2017年10月07日放送放送内容まるわかり!

何歳まで現役? "人生100年時代"の働き方

人手不足が深刻化する中、定年の年齢を65歳に引き上げたり、再雇用の年齢制限を撤廃するなどの動きが広がっています。ところが、若手の育成や技術の伝承といった期待される役割を果たせず、待遇も下がり働くモチベーションを維持できないという人も少なくありません。 平均寿命がのび、年金の支給開始年齢が引き上げられる中、老後もやりがいをもって働き続けるには何が必要か? 現役世代はどう備えればよいか? 考えます。

今週の出演者

専門家

小島 貴子さん(東洋大学 准教授)
大江 英樹さん(経済コラムニスト)
片岡 裕司さん(コンサルティング会社 取締役)
竹田 忠(NHK 解説委員)

ゲスト

吉村 崇さん(平成ノブシコブシ)
千秋さん(タレント)

今週のグラフィックレコーディング

グラフィックレコーダー
山田 夏子さん


首藤 アナウンサー
おふたりはいつまで働きますか?

千秋 さん
仕事があれば細々と働きたいなと思いますけど、まだ人生100年として半分もないですけど、毎日毎日だと疲れるなって思ってます。

吉村 さん
ぞっとしてますよ。もう、すぐに悠々自適にと思ってたんですけど、こんなに働くかっていう感じですよね。

首藤 アナウンサー
VTRでは、シニア世代と現役世代が不満をどちらも抱いていたんですけれども、このまま放っておくと日本を揺るがす大問題になってしまうということなんです。田中アナウンサーのプレゼンです。


プレゼンテーション

田中 アナウンサー
おはようございます。いま日本人は長生きですよね。

平均寿命、男性はもう80歳超えました。女性に至っては、もう90歳が見えてきました。

千秋 さん
90歳近く。うれしい。

田中 アナウンサー
世界一の超高齢社会が日本なんです。ということで、国は何年も前からこれを掲げています。

"生涯現役社会"だと。元気ならば、年を取っても、楽しく働いて税金も納めてもらって、みんなで活躍して、国を盛り上げましょう。これで日本の未来がキラキラだ!

吉村 さん
話が違うじゃないですか。ちっちゃい時は、将来楽するために何とか大学行け、頑張れって言ってたのが。

田中 アナウンサー
ちょっと変わってきた。

きょうの主役はこちら、深読作さん。大手商社の深読株式会社に長年勤めて、いま御年59歳、部長にまでなられました。まもなく60歳定年を迎えます。

これまでだったら、定年退職と同時に年金が支給されてました。でも、いまは違います。サラリーマンに払われる厚生年金が62歳から。

千秋 さん
空白の2年間。

田中 アナウンサー
さらにですよ。8年後は65歳になる。

千秋 さん
えっ、じゃあ、あの間、超やばいじゃん。

田中 アナウンサー
この間、全然お金入ってこない。でも、体、元気です。おじいちゃんって感じしませんね。

千秋 さん
うん。若い、60歳は。

田中 アナウンサー
やっぱり、みんなこうなる。

まだまだ働きたい。
国もですよ。

高年齢者雇用安定法という法律を、4年前、少し変えました。何を変えたか。企業は希望する人全員を65歳まで雇用しましょう。これは"義務"です。

吉村 さん
義務、強いなー。

田中 アナウンサー
希望した人は65歳までは雇用しなきゃいけませんよ、ということなんですね。
いま、この深読株式会社も少しずつ景気が上向いて、新人がたくさん入ってくるようになりました。読作さんのようなシニアの人たちって、長年培ってきた経験や知識が豊富です。彼らのいろんな経験を若手にも教えられるでしょ。うまく彼らを活用したらどうですかっていうふうに、国は言ってるわけですね。なので、4年ぐらい前から、元いた会社に再雇用してもらって、働くという人が増えてきました。

千秋 さん
1回はやめなきゃいけないんですか?

