2017年09月30日放送放送内容まるわかり!

冷たい...まずい... 学校給食に異状あり!?

神奈川県大磯町の中学校で、給食の食べ残しが深刻な事態に。生徒から「冷たい」「薄味だ」と意見があがっていた給食は、町が委託した業者が工場で作り、1人分ずつ容器に入れて運んでいました。 かつて学校の給食室で作られることがほとんどだった給食は、合理化が進み、現在では給食センターでの一括調理や業者委託などさまざまな方式が混在。自治体の取り組みにも差が出ています。子どもの発育を支えてきた給食にいま何が?深読みします。

今週の出演者

専門家

金田 雅代さん(女子栄養大学 名誉教授)
吉原 ひろこさん(学校給食研究家)
堀家 春野(NHK 解説委員)

ゲスト

木本 武宏さん(タレント)
虻川 美穂子さん(お笑い芸人)

今週のグラフィックレコーディング

グラフィックレコーダー
山田 夏子さん


首藤 アナウンサー
給食の食べ残しのニュース、どうご覧になりました?

木本 さん
かわいそうなんですけど、それを言いだすと、僕のころは...って思うんですよね。本当においしくなかったですし。

虻川 さん
おいしくなかったですか?

木本 さん
そう。それで、残すなんていうことは許されなかったんで。

虻川 さん
私たちの時は、給食は楽しい時間でした。おいしいし、温かいし。なので、残さなきゃいけないなんて悲しいなというふうには思ってます。

首藤 アナウンサー
給食、年代ごとで違ったりもするんですよね。 まず、昭和30年代の献立。

首藤 アナウンサー
揚げパン、おでん、脱脂粉乳。器はアルミ製で、先割れスプーンが使われていました。 昭和40年代、

首藤 アナウンサー
このころから脱脂粉乳が牛乳へ変わって、ソフト麺が出始めました。

虻川 さん
おいしかった。袋の中から半分に切って、半分ずつつけて。

首藤 アナウンサー
そして、昭和50年代に入ると、米の給食が導入されます。

木本 さん
僕の地域では、ごはんが出てくるっていうのは結構卒業間近ぐらいの時で、月に1回ぐらいだったのが週に1回ぐらいに格上げになったぐらいで卒業ですから。だから、給食にごはんが出てくるなんていうことは革命やったんですよ。

首藤 アナウンサー
そして、昭和60年代。海外のメニューも並ぶようになります。これはビビンバやキムチの韓国料理。

虻川 さん
自分たちはこれ食べてないですね。このレベルはね。

首藤 アナウンサー
いろいろあります。思い出語りだすとね...

徳永 アナウンサー
ちょっと、ちょっと。あんたたち、給食の何を知ってるってわけ?

首藤 アナウンサー
誰ですか?

徳永 アナウンサー
あたしね、給食のおばちゃん。

70年のベテランなのね。全国渡り歩いて作ってきたの。

首藤 アナウンサー
すごい(笑)。

徳永 アナウンサー
年齢が一緒でもね、住んでる町が違うと、給食の思い出って実はばらばらなのよ。時代が違えば、場所が違えば、給食の文化もいろいろ違う。それを全部知ると、このニュースの見方ってだいぶ変わってくるの。

虻川 さん
そうなんだ。

徳永 アナウンサー
そう。きょうはちょっと給食を深読みしていこうと思うのね。
じゃあ学校だけに、着席。


プレゼンテーション

徳永 アナウンサー
そもそもおふたりね、なんで全国にこうやってあまねく給食っていうのが日本にはあるかご存じ?

虻川 さん
あんまり食事が豊かじゃなかった時に、子どもにはちゃんとしたごはんを食べさせるために作られた?

