑)。

椎木 さん
人口が減っちゃうじゃないですか。そうした時に、どういうふうに返済できると思ってるんですか?

神子田 解説委員
1人当たりたくさん返していくってことですね。

向井 さん
うわあ。

井手 さん
ちょっといいですか?いま、国民から借りてるってお話ありましたよね。ってことは、国民の「資産」になってるってことじゃないですか?

首藤 アナウンサー
うん?

井手 さん
つまり、皆さんが借金してるんじゃなくて、皆さんは、国にお金を貸してるんだから、資産持ってる。さっきの話でも、借金は書かれてるけど、僕たちが持っている資産の話はしないですね。ちょっとアンバランスな気がする。

松本 さん
借金イコール資産になるんですか?

井手 さん
僕たちが銀行にお金を預けて預金になりますね。この預金を使って、銀行が、例えば国債買うわけです。ということは、僕らはお金貸してるわけじゃないですか。

松本 さん
でも、借金してる人に借りてるっていうのも、ちょっとなんか。

井手 さん
変な話でしょ。

松本 さん
目に見えない感じで、実感がない。

佐藤 さん
ギリシャが2010年に財政危機を迎えた時に、ギリシャの国債が海外の投資家で多く買われていた。日本がなぜこれだけの借金を抱えてなんとか回っているかというと、国の借金を支えてるのが国民自身だから。もちろん皆さんがお金を直接貸すっていうことはめったになくて、皆さんが銀行にお金を預けて、そのお金が国債の購入に回っている。あるいは日銀が国債を買っているというのがいまの現状ですね。
じゃあ、これからどうなるか。日本はこれから少子高齢化を迎えていくので、国債がこれから増えていく。一方、人口が減っていく。高齢化が進んでいくと、たぶん皆さんの預金も減っていくんですね。高齢者の方々は自分の生活のためにお金を切り崩すわけですから。となると、いつかは日本国内で借金を回せなくなるという時代が来るんですね。その時に、外国の投資家が、これだけの借金を抱えた日本に安い金利でお金を貸してくれますか?高い成長も見込めない。こんだけ借金抱えて大丈夫?って、普通外国の投資家は思うんですね。いまは大丈夫かもしれない。じゃあ10年後は大丈夫かと言われた時に、そうとは言いきれなくなる。なぜかといえば、海外からお金を借り始める時代が生まれてくるから。

神子田 解説委員
井手さんがおっしゃったように、資産というのはあとで返してもらえるわけです。借金なんだから、貸したら返してもらえる。問題はちゃんと返ってくるかどうか。

井手 さん
いまのお話で、半分賛成して半分反対したいところあるんですね。賛成したいことは、いつまでも、未来永ごう大丈夫よっていうのは楽観的すぎる。
もう1個は、これから少子高齢化で、収入も減って大変ですねってお話ありましたけども、人口減ってくんですよね。じゃあ支出減るじゃないですか。人の数が減っていくってことは、財政から出ていくお金も減っていくはずですよね。だから、10年後、20年後のことを思うと大変なんだけど、あんまり悲観的になる必要もない。

椎木 さん
国債が残ってるわけじゃないですか。ずっと積み上がった。それは返さなきゃいけないわけですよね。

井手 さん
長期的に見てね。だけど、もう1つセットにして考えときたいのが、日本って世界でいちばん外国にお金を貸してる国なんです。ということは、世界でいちばんお金持ちの国なんですね。

松本 さん
それも、でも、返ってくる当ては?信用できない。

井手 さん
昔リーマンショックってありましたね。サブプライム危機ってありましたね。そのあとに、欧州債務危機もあった。上海バブルが崩壊したり、いま北朝鮮の問題とかいろいろありますね。世界が大ピンチに陥るじゃないですか。なぜか日本の円の価格が上がるんですね。なぜか。みんな円買って、世界でいちばん安全な資産である日本国の国債を買いたいからです。だって、世界でいちばんお金持ちの債権国ですよ。これがいまの世界の評価。
ただ、いまの評価と、10年後、20年後、その時も安全かという話は佐藤さんおっしゃったように、また別。だから、長い目で見て、もし危機が訪れた時によし、大丈夫っていう状況をじっくり作っていくことが大事であって、あしたにも財政が破綻するような、そういうお話は、僕はあまりしないほうがいいと思ってます。