田中 アナウンサー
60歳定年になりますので、そこから「再雇用」という形です。深読作さんも、会社のためにということで、意気揚々と会社に戻るということになるわけです。ベテランから、若手から、みんなで活躍できていいですよね、社長、いいことづくしじゃないですか。

首藤 アナウンサー
あれ?

吉村 さん
困ってますね。

田中 アナウンサー
おかしいですね。いま現場では何が起きているんでしょうか。

千秋 さん
みんな困って。

吉村 さん
ちょっとこの会社、もう終わりですね。いやな感じしますね(笑)。

田中 アナウンサー
読作さん、ちょっと悩みがあるそうです。

再雇用されたといっても、正規社員ではなくて非正規社員、つまり、契約社員とか嘱託社員とか、そういう形が多いそうですね。部長だったんですよ、読作さんは。でも、肩書がなくなっちゃいます。60歳をすぎて平社員に戻るということになります。

千秋 さん
えっ?やだ。テンションが、モチベーションが下がる。

田中 アナウンサー
そこですよ。で、お金もやっぱり下がるわけです。年功賃金みたいに、上がっていくっていうスタイルでもないから、いちばんもらってた時期の年収から比べると、3割から4割減っちゃいましたっていう人たちが多いんです。
番組では、実際に60歳以上で働いてる人たちにアンケートを採りました。

視聴者の声

京都府・63代・男性
「元部下に使われています。でも、割り切って働くしかありません」。

東京都・63代・男性
「新入社員より安い給料ではモチベーションが上がりません」。

千秋 さん
上がらないと思う。この会社をすごく知っているのに、教える立場なのに、新入社員よりも低いと。

田中 アナウンサー
そうなんですよ。経団連もシニアの人たちを雇ってる企業に聞いてみました。シニアの人たちの皆さんのやる気、どうですかって聞いたら、「低下してます」と答えた企業、半分以上いる。

首藤 アナウンサー
あらら。

田中 アナウンサー
でも、いままでの知識や経験を若手の人たちに教える、はずでしたよね?でも、読作さん、管理職をずっと長い間してました。だから、現場を離れて10数年たってます。
変わってるんですよ、システムは。例えば、あした会議でプレゼンをしてください。これ渡された。

吉村 さん
わあー、もうだめです。

田中 アナウンサー
タブレットです。あれ?俺たちが現役でやってたころはコピーたくさんして紙配ったりとか、あと、OHPって覚えてます?フィルムみたいなのを壁か何かに映すやつ。

吉村 さん
あれ、どこ行ったんですか?

田中 アナウンサー
いま、みんなこれになっちゃった。でも、やり方分かんないけど、聞くってなかなか、ちょっと。

首藤 アナウンサー
聞けばいいじゃないですか。

吉村 さん
教える立場に、って残ったのに、聞くってことはできないですよね。

田中 アナウンサー
そういうことなんでございますよ。でね、若手の人たちも、さっきからいい顔してませんよね、彼らにも言い分があるんです。

でしょうねと。もともと部長ですよ。ある日を境に急に自分の下につく。
例えば吉村さんね、お笑い界というものが1つの大きな会社だと考えます。

吉村 さん
はいはい。

田中 アナウンサー
60を少し超えた世代でいいますと、さんまさん、所さん、そういう大御所の人たちが、ある日を境に急に吉村さんの部下になります。

吉村 さん
ひな壇に一緒に座るようなもんですね。やりづらいですよね。

田中 アナウンサー
いまのトレンドの笑いを教えなきゃいけない。

吉村 さん
いやいや、無理です。無理です(笑)。

田中 アナウンサー
仮にです。仮にスベってしまったりミスをした場合に、注意しなきゃいけない。

吉村 さん
ってことになりますよね。そんな、絶対無理です。やりづらいっす。

田中 アナウンサー
これが現実サラリーマンの世界では起きています。
みんなでコミュニケーションとって会社の利益を上げようって話が、

ぎくしゃくしちゃって生産性が落ちてると。仕事が進まないよっていうことになる。
でも、会社は、法律で65歳まで雇用しなきゃいけないという義務があるわけですよ。だけど、いまの仕事になかなかついていけない。かといって、もともとやっていた管理職の仕事をやってもらうわけにもいかない。