徳永 アナウンサー
いいことおっしゃるわね。そういうことなの。実はね、法律がちゃんとあるのよ。

給食のための法律ってこの国にはちゃんとあるの。 そこにはね、ちゃんと精神がうたってあって、「生徒の心身の健全な発達」とかね、「適切な栄養・健康の保持増進」。これできたの、昭和29年。

首藤 アナウンサー
戦争が終わって、ちょっとたって。

徳永 アナウンサー
当時はこういう声が多かったのね。

「子どもに栄養をたくさん!」って大人たちの願いもあって、1校でも多くに給食を取り入れて、子どもたちを元気にしていこうって、みんなで頑張ろうって決めたのよ。私も頑張ったわ。

木本 さん
すごく優しい国の気持ちなんですよね。

徳永 アナウンサー
そうですよ。具体的にどうするかっていうと、国が一律にメニューを決めるとかじゃなくて、

自治体がそれぞれの事情に合わせて工夫して給食を考える。だから献立いろいろあるのね。 おばちゃんの給料も自治体が出してくれるのね。で

食材は保護者の人に出してもらって、自治体と保護者でお金出し合って、いいものにしていこうというのが給食なわけ。

首藤 アナウンサー
そうやって成り立ってるんですね。

徳永 アナウンサー
みんなで頑張ったのよ。当たり前と思わないで。 これ、ほら。学校に給食の部屋があって、私たちが一生懸命作って、温かい、おいしい給食、さあ召し上がれって子どもたちに出してる。みんなこうやってやってるわけじゃないのよ、実は。

虻川 さん
そうなんですね。

徳永 アナウンサー
そう。これ、「自校方式」っていうんだけど、なかなか普及しなかったの。

給食って、小学校はね、戦後すぐ普及していったの。でも、中学校は意外と普及しなかったの。実は前オリンピックがあった昭和39年、中学生の中で、こういった完全給食っていう、牛乳、おかず、主食っていうのが全部そろった給食を食べていた子どもたちの割合ってこれぐらいだったの。

虻川 さん
低いですね。

首藤 アナウンサー
15%くらい?

徳永 アナウンサー
そう。小学校はぐーんといったんだけど、中学校はなかなか広まらなかったのね。 だから、このころはね、国もいろいろ後押ししてくれたってわけ。

牛乳とか小麦粉とか、いろんなものの値段を補助してくれたり、値引きしてくれたりする制度もあった。 そして、昭和50年を過ぎるとね、お米の給食が普及し始める。このお米の調達も、値引きがあったおかげで、どんどんと給食が普及していって、実施率は昭和51年、ここまでいきます。

虻川 さん
上がった。

首藤 アナウンサー
50%超えて。

徳永 アナウンサー
どうしていこうかっていう中で、こんなアイデアが増えていくのね。何も学校に全部なくてもいいじゃない。「センター」っていうのを作ろうよっていうのがだんだんと増えていくわけ。

「給食センター」って聞いたことない?

虻川 さん
ありますね。

徳永 アナウンサー
自分の学校で作らなくたって、センターってとこで何校か分をまとめて作れば、合理化もできるし、温かいものを配達して、召し上がれってできるでしょっていう考え方。

木本 さん
自校方式が当たり前って最近まで思ってて。

徳永 アナウンサー
ちっちゃい子の中にはセンター方式のほうが当たり前っていう子もいて、地域によって実はばらつきがあるのね。意外とこれみんな認識が違ってた。 昭和終わるまではね、いけいけどんどんでみんな活気があったの。でも、平成に入ったころからね、なかなか難しい事情がいくつか出てくるの。

虻川 さん
事情?

徳永 アナウンサー
そうなの。消費税が始まるでしょ。お金がかかるようになるわけ。
それから、国も大変なのよ。

こういう値引き制度も次々と減っていくようになっていくの。 さらに、自治体は、バブルがはじけて税金がなかなか入ってこなくなるから、財政難でなかなか設備投資っていうのもできなくなってくるの。お金は本当に厳しくなったのね。 そこで、最後はここじゃない? お父さん、お母さん、すいません。給食費値上げさせてくださいって行くしかないんだけど、実際はこうよ。

木本 さん
ですよね。

徳永 アナウンサー
値上げを交渉しようもんなら、それは勘弁してくださいっていう声が出ていって、お金はないんだけど、なんとか子どもたちの笑顔のためにって私たち考えてさ、ちょっとずつ工夫したのよ。

首藤 アナウンサー
あれ?おかずが?何になったんですか?

徳永 アナウンサー
ビタミンCたっぷりのもやし。

虻川 さん
もやし?