松本 さん
ただ、返済しないにしても、借金を抑えようって、国がみんなで一丸となってやらないと、増える一方じゃないですか。

井手 さん
でもね、1995年に「財政危機宣言」というのを政府出したんです。この20年間に危機なんてありました?大切なことは、危機だ、危機だって言って、みんな国民が萎縮して、どうしようってなるんじゃなくて、確かに長い目で見たら危ないかもしれないけど、それはきょうあすの話じゃないでしょう。

神子田 解説委員
井手さんがおっしゃってることはね、全く理路整然として正しいと思うんですけれども、普通の人々がこんなに冷静に考えないわけですよ。心配だとかありますし。

松本 さん
井手先生、前向きだわ、前向き。

神子田 解説委員
財政が破綻しないということであっても、市場っていうのは「破綻するかどうか」が問題じゃなくて、「破綻しそうだ」って心配になった瞬間に、いま円が買われているけれども、急に円が売られるということがあったり、あとは金利が非常に上がったりする。そうすると、皆さんが住宅買う時のローンとか、自動車買う時のローンとか、そういうのも上がっていって、お財布の中から利息を払う分がどんどん増えていっちゃう。そうすると、消費する、買い物するお金が減っていっちゃう。

松本 さん
そうなると、買い物しません。

神子田 解説委員

だから、そういうふうに心理的に思う人が増えるということが問題。いま政府は財政再建の取り組みをやってるんですけども、税収ってありますよね。これは人間でいえばお給料。こっちは生活費。つまり、お給料の範囲内で生活費をまかなえば、何もサラ金行って借金しなくてもいいということなわけですよ。

いまね、国の借金どんどん増えてますよね。毎年の新たな借金を増やさなければ少なくとも増えなくて、横ばいになりますよね。あわよくば、減らしたいと。

松本 さん
そうです。

神子田 解説委員
急には減らせないし、全部なくす必要もないかもしれませんけれども、少なくともこの状態だと、心配だと。私たちの将来、老後、大丈夫なのかっていう心理的な不安が出てくるので、まずはここを目指そうと。これをですね、政府は2020年までにやろうという目標を立てていた。でも去年の総選挙の時に、消費税を今度上げるんですけれども、その使い道をちょっと変えたんですよね。借金を減らそうと言っていたたのを、その分を社会保障に回すということになって、そのことの是非はともかく、この目標は断念。

松本 さん
えっ。

神子田 解説委員
だから、新しい目標を作らないといけないっていうことなんです。


グラフィックレコーディング

田中 アナウンサー
視聴者の方からも、たくさんの声が上がっています。議論の流れとか視聴者からの声、リアルタイムで書き留めている、グラフィックレコーダーの山田夏子さんです。

まず皆さん、もやもやのいろんな意見があるんです。例えば、税金の集め方。そして、税金の使い方。納得できないよという声、さらには、国に対して、なんか信用できないよっていう声もいっぱい来ているんですね。
その中で、じゃあ税金は誰から取ればいいのか。例えば

「富裕層・大企業からもっと取ることできないのか」。

松本 さん
それは思います。

田中 アナウンサー
あとは、「もっと高齢者から取っていいんじゃないか。働く世代ばかり負担が大きい」。一方で、「高所得者に負担って集中しすぎて、能力のある人が海外に出ていっちゃったら、それはそれで困るよね」。