彼らに与える仕事がない。これが現実なんですよ。

千秋 さん
さんまさんに仕事がない、みたいな(笑)。

吉村 さん
俺は言ってないですから。何も言ってないですから。めちゃくちゃありますし、めちゃくちゃすごいです(笑)。

田中 アナウンサー
これだけじゃない。

ここの層の人たち。いま人がいっぱいいる世代があるんですよ。団塊ジュニア世代、いま40代の半ばぐらいの人たちでしょうか。

千秋 さん
私ぐらいだ。

田中 アナウンサー
そして、大量採用されたバブル入社世代。いま50前後でしょうかね。この世代の人たちが、いまはもちろん会社でバリバリ、働いてますが、あと10数年たてばこの人たちだってこうなるわけですよ。

吉村 さん
うわっ。

田中 アナウンサー
皆さんシニアになって再雇用され、戻ってきます。

首藤 アナウンサー
ドドドッと。

田中 アナウンサー
現場はこうなります。

千秋 さん
大混乱だ!

田中 アナウンサー
なんか幅利かせちゃってるけど、両サイドにいる現役の人たちは困り顔です。

首藤 アナウンサー
意外と本人たちは楽しそうですよね。

田中 アナウンサー
結局生産性が下がっていくし、与える仕事がない。国が言っていた生涯現役社会って、みんな、楽しい、ハッピー、バラ色じゃなかったんでしたっけ?

千秋 さん
ほんとだ、話が違くなってる。

首藤 アナウンサー
視聴者のみなさんからの声もたくさん届いています。「給与が4割カットされているのに仕事量は変わらず責任ばかり負わされているよう」。「嫌なら辞めてもいいよという足元を見た契約内容でモチベーションが上がるはずがない」。

竹田 解説委員

仕組みはこういうことなんですね。高年齢者雇用安定法が求めてるのは、65歳まで希望者は全員雇ってください。その中身としては、この3つ。
まず、定年が例えば60歳とするなら65歳まで定年延長してください。もしくは、定年そのものもやめてください、定年廃止してください。3つ目が再雇用。これは、いったん退職した人を新たに雇い直すってことですね。この再雇用がいちばん多いんです。いま例として挙げられたのも、この再雇用なんです。
これがなぜいちばん多いかっていうと、下2つは、いまの雇用契約は基本的に続くということが前提なんですね。ところが、この再雇用っていうのは、いったん退職した人を新たに雇い直すので、この段階で給料をガンと下げられるんですよ。

首藤 アナウンサー
新人さんみたいになるってことですか?

竹田 解説委員
そこまでいくか、その少し手前になるか。いずれにしても、それまでより給料をガクンと下げることが可能になるので、多くの企業は、長く給料を払い続けるわけですから、会社の体力としてどうしてもこちらを選ぶんです。

千秋 さん
安いほうが助かるから。

首藤 アナウンサー
大江さん、以前いた会社から再雇用されたわけですけど、お給料って本当に減ります?

大江 さん
減りますね。明らかに減ります。私の場合はちょっと特殊で、従来フルタイムで働いていたのを週3日っていう働き方に変えてもらったので、大ざっぱに言うと3分の1ぐらいになりましたね。

吉村 さん
はー。

千秋 さん
週の半分になるからお給料が減るんだったら、まだちょっと納得いきますけど、いままでと同じ量の時間を働いてお給料が半分になったら、すっごく嫌だと思う。

吉村 さん
会社からも温かい感じだったらいいですけど、給料が減った上に邪魔くせえって思われたら、いちばん嫌ですよね。

片岡 さん
再雇用制度でもいまの給与水準を維持する、もしくは半分になるみたいな、選べるコースを作っていらっしゃる会社さんもありますし、一律でドンと下げるっていう会社さんもあって、一律で下げる会社さんのほうは不満がやっぱり多い。下げた金額そのものもあるんですけど、納得がいかない。なぜこの金額になったのかって説明がないので、そこに対する不満っていうのも、金額以上に大きな不満としてあるかなと思いますね。