徳永 アナウンサー
つまり、コストは低いけど栄養のあるものを一生懸命探して、みんなに気付かれない形でちょっとずつ、ちょっとずつ頑張ったの。でも、栄養は豊富よ、ちゃんと。 こんな苦労ご存じだった?皆さん。全国のおばちゃんの善意でなんとか成り立ってたのよ。

虻川 さん
全然知らなかったですよ。

徳永 アナウンサー
給食のおばちゃんにみんな言うのよ、ありがとうって。

木本 さん
何も考えずにかくれんぼとかしてましたから。

虻川 さん
知らなかった。

徳永 アナウンサー
21世紀になると、もっと難しいことが起きてくるの。給食をちょっとでも普及させてって言ってた国からこんなリクエストも来るの。分かるんだけどね、

これ。「食育」って。

首藤 アナウンサー
聞くようになりましたよね。

徳永 アナウンサー
おばちゃん、これはよく分かる。そのとおりだと思う。「食」に関する考え方、給食はちゃんと教育ですよっていう考え方が進んでいくわけね。 そして、こんな目標もできるの。

なるべく国産、なるべく地元のもの、子どもたちに出そうよってなるんですけど、ただでさえ調達先見つけるの大変だから。もうどうしようって話なのよね。

虻川 さん
そっか。

徳永 アナウンサー
そうなの。だから、今度こそ給食費値上げしなきゃいけないってなるんだけど、そうも言えないし、むしろ給食をやっていないお弁当の中学校のお父さん、お母さんからこんな声が出るの。

「うちでも給食お願いします」。

虻川 さん
やってほしいのは分かりますよ。

徳永 アナウンサー
共働きが増えて、朝から子どもの弁当作るのもみんな大変じゃない?それもよく分かる。だから、「給食のおばちゃん頑張って」「もっと給食センター作って」「うちの学校にも作って」っていうリクエストがいっぱい来るの。でもさ、国もお金がなかなか出せない。自治体もお金が出せない。少子化で設備投資もできない。家計だってどこも苦しいってなったら、どっかで工夫しなきゃだめじゃない?

木本 さん
ですよね。

虻川 さん
どうすんの?

徳永 アナウンサー
さあどうしようって中で、こんなアイデアも出てくるわけ。

それが「デリバリー」なのね。 世の中には、いろんなとこにお弁当を作ってるおいしい業者さんいっぱいいるでしょ。そこにお願いして、学校給食の弁当を作ってもらう。で、このトラックで配達をしたら、自分たちの学校で給食作っていなくても、はい、お昼ですよってできるでしょ。

木本 さん
なるほど。

徳永 アナウンサー
設備投資も少なくて済むし、人件費も少なくて済む。ということで、コストカットもできて、この完全給食の普及率がこれぐらいまでいったの、いま。

中学校でも8割近くに達するようになったと。 涙、涙の努力の70年の物語なのよ。

虻川 さん
そうなのかー。

徳永 アナウンサー
そんな中で、さあ召し上がれって言ったのに、あれ? なんで食べないのかしら...っていうのが、いまニュースになってる話。

虻川 さん
そういうことか。

徳永 アナウンサー
だいぶ見方変わらない?

木本 さん
変わりますね。

徳永 アナウンサー
事情もあるのよ。

冷たいとか、味がうすいって言われちゃうの。でも、冷たいのにもしかたない事情があんのよ。 というのは、配達してもらうでしょ。遠くから配達してもらうから、温かいもの配達したら食中毒になる危険もあるじゃない。だから、配達する時はできるだけ10度以下にしましょうっていうふうに言い合っていて、今回の大磯町のケースも10度以下で送ってたわけ。でも、自治体もなかなかお金ないから、温める設備も用意できなくて、冷たいまま出さざるを得なかったって話なのよ。

木本 さん
なるほどね。

虻川 さん
理由を聞けば納得ですけど、温かいもん食べたいなあ。

徳永 アナウンサー
でもさ、お金ないのよ、どこも。これ本当に、法律の趣旨に照らし合わせて、いまどうなってる?そもそもさ、大人がこんなに子どものお昼ごはんに興味ないって世の中どうなのかって、おばちゃん、きょう考えてほしいわけ。 私もくびになったわ。デリバリーになるんですってよ、うちの町も。早く帰って大河ドラマ見よう。