佐藤 さん
確かに、豊かな人から、あるいはもうける企業から税金を取ればいいっていうのはいいアイデアなんです。大事なことは、もうける人を作りましょう。椎木さんは社長さんやってるからお分かりだと思いますけれど、いまの日本経済って国際的な競争力は落ちているし、世界の大きな企業の中に日本の企業が占める割合って減ってるわけなんですよね。
だったら、もうけられる経済環境を作ることが先決。そのための、働き方の改革をしましょうとか、規制を見直しましょうとか、TPPとか、国際的な貿易をもっと拡大させていきましょうとか、そういうことを同時に併せてやっていくことが必要になるんだと思うんですよね。

松本 さん
できそうですか? 先生。

佐藤 さん
いや、難しいです。

向井 さん
難しいんですね、やっぱ。

佐藤 さん
ただ、政府としても、昔のアベノミクスの第3の矢として構造改革。つまり、単に景気をよくするだけじゃなくて、日本の成長力、つまり、日本の経済の体力をもっとつけていこうということはやってますし、税制であれ、いま規制改革であれ、いろんな見直しは進めてます。ただ、遅いかなというのは事実かもしれませんけど。

向井 さん
成果がなかなか見られてないということですね。

井手 さん
皆さん、どうお感じになるんですかね。例えば高度経済成長期。毎年平均で9.3%経済成長してました。いま実は、バブルはじけてから平均でいうと0.9%。10分の1。

松本 さん
そのわりに、道路きれいになったりするのはいいんですけれども、まだ使えるのにまた壊してまた作るの?とか。これからオリンピックもありますし。

向井 さん
予算を使い切らないと予算が減っちゃうから、予算の限り無理に使ってるみたいなことも聞いちゃうと、なんかちょっと使い道に不安が。

井手 さん
つまり、むだづかいがたくさんあって、ものすごく財政膨らんでいるっていう印象を持ってらっしゃるでしょう。だいぶ誤解があるような気がしますね。日本というのは、先進国の中で最も小さな政府、財政の規模が最も小さな国の1つ。そういう国から、もしむだづかいをなくせ、なくせと言ってお金を絞り出すとしても限界がある。

これご覧いただくと分かるように、税負担率と、社会保障の負担を見ると、外国のほうが全然負担率が大きい。日本は負担率が低い。つまり、税金は安い、負担は軽い国なんですね。

松本 さん
でも、われわれ庶民が実感がないっていうのは何なんですかね。

視聴者の声

埼玉県・40代・女性
「恩恵をあまり感じられないのに、税金を支払って損をしているように思う」

新潟県・30代・女性
「高齢者ばかりに財源が回されて、これからを担う子どもにあまり回っていないように感じています」

井手 さん

いままさにおっしゃった点で、社会保障の中でお年寄りと現役世代にいってる取り分。そうすると、日本って年金・介護・医療にはずいぶんいってますけど。

首藤 アナウンサー
青ですね。

松本 さん
お年寄り世代に。

井手 さん
子育て・失業っていう現役世代に向かう部分ってものすごく少ないでしょ。お年寄りの取り分と現役世代の取り分のギャップが大きいところに、日本の財政の特徴があるんです。

向井 さん
うーん。

田中 アナウンサー
皆さんからの意見も結構来てます。

「子どもが私たちの家族にはいないのに、どうして教育費を負担しないといけないんでしょうか?」「医療費ちょっとかかりすぎじゃないですか?必要以上に薬出ていたりしませんか?」。

首藤 アナウンサー
向井さんは現役時代として、思うところありません?

向井 さん
僕らの30代ぐらいの世代は、将来大丈夫かなって、自分らでなんとかしようってため込んじゃう傾向にあるような気が。

首藤 アナウンサー
貯金してらっしゃる?