首藤 アナウンサー
社員はどういう気持ちなんですか。

小島 さん

「心の壁」っていうのがあるんですよね。給料が下がるっていうと、自分自身の価値が下がるって思うんですけども、実は自分がプライドを持っているので、そのプライドが傷つくっておっしゃるんですよ。
ぜひ自分のプライドをチェックしてもらいたいんですが、なんと呼ばれてたか。役職の名前、例えば部長って呼ばれていた人が、何とかさんって言われた時に、えっ? イラッてくる人がいるわけですね。なので、できれば役付の名前で呼ばずに、さん付けでやりましょうとか、風土改革も徐々にしておかないと。

竹田 解説委員
日頃からさん付けで呼ぶと。

吉村 さん
元部長じゃだめですかね。

小島 さん
だめ。

竹田 解説委員
それ、もっと厳しいんじゃないですかね。元部長とか言われても。

小島 さん
日本って役付社会なんでね、どうしても。


グラフィックレコーディング

田中 アナウンサー
これまでの議論の流れですとか、視聴者からの声、ツイッターの声をグラフィックレコーディングという形でまとめています。山田夏子さんです。

各世代の声が集まり始めていますよ。今回番組では、多くの企業が定年としている60歳以上の世代をシニア世代、59歳以下を現役世代と、分類しました。
例えば現役世代です。

「働かないシニアのせいでわれわれの給料が上がらない!」。「大した仕事もせず威張る人ばかり」。

吉村 さん
分かるわぁー。

千秋 さん
え、分かるの(笑)。

吉村 さん
違う。違う。まあ、そういうこともありますよ。

田中 アナウンサー
シニア世代からもちろん来ていますよ。

「仕事があまりないんですよ。人生終わりに感じます」っていうさみしい声だったり、元部長とかいろいろ肩書あったのに、「いまは会議に参加させてもらえません。情報が回ってきません」。「仕事内容はそのままなのに給料が下がりました」。

千秋 さん
それ、つらい。

吉村 さん
窓際(族)ってあったじゃないですか。そういう扱いっぽい感じにもなっちゃいますよね。

大江 さん
そうですね。イメージからするとまさに窓際っていう感じだろうと思うんですけれども、問題は、そもそも法律が変わったことによって65歳まで雇用を義務化しないといけないということになったわけですね。そもそも現場からぜひ働いてほしいというニーズで挙がってきたんではないので、企業のほうにも結構戸惑いがあって、きちっとそういう対応ができてなかったっていうところも確かにあるとは思いますね。

視聴者の声

兵庫県・50代・女性
「きのうまで●●部長と呼んでいた部下が、きょうから上から目線で●●さんと呼ぶのはプライドが許さないようです。変なプライドはリセットすべきではないですか」。

首藤 アナウンサー
シニア世代の意識、変えられないものなんですか。

小島 さん
変えようと思ってるんですね。だけど、人間って突然変わるわけではないので、心の中のさまざまなことを整理しなきゃいけないんですね。それは、人から整理しなさいと言われてもだめで、自分の中に何がこだわりで、何がプライドなのかってことをちゃんと理解しないとなかなか難しいですね。

吉村 さん
でも、現役からすると、部長が戻ってきた時に、なになにさんって1回言ってみたいですもん。

千秋 さん
意地悪く。

吉村 さん
意地悪くか、優越感か分かんないですけどね。師匠って言ってた人を、なになに君って言ってみたいですね、1回。

首藤 アナウンサー
そういう人もいるんでしょうかね。

片岡 さん
本当は笑いに変えるっていうのが正しいプライドなんですけど、自分の肩書とか、どう呼ばれるかっていうところに誇示しちゃう。それが変なプライドって気づけば変われるんですけど、変われない人は、てんぐになっちゃったりしてくると変われないっていう感じですね。

首藤 アナウンサー
それ、気づかせてあげたほうがいいんですか?