木本 さん
おばちゃ~ん...。

首藤 アナウンサー
おばちゃん、あれだけ頑張ってたんだけど。
でも、知ってました?給食こういうことになってるって。

木本 さん
ニュースだけ見てたら、なんでおいしいの作りはらないんだろうと思ってたんですけど、なかなか難しいんだと。予算内で。なるほどですよね。

首藤 アナウンサー
大磯のケースが珍しいわけじゃないんですよね。きょうお越しの吉原さんは、全国400校以上の学校給食を食べているという。

虻川 さん
すごいですね。

吉原 さん
そうなんですよ。デリバリー給食も食べて回りました。私は必ず子どもと一緒に食べるんですね。で、食べました。やっぱり冷たいですよ。

首藤 アナウンサー
そういうルールなんですね。

吉原 さん
ルールなんですよ。

木本 さん
お昼に冷たいお弁当を食べてるのは、ロケをしてるわれわれ芸人だけやと思ってたんですけど。

吉原 さん
冷たいと、まずお米がね、固いんですよ。それから、10度っていう温度は、普通冷蔵庫の中のちょっとぎりぎりぐらいの温度ですよね。それを想像していただくと、常温の冷たいのとは違うんですよ。お弁当を持ってくると、その時の常温でしょ。だけれども、10度以下っていうのは。

虻川 さん
冷えちゃってるんですね。

吉原 さん
もう1回温め直す設備はありませんから、そこでがたっと食欲も落ちる。 それだけじゃなくてね、残ったわけは、私はこう見てますね。中学校はね、ことにすごく短いんです、食べる時間が。もともとお弁当で、持ってきたのをここで食べる。せいぜい手を洗って。その分には、短い時間でも、やっていけた。 でも、デリバリーになると、まず、取りに行かなければならない。4時間目の授業が延びる。そして、取りに行って、時間かかる。10分ぐらいかかります。

虻川 さん
配膳のほうがかかりそうですけどね。

吉原 さん
それはね、もっと時間かかるんですけど、これも、ちゃんと時間かかるんですよね。
そして、食べ始めるんですけれども、そうすると、もうあんまり時間がありません。しゃべらないで食べてくださいってね。

虻川 さん
しゃべらないで。

吉原 さん
そう。つまり、早食いするか、残すかのどっちか。

首藤 アナウンサー
堀家さん、大磯のケースがここまで問題になったのは、どういう点が言われるんですか?

堀家 解説委員
いまプレゼンでもあったように、デリバリー方式というのが1つポイントになると思います。数字を見ていただきたいんですけれども、
平成18年と平成26年を比べると、これ中学校のデータなんですけれども、2倍近く増えてますよね。 冷たくて食べにくいという問題と、もう1つ、異物が混入したという問題がありますね。デリバリー方式ですと、学校から物理的に離れてしまうので、目が行き届かなくなっていると。学校給食って、学校を設置する自治体が給食を提供する責任があるんですけれども、目が届かなくなっているという面も1つ理由にあるのかなというふうに思います。

木本 さん
異物混入のニュース、もちろん問題なんですけど、でも、変わったなと思うのが、僕、小学校の時に酢豚にね、この大サイズのゴキブリが入ってたことあるんですね。

虻川 さん
えぇー。

木本 さん
僕たちはうわーってなって、先生に言ったら、先生が指でそれを取って、捨てて、はい食べろっていう話だったんですよ。マジか?ってなって、僕もそれ嫌やし、家に帰って母親にそれを言うたわけですよ。言ったら、母親が、当たり前やって言うんですよ。そんなんもったいないっていう、そんな時代やったんですよね。

金田 さん
施設が古かったからですね。戦後再開して、給食施設が十分な整備されていませんから。でも、平成8年にO157という食中毒事件が起きて、それから厳しい厳しい衛生管理、徹底していますから、いまそういう状態の中で異物が入るというのは、衛生管理ちょっと甘いなというか。学校給食はほかの給食施設よりも厳しいですから。