向井 さん
がちがちに貯金してます(笑)。経済回さなきゃいけないのは分かってるんですけど、やっぱり不安感がちょっと強くなりすぎちゃってる。

井手 さん
でもそれ、みんなそう思ってると思う。これ見て分かるように、現役時代の取り分が異常に少ないじゃないですか。ってことは、勤労して、倹約して、貯金して、あらゆる不安に自分の責任で備えなさいよ、貯金できなくなった瞬間にアウトよっていう社会。

松本 さん
自分で守っていかなきゃ。

井手 さん
そう。自己責任ですよね。

松本 さん
年金がいただけるかなって、クエスチョンですもんね。

佐藤 さん

皆さんが税金払い損だって思うのは、使い道が見える化していない、見えてないから。

松本 さん
見えてないです。

佐藤 さん
例えば、いま国民医療費だけでも40兆円を超えるわけですね。でも、それで国民はどれくらい健康になったのか。教育にもお金使ってますけど、それによって子どもの学力とか、人格の形成とかにどんな貢献をしたのか。そういう効果が見えないんですね。効果が見えないから、実感がないんですよね。
いま国も一応、政策の効果を客観的に数字で表すことは進めています。実際、内閣府とかのホームページに、見える化のデータベースというのもありますが、まだまだ見えてない効果っていうのも多いので。例えば、立派な公共施設建ってるのはいいんですけど、それはいったいどういう利益を住民に与えてるか、使われてるの?とかですね、どんどんと見える化させていかないといけないということなんだと思うんですね。

視聴者の声

愛知県・60代・女性
「膨らむ国の借金を少しでも減らそうとする努力が見られない。『いまがよければいい』無責任な政治家たちに腹立たしさしか感じない」

東京都・50代・男性
「いつ返済が終わるか、道筋や計画が示されてないことが不安。だから日本人はとにかく貯蓄するのではないでしょうか」。

向井 さん
さっき、日本って税の負担、まだ軽いほうっていう表を見たんですけど、ほかの国で、国民の税金どう使われてるのかなっていう不満っていうのはどうなってるんですか?

松本 さん
不満がない国があるんですか?税金取られてるのに。

井手 さん

これ、すごくおもしろいデータなんですよ。中間層、平均的な所得の人たちの、「税負担をどう思いますか?」って聞いた質問なんですね。スウェーデンってご存じでしょうか?税が重いことで有名な国ですね。ところが、「税が重い」って答えてる人は、スウェーデンの人よりも日本の人のほうが多いんです。

首藤 アナウンサー
スウェーデンの税金っていまどれぐらいなんですか?

井手 さん
スウェーデンの負担率が56で、日本って42でしょう。

佐藤 さん
スウェーデンは単に大きい政府、福祉国家というだけではなく、使い道にかなり工夫があるんですね。失業した人には、もちろん生活を支えるための給付とか支援はしますけれど、一方で失業してる人が再就職できるような、求職活動を支援したりするということも併せてやったり、あと、公共部門の中に民間のノウハウを入れたり、お金の使い方が賢い。だから、国民の納得も得られる。国民が幅広く受益できてるという、そういう構造がある。受益のしかた、あるいは財政の運営のしかた、お金の使い方がスウェーデンと日本では違うのかなということは言えると思います。

神子田 解説委員
政治家に税金上げるっていう話をすると、選挙で負けてしまうっていうところで思考停止しちゃうんですよ。例えば竹下内閣。椎木さん、ご存じないかもしれないけど、DAIGO君のおじいさんの時に消費税を導入して、選挙負けました。

椎木 さん
ギリギリ分かります。

神子田 解説委員
そのあと橋本内閣で消費税率上げて、選挙負けましたと。だから、税を上げろっていうのは、私たちに選挙を負けろということなのかという反応が返ってくるわけです。だけど、この間の総選挙では、消費税上げますと言って勝っているわけですね、与党側はね。それは、どういうふうに使って、どういうふうに皆さんの役に立つかっていうことをきちんと説明すると。
例えばアンケート調査をとっても、「消費税率上げるけどどうですか?」っていったら、みんな嫌ですよね。

松本 さん
嫌です。

神子田 解説委員
だけど、上げた税をどういうふうに使うか、それによって生活がどう変わっていくか。もし、将来、例えば病気になったりとか、全部そういうのを国が面倒見てくれるとなったら、たぶん向井さんも喜んでお金を使うようになるんじゃないかというふうに思うんですね。そのへんをどうやって国民と政治家が対話をしていくかってことも大事だと思います。