片岡 さん
それは、自分で気づかないと。人から言われるともっとプライドが厚くなってくるんですよね。

大江 さん
例えば管理職っていうことでも、日本の場合はみんな年功序列で管理職になっていくわけですけども、アメリカとかヨーロッパの場合ですと、管理職っていうのは1つの専門職というか、マネージメントをする仕事っていうことになってますから、あんまり抵抗がないのかなっていう感じはするんですけどね。

竹田 解説委員

日本の場合は、大卒で一括採用になったら、同期でずっと出世競争して、どんどん管理職に上げていくわけですね。先ほど、窓際族っていう言葉がありましたけど、要するにこの過程で生まれるんですよ。こうやってどんどん上のポストが少なくなるから、はみ出していくわけですね。
欧米の側だとどうかっていうと、そんなに管理職いないんですよ。みんなが、そのまま出世競争して上がっていくとかいうんじゃなくて、欧米の管理職っていうのはよそから来たりしますから。

吉村 さん
あぁー、なるほど。

竹田 解説委員
大卒でものすごく若い人が突然ここに来たりするんですよ、マネージメントの専門家として。
この中間層にいる中間管理職の人たちは、海外ではいったいどこにいるんだと。それはね、現場に専門職としているわけですね。ずっと年取っても、ある程度ベテランになっても現場にいるんです。ところが、日本の場合には現場にいなくて、みんな上に上がっちゃって、どんどん現場のことが分からなくなる。その人たちが再雇用とかになって現場で仕事しなさいとか言われても、それは、なかなか難しいですよね。

吉村 さん
ってことは、日本型のシステムでこの法律は、全然うまくいかないってことですか?

竹田 解説委員
このままだと相性が悪いってことですよね。

大江 さん
たぶん、全体の枠組みを考えていくっていうことが必要なんじゃないかと思うんですね。日本が全くだめで欧米型にすべきだとかいうふうな単純なものでもなくて、長年の日本の慣行とか、そういったものがありますから、それを急激に変えるっていうのもなかなか難しいんですね。
ただ、日本でも、例えば工場で働いておられる方とか、再雇用になっても同じ仕事を続けますから全く問題ないんですね。だから、専門職化っていうのは、今後、少し考えていくべき課題かなとは思いますね。

片岡 さん
仕組みとして欧米型に移行するのはそんな難しくはないんですね。ただ、価値観というのはなかなかすぐに変わらなくて、しかも、管理職が偉いんですよね、日本では。でも、欧米ではそれは専門スキルなんですよね。管理職という。

千秋 さん
偉いわけじゃない。

片岡 さん
そうですね。管理職のスキルがあるっていうことなので、偉いっていうよりも、何が強みか、ということ。

視聴者の声

神奈川県・30代・女性
「働き続けたい意思があっても、会社から十分な役割を与えられないことが多い。シニアをうまく活用できる会社の制度が不十分だと思う」。

竹田 解説委員
特に日本の場合、言葉として「出世」っていうんですよね。こういう階段を少しずつ上がっていって、出世して偉くなったと上がった人は思ってるので、それを元の現場にっていう、ものすごい意識のギャップがどうしてもあるっていうことですよね。

吉村 さん
厳しいっすよね。すぐにその意識なくすっていうのも。

千秋 さん
偉くなりたくて頑張ってるのもあるじゃないですか、現役世代の時は。それをモチベーションでやってるから。

片岡 さん
そこはやっぱり、偉くなるんではなくて、自分の能力を上げていくっていうところにフォーカスしないとだめですね。

竹田 解説委員
日本の場合には仕事をどんどん変えちゃうんですよ、配置転換で。はい、営業何年、次に総務何年、人事何年。会社が勝手に仕事をぐるぐる変えちゃうので、自分はこの専門でやりたいと言っても、それがさせてもらえないんです。
だから、肩書はとっても偉いんだけど、あなた何の専門なんですかと。現場で何を専門でやりますかって言ったら、うーん、いろんなものをやってきたけどねっていう。

千秋 さん
そこそこにいろんなことができるけど、これだけはっていうのがないままってことですか?