木本 さん
厳しくしてるのに、それなのに異物混入するっていうことはどういうことなの?っていう話になってくるわけですね。

吉原 さん

学校給食って、私は"ゴールデントライアングル"って言ってるんですけど、3つで成り立ってますね。子どもがいちばん上にあって、食べる人です。それから、食べさせる先生っていうのがいます。まず、作らなければならない。栄養の先生たちが作るわけですね。栄養士さんとか、調理員さんが。
そうすると、この3つがちゃんとした正三角形であるか。そして、距離感です。例えば、業者弁当、デリバリー弁当っていうのは、存在としては遠いんですよ。そうすると、遠い分だけこの三角形はいびつになります。
もう1つ、教師が子どもに食べるのをちょっと無理強いをしておう吐したような事件もありましたけれども、それも、教師と子どもの距離が離れると、いびつになる。
私はデリバリー弁当を食べて回った時に、担任の先生がおいでにならないところね、結構あったんですよ。ということは、教師と子どものつながりがないわけです。

木本 さん
なるほど、なるほど。


グラフィックレコーディング

グラフィックレコーダー
山田 夏子さん

徳永 アナウンサー
現場を知ってくださいっていう方から、どんどん声が届いています。

「学校に何でもかんでも任せすぎです。調理する人の力だけではカバーはできません」。
それからね

「業者の選定はいちばん安いところが落札します」「温かい給食でも子どもは残すことに抵抗がありません」。
それから、これ。「栄養バランス考えていますが予算カツカツです」。栄養士さんですね。

首藤 アナウンサー
金田さんは、30年栄養士としても活躍されてるんですけど、現場の悲鳴の声、どれぐらいのものなんですか?

金田 さん

給食費をまず説明しますね。現在、全国平均のものなんですが、小学校の4306円というのは1か月の給食費なんです。これに11か月かけて、それに180日とか190日の給食日数で割った単価が、約、小学校ですと、いまこれ249円ですが、250円ぐらいなんですね。

首藤 アナウンサー
1食250円。

金田 さん
中学校のほうは、4921円で289円なんです。249円というのは、先ほどの給食のおばちゃんが説明されたように、食材料費なんですね。法律で最初から食材料費は保護者が負担なんですよ。建物、建屋建てるとか、人件費、光熱水費は行政が。
でも、249円を1食1円上げてくださいと言っても、なかなか上がらないんです。

木本 さん
1円が高い壁なんですか。

金田 さん
1円というのは、1か月20日とすると、20円ですよね。20円が上がらないんです。ということは、この250円というのは全国おしなべた平均ですから、地域によって物価が全然違いますよね。だけど、上げようと思うと、隣の市が250円で値上げしないのに、なんで上げたいんだというふうに来るんですよ。

木本 さん
なるほど。

金田 さん
だから、公共料金と同じような考え方を行政のほうがしてしまうという。

虻川 さん
ただ上げてくださいって言われると、上がるってびっくりしちゃうとかいう部分あるけど、これを聞けば、上がるかっていうの分かるから、こういう説明をしてもらえたら。

首藤 アナウンサー
あまりにも実情を知らないですよね、私たち。当たり前だと思ってしまっていて。

金田 さん
ですから、いちばん安いものを買わざるを得ないとか、食材料費のお財布の中のお金しかないですから、そこで栄養素とかそういうことの工夫は栄養教諭、学校栄養職員、管理栄養士、栄養士がやりますが、1食分で出さなきゃいけませんので、そのあたりの苦労が大変なんですね。

虻川 さん
それは大変ですね。

堀家 解説委員
食材費もそうですけれども、施設整備などについても、税金ですとか、公費が入ってますので、そこはご家庭にしてみると、家計を直撃するわけですから、上げてほしくないという意見もあって、また自治体のほうも、そういう意見があるものですから、なかなか上げにくいという事情がずっと続いていると。給食費の値段自体も、そんなに上がってないんですね。