佐藤 さん
それに関して言うと、国民に対して選択肢を見せるってことが大事なんです。いまだと、増税しますか?って言うと、嫌だって言いますよね。でも、福祉とか教育とか拡充します。いいでしょう?って言ったら、いいねになるわけですよ。でも、それっておかしいですよね。つまり、支出を増やすんだったら、当然負担も増えなきゃいけない。
であれば、選択肢としては、支出も増やします。皆さんのいろんな、教育であるとか社会保障も充実させます。その代わり消費税をこれくらい上げますよっていうセットと、それ嫌ですか?じゃあ増税はしません。だけど、サービス水準は身の丈に合わせなきゃいけませんから、当然サービス水準も下げますよ。どちらを選びますか?っていう、そういう選択肢が本来あっていいはずなんですね。

松本 さん
で、もうちょっとお給料が上がれば文句も少なくなると思うんですよ。なかなか、元の入ってくるお金があんまり増えていないような気がして。

井手 さん
僕たちがいちばんお金持ちだったのは、1997年ですね。

椎木 さん
生まれた年だ。

井手 さん
97年ピークで、ずっと所得減ってきてるんです。ピーク時から2割。働いてる世帯でも14%も収入が減ってるんです。だから、みんなが不安におびえてる。さっき言ったように、現役時代の取り分少ないじゃないですか。だから、自己責任で貯金して、将来不安に備えなさいよっていう社会ですね。だけど、いま世帯の収入が400万円未満。こっから税金引くと、300万円台の前半ぐらい。この収入で生きていかないといけない人が、全体の5割っていう社会です。

首藤 アナウンサー
椎木さん、信頼できます?国だったり。

椎木 さん
難しいですよ。高校とかでも、私たちはお年寄りの方を2人で支えなきゃいけなくなりますっていうのを教わってるので、大人になりたくないよ、みたいな。支えられないし、そんな上の人たちを支えるだけのために働かなきゃいけないみたいなのとかもつらいし。

佐藤 さん
いまの日本の人口は1億2000万人っていいますけど、100年後にはたぶん半分になるんですね。今世紀の半ばには1億を切る。8000万人ぐらいのはずなんですね。先ほど2人で支えるということをおっしゃってましたけど、皆さんがお年寄りになった時は1人が1人のお年寄りを支えるという、そういう時代。「肩車」っていうんですけれど。

井手 さん
その議論はちょっと気をつけたほうがいい。65歳以上のお年寄りを、64歳以下の人たちが何人で支えるかっていまのお話あったでしょう。なんで65で切ると思います?65歳を過ぎたら働けなくなるからでしょう。本当に知りたいのは、働いてる人分の働いてない人ですよね。65歳以上か以下かじゃないですよね。働いてる人分の働いてない人の比率をとると、昔もいまも未来も変わりません。なぜならば、お年寄りがどんどん働くほうにいま回ってるし、専業主婦だった女性がどんどん働くほうに回ってるから。だから、「肩車社会」っていうのは、ある一部分を切り取って大げさに言ってると僕は思う。

佐藤 さん
ただ、65歳以降の高齢者の就業率は高いかっていうと、そこまでではない。みんながみんな働いてるわけではない。ただ、希望を聞くと、少なくとも70歳まで、人によっては75歳まで働きたいという希望はあるんですね。

松本 さん
働けますもんね、皆さんお元気で。

佐藤 さん
実際、体力的に可能なんですね。ということは、いま井手さんのおっしゃってることを実現するためには、高齢者の方にも働いてもらえる、あるいは働ける環境を作っていくという取り組みが必要なんです。何もしないでいて問題が解決することではないんですね。
そのためには年金制度も見直さなきゃいけないし、医療を、もっと予防に力を入れるってことも必要になるかもしれない。