竹田 解説委員
ということになるわけです。

小島 さん
これから仕事のやり方が変わるんですよね。働き方も。AIが入ってきて、ものすごく短い期間でスペシャリストの仕事が変わるので、全体的な見直しの時期なんですよ。シニアだけが大変ではなくて、働く人みんなにさまざまな変化が起きていく時代なので、ここ5年ぐらいの間に大きくいろんなことが変化してくる。

首藤 アナウンサー
変化に対応しないといけないですね。

田中 アナウンサー
シニア世代から悲鳴にも似た声が多く届くようになりました。
「本当は働きたくないんです。年金が少ないから働いているだけなんです。正直言って体はきついです」。
「国が年金支給年齢を引き上げただけなんじゃないの? 年金もらえたら、俺らこんなことしてないよ」。こういうような声が来てますね。

視聴者の声

京都府・69歳・男性
「"生涯現役"社会は、高齢者に対して"死ぬまで働け"社会のように聞こえてなりません」。

神奈川県・69歳・男性
「われわれ団塊の世代は働きづめできた。それなのに年金で暮らせないのは納得いかない」。

首藤 アナウンサー
生涯現役社会って言葉がつらいとかね、国の逃げ口上なんじゃないのっていうメールもあるんですけれど。

竹田 解説委員
みんな60歳で定年になって、OB生活始めたら、社会保障の仕組みそのものが、これから持たないんですよ。 2050年ぐらいにどういう社会になるかっていうと、1人の現役が1人の高齢者を支える。
ほんの数年前までは、例えば3人で1人を支えるとか、そういう形だったんです。それがもう、2050年には1人が1人を支えるという社会になるので、そうすると、現役にはその重さは背負えませんよね。
つまり、元気で働ける人は長く働いてもらって、みずから税金も払うし、社会保険料も払うしっていう支える側に下りてきてもらわないと、社会保障が続きませんから。

首藤 アナウンサー
じゃあ、何歳まで働けばいいんですか。

竹田 解説委員

最近、「ライフ・シフト」という本を書いて、とても有名になった、"人生100年時代"っていうことを言われてるイギリスのリンダ・グラットンさんによると、「100歳まで生きるのなら80歳まで働かなくてはならない」。

千秋 さん
80まで?何して働けばいい?

大江 さん
80っていうと、ええっ?て思ってしまうんですけれども、例えば、サザエさんのお父さん、磯野波平さん、あの人は54歳っていう設定なんですね。当時の定年が55歳。平均寿命が65歳なんです。

首藤 アナウンサー
はー、全然違う。

大江 さん
つまり、年金制度っていうのはリタイアしたあとの10年間ぐらいを支えるということで、そもそも設計されてるわけですね。いま男性の平均寿命って81歳ぐらいですよね。ということは、70歳まで働いても別に不思議じゃない。70歳で現役の人って、世の中いっぱいいますからね。

首藤 アナウンサー
千秋さんのお父様は?