首藤 アナウンサー
学校の先生から、こんなメールが届いています。

視聴者の声

東京都・30代・女性
「食べ残さないように指導はしたいが、アレルギーの問題もあるので、最近は現場の対応は難しくなってきていると思う」。

首藤 アナウンサー
さっき木本さんは食べなさいってすごく言われて育ったっておっしゃいましたけれども、いまどういう指導が行われているんでしょうか。

徳永 アナウンサー
実はこっちも、40代、50代の方から、

自分の時は「掃除の時間も食べきるまで残された」とかっていう方もいて。

木本 さん
それそれ。その時代ですよ。

徳永 アナウンサー
50代のこの方は、「給食は鍛錬。まずい、冷たいものも我慢してでも食べるべき。子どものころそれは当たり前でした」。こういう声が一定数来てるのも事実ではありますね。

木本 さん
好き嫌いを克服する最適なチャンスやと思うんですよ。給食って。僕は結構それで克服できたんで。

吉原 さん
タフですね。精神的に。

木本 さん
でも、みんなそうやったはずなんですよね。でも、いま、すごくお母さんが子どもに優しい人が結構多いように感じるから。

吉原 さん
そうですね。先生方がね、食べさせる人が、おいしいよって言って勧めていくのか、無理強いをするのか。

木本 さん
おいしくはなかったらしかたないですもんね。

吉原 さん
いまおいしいんですよ。私、全国食べて、おいしくないとこ1校もなかったです。おいしいです。

虻川 さん
あの写真で出たお弁当はごく一部なんですか?

金田 さん
子どもたちの残すっていう問題は、食べ物と出会ったことがないんですよ、家庭で。家庭で子どもに今夜何食べる?と言って、好きなもの食べさせますよね。学校給食はいろんな食材を組み合わせて食べますから、食べ物との出会いを作って学校に入ってこないと、子どもは大変ですね。

首藤 アナウンサー
時間の問題もある。先生にとっては指導って難しいんですか?これ食べなさいっていうふうな指導っていうのは。

金田 さん
それは、子どもの体調とか好き嫌いとか、苦手な子っていうのは最初少しずつ食べさせるって、先生方やってくださってるんです。
でも、親が食べてこいと言ったという時代といま違いまして、そういうことをやっても、保護者のほうは、やらないでくださいって。
うちの子は食べさせないでくださいという考え方が増えてきてるんですね。

木本 さん
多いんですよね。みんながみんなじゃないでしょうけど。

金田 さん
でも、例えば牛乳でも、1本の牛乳飲めない子が、本当スプーンに1杯ずつ飲んで、1本が飲めた時の笑顔はすばらしいですよ。

木本 さん
達成感で。

金田 さん
ええ。

木本 さん
ただ、牛乳嫌いな子ども多かったから、ある1人の子がね、残されて最後まで飲むのもしんどいからっていうことで、さり気なく机の端っこに牛乳置きよるんですね。ほんで友だちに、向こうから走ってきて、テーブルにぶつかってくれと。ほんで、牛乳がこぼれるでしょ。ほんで、しかたないになって、それが許されるんだっていうので、みんなしめしめと思って、一時期あちこちで机にぶつかるブームが起こった時があって(笑)。

首藤 アナウンサー
男の子たちって(笑)。

虻川 さん
わけ分かんないことやるんですよね。

吉原 さん
だから、先生方もちょっと悩みも大きいんですよね。でもね、先生方もちゃんとソリューションは必要なんです。
ところが、若い先生が、大学を出て先生になるんだけれど、いま大学でね、食育の講座ってないんですよ。私はそれを給食育っていって、1つ学科を設けてほしい、科目を設けてほしいと思ってるんですね。それを学んで、現場に出た時に困らないようにってしてほしいのと、実は学校全体の統一ができてないために、子どもと一緒に食べてると、去年の先生は半分残していいって言ったんだけど、ことしの先生は最初から3分の1ぐらいついでおいて、あの子はいっぱい食べるから3杯ぐらい置いといて、そして、食缶が空っぽになったから、いいねって言って出すとかね、学年によって、担任が替わると全部変わるんです。