田中 アナウンサー
議論がガーッと進んでいるんですが、ちょっと皆さん、

「規模が大きすぎて、そもそも借金のことがよく考えられません」と。「借金多いと、いったい本当に何が起きちゃうの?」「ギリシャ破綻したとか言っているけど、ギリシャのようになっちゃうの?」。そもそもの素朴な疑問が来ています。

首藤 アナウンサー
どうですか?ギリシャのようにっていうのも、比較も難しいかもしれないんですけれど。

佐藤 さん

比較は難しいと思いますけど、夕張市。300億円を超える借金を抱えて、2007年に財政再建団体に指定される。事実上の破綻状態に陥るということになるわけです。

松本 さん
どうしてそんな借金が増えちゃったんですか?

佐藤 さん
夕張市はもともと炭鉱の町だったんですけど、炭鉱が閉鎖されて、新たなビジネスとして観光事業に力を入れたんです。ちょうど時代はバブルだったので。ところが、観光事業が行き詰まって、借金に借金を重ね、膨らませ、結果的には夕張市民の方々が、例えば増税であるとか、サービスのカットといった形でしわ寄せを受けていると。いま、夕張市は若い市長さんが頑張っていて、確実にお金も返してますし、新しい新規の事業も始めているんですね。ですから、夕張市は非常に頑張ってるケースではあるんですけども、結果的にこういう形で借金のしわ寄せを受けたということです。
皆さん、国の借金って言いますけど、これは正確には国民の借金なんですね。もちろん、冒頭で井手さんが説明されたとおり、国民にとっては一方では資産でもある。返ってくればですけど。ただ、少なくとも国民の借金であるという面を持っている。もちろん883兆円完済しろとはさすがに言いませんけれども、これ以上伸びるのは抑えようという、それだけはやらなきゃいけないと思いますね。

視聴者の声

福島県・40代・女性
「自分たちが高齢者になるころにはもっと厳しいことになっていそう。借金が少しでも減っていることが、私たち世代の安心につながるのかも」

向井 さん
われわれ国民、こっち側ができることって何なんですか?

松本 さん
でも、われわれが借りようって思って作った借金じゃないから、よけい嫌なんですよね。

佐藤 さん

そうですね。歳出がわーっと伸びている。税収が低迷してきた。最近、ちょっと景気がよくなったので税収伸びてきてますけれど。ワニに似てるでしょ。これを「ワニの口」っていうんですけど、これを閉じることが必要なんですよね。いま使ってる分をきょうの税収でまかなうということが必要になってきます。となると、税収を増やすか、あるいは、というか両方やらなきゃいけないんですけど、歳出を抑制するかということですね。

井手 さん

僕、ちょっと提案したいと思うんですよ。僕も財政は健全化したい。でもね、皆さん生活しんどいのに、「借金返すために増税してください」。そういうふうに皆さんに、「増税してください。受け入れてください。借金返します」。

松本 さん
嫌だ。

井手 さん
嫌でしょ。僕、こういう社会がいいと思う。もし皆さんの貯蓄がなくなっても、安心して生きていける社会に変わる。

松本 さん
それは理想だけど。

井手 さん
例えば、皆さんが税を払うでしょう。そうすると、例えば病院行った時のお金が安くなる。介護のお金が安くなる。大学の授業料が安くなる。あるいは、幼稚園・保育園のお金が安くなるってもしできれば、それなら税払ってもいいなって気持ちになりませんか?

松本 さん
夢の夢のような気がするんですけど。

井手 さん
でも、今回それを安倍さんがおっしゃって選挙に勝ったじゃないですか。2%増税をして、幼稚園・保育園をただにしますとおっしゃった。要するに、大切なことは、受益と負担のバランスをとりながら税の痛みを柔らかくしていくっていう戦略と、財政を健全化する戦略を併せることじゃないですかね。

松本 さん
理想と現実が近寄ればいいんですけど。

佐藤 さん
キーワードは、たぶん「安心」です。

首藤 アナウンサー
時間になってしまいました。

松本 さん
安心が欲しい〜!

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