千秋 さん
いま75歳ぐらいで現役ではないですけど、70ぐらいまではすっごい働いてました。

小島 さん
感覚的なんですけどね。戸籍年齢マイナス10歳ぐらい健康ですし、意欲もあるし、精神年齢でいうと7掛けって思ってるんですね。だから、波平さんが54歳じゃないですか。見るとずいぶん老けてるけど、いま54歳の方たちは波平さんのような感覚じゃないでしょ?なので、戸籍年齢でものを区切らないことが大事なんですよね。区切ってしまうから、いろんな意味の弊害が出てくるんだと思うんですよね。

吉村 さん
さっき70歳まで働くって言ったじゃないですか。再雇用じゃない、定年を廃止するとか、それを採用しちゃった場合は、新人を入れない可能性もあるってことですよね。

竹田 解説委員
でもね、会社はとにかく、若い人には入ってもらいたいわけです。入ってもらわないと、もう成り立ちませんから。

小島 さん
労働人口が減ってるんですよ、日本は。だから、若い世代は全部働く。反対に、長生きしてる人たちをどんなふうに活用すればいいのかっていうのが、世界中にモデルがないんですよ。リンダ・グラットン博士が言ってるのは、日本は世界で初めて平均寿命が100歳になるんですよと。日本、どうしますかっていうことを問うてる

千秋 さん
じゃあ、日本が本当に、世界の最先端。

小島 さん
そうです。

竹田 解説委員
リンダ・グラットンさん、こう言ってるんですよ。日本では2007年に生まれた人が107歳まで生きる確率が50%ある。言いかえればですよ、いま10歳の子どもの2人に1人は107歳まで生きる。

吉村 さん
ええっ?

竹田 解説委員
その説によれば、人生100年って全然オーバーでも何でもないんですよ。

首藤 アナウンサー
でも、年金制度とか、どうなるのかなっていう。

吉村 さん
めちゃくちゃになってきますよね。

田中 アナウンサー
これからの不安という声もだいぶ届いてきますよ。

「シニアに厳しい言葉を投げかけているあなた、うん10年後、その言葉がご自身に返ってきますよ」。

現役世代からもこういう声があります。
「私は53歳ですが、もうすでにIT社会についていけません。この先シニア世代の雇用があるのか心配です」。「仕事の内容がこの10年でさらにIT化して、いままでの経歴が生かせなくなっている。10年後どうしたらいいんでしょう」。
現役世代がすでに不安になっているんですね。

首藤 アナウンサー
いろんなことが心配になってくるんですけど、長生きするかもしれないシニア予備軍は、いま何が大事ですか。教えてほしい。

片岡 さん
生涯現役社会を前提にちゃんと立つってことですね。もう1個大事なのは、ビジネスの変化のスピードがものすごく速くなってるので、何か知識を蓄積していって、その貯金で生活をするってことではなくて、絶えず変化していくとか、絶えず新しいものを学んでいく。いちばん大事なのは、それが楽しいに変わらないといけないんですよね。

首藤 アナウンサー
じゃあ、何か新しいもの、商品とかが出たら、どんどん勉強していったほうがいいってことですか、まずは。

片岡 さん
そうです。それが楽しくやれるような自分にしていかなきゃいけない。

千秋 さん
自分しだいっていうか、結局、私たちも、将来プライドとかじゃなくて、働けるだけマシだって思ったり。難しい、分かんないじゃなくて、ちょっとでもやれるように、それぞれのモチベーションとか考え方で変わるんですか。

片岡 さん

いま嫌がられてるシニアの方って、まだまだできると思い込んでる。これ自体はいいことですけど、自分の仕事を譲らない。変化が怖いもんですから、自分のできる仕事を囲って人に渡さないようにしているみたいなこともありますし、給料分だけ働くって割り切っていくんですけども、仕事のやりがいがなくなってくるんですよね。お金も減る、やりがいも減る、さみしくなるっていうことになるので、気持ちだけ割りきらずに、どう楽しんでいくかとか、変化していくかとか、思い込みを捨てて新しいことにチャレンジしていくみたいなことをしていかないと、生涯現役が苦しいものになりますし、それを楽しいものに変えるには、やっぱり意識を変えていかなきゃいけない。