木本 さん
っていうか、半分残していいって言う先生とかがいるってことなんですか?それ絶対だめでしょ、そんな。

吉原 さん
1口食べられればいい。

木本 さん
絶対だめでしょ。

金田 さん
献立出す時って、限られた給食費の中で1人分の1日の必要な量を計算して、それに食数かけるんですね。出来上がったものもはかりで計って、子どもの1日の成長プラス1日の生活、元気に過ごせるようにっていうものが食缶に入ってるんです。
だから、栄養教諭たちがやってるのは、ここに入ってるのは、いまいるこの子たちが食べなきゃいけないんだよと。日々の健康を維持する、成長するためにも。成長期っていうのは待ったなしですからね。きょうはなしとか、そういうわけにいかないですから。

吉原 さん
その疎通ができてないですね。担任の先生と。

虻川 さん
デリバリー方式になってしまうのはしょうがないですけど、温かくて嫌いなものと、冷たくて嫌いなものだったら、温かくて嫌いなもののほうが食べる。

金田 さん
デリバリーはね、汁物つけられないんですね。だから、汁がない分、写真でも野菜がいっぱい残ってましたよね。


プレゼンテーション

徳永 アナウンサー
給食は、時代とともにいろいろ変化はあると思うんですが、住んでいる場所によってもだいぶ違うみたい。さっき言ったとおり、自治体によって給食って違います。こんな給食もあるんだっていうのを一部ご紹介します。
きょうお越しの吉原さんが全国渡り歩いて召し上がった中で、いくつかご紹介いただきました。題して、「こんな給食食べてきました!」。

まず、郷土色豊かなシリーズ。秋田県の男鹿東中学校ってとこは、名物のじゅんさいがお汁に入っている給食。

虻川 さん
へぇー、おいしそう。

吉原 さん
おいしいですよ。

徳永 アナウンサー
京都の伊根小学校。日本海に面しているとこです。漁師さんの町ですから、魚介御膳給食。献立が決まってないんです。

虻川 さん
え?

徳永 アナウンサー
そのとき、取れたもので作るんです。

木本 さん
めっちゃいいですね。

徳永 アナウンサー
この日はいかの一夜干し。せっかくだから、昔の日本家屋みたいに、みんなでお膳で正座して食べるんですって。

虻川 さん
豊かなお食事。

徳永 アナウンサー
それからね、東京のど真ん中でもやってるんですよ。世田谷区です。東京都といえば伊豆諸島がありますけども、島給食っていうのが出るんですって。

伊豆諸島っていうのは火山の噴火が活発なので、なかなかお米が作れなくて、その分麦がよく取れるんですって。麦雑炊。それからね、八丈島直送のトビウオなどでさつま揚げを作る。

首藤 アナウンサー
まさに食育という感じがしますね。

徳永 アナウンサー
それから、こちら。

長野県の塩尻市立広陵中学校は、生徒が考えた給食。 これ、1年生の女の子が考えた、鮭のチーズ焼き。これは枝豆のサラダ。あわごはん。

首藤 アナウンサー
おいしそう。

徳永 アナウンサー
家庭科の時間で、アイデア出して考えたメニューをでみんなで食べる。

虻川 さん
いいなあ。

徳永 アナウンサー
これで食べ残し激減した。これはほんの一部なんですが、自治体、どこも大変だけど、やってるところはやっているっていうことが見えてくるんですね。

虻川 さん
この差は何なんだろう?

吉原 さん
給食で変なことが起こるとそっちに目が行きますけれども、携わる人たちはとっても努力していらっしゃるんですよね。これは私400行った中の一部で、すてきな給食がいっぱいあります。だから、そこに目を向けて、じゃあうちの学校ももうちょっとやろうかなとかね、ここでつまずいてるから、これをもうちょっと改善するとすてきな給食になるなって思っていただくといいと思いますよ。できます。

金田 さん
みんな学校任せなんですよ。学校で給食出してもらってれば、お昼は担保できますから。
だから、番組見ていただいてる方は、ぜひ近くの学校へ行って、お昼に行って、給食見てもらいたいですよね。なんでそういう差が出てくるのっていうことは、例えばお金の問題とか、施設の問題とか、調理方式の問題とかありますから、それで立ち上がって声を大にして言っていただくことが、行政も動きやすくなるんですよね。

吉原 さん
保護者パワーは大きいですよね。保護者の方が応援したり、協力したり、理解したり。長野のある中学校に行きました時に校長先生とお話ししてたら、いっとき輸入食材の価格が上がった時あったんですよ。小麦粉とかオイルとか。その時にね、PTAの方が、1円でも2円でも上げなくていいですか、給食は、っておっしゃるんです。私たちがみんなに話しましょうか。実際のことを話すと、みんな理解できると思うから、知りたいっておっしゃる。

首藤 アナウンサー
話し合う場も大事ですね。いまの給食に求められる役割って、どういうところでしょう。

堀家 解説委員
もちろんいろんな役割があると思うんですけれども、1つ気になるデータがありまして、給食って子どもの健康を守る最後のセーフティーネットって言われているんです。

相対的に世帯の収入が少ない子どもとそうでない子どもを、取ってる食品を比べた時に、特に給食のない日について見ると、魚介類ですとか、野菜を摂取していないという傾向が出ていますね。
1日3食のうち、給食ってたった1食なんですけれども、必要な栄養を取って、栄養格差、ひいては健康格差をなくしていくっていう意味でも、給食ってすごく重要なものなんだなというふうに思います。

金田 さん

学校給食の摂取基準っていうのがあるんですね。エネルギーから始まり、たんぱく質、脂質、取るように基準が決められているんです。これは3食のうちの1食ですから、33%取ればいいわけですよね。でも、家庭の食生活とか、そういう傾向なんかを見ていて、考えて、子どもたちの実態で、例えば取れないのがカルシウムなんですね。で、カルシウムは1日の摂取基準の50%取れるようにしてあるんです。
ですから、家庭で不足しがちな栄養素、例えば鉄もそうですよね。食物繊維もそう。野菜苦手な子多いですから。とか、食塩ですよね。これは生活習慣病の予防ということでとても大事なんですよね。そういうようなことを加味して、1食分の取る摂取量っていうのは決まってるんですね。

木本 さん
そっか。その上でおいしくしてあげたいし、でも、予算も決まってるしっていう、すごい条件の中で実は給食って提供されてるのか。

吉原 さん

そうですね。しかも、1人でごはん食べてるっていうような子どもたちも結構いて、朝も、おうちの方と生活のリズムが違いますから、夜も塾に行って帰ってきて食べるとか、いろいろありますよね。ところが、給食ってみんなで食べるんですよ。みんなで食べるよさっていうのがあって。
それから私は、給食の3つの「リ」って言ってるんですけど、1つは、4時間目まで一生懸命勉強して、疲れたところをリラックス。食べる時ってリラックスしますよね、気分が。

虻川 さん
給食を楽しみに学校行ってたみたいなとこありますからね。

吉原 さん
リラックスして、みんなとしゃべったり、おいしいもの食べて、リフレッシュして、実はそこで子どものリセットが行われて、5時間目につなげるっていう大事な役割があります。

首藤 アナウンサー
いい思い出は本当にたくさん来ていて、こういう時代には戻れないんでしょうか?

視聴者の声

東京都・30代・女性
「学校でいつもあいさつするおじさん、おばさんがおいしい給食を作ってくれていました。いつも残さず、嫌いなものも食べられるようになりました」。

神奈川県・40代・女性
「お昼近くになるとおいしい匂いがして、作ってくれる人たちの距離が近くて毎日楽しかった」。

吉原 さん
戻れないことないです。いまでもそういうところたくさんあります。

金田 さん
いちばん厳しいのは、給食時間が45分ぐらいですよね。準備から後片づけまで、小学校ですけど。そうすると、配膳に手間取ったりというようなことになると、食べる時間が少ない。
ですから、あと5分でいいですから、食べる時間を延ばしてください、というのが私の希望と、それから、先生方も非常に忙しいんですね。でも、教壇から見る学習の時の子どもの姿と、リラックスして食事をしている子どもを見る時と、違うと思うんですね。だから、子どもが分かるというか、それは家庭でも同じことですよね。
ですから、よく忙しい方たちが、自分が朝早く職場に行く時は子どもが寝ている。帰ってきても寝てると。だから、なかなか子どもと一緒にごはん食べられないって言われることありますが、それは、眠いかもしれないけど、朝、ごはん食べてからまた寝てくださいって。

首藤 アナウンサー
ありがとうございました。

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