首藤 アナウンサー
具体的には、どうやって。

小島 さん

日本って強いつながりで生活してるんですよ。家族とか、会社とか。でも、これから、仕事も、それから、人間関係も、いっぱい複線を作っておかなきゃいけないんですね。だから、"薄いつながり"っていうんですけども、あんまり親しくない人ともちゃんとつながりを薄く作っておいて、その薄いつながりから来た情報が自分の強いつながりを打破してくれるんですね。

首藤 アナウンサー
きょう初めて会った私たちも、つながりを薄く持っておくとか。

小島 さん
そうなんです。例えば吉村さんが芸能界をお辞めになって、大学の先生になろうかなって思った時に、私に連絡してくださいみたいな話なんですね。

吉村 さん
いいんですか?なれるんですか?

小島 さん
分かりませんけど(笑)。でも、お近くに、大学のお仕事をされてる方がいらっしゃらなくても、1回会ったことあるなって。これが薄いつながりなんですね。

吉村 さん
なるほど。

大江 さん
とても大切だと思いますね。
私は若いうちから考えておくべきことは、自分には何ができるかっていうことを、知っておくことだと思うんですね。日本のサラリーマンはいろんな部署を転々とさせられて、自分の能力が何があるかってことを、あまり分からないっていう人が多いんですね。

よく私、自分の能力の棚卸しっていうんですが、ただこれ、言うのは簡単なんですけど、自分ではできないんですよ、なかなか。
なぜかっていうと、周りの人は、みんなあなたは何ができますかっていうことを知ってるんですけれども、何も準備しないで会社を辞めたとたんに全くつながりがなくなってしまうので、できるだけ会社以外の人とのつながりも持って、いまおっしゃったように、薄いつながりですよね。そういうのを持っていく中で、自分には何ができるかってことを、周りの人に教えてもらうということは、すごく大事かなと思います。

竹田 解説委員
いま大江さんの言われたことは非常に重要で、自分の能力をきちっとまず自分で認識しないといけない。その時に大事なのは、実はこういう考え方があるんです。

「キャリア権」。これは法律として確定された権利ではありませんけど、働く人は自分の望む仕事の能力や経験を作っていく権利があるんだと。そして、会社はそれを支援する、守るべきなんだという考え方なんですね。
欧米では自分のキャリアを作っていくのは自分。それは当たり前の考え方として欧米にはある。だけど、日本の場合には先ほど言ったように、キャリアを作ることを会社に預けてしまっているので。

吉村 さん
なるほど。

竹田 解説委員
自分でどういう仕事人生、仕事をしていきたいかって思えないし、そういう力が作れない。だから、1人1人が、自分はこの仕事をしたいんだと、この仕事のノウハウを会社の中で磨いていきたいんだっていうことを、もっと要求していく。もっと会社もそういうことを尊重すべきなんだ。それを権利としてもっと言っていこうよ。
これは法政大学名誉教授の諏訪(康雄)さんという方が提唱された新しい考え方なんですけど、いま若い人たちに、この考えが支持され始めている。これを広めていこうというNPOまで出てきて、どうやれば会社にこういうことを認めてもらえるか、実践している会社があるかってことをPRする会合まで開いてる。

田中 アナウンサー
「3月に退職しました。いったリセットする意識こそ大事です。過去にとらわれずに生きましょう」。いままでやってた自分の仕事と違う分野に挑戦するのもどうでしょうかという人も来ました。
あとは、「人様の役に立つ。この目的を、稼ぐという目的じゃなくて、人様の役に立つという目的でモチベーションを維持しましょう」。

千秋 さん
自分で考え方を変えればいいんだ。

吉村 さん
介護業界は人手不足ってありますけど、この状態でも人手不足のところ、ありますもんね。だから、そこを早めに意識して、定年ちょっと前から資格を取るとか、準備したほうがいいっすよね。

竹田 解説委員
いま国も、副業や兼業をもっと早くからやりましょうっていう検討会も始めてますし、1人1人が自分でできることを会社員のうちからやっていく。

首藤 アナウンサー
いまからやっていく。勉強になりました。

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